ファルマシア
Online ISSN : 2189-7026
Print ISSN : 0014-8601
ISSN-L : 0014-8601
55 巻 , 12 号
選択された号の論文の48件中1~48を表示しています
目次
  • 2019 年 55 巻 12 号 p. 1098-1099
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル フリー
    ミニ特集:インフルエンザウイルスの基礎と臨床
    ミニ特集にあたって:インフルエンザ(Influenza)は,インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で,毎年世界中で流行がみられている.我が国でも毎年冬季を中心に多数の患者が発生し,高齢者の死亡,合併症,院内感染等が大きな問題となっている.2018年からはバロキサビルなどの新規抗インフルエンザウイルス剤が上市され,処方されているものの,服用患者だけでなく未服用の患者からもバロキサビル耐性ウイルスが検出されており,大きな問題となっている.本ミニ特集では,インフルエンザウイルスの基礎研究や,実際の臨床に携わっている先生方にご執筆いただくことにより,これからの2019〜2020シーズンのインフルエンザ対策について考えていきたいと思っている.
    表紙の説明:晩秋になると,野山で見かける花も少なくなるが,それでも,リンドウ,センブリ,キクの仲間はまだ咲き残り,目の保養をさせてくれる.白色の野菊は,海岸で見られる種類が多いが,リュウノウギクは,日当たりの良い野山に咲く.葉を揉むと,竜脳に似た独特の香りがすることから,その名がついたようだ.リュウノウギクは,樟脳と同様に,虫よけなどに用いられた.リュウノウギク以外に晩秋で楽しめる花は,電子付録でお楽しみを.
オピニオン
Editor's Eye
ミニ特集 セミナー
  • 今井 由美子, 椎森 仁美, 市田 悠
    2019 年 55 巻 12 号 p. 1105-1110
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル 認証あり
    インフルエンザは、インフルエンザウイルスを病原体とする感染症である。A型、B型ウイルスは、ヒトインフルエンザの原因となり、毎年冬季を中心に流行する。またH5N1あるいはH7N9型の鳥インフルエンザウイルスの感染例がヒトで確認されている。新型インフルエンザは、ヒトが経験したことがない新しいタイプのインフルエンザウイルスが出現し、ヒトの間で伝播して、流行を起こしたものである。これらは、ヒトにおいて致死的な病態を引き起こすことがある。今回、インフルエンザウイルスの生活環と抗インフルエンザ薬、インフルエンザの病態について述べ、さらに重症化に関する最近の研究に言及する。
ミニ特集 セミナー
ミニ特集 話題
ミニ特集 セミナー
  • 山口 高広
    2019 年 55 巻 12 号 p. 1120-1125
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル 認証あり
    インフルエンザウイルス感染症は,飛沫感染により伝播する急性呼吸器感染症である.ウイルス感染後はl〜4日の潜伏期間を経て,発熱,悪寒,頭痛,筋肉痛,食欲不振等の全身症状が発現する.
    バロキサビル マルボキシル (バロキサビル) が日本で承認されるまでは,国内におけるインフルエンザウイルス感染症の治療には,抗インフルエンザウイルス薬としてノイラミニダーゼ阻害薬が主に臨床使用されていたが,2018年3月にバロキサビルが発売され,治療薬に新たな選択肢が加わった.
    本稿では,バロキサビルの作用機序について概説した後,バロキサビルに対する感受性低下株に関して非臨床試験および臨床試験結果の解析などから得られた最新の知見を紹介する.
ミニ特集 セミナー
  • 木村 宗芳
    2019 年 55 巻 12 号 p. 1126-1130
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル 認証あり
    インフルエンザは日本では冬から春先に多い気道疾患であり,インフルエンザウイルスが原因となる.インフルエンザウイルスにはA,B,Cの3つの型があるが,流行を起こすのはA型とB型であることが知られている.特に毎年12月末から翌年の1月にかけてインフルエンザの流行はピークに達し,社会問題にもなっていることは読者の方々もご存知のことだろう.実際,インフルエンザの流行は,インフルエンザや肺炎による死亡者数を顕著に増加させることはもとより,循環器疾患などの各種慢性基礎疾患の増悪に関連する死亡者数の増加ももたらす.さらに米国では,国民全体の約8%(3〜11%)もの人々が2010〜2016年までの7年間のうちにインフルエンザを発症したと推定されており,本症が世界全体で大きな問題になっていることが容易に推測できる.
