ファルマシア
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54 巻 , 8 号
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目次/ミニ特集にあたって/表紙の説明
  • 2018 年 54 巻 8 号 p. 748-749
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/01
    ジャーナル フリー
    ミニ特集:専門・認定薬剤師を知る
    ミニ特集にあたって:薬物療法,副作用対策などについての高度な知識・技術を備えた薬剤師を育成するための手段の1つとして認定・専門薬剤師制度がある.我が国においては既に30以上の認定制度が存在し,認定を取得した薬剤師は医療現場の第一線において活躍している.しかし,これらの認定は学会が行っている場合がほとんどであり,客観的な評価がなされておらず,質が担保されていないなどの問題点もある.そこで本ミニ特集号では,専門・認定薬剤師制度の現状や今後の展望について,米国における認定薬剤師制度や,他職種の認定制度の状況,チーム医療で活躍する専門・認定薬剤師の活動状況を踏まえながら,今一度考えてみることとしたい.
    表紙の説明:『本草綱目記聞』は尾張名古屋の本草家・水谷豊文(1779〜1833)の著作で,1,920種の草木を収載した自筆本60冊が武田科学振興財団杏雨書屋に所蔵されている(貴460).表紙はその内の芍薬と牡丹の図である.両者は同じボタン科であるが,草本の芍薬Paeonia lactifloraの根の薬効成分はペオニフロリンで,漢方では鎮痛・鎮痙に用いる.一方,木本の牡丹P.moutanP.suffruticosa)は古来,木芍薬とも称され,根(牡丹皮)は駆瘀血に使用された.薬効成分のペオノールについて1888年に長井長義が論文を発表している.
グラビア
  • 人にやさしい医療の創造と普及へ
    桧山 義雄
    2018 年 54 巻 8 号 p. 743-745
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/01
    ジャーナル フリー
    「テルモメディカルプラネックス®」は、丹沢山系の南側の大変自然豊かな丘陵地にあり、なだらかな傾斜面に造られた、二棟の切り妻様式の和風現代建築である。外観が特徴的で、信楽と瀬戸の陶土をブレンドした風合いのあるレンガを組んで造られている。また、医療現場を再現した環境と約1世紀に渡るテルモの医療への取り組みを感じていただける製品展示室等を備えており、医療従事者向けのトレーニングを提供するだけでなく、国内外問わず多くの人たちとのコミュニケーションの場としても重要な役割を担っている。これからも「医療を通じて社会に貢献する」という企業理念のもと、世界中の安全・安心な医療に貢献し続けていきたいと考えている。
オピニオン
  • 向 智里
    2018 年 54 巻 8 号 p. 747
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/01
    ジャーナル フリー
    日本薬学会最大の行事である年会は,8つの支部がその計画と運営を担当し,全国で開催されている.11年単位で担当支部が決められていて,その内訳は関東支部が3回,関西支部が2回,その他の6支部がそれぞれ1回である.2007年に北陸支部が担当した第127年会(富山:富山大学)開催を受けて,11年ぶりに北陸支部の出番が回ってきた.今回は金沢大学の教員が中心となり,3月25日(日)から4日間,金沢駅周辺を主な舞台として開催した.金沢での年会は実に22年ぶりとなる.今冬は豪雪に見舞われ,金沢でも30年ぶりの大雪となったことから,天候を心配する向きもあったが,3月とは思えないような好天に連日恵まれ,およそ9,000名の参加者を得て,無事に年会を終えることができた.北陸新幹線開通の効果も相まって,活気あふれる北陸の中核都市金沢に様々な領域で薬学に携わる者が集い,次世代の薬学研究・教育について大いに議論する年会となった.
Editor's Eye
ミニ特集 セミナー
ミニ特集 セミナー
  • 佐藤 暖子
    2018 年 54 巻 8 号 p. 762-766
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/01
    ジャーナル フリー
    薬物療法の高度化に伴い,臨床薬剤師や専門薬剤師は一定水準以上の資質や技量を有することが求められている.資質の担保としての仕組み,あるいはレベル向上の役割としての専門・認定薬剤師制度は昨今,その重要性が増している.世界に先駆けて専門認定薬剤師制度を開始した米国でも,社会のニーズに合わせ,年々その制度を変えて現在に至っている.筆者が米国薬物療法認定専門薬剤師を取得した経験から,米国における専門認定薬剤師制度の現状と展望を紹介する.
