ファルマシア
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53 巻 , 9 号
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目次
  • 2017 年 53 巻 9 号 p. 846-847
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー
    特集:ラジカル化学の新展開
    特集にあたって:ラジカル化学の進展が著しい.ラジカル種の高い反応性を制御してC–H結合を位置選択的に官能基化する反応や,グリーンケミストリーの要請も相まって光駆動型のラジカル反応の開発が活発に行われている.生体関連分野においてもその躍進は顕著で,生体ラジカルの検出のみならず,その発生をコントロールして生体機能を調節する試みも始められている.本特集号では,医薬品や生理活性天然物の合成,クロスカップリング反応や触媒的不斉合成など有機合成分野の話題に加え,生体関連分野のトピックスも含めて,第一線で活躍する先生方に最先端のラジカル化学を解説していただいた.
    表紙の説明:本特集号では炭素,窒素,酸素,硫黄ラジカルが縦横無尽に活躍している.その活躍の場は,医薬品の合成や生理活性天然物の全合成のように有機分子を“つくる”場面にとどまらない.生体ラジカルの検出やその放出を制御して生体機能を“みる”ための道具としても活躍している.ラジカル化学は今まさに光を浴びて新たな展開を見せている.
オピニオン
Editor's Eye
セミナー
最前線
最前線
  • 穐田 宗隆, 小池 隆司
    2017 年 53 巻 9 号 p. 865-869
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー
    地球環境や資源開発の観点から、グリーンシステムの開発は急務である。事実上無尽蔵な太陽光(可視光)エネルギーを有効利用できる有機合成反応系の一つとして、2000年代後半以降急速に発展してきたフォトレドックス触媒作用について、原理の解説および筆者らの研究成果を中心に最近の研究動向について紹介する。この反応系では、光増感剤触媒の励起状態の一電子移動酸化還元特性に基づいて誘起されるラジカル反応が鍵となっている。
最前線
最前線
最前線
最前線
  • 中川 秀彦
    2017 年 53 巻 9 号 p. 886-890
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー
    一酸化窒素ラジカル(NOラジカル)のケージド(caged)化合物,すなわちケージドNOは,NOラジカルの発生・放出を光によって制御できるため,NOラジカルの生物作用を解析するためのツールとして利用できるとともに,NOラジカルの機能を利用した治療法研究に応用することもできると考えられる.これまでにいくつかのグループからケージドNOが報告されており,我々のグループでも光誘起化学反応を利用したケージドNOを開発し,積極的な生物応用を展開してきた.光誘起化学反応を利用したケージドNOの開発と,それを用いた生物応用について述べる.
話題
話題
FYI(用語解説)
  • 福住 俊一
    2017 年 53 巻 9 号 p. 898_1
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー
    人工光合成は狭い意味では,天然の光合成を人工的に再現することである.光合成は,光捕集,光合成反応中心における電荷分離,水の酸化,NADP+補酵素の還元過程から成り立っている.それぞれの過程を人工的に再現する研究は,この20年間で大きく進展した.一方,広い意味では,太陽エネルギーを化学エネルギーあるいは電気エネルギーに変換する技術全般も含まれる.例えば,有機太陽電池,太陽光を用いた光触媒による水からの水素発生,二酸化炭素還元によるギ酸,メタノールなどの液体燃料の製造がある.また,海水と空気中の酸素から太陽光を用いて過酸化水素を製造し,そのまま過酸化水素燃料電池の燃料として用いることもできる.
  • 人見 穣
    2017 年 53 巻 9 号 p. 898_2
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー
    Marcusは,電子移動反応の活性化自由エネルギーが,それぞれの化学種の自己交換反応の活性化自由エネルギーによって表現できると仮定した.すなわち,酸化還元対の電位差から計算される自由エネルギー変化と,それぞれの自己交換反応の活性化自由エネルギーを用いて,公差反応の活性化自由エネルギーが求まるとした.この時,公差反応速度/k/_12は,2つの自己交換電子移動速度/k/_11と/k/_22を含むMarcusの公差関係の式によって表現される.この式により,自己交換速度と交差反応の平衡定数から,交差反応の電子移動速度を予測することができる.現在,この交差関係が水素原子移動反応に適用できることが実験的に明らかにされている.