    今回は,このインフルエンザの臨床の実際と課題について,感染症を専門とする内科医の立場から解説していく.本稿を通して,インフルエンザ診療への理解を深めていただくとともに,バロキサビルなどの新薬に関する情報をアップデートしていただければ幸いである.なお,本稿では通常の季節性インフルエンザの診断と治療を中心に取り上げ,インフルエンザワクチンや鳥インフルエンザについては対象としていない.
ミニ特集 話題
  • 渡邉 真治
    2019 年 55 巻 12 号 p. 1131-1133
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル 認証あり
    感染症におけるサーベイランスは、その病原体の発生状況や変化を継続的に把握することを目的とし、その情報を感染症対策に役立てることである。世界中でヒトの間で流行する季節性インフルエンザは、世界保健機関(WHO)を中心としたサーベイランスネットワークが構築されており、世界中のインフルエンザウイルスを監視している。日本も国内のサーベイランスだけでなく、世界のネットワークの一員としてサーベイランスに参画し、ウイルス株の性状解析を通して、ワクチン株選定や抗インフルエンザ薬に対する耐性株の検出を行い、情報を共有している。
話題
話題
  • 小田 吉哉
    2019 年 55 巻 12 号 p. 1139-1144
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル 認証あり
    生命科学の大幅な進歩によって、これまでの患者本人の訴えや医師の観察、解剖学や組織学に基づいて疾患を分類する時代から遺伝子など分子レベルで判定する時代になってきている。それに伴って,多くの人に対して同じように治療するOne-size-fits-allという考え方から個人の遺伝要因や環境要因の違いを考慮したPrecision Medicineの時代となってきている。Precision Medicineではバイオマーカーに基づいた精密診断と臨床試験が必須である。つまりバイオマーカーは手段であり、目的を明確する必要がある。本章ではバイオマーカーを取り巻く最近の動向について紹介する。
最前線
FYI(用語解説)
  • 今井 由美子, 椎森 仁美, 市田 悠
    2019 年 55 巻 12 号 p. 1150_1
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル 認証あり
    vRNPはウイルスゲノム(DNAやRNA)と関連したタンパク質から成る複合体を指し,ウイルスが増えるための複製の最小単位である.インフルエンザウイルスでは,8種類の一本鎖RNAから成る各ウイルスゲノムの末端にウイルス由来のRNAポリメラーゼタンパク質(PB1,PB2,PA)が,また15〜25塩基ごとにNPタンパク質が数珠状に結合し,vRNP複合体を形成している.感染後,各vRNP複合体は宿主細胞の核内へと移行し,ウイルス由来のRNAポリメラーゼによって,ウイルスゲノムの転写および複製が行われる.
  • 渡邉 真治
    2019 年 55 巻 12 号 p. 1150_2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル 認証あり
    NESIDは,日本における感染症サーベイランスシステムで,国(厚生労働省)が管理している一元的なオンライン中央データベースである.医療関係者の協力のもと,国(厚生労働省および国立感染症研究所)と自治体(保健所および地方衛生研究所:地衛研)との共同でインフルエンザを含む感染症サーベイランスが実施されているが,感染症による患者情報や病原体情報などが保健所や地衛研からNESIDに入力されることで,国内の感染症の発生状況の正確な把握や分析ができる.国や自治体は,国民や医療機関へNESIDに基づく情報公開・提供を迅速に行うことで,当該感染症に対する有効かつ的確な対策を図ることが可能となる.
