ファルマシア
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59 巻, 12 号
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目次
  • 2023 年 59 巻 12 号 p. 1062-1063
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル フリー
    ミニ特集:放射性核種による内部照射療法の現状と未来
    ミニ特集にあたって:現在,日本でのがん放射線療法は外部照射によるものが主であるが,海外では放射性核種を患者の体内に投与して用いる内部照射による核医学治療が,日本よりも活発に行われている.腫瘍組織やがん細胞に過剰に発現した受容体を標的としたリガンドに放射性核種を付与することで,放射性核種を腫瘍組織に集積させることができる.近年特に,PSMAをターゲットした前立腺がんに対するターゲティング療法の開発が著しく,欧米を中心に臨床においても多くの患者が治療を受けている.それらの製剤は日本では未認可であるが,今後の日本での普及の可能性と製剤開発を念頭に,放射性核種による核医学治療の現状と開発に向けた最新の知見について概説していただく.
    表紙の説明:59巻偶数号の表紙を飾るのは,先の東京オリンピックでもおなじみのピクトグラムである.様々な分野で活躍するファルマシア読者の姿をイメージしてデザインした.ご自身の姿と重なるピクトグラムは見つかるだろうか.見つからないという方は,ご自身の姿を表現するピクトグラムを思い浮かべてほしい.表紙のイメージよりも多くの分野の方々にファルマシアが届くことを願っている.
オピニオン
Editor's Eye
ミニ特集 セミナー
ミニ特集 最前線
ミニ特集 最前線
ミニ特集 最前線
ミニ特集 セミナー
最前線
最前線
研究室から
承認薬の一覧
  • 新薬紹介委員会
    2023 年 59 巻 12 号 p. 1110
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル 認証あり
    本稿では厚生労働省が新たに承認した新有効成分含有など新規性の高い医薬品について,資料として掲載します.表1は,当該医薬品について販売名,申請会社名,薬効分類を一覧としました.
    本稿は,厚生労働省医薬局医薬品審査管理課より各都道府県薬務主管課あてに通知される“新医薬品として承認された医薬品について”等を基に作成しています.今回は,令和5年9月25日付分の情報より引用掲載しています.また,次号以降の「承認薬インフォメーション」欄で一般名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果などを表示するとともに,「新薬のプロフィル」欄において詳しく解説しますので,そちらも併せて参照して下さい.
    なお,当該医薬品に関する詳細な情報は,医薬品医療機器総合機構のホームページ→「医療用医薬品」→「医療用医薬品 情報検索」(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/)より検索できます.
最終講義
留学体験記 世界の薬学現場から
アメリカ薬学教育の現場から
  • 藤原 亮一
    2023 年 59 巻 12 号 p. 1116-1117
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル 認証あり
    本コラムでは、アメリカ薬学部にて教鞭をとる立場から、アメリカの薬学教育、日本での薬学教育との違い、またそれぞれの特色について筆者が感じ取ったことをシリーズで伝える。Quiet Quittingは、必要以上に働かない、またはがんばりすぎない働き方を指す、近年出てきた言葉である。Quiet Quitting の予防につながる施策の一つに、Wellness(ウェルネス)プログラムの充実があげられる。従業員や学生のメンタルヘルスを良好に保ち、健康的に、そして活き活きと仕事や勉強に取り組めるような環境作りをサポートするのがウェルネスプログラムである。そこで今回は、アメリカらしいウェルネスプログラムをいくつか紹介する。
日本人が知らないJAPAN
長井記念薬学奨励支援事業採用者からのメッセージ
長井記念薬学奨励支援事業採用者からのメッセージ
トピックス
  • 笠間 建吾
    2023 年 59 巻 12 号 p. 1120
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル 認証あり
    ヒドロキシビアリール類は,医薬品化合物に広く存在する重要な化合物群である.その強力な合成法の1つにフェノール類に対する芳香族求電子置換反応(EAS)がある.一般にEASは,電子豊富なオルト位やパラ位で進行するため,フェノール類のメタ位選択的に反応することは困難である.今回Seniorらは,典型金属のビスマス(Bi)が媒介する位置選択的EASを利用し,メタ位選択的なアリール化反応を達成したので本稿にて紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Senior A. et al., Nat. Chem., 15, 386–394(2023).
    2) Jurrat M. et al., Nat. Chem., 12, 260–269(2020).
  • 川越 文裕
    2023 年 59 巻 12 号 p. 1121
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル 認証あり
    タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)はタンパク質のジスルフィド結合の酸化,還元,そして異性化に関与し,過剰発現により虚血性脳卒中や心筋梗塞などの血栓性疾患を引き起こす.現在使用されている抗血栓薬は血小板凝集とフィブリン生成のいずれかを阻害するが,PDIの阻害は血栓形成の初期段階を阻害し,両方の経路を抑制できる.このことから,PDI阻害剤は血栓症治療薬の創薬ターゲットとして注目されている.本稿では,前例のない構造を持ち,既存のPDI阻害剤とは結合様式の異なる新規のPDI阻害剤について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Kozlov G. et al., FEBS J., 277, 3924-3936(2010).