  • 山田 健一
    2017 年 53 巻 9 号 p. 898_3
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー
    蛍光発光現象とは,励起状態にある分子が光としてエネルギーを放出する緩和過程(輻射遷移)にてみられる現象である.そのため,励起分子を蛍光発光とは異なる過程(無輻射遷移)を経て基底状態へと緩和させることで,これらの現象を抑えることが可能となる.こうした蛍光消光現象を引き起こす機構としては,光誘起電子移動やエネルギー移動,項間交差など様々な報告がある.例えば,有機スピン化合物であるニトロキシドは蛍光原子団との光誘起電子移動反応により,周囲に存在する蛍光団の発光を抑制する.そこで近年では,これらを蛍光のOFF-ONスイッチとして応用した様々な蛍光プローブが開発されている.
  • 中川 秀彦
    2017 年 53 巻 9 号 p. 898_4
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー
    通常,分子軌道の電子励起では,1つのエネルギー状態の変化は1個の光子吸収によって起こる.この時,光子のエネルギーと励起分子の電子遷移エネルギー(バンドギャップ)はよく対応する.これに対して,2個の光子をほぼ同時に分子が吸収することで,同様の遷移が起こる時,これを二光子励起という.光子1つ当たりのエネルギーは,通常の遷移に比べて約半分でよいので,振動数が半分,すなわち2倍の波長を持つ長波長の光によって遷移が起こる.ただし,2個の光子をほぼ同時に吸収する必要があるため,パルスレーザー光の集光など光子密度が非常に高くなる場合しか起こらない.二光子励起現象は二光子蛍光顕微鏡に応用されている.
承認薬の一覧
  • 新薬紹介委員会
    2017 年 53 巻 9 号 p. 899
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー
    本稿では厚生労働省が新たに承認した新有効成分含有など新規性の高い医薬品について,資料として掲載します.表1は,当該医薬品について販売名,申請会社名,薬効分類を一覧としました.
    本稿は,厚生労働省医薬安全局審査管理課より各都道府県薬務主管課あてに通知される“新医薬品として承認された医薬品について”等を基に作成しています.今回は,平成29年7月3日付分の情報より引用掲載しています.また,次号以降の「承認薬インフォメーション」欄で一般名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果などを表示するとともに,「新薬のプロフィル」欄において詳しく解説しますので,そちらも併せて参照して下さい.
    なお,当該医薬品に関する詳細な情報は,医薬品医療機器総合機構のホームページ→「医療用医薬品」→「医療用医薬品 情報検索」(http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/)より検索できます.
新薬のプロフィル
  • 細川 貴史
    2017 年 53 巻 9 号 p. 900-905
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー
    ヒドロモルフォンは海外ではモルヒネの代替薬としてオキシコドンと共にガイドラインに記載され、中等度から高度の痛みやがん疼痛に用いられている。しかし、国内では未承認のため、本剤で疼痛を取り除くことができる可能性のある患者が、適切な鎮痛治療を得る機会を失っていた。このような状況を受け、日本緩和医療学会および日本緩和医療薬学会がヒドロモルフォン開発の要望書を提出し、厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」にて「医療上の必要性あり」と判断されたことを受け、当社および当社グループ会社が同剤を共同開発した。
家庭薬物語
  • 外郎 武
    2017 年 53 巻 9 号 p. 906-907
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー
    室町時代に大陸から渡来した元朝の役人陳延祐(ちんえんゆう)は医薬の術に長けていた。日本では元朝の役職の一部を使って外郎(ういろう)と名乗った。その姓名は650年の時を経て、お菓子として、また薬の愛称として今に続いている。延祐を初祖として二十五代、外郎家の長い歴史の中で様々な逸話が生まれた。日本史を交えながら薬のういろう「透頂香(とうちんこう)」の特徴やお菓子のういろうが薬種業から生まれた理由を紹介する。
薬学を糧に輝く!薬学出身者の仕事
  • 小林 朝夫
    2017 年 53 巻 9 号 p. 908-909
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー
    航空医学(aviation medicine)は,地上とは異なる航空環境(低温,低圧,低酸素,高速度,高加速度,閉鎖空間等)が人間に与える影響,および人間と機械との関係について理解する分野の学問であり,医学,生理学,心理学,人間工学,工学等の専門家が,研究や航空運輸行政,パイロットの教育訓練等で活躍している.航空医学における薬学の寄与はこれらの分野に比べて限られてはいるが,航空安全において重要な一翼を担っている.例えば服薬治療の操縦能力への影響,機内外の環境衛生,航空事故原因究明のための化学鑑定等は薬学の領域といってもよい.筆者が勤務する航空医学実験隊は,我が国で唯一の総合的な航空医学研究機関である.