ミニ特集 セミナー
ミニ特集 セミナー
ミニ特集 話題
ミニ特集 話題
  • 八鍬 奈穂, 中島 研
    2018 年 54 巻 8 号 p. 780-782
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/01
    ジャーナル フリー
    妊娠中の薬剤使用による胎児への影響については、妊婦を対象とした臨床試験を行うことが倫理的に困難なことから情報が限られている。また、薬剤の使用がない場合も先天異常が発生することで(ベースラインリスク)、薬剤の催奇形性の評価は困難になっている。正しい情報が正しく伝わらない場合、妊婦は意図せずリスクのある薬剤に曝露されてしまうことが考えられる。一方、リスクを過剰に心配し、妊娠継続を中断してしまうことや、必要な薬剤を中断してしまうなどの問題が生じる可能性もある。このような問題を解決するためには、私たち薬剤師が十分な知識を持つことが必要不可欠である。妊婦やこれから妊娠を希望する女性の手助けとなることが望まれている。
最前線
セミナー
セミナー
  • 開発の歴史と今後の展望
    中村 浩之
    2018 年 54 巻 8 号 p. 793-797
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/01
    ジャーナル フリー
    電子付録
    我が国では、世界で初めてとなる加速器中性子源を用いたホウ素中性子捕捉療法((Boron Neutron Capture Therapy:BNCT)が、脳腫瘍ならびに頭頸部癌において第2相臨床試験が進められている。ホウ素薬剤には p-boronophenylalanine (BPA)が用いられているが、全ての患者に適応できる訳ではなく、BNCTの適応疾患拡大および治療効果を高めるためにも、がん組織に選択的に10Bを送達する新しい薬剤の開発は吃緊の課題である。本稿では、BNCTの歴史と最近のBNCT用ホウ素薬剤の開発状況について紹介する。
承認薬の一覧
  • 新薬紹介委員会
    2018 年 54 巻 8 号 p. 799
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/01
    ジャーナル フリー
    本稿では厚生労働省が新たに承認した新有効成分含有など新規性の高い医薬品について,資料として掲載します.表1は,当該医薬品について販売名,申請会社名,薬効分類を一覧としました.
    本稿は,厚生労働省医薬安全局審査管理課より各都道府県薬務主管課あてに通知される“新医薬品として承認された医薬品について”等を基に作成しています.今回は,平成30年3月23日付分の情報より引用掲載しています.また,次号以降の「承認薬インフォメーション」欄で一般名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果などを表示するとともに,「新薬のプロフィル」欄において詳しく解説しますので,そちらも併せて参照して下さい.
    なお,当該医薬品に関する詳細な情報は,医薬品医療機器総合機構のホームページ→「医療用医薬品」→「医療用医薬品 情報検索」(http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/)より検索できます.
新薬のプロフィル
  • 田中 真司
    2018 年 54 巻 8 号 p. 800-801
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/01
    ジャーナル フリー
    抗ヒスタミン作用を有する薬物の選択にあたっては,個々の患者の症状にあわせ,効果の強さや特性を考慮することが重要と考えられている。ルパフィン®錠の有効成分であるルパタジンは,抗ヒスタミン作用に加えて抗PAF(platelet activating factor:血小板活性化因子)作用も併せ持ち,血管拡張や血管透過性の亢進、知覚神経刺激等の即時型アレルギー症状を抑制すると考えられており,アレルギー性鼻炎や蕁麻疹への効果が検証されている。
医療現場につながる基礎科学
最終回 創薬研究から製品化へのマネジメント・モデル
  • 髙橋 義仁
    2018 年 54 巻 8 号 p. 804-806
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/01
    ジャーナル フリー
    企業経営では,戦略・競争情報を経営戦略に展開するかが重要となる.この手順が体系化されたものとして,コンペティティブ・インテリジェンス(competitive intelligence:CI)と呼ばれる手法が知られている.CIは,カスタマー(依頼者)とのコミュニケーションからスタートし,生産されたインテリジェンスは,カスタマーらに配布,それに基づいて,目的に沿った判断・行動が起こされる.一連の流れは,再び履行されることが多いため,インテリジェンス・サイクルと呼ばれる.創薬研究開発の初期段階では,競合する企業やアカデミアの「研究開発に関するインテリジェンス」が,市場化に近くなるに従い「マーケティングや規制関連業務のインテリジェンス」の重要性が増してくる.