    2) Jasuja R. et al., J. Clin. Invest., 122, 2104-2113(2012).
    3) Zheng G. et al., J. Am. Chem. Soc., 145, 3196–3203(2023).
    4) Holbrook L. M., Br. J. Pharmacol., 178, 550-563(2021).
  • 山田 泰之
    2023 年 59 巻 12 号 p. 1122
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル 認証あり
    ナス科のベラドンナやチョウセンアサガオなどは有毒植物として知られるが,抗コリン薬として利用されるヒヨスチアミンやスコポラミンなどのトロパンアルカロイド(TA)を産生する重要な薬用植物でもある.これらTAの生合成機構は既に解明され,出芽酵母による生産系も構築されている.一方で,なぜナス科のなかでも一部の植物種のみがTAを産生しているのかは不明であった.本稿では,ベラドンナとヨウシュチョウセンアサガオの高精度ゲノム解読を足がかりに,ナス科植物におけるTA生合成系の進化の一端を明らかにしたZhangらの研究について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Srinivasan P., Smolke C. D., Nature, 585, 614–619(2020).
    2) Zhang F. et al., Nat. Commun., 14, 1446(2023).
  • 寺山 涼子
    2023 年 59 巻 12 号 p. 1123
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル 認証あり
    皮膚を利用した薬物送達は経口投与や皮下注射に比べ非侵襲的であり,投与の容易さから患者に受け入れられやすく,初回通過代謝が回避できるなどの利点がある.これまでにも,皮膚からの薬物送達のためのキャリアとしてリポソームをはじめとした様々な脂質ベシクルが開発されており,組成や表面修飾によって物性の改善が図られてきた.また近年,ヒアルロン酸(HA)と複合体を形成したタンパク質や薬物の経皮吸収が向上するという報告がある.HAは保水性や生体適合性,粘弾性に優れ,スキンケア製剤や外用剤の開発において需要が高い.しかし,皮膚は細胞間脂質を本体とした生体バリアにより異物の侵入を防いでいるため,親水性かつ高分子ポリマーであるHAはこのバリアを突破するのが困難であると考えられ,HAが皮膚内へ浸透するメカニズムについては未知の部分が多い.本稿ではHAによって修飾したリポソームの特性および,その経皮吸収促進効果について報告したNiらの研究を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Guillot A. J. et al., J. Control. Release, 355, 624-654(2023).
    2) Ni C. et al., J. Control. Release, 357, 432-443(2023).
  • 岩坂 拓海
    2023 年 59 巻 12 号 p. 1124
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル 認証あり
    急性肝不全は生命を脅かす疾患であり,薬剤による肝障害はその主たる要因である.肝臓は高度に構造化された組織であり,急性肝障害時には領域特異的に損傷が認められるなど,その領域依存性は肝障害のプロセスに大きく関与している.本稿では,肝障害に対するアスパラギン合成酵素(ASNS)の中心静脈周辺での肝障害適応的な発現変化に関するSunらの報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Sun Y. et al., J. Clin. Invest., 133, e163508(2023).
    2) Frieg B. et al., Biol. Chem., 402, 1063–1072(2021).
    3) Heidari R. et al., J. Basic Clin. Physiol. Pharmacol., 30, 91-101(2018).
  • 松田 将也
    2023 年 59 巻 12 号 p. 1125
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル 認証あり
    アレルギー性喘息の発症は,幼少期における抗原曝露と密接に関連する.抗原に曝露された個体の肺においては,Th2細胞がinterleukin(IL)-13などの2型サイトカインを産生することで,喘息が惹起される.炎症沈静後においても,Th2細胞の一部はメモリー細胞となり,組織に残存する.なかでも,肺実質に残存するpathogenic Th2-resident memory cells(Th2-TRMs)は,再度抗原に曝露されると,急激に増殖し大量のIL-13などの2型サイトカインを産生することで喘息の増悪に関与する.これらのことから,抗原曝露により誘導されたTh2-TRMsが,その後のアレルギー性喘息の増悪を左右する因子の1つとして注目されている.
    他方,Wangらは,新生児期におけるドパミン作動性神経の活性化は,Th2細胞の分化を促進し,アレルギーの感受性を高めること,ならびにTh2細胞においてdopamine receptor D4(DRD4)の高発現が認められることを明らかにしてきた.したがって,新生児期におけるドパミン作動性神経の活性化とTh2-TRMsの誘導が密接に関連することが示唆されるが,その詳細は明らかでなかった.本稿においては,Th2-TRMsの誘導にドパミン-dopamine receptor D4(DRD4)シグナルが関与することを明らかにしたWangらの研究を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Pakkasela J. et al., BMC Pulm. Med., 20, 9(2020).
    2) Wang W. et al., Immunity, 51, 1102–1118.e7(2019).
    3) Wang W. et al., J. Allergy Clin. Immunol., in press(2023).