  • 小田 吉哉
    2019 年 55 巻 12 号 p. 1150_3
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル 認証あり
    FDAが規制している製品の品質システムは現在CGMPとして知られ,1978年にできた医療機器(体外診断薬を含む)のCGMPは,1997年にQSRとなった.規制は非常に多くの異なる種類の医療機器に適用する必要があるため,FDAはQSRにおいて,個々の方法を規定することなく品質システムが適切に適用される必須要素を特定している.従ってQSRでは,個々の医療機器の高品質を保証するために,製造業者が手順を開発して従うことを要求している.2018年にFDAは,QSRとISO 13485(2016年版)を調和させる計画があることを発表している.FDAは検査機関を維持するが,品質システム検査手法はISOより改訂される可能性がある.なお,FDAは医療機器の品質を「安全性と性能を含む,使用適合性を満たす医療機器の能力に関係する機能と特性の全体」と定義している.
  • 久保 義行
    2019 年 55 巻 12 号 p. 1150_4
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル 認証あり
    Retinal uptake index(RUI)法は,血液網膜関門を介した網膜への物質移行性評価に用いられる解析法であり,特に血液網膜関門を介したトランスポーター介在型の薬物移行をin vivoレベルで解析する場合に有用性が高い.本法では,関門を自由に透過する物質([14C]n-ブタノールやトリチウム水)を内部標準物質として,被験薬物を麻酔下ラットの総頸動脈に投与し,15秒における網膜内放射活性を測定する.RUI値は放射活性データを基に算出され,これは「内部標準物質の網膜移行性と比較し,被験薬物が何パーセント移行したか」を表している.
承認薬の一覧
  • 新薬紹介委員会
    2019 年 55 巻 12 号 p. 1152
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル 認証あり
    本稿では厚生労働省が新たに承認した新有効成分含有など新規性の高い医薬品について,資料として掲載します.表1は,当該医薬品について販売名,申請会社名,薬効分類を一覧としました.
    本稿は,厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課より各都道府県薬務主管課あてに通知される“新医薬品として承認された医薬品について”等を基に作成しています.今回は,令和元年9月20日付分の情報より引用掲載しています.また,次号以降の「承認薬インフォメーション」欄で一般名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果などを表示するとともに,「新薬のプロフィル」欄において詳しく解説しますので,そちらも併せて参照して下さい.
    なお,当該医薬品に関する詳細な情報は,医薬品医療機器総合機構のホームページ→「医療用医薬品」→「医療用医薬品 情報検索」(http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/)より検索できます.
承認薬インフォメーション
  • 新薬紹介委員会
    2019 年 55 巻 12 号 p. 1153-1155
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル 認証あり
    本稿では既に「承認薬の一覧」に掲載された新有効成分含有医薬品など新規性の高い医薬品について,各販売会社から提供していただいた情報を一般名,市販製剤名,販売会社名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果を一覧として掲載しています.
    今回は,55巻9号「承認薬の一覧」に掲載した当該医薬品について,表解しています.
    なお,「新薬のプロフィル」欄においても詳解しますので,そちらも併せてご参照下さい.
新薬のプロフィル
前キャリアが今に生きること
留学体験記 世界の薬学現場から
日本人が知らないJAPAN
トピックス
  • 道上 健一
    2019 年 55 巻 12 号 p. 1164
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル 認証あり
    超原子価ヨウ素化合物は,その高い酸化数にもかかわらず安定性に優れ,他の反応剤とは一味違った酸化剤・求電子的官能基化剤としてその力を発揮してきた.しかしながら,アリールカチオン等価体であるジアリール-λ3-ヨーダンは,その安定性ゆえに,適用可能な求核剤が反応性の高い金属エノラート等に限られている.今回内山らは,より強い求電子性が期待できるジアリール-λ3-クロラン1すなわち超原子価塩素反応剤の安定供給に初めて成功し,これを様々な求核剤に適用し,その化学的性質を検証したので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Yoshimura A., Zhdankin V. V., Chem. Rev., 116, 3328-3435(2016).
    2) Nakajima M. et al., J. Am. Chem. Soc., 141, 6499-6503(2019).
    3) Nesmeyanov A. N., Tolstaya T. P., Dokl. Akad. Nauk SSSR, 105, 94-95(1955).
    4) Ochiai M. et al., J. Am. Chem. Soc., 128, 9608-9609(2006).