    本稿では,研究職技官としての30年余の歩みを振り返りながら,薬学出身者にとっての航空医学の一端を紹介したい.
くすりの博物館をゆく
日本ベンチャーの底力 その技術と発想力
医療現場につながる基礎科学
創薬研究から製品化へのマネジメント・モデル
日本人が知らないJAPAN
  • Frank Laurens Arnold
    2017 年 53 巻 9 号 p. 915
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー
    今年の8月で,母国オランダから来日して13年になる.来日のきっかけは,当時の就職先の所長に見せてもらった小泉純一郎元首相と故・水島 裕先生が握手を交わしている(今振り返って考えるとおそらく選挙用の)ポスターであった.「顧客にこんなものもらったのだけど,どうしたら良いのだろう?」と笑顔の所長.「あ,僕,それ読めますよ」とキャッチフレーズを訳する私.「おまえ,日本語がわかるのか!じゃ,日本へ行ってこいよ!」と,所長.当初は1年の計画だったのが,現在に至るというわけだ.
トピックス
  • 池内 和忠
    2017 年 53 巻 9 号 p. 918
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー
    不活性C–H結合の官能基化は,21世紀以降一挙に花開いた分野である.適切な遷移金属触媒と共酸化剤を組み合わせることでC(sp2)–HおよびC(sp3)–H結合の官能基化が実現される.一方,共酸化剤の代わりに陽極酸化を利用するC–H結合官能基化反応は,原子効率が高く環境に優しい変換反応といえる.しかし,これまでの報告では,比較的活性化が容易なC(sp2)–Hやアリル位C–H結合の官能基化に留まっていた.今回,オキシムを配向基として陽極酸化とPd触媒を組み合わせたC(sp3)–H結合の酸素官能基化反応が達成されたので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Jiao K. -J. et al., Tetrahedron Lett., 58, 797–802(2017).
    2) Yang Q. -L. et al., J. Am. Chem. Soc., 139, 3293–3298(2017).
    3) Stowers K. J. et al., Chem. Sci., 3, 3192–3195(2012).
  • 大島 伸宏
    2017 年 53 巻 9 号 p. 919
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー
    分子内に白金(Pt)を有するシスプラチン(1)やカルボプラチン(2)は「白金製剤」と呼ばれる代表的な抗がん剤の1つである(図1).白金製剤は,DNAの構成塩基との架橋形成によってDNA合成を阻害し,細胞増殖を抑制することで乳がん,前立腺がん,卵巣がん,肺がんなど様々ながんに対して高い抗がん作用を示す.一方で,全身曝露に基づく腎障害,骨髄抑制,神経障害,嘔吐などの重篤な副作用の発現が問題であり,白金製剤のがん組織選択的なデリバリーが副作用の軽減や抗がん作用の増強を可能にすると考えられる.Calderonらは最近,乳がん細胞表面に過剰発現している黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)受容体に着目し,LHRH誘導体に白金錯体を結合させた乳がん細胞選択的な白金製剤の開発に成功したので,本稿で紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Calderon L. E. et al., Bioconjugate Chem., 28, 461–470(2017).
    2) Ling N. C. et al., J. Med. Chem., 19, 937–941(1976).
    3) Seitz S. et al., BMC Cancer, 14, 847(2014).
    4) Isakoff S. J. et al., J. Clin. Oncol., 33, 1902–1909(2015).
