ファルマシア
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59 巻, 2 号
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目次
  • 2023 年 59 巻 2 号 p. 92-93
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/01
    ジャーナル フリー
    ミニ特集:Personal Health Record(PHR)の活用がもたらすもの
    ミニ特集にあたって:今回,産官学の方々にPersonal Health Record(PHR)の活用の現状と今後についてご執筆いただいた.PHRというと,非常にとっつきにくいイメージを持たれる方も多いかもしれないが,薬剤師にとって最も身近なPHRとしては電子お薬手帳がある.日常業務において,紙媒体のお薬手帳に記載された内容の把握が,周術期等の患者に対する薬学的管理を行ううえで重要であることを実感しており,今後PHRの活用は,Digital Transformationとして医療の質の向上や業務の効率化に大きな影響を与えるのではないかと考える.本ミニ特集が,PHRについての理解を深めるきっかけになれば幸いである.
    表紙の説明:59巻偶数号の表紙を飾るのは,先の東京オリンピックでもおなじみのピクトグラムである.様々な分野で活躍するファルマシア読者の姿をイメージしてデザインした.ご自身の姿と重なるピクトグラムは見つかるだろうか.見つからないという方は,ご自身の姿を表現するピクトグラムを思い浮かべてほしい.表紙のイメージよりも多くの分野の方々にファルマシアが届くことを願っている.
オピニオン
Editor's Eye
ミニ特集 話題
  • 飯村 康夫
    2023 年 59 巻 2 号 p. 99-103
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/01
    ジャーナル フリー
    電子付録
    PHR (Personal Health Record) は、健康診断の記録、診療情報の他、日常生活におけるライフログ等を含めた一生涯に渡る個人の健康・医療関連情報である。近年のスマートフォン、ウェアラブル端末の普及に伴い、PHRサービスの利用が日本国内でも広がりつつある。本稿では、我が国におけるPHRの活用状況、将来展望および普及への課題等について、経済産業省を中心とした政府のPHR関連施策とともに紹介する。
ミニ特集 話題
ミニ特集 話題
ミニ特集 話題
ミニ特集 話題
ミニ特集 話題
ミニ特集 話題
ミニ特集 話題
  • Society 5.0時代に進化するPHR活用法
    秋田 正倫
    2023 年 59 巻 2 号 p. 128-130
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/01
    ジャーナル フリー
    1996年の創業以来、時代の変化を先読みしたさまざまなモバイルコンテンツを提供し、人々の生活に役立つサービスを届けてきた。その背景を踏まえて今、PHR活用事例はこれから一段階進む手ごたえと期待感を感じている。
    当社の医療・ヘルスケア領域においては、女性の健康情報サービスを筆頭に、母子手帳アプリや人々の健康をつながりで支える健康管理サービスなど多数のサービスを展開し、PHRを軸に成長している。いろいろなサービスの事例と最近の動向を紹介しながら、今後のPHRの活用法について考えてみたい。
最前線
話題
  • 各領域のスペシャリストが考える薬学教育
    鈴木 小夜, 武田 香陽子
    2023 年 59 巻 2 号 p. 137-139
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/01
    ジャーナル フリー
    薬学教育モデル・コアカリキュラムには各専門領域で育成すべき資質が明示されているが,現在,それは学部教育で目指す枠組みでしかない.医療薬学フォーラム2022/第30回クリニカルファーマシーシンポジウムの「薬学教育」シンポジウムでは,各専門領域の学びの先にある真のアウトカムとも言うべき世界で活躍されている4名の先生方に,現在行っている最先端の研究・お仕事と,そのお立場から今後の薬学教育に求めることを共有いただき,今後のあるべき「薬学教育」について議論した.