  • 岩下 真純
    2019 年 55 巻 12 号 p. 1165
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル 認証あり
    医薬分子,およびそのリード化合物という観点からは,ペプチドは標的分子特異性の高さ,構造の多様さ,毒性の低さという長所がある一方,膜透過性や代謝安定性の低さという短所も存在する.
    近年では,その短所を克服した直鎖,および環状ペプチドが相次いで報告されており,ペプチド医薬の実用化に向けた基盤技術の進展が著しい.今回は,タンパク質-リガンド複合体の精緻なX線結晶構造解析によるペプチド型ヒット化合物の探索とその合成展開について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Cardote T. A. F., Ciulli A., ChemMedChem, 11, 787-794(2016).
    2) Santos G. B. et al., ChemMedChem, 11, 2245-2251(2016).
    3) Gall F. M. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 58, 4051-4055(2019).
  • 清水 陽平
    2019 年 55 巻 12 号 p. 1166
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル 認証あり
    アルテミシニンは,キク科クソニンジンが生産するセスキテルペンラクトンであり,抗マラリア薬として世界中で多くの命を救ってきた.植物からのアルテミシニンの供給量は限られており,価格も不安定であった.そこで,Paddonらはアルテミシニンの生産に合成生物学的手法を取り入れた.酵母にアルテミシニン生合成遺伝子を導入発現させることにより,アルテミシニン前駆体を合成する技術を開発した.この技術によりアルテミシニンの安定供給と価格低下が期待されたが,実際には生産コストが植物からのアルテミシニン精製のそれを下回ることができなかった.アルテミシニンは植物重量当たりの含有量が非常に少ない.その原因の1つとして,アルテミシニン生合成が腺毛という特殊な分泌組織に限られていることが考えられてきた.ところが最近,Juddらは自家受粉を繰り返し作出した純系クソニンジンの葉の非腺毛細胞においてもアルテミシニンが生合成されることを明らかにしたので本稿で紹介したい.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Paddon C. J. et al., Nature, 496, 528-532(2013).
    2) Judd R. et al., Mol. Plant, 12, 704-714(2019).
    3) Wang S. B. et al., Planta, 244, 999-1010(2016).
    4) Shen Q. et al., Mol. Plant, 11, 776-788(2018).
  • 岸川 直哉
    2019 年 55 巻 12 号 p. 1167
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル 認証あり
    有害物質の分析法の中でも蛍光分析法は複雑な装置を必要とせずに簡便・迅速な検出を可能とする分析法であり,様々な有害物質の検出を目的とする蛍光プローブがこれまでに多数開発されている.しかしながら,蛍光プローブの中には構造中に水銀等の有害性重金属を含む化合物や測定の際に有害物質を併用する必要がある化合物も存在する.有害物質の分析のために別の種類の有害物質を用いることは,実験者あるいは自然環境に与える悪影響を考慮すると好ましい方策とはいえない.今回,重金属との併用が一般的であった従来の一酸化炭素の蛍光プローブに対して,より安全で使いやすいメタルフリー型蛍光プローブが報告されたので,本稿で紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Berhanu A. L. et al., Trends. Anal. Chem., 116, 74-91(2019).
    2) Wang Z. et al., Sens. Actuator. B., 291, 329-336(2019).
  • 告 恭史郎
    2019 年 55 巻 12 号 p. 1168
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル 認証あり
    アセチルサリチル酸(アスピリン)は,1899年に販売が開始された最も古い化学合成医薬品であり,現在も世界中で解熱鎮痛薬として汎用されている.1970年代,アスピリンの薬理作用が,「cyclooxygenase(COX)の酵素活性を阻害し,プロスタグランジンの産生を抑制する」と見いだされたのを皮切りに,数多の非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs: NSAIDs)が開発された.しかし,アスピリンは後に開発されたNSAIDsとは異なり,COXの活性中心のセリン残基をアセチル化することで,その酵素活性を不可逆的に阻害するという極めて特異な作用機序を有する化合物である.