  • 甲斐 久博
    2017 年 53 巻 9 号 p. 920
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー
    キュウリ,メロン,スイカは,世界中で栽培され食されるウリ科の農作物である.これらには,トリテルペンであるウリ科特有のククルビタシン類が含まれている.ククルビタシン類は,いわゆる「ウリ臭い」臭気を兼ね備えた特徴ある苦味を有するため,農作物の商品価値を左右しかねない物質である.一昔前までキュウリの蔕は果実中心部に比べて苦味が強かったため,調理の際に廃棄していた方も多いだろう.実際に,キュウリの蔕は,苦味の正体であるククルビタシンC (1)を多く含んでいる.最近Zhouらが,キュウリ由来のククルビタシンC,メロン由来のククルビタシンB (2),スイカ由来のククルビタシンE (3)(図1)の各々の産生量を調節する遺伝子を同定したので,本稿にて紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Zhou Y. et al., Nat. Plants, 2, online 28 Nov. 2016, doi:10.1038/nplants.2016.183
    2) Shang Y. et al., Science, 346, 1084–1088(2014).
    3) Oh H. et al., Planta Med., 68, 832–833(2002).
  • 林 祐也
    2017 年 53 巻 9 号 p. 921
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー
    タンパク質,抗体などのバイオ医薬品は,がんや遺伝性疾患などの難治性疾患に対し,優れた薬効を示し,現在,世界における医薬品売上上位品目の大半を占めている.これらバイオ医薬品は,微量で高活性を示すものの,物理化学的不安定性,免疫原性などの問題点を有する.この問題点を改善するために汎用される技術の1つがポリエチレングリコール(PEG)化であり,PEG化製剤は,上記問題に対して著しい製剤特性の改善をみせる.しかし,タンパク質への直接的なPEG化は,薬理活性を低下させてしまうことが難点であり,PEG化製剤の多くは本来の活性が90%以上低下している.
    本稿では,このバイオ医薬品のPEG化における課題に,革新的な超分子技術を用いてアプローチしたWebberらの論文を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Webber M. J. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 113, 14189-14194(2016).
    2) Hirotsu T. et al., Mol. Pharm., 14, 368-376(2017).
  • 瀬木(西田) 恵里
    2017 年 53 巻 9 号 p. 922
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー
    成体脳における神経新生は,主に脳室下帯と海馬歯状回の2領域で起きる.この領域に存在する神経幹細胞には,増殖・分化の程度が異なる様々な細胞が混在する.大多数を占める静止型神経幹細胞は,その一部が増殖能を持つ活性化型の神経幹細胞に変化し,その後幼若な神経の性質を持った神経前駆細胞へ分化する.しかしながら,移り変わる細胞の分化状態をどのように捉えるかについて,既存の増殖・分化マーカーの発現や細胞形態による解析では,そのheterogeneity(不均一性)や分子動態を捉えることは困難であった.近年,単一細胞でのRNAシークエンス(RNA-seq)解析とそれに続くバイオインフォマティクス解析が確立し,これらを用いたin vivoでの成体神経幹細胞の新たな細胞集団の同定やその関係性が明らかになりつつある.
    本稿ではその中で,マウス脳室下帯由来の神経幹細胞の新たな分類と新規な分子マーカーの同定を行ったDulkenらの論文を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Dulken B. W. et al., Cell Reports, 18, 777–790(2017).
    2) Llorens-Bobadilla E. et al., Cell Stem Cell, 17, 329–340(2015).
    3) Shin J. et al., Cell Stem Cell, 17, 360–372(2015).
  • 溝口 博之
    2017 年 53 巻 9 号 p. 923
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー
    前頭前皮質は高次の学習記憶を司る脳部位であり,ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)を介したアセチルコリン神経の投射・支配を受けている.統合失調症などの精神疾患患者は,前頭前皮質の機能が低下(hypofrontality)しており,また,喫煙率が高い傾向がある.最近,ゲノムワイド関連解析により,nAChRのα5サブユニットを司るヒトCHRNA5遺伝子に一塩基多型(SNP)が存在することが分かり,この変異が喫煙や統合失調症のリスクを高める可能性が報告された.基礎研究においても,マウスのα5サブユニット遺伝子を欠損させると,前頭前皮質の形態学的変化や行動に異常が生じることが報告されているが,ヒト遺伝子多型が,細胞活性あるいは神経回路にどのような影響をもたらすのか,さらには統合失調症患者で観察されるような行動障害や,hypofrontalityを引き起こすかは不明である.