留学体験記 世界の薬学現場から
  • 四十物 由香
    2018 年 54 巻 8 号 p. 808-809
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/01
    ジャーナル フリー
    「日常診療で疑問に思っていることを検証し,改善していくことが最高の医療につながる」という教えのもと,私は「リサーチができる,エビデンスが作れる臨床薬剤師になりたい」という強い思いを抱いた.さらに今後は,後進の育成にも力を注ぐ機会が多くなると思い,「人を育てる,インスパイアするとはどういうことか」を学ぶために「小林がん学術振興会(現在では日本病院薬剤師会)によるがん専門薬剤師,がん薬物療法認定薬剤師海外派遣事業」の公募に挑戦した.幸いにも対象者になり,2012年11月5日〜2012年11月11日の7日間にわたり団長1名および研修生3名で,ニューヨークにあるMSKCCでの病院実地研修とThe Chemotherapy Foundation Symposiumに参加した.今回は,その病院実地研修から見えたことを報告したい.
トピックス
  • 岩田 隆幸
    2018 年 54 巻 8 号 p. 810
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/01
    ジャーナル フリー
    炭素-炭素結合の形成において,見かけ上の求電子剤同士もしくは求核剤同士の反応となる場合,極性転換(umpolung)が利用される.しかし,求電子剤を求核剤へと極性転換する例が数多く報告されている一方,求核剤から求電子剤への極性転換の報告例は少ない.例えば,エノラート(求核剤)の極性を転換するとエノロニウム(enolonium, 求電子剤)となるが,合成等価体を含めてその調製法はほとんど知られていない(図1-1).一方で,エノロニウムが合成化学的に有用であることは容易に想像でき,エノロニウムとエノラートを用いるクロスカップリング反応(見かけ上のエノラート同士の反応)からは,複素環化合物に誘導可能な1,4-ジカルボニル化合物を得ることができる.本稿では,このようなクロスカップリング反応をアミド1からのエノロニウム等価体の調製を鍵として達成したMaulideらの最近の報告について紹介したい.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Kaiser D. et al., J. Am. Chem. Soc., 139, 16040-16043(2017).
    2) Falmagne J. B. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 20, 879-880(1981).
    3) Kaiser D. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 56, 5921-5925(2017).
  • 藤原 秀安
    2018 年 54 巻 8 号 p. 811
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/01
    ジャーナル フリー
    核医学(放射性医薬品を用いた医学)では,体内の放射性物質から検出された放射性同位元素または核種(radioisotope:RI)情報の画像化(イメージング)を利用した検査が知られている.この時,陽電子(Positron)を放出するRI核種を用いて断層画像を得る方法をpositron emission tomography(PET)イメージングと呼び,特に腫瘍・心臓の検査を行うFDG(Fluoro Deoxy Glucose,18F標識)の出現により注目を集めるようになっている.PETは,central nervous system(CNS)疾患の治療薬開発で多用されており,用量選定や病気の進行評価に利用されている.本稿では,CNS疾患の治療薬開発に伴う脳浸透性を有するPDE4B高選択性&高親和性PET リガンドの開発について,Zhangらの報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Zhang L. et al., J. Med. Chem., 60, 8538-8551(2017).
    2) Chappie T. A. et al., WO2016020786.
    3) Zhang L. et al., J. Med. Chem., 56, 4568-4579(2013).
  • 寳田 徹
    2018 年 54 巻 8 号 p. 812
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/01
    ジャーナル フリー
    健康寿命の延伸に伴い,認知症を含む神経変性疾患の患者数が増加しているなか,食品由来ポリフェノールを用いた神経変性疾患の予防について数多くの研究が行われている.経口摂取した化合物が脳内で薬理作用を発現するためには,消化管吸収,肝代謝を受けた後,血液脳関門(blood brain barrier:BBB)の障壁を通過しなければならない.これまでにポリフェノール(polyphenol:PP)の脳細胞や神経細胞への保護作用については数多くの報告があるが,それらの代謝物が持つBBB透過性やBBBおよび脳細胞での薬理作用を検証した研究例は少ない.本稿では,Figueiraらが報告したPP代謝物のBBB透過性と神経保護作用について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Figueira I. et al., Sci. Rep., 7, 11456(2017).