  • 那須 羽
    2023 年 59 巻 12 号 p. 1126
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル 認証あり
    細菌の遺伝子水平伝播(horizontal gene transfer: HGT)は,遺伝子を含むDNAが細菌細胞間で移動する現象である.HGTによる遺伝子獲得は,細菌の環境適応手段の1つであり,生態系での生き残りや種の進化において重要な役割を担う.細菌のHGTは,人にとっても有用微生物の育種・改良技術への利用等のメリットがある一方で,新たな食中毒菌や薬剤耐性菌の発生をもたらす等の負の側面もある.HGTの古典的な機構としては,接合・形質導入・形質転換の3種が知られている.接合・形質導入はそれぞれ接合線毛・ファージ等の,DNAを細胞から細胞へ輸送するドナー由来の装置を必要とする.一方,形質転換はレシピエント細胞が発現する形質転換能を必要とする.近年,これら以外の新たなHGT機構が提唱されつつあり,その1つがナノチューブを介したプラスミドの移動である.細胞間に形成されるナノチューブは,脂質二重層から成る内腔構造で,その形成は同種および異種細菌間で確認されている.また,これを介した非接合性プラスミドのHGTが枯草菌同種間で確認されている.本稿では,この機構によるHGTが異種細菌間でも起こることを新たに明らかにした報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Dubey G. P., Ben-Yehuda S., Cell, 144, 590–600(2011).
    2) Dubey G. P. et al., Dev. Cell, 36, 453–461(2016).
    3) Morawska L. P., Kuipers O. P., Microb. Biotechnol., 16, 784–798(2023).
    4) Bhattacharya S. et al., Cell Rep., 27, 334–342(2019).
    5) Hasegawa H. et al., Front. Microbiol., 9, 1–6(2018).
  • 片田 佳希
    2023 年 59 巻 12 号 p. 1127
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル 認証あり
    アミノグリコシド系抗菌薬の吸入療法は,嚢胞性線維症,非結核性抗酸菌症,院内肺炎等の治療に用いられる.吸入療法の利点として,標的部位で高い薬物濃度を実現できるほか,血中への移行がわずかであるため腎機能障害や聴覚障害などの副作用がほとんど生じないと考えられている.しかし,アミノグリコシド系抗菌薬の吸入療法を施行した患者においてその薬物の血中濃度が検出され,副作用が生じたという報告もあるが,どのような患者集団で血中濃度が検出されるかに関しては十分検討されてこなかった.本稿では,アミノグリコシド系抗菌薬の吸入療法を受けた患者における血中濃度検出(detectable drug level: DDL)の発生率と,そのリスク因子を調査したSchultheisらの論文を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Le J. et al., Pharmacotherapy, 30, 562-584(2010).
    2) Hoffmann I. M. et al., Pediatr. Pulmonol., 34, 375-377(2002).
    3) Schultheis J. M. et al., J. Antimicrob. Chemother., 78, 450-456(2023).
    4) Goldstein I. et al., Am. J. Respir. Crit. Care Med., 166, 1375-1381(2002).
    5) Elman M. et al., Anesthesiology, 97, 199-206(2002).
追悼
  • 今井 一洋
    2023 年 59 巻 12 号 p. 1111
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル 認証あり
    本会名誉会員 辻章夫先生が2023年7月15日に93才でご逝去されました。
    辻先生は民間企業、厚生省国立衛生試験所勤務を経て、創設された昭和大学薬学部薬品分析化学の教授に就任、薬学としては草分けの臨床化学分析研究に参画し、長く専念されました。その間、ニューヨークのアインシュタイン医科大学へ留学され、イムノアッセイの技術を学ばれました。帰国後、蛍光、化学発光、生物発光反応を酵素活性の検出に用いる酵素イムノアッセイ(EIA)を開発され、血液1滴から分析できる甲状腺刺激ホルモンやサイロキシンなどのEIAを考案し、これらは我が国の先天性代謝異常症の新生児マススクリーニング法に適用され、現在全国レベルで実施されています。晩年には、薬学教育協議会7代会長として薬学部6年制学生の長期病院実習・薬局実習の構築に向けて貢献されました。
    先生には報文185報、総説96報、著書41冊があり、内外の開催学会は数多く、これらの業績により1982年日本分析化学会学術賞、1994年日本薬学会学術賞、1996年紫綬褒章、2001年勲三等旭日中綬章を受賞されております。
    私は駆け出しの頃、辻先生編纂の単行書「LC-けい光分析」(講談社)の一節を書くように誘われ、そこで学んだ知識を基に、「HPLC-化学発光検出法」を開発でき、私にとって研究上の恩人と言うべき方であり、当時から柔和な表情で他人の話に耳を傾けておられた先生を懐かしく思い出します。
    愛弟子の荒川秀俊先生(昭和大学名誉教授)によれば、先生は絵画を趣味とし、制作された水彩、油絵、水墨画などは、銀座でのグループ展やフランス美術館での展示などに出品されたとのことです。先生のご冥福を心よりお祈りいたします。
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