    本稿では,ヒトα5サブユニット変異体(α5SNP)を発現するマウスを用いて,α5SNPがもたらす皮質機能障害について検討したKoukouliらの研究を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Tobacco and Genetics Consortium., Nat. Genet., 42, 441–447(2010).
    2) Schizophrenia Working Group of the Psychiatric Genomics Consortium., Nature, 511, 421–427(2014).
    3) Proulx E. et al., Cell. Mol. Life Sci., 71, 1225-1244(2014).
    4) Koukouli F. et al., Nat. Med., 23, 347–354(2017).
  • 河野 貴子
    2017 年 53 巻 9 号 p. 924
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー
    血管内皮細胞は血流によって,常に機械的な力にさらされている.血流による機械的な力は,血管の炎症やアテローム性動脈硬化病変の形成に関与している.一方向性の血流によるせん断応力は抗炎症作用やアテローム形成抑制効果を示し,乱流はアテローム形成を促進する.Yes-associated protein(YAP)/transcriptional coactivator with PDZ-binding motif(TAZ)は転写活性化補助因子であり,組織サイズの制御やがん抑制作用を示すHippoシグナル伝達経路のエフェクター分子である.また,YAP/TAZはマトリクスの硬さや細胞の伸展など,機械的な力により活性が制御される.このため,YAP/TAZは,機械的な力を生化学的な応答へと変換するメカノトランスダクション制御分子として注目されている.しかし,血行動態によるアテローム性動脈硬化病変の形成におけるYAP/TAZの役割は不明であった.
    本稿では,血流によるせん断応力が,血管内皮細胞のYAP/TAZを介して,アテローム形成を制御するメカニズムを明らかにしたWangらの研究を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Dupont S. et al., Nature, 474, 179-183(2011).
    2) Wang L. et al., Nature, 540, 579-582(2016).
    3) Tzima E. et al., EMBO J., 20, 4639-4647(2001).
    4) Gong H. et al., Science, 327, 340-343(2010).
  • 永野 大輔
    2017 年 53 巻 9 号 p. 925
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー
    抗体医薬品は,今日のがん化学療法においてキードラッグの1つとなっている.抗CD20抗体のリツキシマブの承認以降,全世界で50種類以上の抗体医薬品が承認されており,多くの抗体医薬品が開発されている.
    抗体医薬品の作用機序には,抗体依存性細胞傷害(ADCC)と補体依存性細胞傷害(CDC)がある.ADCCは抗体が標的細胞や病原体に結合することにより,natural killer(NK)細胞やマクロファージが抗体のFc部位を認識して標的細胞を傷害する作用である.CDCは,補体が活性化して標的細胞を傷害する作用である.N-結合型糖鎖は多くの抗体医薬品が有している糖鎖修飾体であり,ADCCやCDCに影響を与える.さらにFab部位に結合しているN-結合型糖鎖は,抗悪性腫瘍薬のセツキシマブにおいて,アナフィラキシーを引き起こす原因の1つとして報告されている.
    抗体医薬品の薬理作用と副作用防止の観点より,N-結合型糖鎖修飾体の血中濃度モニタリングは重要と考えらえる.今回,リツキシマブの血中濃度モニタリング対象として,糖鎖修飾体の経時的変化を調査した報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Chung C. H. et al., N. Engl. J. Med., 358, 1109-1117(2008).
    2) Otani Y. et al., PLoS One, 12, e0169588 (2017).
    3) Shields R.H. et al., J. Biol. Chem., 277, 26733-26740(2002).
追悼
Information
Congratulations
  • 岡 昌吾
    2017 年 53 巻 9 号 p. 942
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/01
    ジャーナル フリー
    このたび,東京都健康長寿医療センター研究所副所長の遠藤玉夫先生が本年6月12日に日本学士院賞を受賞されました.誠に喜ばしく,心よりお祝い申し上げます.受賞タイトルは「福山型筋ジストロフィーを含めた糖鎖合成異常症の系統的な解明と新しい糖鎖の発見」で,神戸大学大学院医学研究科教授の戸田達史先生との共同受賞となりました.日本に多い福山型筋ジストロフィー症の原因遺伝子と発症に関わる新しい糖鎖の発見から,福山型およびその類縁疾患が系統的な糖鎖合成異常症であることを解明し,根本的な治療法開発への道を拓いたことが高く評価されました.
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