    2) Pimpão R. C. et al., Brit. J. Nutr., 113, 454-463(2015).
    3) Youdim K. A. et al., J. Neurochem., 85, 180-192(2003).
  • 山崎 絢乃
    2018 年 54 巻 8 号 p. 813
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/01
    ジャーナル フリー
    腫瘍を標的とした薬物キャリアとしてリポソームや高分子ミセル等のナノ粒子の利用が検討されている.薬物キャリアとしてのナノ粒子設計において,表面電荷,粒子サイズ,粒子形状(アスペクト比)など種々の物理化学的な特性が腫瘍への集積効率や抗腫瘍効果に影響することがこれまでの研究より明らかにされており,薬物キャリア設計の指針として広く認知されている.代表的な薬物キャリアであるリポソームは脂質二重膜から成る比較的柔らかい粒子であるが,高分子から成るナノ粒子は固い構造であると考えられる.本稿で紹介するGuoらの論文では,薬物キャリア設計における新たな指針としてナノ粒子の弾性率に着目し,ナノ粒子の弾性率が細胞への取り込み効率や腫瘍への性質に与える影響を検討した.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Albanese A. et al., Annu. Rev. Biomed. Eng., 14, 1-16(2012).
    2) Guo P. et al., Nat. Commun., 9, 130(2018).
  • 豊田 優
    2018 年 54 巻 8 号 p. 814
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/01
    ジャーナル フリー
    食を通じた健康改善志向が高まりをみせる今日,メディアを通じて「ケトジェニックダイエット(ケトン食)」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないだろうか.一般にケトン食とは,摂取エネルギー(カロリー)の大半を脂肪でまかなう食事法のことで,高脂肪・低タンパク質・低炭水化物を特徴とする.糖質制限に伴い体内の主要なエネルギー源である糖質が枯渇すると,その代替源を得るべく脂肪が分解(代謝)されケトン体の合成が促進(Keto- genic)される.すなわち,β-酸化で生じたアセチルCoAをもとに肝臓で生合成されたケトン体(アセト酢酸やβ-ヒドロキシ酪酸)が血液中に放出され,脳を含む肝臓以外の臓器で新たなエネルギー源として使われるようになる.現代社会で脂肪はとかく悪者扱いされがちだが,ケトン食には,減量・抗肥満のための食生活支援ツールとしてのみならず,糖尿病に代表される幾つかのヒト疾患における食事療法としての効果が期待されており,その潜在的な健康増進作用が近年注目を集めている.
    今回,動物実験を通じて,ケトン食の継続的な摂取が寿命と脳機能や運動機能の維持に効果があることが示されたので紹介したい.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Augustin K. et al., Lancet Neurol., 17, 84-93(2018).
    2) Roberts M. N. et al., Cell Metab., 26, 539-546(2017).
    3) Johnson S. C. et al., Nature, 493, 338-345(2013).
    4) Newman J. C., Verdin E., Annu. Rev. Nutr., 37, 51-76(2017).
    5) Dehghan M. et al., Lancet, 390, 2050-2062(2017).
  • 藤田 和歌子
    2018 年 54 巻 8 号 p. 815
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/01
    ジャーナル フリー
    近年,痛みやそのメカニズムに性差があることが明らかにされつつある.機械的刺激や電気,熱,化学刺激などを用いた実験的研究だけでなく,線維筋痛症,偏頭痛,緊張性頭痛,過敏性腸症候群,間質性膀胱炎などに伴う慢性疼痛は女性に多いとされる疫学研究も報告されている.これらの性差には,性ホルモンや内因性オピオイド神経機能,痛みに関わる受容体の遺伝子多型が関連していると言われている.最近では,疼痛発症における免疫担当細胞の役割にも性差があることが分かってきた.例えば,神経部分損傷によるアロディニア(異痛症)の発症メカニズムは,雄性マウスではミクログリア依存的である一方で,雌性マウスでは,ミクログリア非依存的であり,T細胞が関与すると報告されている.