最終講義
留学体験記 世界の薬学現場から
アメリカ薬学教育の現場から
  • 藤原 亮一
    2023 年 59 巻 2 号 p. 144-145
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/01
    ジャーナル フリー
    日本の薬学教育は、特に6年制になってからはアメリカのそれと似たものであると認識していた。しかし、2019年に異動しアメリカの薬学教育に直接携わるようになってからと言うもの、筆者は日米間での薬学教育の違いを目の当たりにする日々が続いている。そこで本コラムでは、アメリカ薬学部にて教鞭をとる立場から、アメリカの薬学教育、日本での薬学教育との違い、またそれぞれの特色について筆者が感じ取ったことをシリーズで伝える。今回はアメリカの薬学教育におけるDiversity, Equity, and Inclusion (DEI) への取り組みについて紹介する。
長井記念薬学奨励支援事業採用者からのメッセージ
長井記念薬学奨励支援事業採用者からのメッセージ
トピックス
  • 六車 共平
    2023 年 59 巻 2 号 p. 148
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/01
    ジャーナル フリー
    生体の構成成分であるキラルアミノ酸は,医薬品や天然物の合成における不斉源として重宝される.また,医薬品(ペプチド医薬など)に非天然アミノ酸を組み込むことで,薬理活性や代謝安定性など機能面の向上が図られる.そのため,キラルアミノ酸は薬学的にも重要な合成素子である.今回,キラル金属触媒を用いた非天然α-アミノ酸の不斉合成法がYeらにより報告されたので,本稿で紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Ye C. X. et al., Nat. Chem., 14, 566–573(2022)
  • 飯田 圭介
    2023 年 59 巻 2 号 p. 149
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/01
    ジャーナル フリー
    SARS-CoV-2によって引き起こされるCOVID-19の理解が進み,重要な宿主決定因子としてアンジオテンシン変換酵素(ACE2)と膜貫通セリンプロテアーゼ(TMPRSS2)が注目されている.SARS-CoV-2はエンベロープ上のS糖タンパク質が受容体ACE2と結合し,続いてTMPRSS2がS糖タンパク質を切断・活性化することで膜融合が起こり,結果として感染が起こる.そのため,これらは重要な治療標的となり阻害剤の探索が行われてきたが,未だその発現レベルの調節機構については深く研究されていない.そこで,今回著者らが着目したのが四本鎖核酸であるグアニン四重鎖(G4)である.G4はグアニンに富む配列によって形成される高次構造であり,グアニン(G)四分子からなるG-quartetと呼ばれる平面構造が積層することで形成される.G4の機能は多岐にわたるが,特にRNA上でG4が形成・安定化されることでリボソームがmRNAを読み取ることができなくなり翻訳が阻害され,タンパク質の発現を減少させることが知られている. 本稿では,RNA G4がTMPRSS2の発現レベルを調節する治療標的となることが実証されたので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Hoffmann M. et al., Cell, 181, 271–280. e8(2020).
    2) Varshney D. et al., Nat. Rev. Mol. Cell Biol., 21, 459–474(2020).
    3) Liu G. et al., Nat. Commun., 13, 1444 (2022).
  • 惟村 壮哉
    2023 年 59 巻 2 号 p. 150
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/01
    ジャーナル フリー
    海洋に存在する動物の多くは,自身の防御を目的とした化合物を生産する.その多くが有用な生物活性を示すことから,海洋天然物は医薬品開発において注目を集めている.そのなかで,海洋天然物の真の生産者が動物に共生した微生物であることが,近年明らかにされつつある.それとは反対に本稿では,八放サンゴゲノム中にテルペン環化酵素(terpene cyclase: TC)遺伝子を見いだし,八放サンゴ由来テルペノイドの真の生産者が,共生微生物ではなく八放サンゴ自身であることを示した2報の論文について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) McCauley E. P. et al., J. Antibiot., 73, 504–525(2020).
    2) Scesa P. D. et al., Nat. Chem. Biol., 18, 659–663(2022).
    3) Burkhardt I. et al., Nat. Chem. Biol., 18, 664–669(2022).
  • 守岩 友紀子
    2023 年 59 巻 2 号 p. 151
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/01
    ジャーナル フリー
    アナライトまたはアナライトにより生成されたマーカー分子を単一粒子に凝集させるアプローチへの関心が高まっている(図1).単一粒子を対象として,粒子表面の局所空間に濃縮されたアナライトやマーカー分子を検出することで,計測技術の高感度化が実現できるだけでなく,試料に含まれる夾雑成分の影響を受けにくくなり,S/N比と測定感度の向上が期待できる.粒子がナノサイズであればアナライトのサイズに匹敵するため,アナライトと粒子との間で立体障害が生じず,反応効率も高まる.単一粒子測定(single particle detection: SPD)は従来の計測技術を革新できるものと期待されるが,それにはアナライトやマーカー分子を分子認識させ,その情報を検出可能なシグナルに変換させる機能を粒子に付与することが課題となる.
    Chung-Yanらは,金ナノ粒子と銀ナノ粒子の2種類のナノ粒子が隣接すると局在表面プラズモン共鳴が増強する現象を利用して,前処理なしで生体試料中における腫瘍マーカーを検出することに成功している.またHuaらは,金ナノ粒子のコアに酸化マンガンを被覆させたコアシェルナノ粒子とラマン測定を用いて,生体中のアルカリフォスファターゼを測定した.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Chung-Yan P. et al., Anal. Chem., 88, 8849–8856(2016).
    2) Hua L. et al., Nanoscale, 12, 10390–10398(2020).
    3) Yawen L. et al., Spectrochim. Acta Pt A: Mol. Biomol. Spectrosc., 276, 121219(2022).