    本稿では,アスピリンの新規標的分子として,cyclic GMP-AMP合成酵素(cGAMP synthase: cGAS)を見いだし,本薬がCOXではなくcGASのアセチル化を介して,自己免疫疾患の治療効果を発揮することを示したDaiらの論文を概説したい.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Dai J. et al., Cell, 176, 1447-1460(2019).
    2) Dou Z. et al., Nature, 550, 402-406(2017).
  • 久保山 友晴
    2019 年 55 巻 12 号 p. 1169
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル 認証あり
    現在,全世界で3.5億人もの人々がうつ病に罹患していると推測されている.うつ病の治療には,シナプス間隙のセロトニンやノルアドレナリンの量を増加させる薬物が主として用いられる.しかし既存の抗うつ薬では,約3割の患者において十分な治療効果が得られないとの報告がある.したがって,新たな機序を有する抗うつ薬の開発が望まれている.うつ病の発症には,前頭前皮質のアストロサイトが関与することが示唆されていたが,その機序は不明であった.最近Xiongらは,内側前頭前皮質のアストロサイトにおける14,15-エポキシエイコサトリエン酸の下流シグナルが,マウスのうつ様行動を制御することを発見したので本稿で紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Xiong W. et al., J. Neurosci., 39, 4606-4623(2019).
    2) Cao X. et al., Nat. Med., 19, 773-777(2013).
    3) Ren Q. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 113, E1944-E1952(2006).
  • 中村 武浩
    2019 年 55 巻 12 号 p. 1170
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル 認証あり
    有機金属錯体は,有用な合成試薬として様々な反応開発に利用されているが,バイオロジーに適用された例は極めて少ない.この要因として,有機金属錯体の生体内での挙動を予測することが困難な点が挙げられる.金属が有機物と錯体を形成すると,金属および有機物のいずれにも属さない性質を獲得し,予期せぬ生理活性を発現させる.この現象に着目し,有機金属錯体が示す未知の生理活性およびその分子機構を解析する「バイオオルガノメタリクス研究」がKajiらによって展開されている.バイオオルガノメタリクス研究の戦略は,標的とする有機金属錯体と,それを構成する無機金属および有機配位子の3者の性質を同時に評価することで,有機金属錯体が示す生理活性の分子機構を明らかにするものである.本稿では,有機亜鉛錯体が引き起こす未知の細胞毒性発現機構を,前述するバイオオルガノメタリクス研究戦略により解析した事例を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Fujie T. et al., J. Toxicol. Sci., 41, 217-224(2016).
    2) Fujie T. et al., J. Toxicol. Sci., 44, 113-120(2019).
    3) Kaji T. et al., Res. Commun. Mol. Pathol. Pharmacol,, 44, 113-120(1995).
    4) Kohri K. et al., J. Toxicol. Sci., 40, 321-327(2015).
  • 朝田 瑞穂
    2019 年 55 巻 12 号 p. 1171
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル 認証あり
    術後せん妄は心臓手術後患者に高率に認められ,ICU入室期間の延長,合併症の発症率や死亡率の上昇,長期的な認知機能の低下に関連するとされている.せん妄対策は多くのICUにおいて重要である.発症危険因子としては,術前からの認知機能障害,手術に伴う炎症のほか,術後疼痛が挙げられるが,疼痛コントロールのためのオピオイドの使用もまた,危険因子とされる.アセトアミノフェン静注を術後早期から使用することで,オピオイドやその他の鎮痛薬,鎮静薬使用量を減少させるという報告があるが,アセトアミノフェン静注のせん妄予防効果に関しては検討されてこなかった.本稿では,心臓手術後患者にアセトアミノフェンとプロポフォール,またはデクスメデトミジンを併用することが術後せん妄予防に有効かどうか検討したDEXACET試験の結果を紹介したい.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Saczynski J. S. et al., N. Engl. J. Med., 367, 30-39(2012).
    2) Balachundhar S. et al., JAMA, 321, 686-696(2019).
追悼
Information
交信
会合予告
カレンダー
学術誌お知らせ
談話室
最近の新刊書から
新刊紹介
次号掲載予告
編集後記
feedback
Top