    本稿では,雌性マウスでの疼痛発症メカニズムについて,特にミクログリアと T 細胞の役割に着目し,妊娠期間の影響を観察したRosen らの報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Bartley E. J., Fillingim R. B., Br. J. Anaesthesia, 111, 52-58(2013).
    2) Sorge R. E. et al., Nat. Neurosci., 18, 1081-1083(2015).
    3) Rosen S. F. et al., J. Neurosci., 37, 9819-9827(2017).
    4) Casagrande D. et al., J. Am. Acad. Orthop. Surg., 23, 539-549(2015).
    5) Ostensen M., Villiger M. P., Semin. Immunopathol., 29, 185-191(2007).
  • 谷田 守
    2018 年 54 巻 8 号 p. 816
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/01
    ジャーナル フリー
    肥満遺伝子であるレプチンが白色脂肪組織で発見されてから,20年以上が過ぎた.新たな肥満治療薬の開発が進んだが,国内大手の製薬会社は6年前にレプチンに関する創薬の中止を発表し頓挫している.レプチンの脳への作用について,動物実験レベルでは,摂食抑制と代謝亢進を起こして抗肥満作用を惹起するものの,同時に交感神経系の増大に伴う血圧上昇作用が見られる.これは,レプチンが脳に作用すると自律神経系を介して全身の臓器に影響することでホメオスタシスに関与することを示唆している.したがってホメオスタシスについては,レプチンが代謝を活性化させて「やせ」シグナルを惹起させる反面,血圧を上昇させて「高血圧」を招く危険性も含んでいる.一方で,レプチンは食事後に分泌が促進されるため,糖代謝調節にも関与することがわかっており,重度の糖尿病を発症する脂肪萎縮症の患者にレプチンを投与すると糖代謝が改善することから,糖尿病治療薬として臨床応用されている.レプチンのみならず,これまで摂食状況に応じて末梢臓器から分泌されるホルモンは,胃からのグレリン,小腸からのインクレチンなどが同定されている.本稿で紹介する線維芽細胞増殖因子(fibroblast growth factor:FGF)は,ヘパリン結合因子として血管新生や創傷治癒などの既知の作用を持っているが,近年,内分泌作用として機能するFGF19とFGF21による代謝調節作用が肥満治療薬への応用に向けて注目されつつある.
    本稿では特に,小腸由来のFGF19と肝臓由来のFGF21が脳に作用して,自律神経系を介して代謝亢進させて糖および脂質代謝を改善させる仕組みを動物実験で新たに発見したLanらの報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Zhang Y. et al., Nature, 372, 425-432(1994)
    2) Bell B. B. et al., Curr. Obes. Rep., 5, 397-340(2016).
    3) Degirolamo C. et al., Nat. Rev. Drug. Discov. 15, 51-69(2016).
    4) Lan T. et al., Cell Metab., 26, 709-718(2017).
  • 鈴木 嘉治
    2018 年 54 巻 8 号 p. 817
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/01
    ジャーナル フリー
    抗がん薬誘発性の悪心嘔吐は,担癌患者に苦痛を伴わせ,患者のquality of lifeや治療への参加意志を損なうものである.多くの臨床試験により,コルチコステロイド,5-HT3受容体拮抗薬,NK1受容体拮抗薬およびオランザピンが抗がん薬誘発性の悪心嘔吐の制御に有用であることが示されてきたものの,その制御は完全には克服されておらず,現在でも多くの検証研究が進行中である.サリドマイド(thalidomide:THD)が多様な薬理効果を示すことは既知であるが,近年では抗がん薬誘発性の悪心嘔吐に対する制吐薬としての有用性が示されつつある.
    そこで本稿では,高度催吐性リスク抗がん薬の投与を受けた患者における遅発期(抗がん薬投与25〜120時間後)の悪心嘔吐の制御を目的として,THDを制吐薬として併用した場合の効果および安全性について第3相試験により検証したZhangらの研究を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Sommariva S. et al., Crit. Rev. Oncol. Hematol., 99, 13-36(2016).
    2) Rojas C. et al., Eur. J. Pharmacol., 684, 1-7(2012).
    3) Navari R. M. et al., N. Engl. J. Med., 375, 134-142(2016).
    4) Zhang L. et al., J. Clin. Oncol., 35, 3558-3565(2017).
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