  • 東 鷹美
    2023 年 59 巻 2 号 p. 152
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/01
    ジャーナル フリー
    全身性強皮症は,各種臓器の線維化と血管内皮増生による血流障害を特徴とする指定難病であり,現在のところ有効な治療法はない.その病因については不明な点が多いものの,特異的自己抗体を産生する免疫異常や,筋線維芽細胞の過剰活性化に基づく線維化が考えられている.本稿では,ヒト強皮症検体を用いたシングル細胞RNA-seq解析により病態解明の鍵を握る細胞の挙動や遺伝子発現変化を示した論文を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Boris H. et al., Nat. Rev. Rheumatol., 16, 11–31(2020).
    2) Gur C. et al., Cell, 185, 1373–1388(2022).
  • 鳥羽 裕恵
    2023 年 59 巻 2 号 p. 153
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/01
    ジャーナル フリー
    脳梗塞や狭心症,心筋梗塞に代表される動脈硬化性疾患は,血管内腔に形成される隆起物(プラーク)により脳や心臓等の主要臓器への血流が低下もしくは遮断されることで発症する疾患で,世界の死因1位,我が国においても2位を占めている.動脈硬化は加齢や高血圧,脂質異常症,糖尿病が原因となって最も内腔側の血管内皮細胞が障害されることをきっかけに,単球の内皮細胞下へ遊走,内膜でのマクロファージの泡沫化により進展していくため慢性炎症の終末像と言える.一方,神経系と免疫系の相互連携,いわゆる神経免疫の役割が様々な疾患で重要視されているが,動脈硬化プラークには神経が分布していないため,その役割は不明であった.血管は内膜,中膜,外膜の三層で構成され,前述の通り動脈硬化プラークは内膜病変である.しかし最近Mohantaらは,中膜を隔てた外膜側から動脈硬化病変が神経支配を受けていることを発表したので本稿で紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Mohanta S. K et al., Nature, 605, 152–159(2022).
    2) Gräbner R. et al., J. Exp. Med., 206(1), 233–248(2009).
  • 柴田 侑裕
    2023 年 59 巻 2 号 p. 154
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/01
    ジャーナル フリー
    薬剤性肝障害(drug-induced liver injury: DILI)はその多くが特定の個人にのみ生じ,かつ用量依存性が見られないことも多い.DILIは,重篤な症例を除けば原因薬剤を速やかに中止することで回復することが知られているため,早期の診断と対応が重要になる.臨床において,DILIの診断には,他の肝疾患の可能性を考慮したうえで臨床情報の評価による鑑別診断を実施する.現在,DILIであると確定診断を下すことができる検査方法はなく,信頼性の高い診断ツール,検査方法の開発が求められている.1993年にDananとBenichouが発表したrousell uclaf causality assessment method(RUCAM)は,現在世界中で広く用いられるDILI診断のためのツールの1つである.しかし,いくつかの欠点も指摘されており,実際に我が国でも日本肝臓学会を含む複数の学会が合同で開催したDDW-J 2004ワークショップにおいて,独自に改良を施した診断基準が提案されている.今回取り上げる論文において,HayashiらはRUCAMで評価する臨床情報の妥当性を再評価し,さらに可能な限り主観性を排することによって,診断の精度と診断者間での再現性を向上させることを目指してrevised electronic causality assessment method(RECAM)という評価方法を確立した.このような臨床におけるDILI診断方法の改良により,不必要な投薬が回避され重篤な肝障害を予防できる.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Danan G., Benichou C., J. Clin. Epidemiol., 46, 1323–1330(1993).
    2) Takikawa H. et al., Kanzo, 46, 85–90(2005).
    3) Hayashi P. H. et al., Hepatology, 76, 18–31(2022).
  • 山田 侑世
    2023 年 59 巻 2 号 p. 155
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/01
    ジャーナル フリー
    細胞内におけるコレステロールの恒常性は,de novo生合成・細胞内取り込み・細胞外排出・細胞内輸送・代謝・貯蔵といった,それぞれのプロセスを担うタンパク質によって厳密に維持されている.そのため,これらタンパク質の機能不全は,細胞内におけるコレステロール恒常性の破綻を招く.“小児のAlzheimer病”と称されるNiemann-Pick病C型(NPC)は,先天性の神経変性疾患であり,リソソーム内在性タンパク質NPC1/2による協奏的なコレステロール輸送の障害を原因として,細胞内コレステロールの恒常性が破綻する.本稿では,≪破綻した細胞内コレステロール恒常性の修復≫をコンセプトとして,コレステロールを貯蔵型へ代謝するacetyl-CoA acetyltransferase 1(ACAT1)を遺伝的に欠損させた一例を紹介するとともに,このコンセプトが種々の神経変性疾患に適用できる可能性について論及したい.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Luo J. et al., Nat. Rev. Mol. Cell Biol., 21, 225-245(2020).
    2) Rogers M. A. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 119, e2201646119(2022).
    3) Ory D. S. et al., Lancet, 14, 1758–1768(2017).
    4) Arenas F. et al., Front. Mol. Neurosci., 10, 382(2017).
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