ファルマシア
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54 巻 , 1 号
選択された号の論文の47件中1~47を表示しています
目次
  • 2018 年 54 巻 1 号 p. 2-3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル フリー
    特集:ナノメディシン
    特集にあたって:科学技術の発展に伴い,我々は,ナノメートルサイズの原子・分子集合体を構築し,その動きや性質を制御できるようになった.また,観察・検出技術の飛躍的向上により,従来,見えなかったものの存在や機能を明らかにしてきた.医療においてもそれらの恩恵は大きく,治療や診断に数々の新しいアイディアを創出している.本特集号では,「ナノ」をキーワードとして,様々な観点から設計されている治療システムや製剤の創製,そして,高感度診断技術の開発で活躍されている先生方にそれらの最前線を解説していただいた.また,それらにかかわる人材育成の実施例や規制の国際的な動向についても紹介していただいた.
    表紙の説明:表面に適当な性質や機能を持たせたナノレベルサイズのキャリアを用い,血流を介して薬物を受動的または能動的に,あるいは,それら両方で体内の特定部位に集積させ,治療効果を増大させようとする試みが盛んである.表紙は,弓場英司先生,原田敦史先生が本特集号で紹介されている表面機能化リポソームが血管を流れていく様子である.さて,この薬物キャリアの運命は如何に?
オピニオン
  • 松村 保広
    2018 年 54 巻 1 号 p. 1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル フリー
    EPR効果による高分子の腫瘍集積性と、高分子故の腫瘍内間質バリアによる浸透性低下というジレンマを解消すべく、がん細胞表面特異的抗体ではなく、がん間質に存在する不溶性フィブリンのみを認識する抗体に抗がん剤を付加するAntibody Drug Conjugate (ADC)を作成することに成功した。このADCは腫瘍血管から漏出し、血管周囲の間質に選択的に集積し、そこで足場を作り、非酵素的に徐放的に低分子抗がん剤をリリースすることで間質バリアを簡単に通り抜けがん細胞に到達し、また腫瘍血管内皮細胞にも到達し、両方にダメージを与えることが判明した。このがん間質ターゲティング治療をCancer Stromal Targeting (CAST) therapyと命名した。
Editor's Eye
最前線
最前線
最前線
セミナー
最前線
  • 金山 直樹
    2018 年 54 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル フリー
    近年、疾病発症の指標となる様々なバイオマーカーが見出され、これらの情報をもとに臨床症状が発症するよりも早期に疾病を予測し、適切なタイミングと手法で治療介入して重篤化を回避することが期待されている。各種バイオマーカーによる診断を、広く医療の現場で普及させるためには、その診断法が特別な装置類を必要としないシンプルなものであることが望ましい。この課題を解決する手段の一つとして、金ナノ粒子を使って簡便に「見て・診る」システムの開発が進められている。
最前線
  • 権田 幸祐, 中野 寧
    2018 年 54 巻 1 号 p. 36-40
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル フリー
    がん手術後の回復の見込み(予後)や抗がん剤の効果(薬効)の評価は,生検や手術で摘出した組織に存在するがん細胞の形態や性状を病理診断することで行われる.がんの性状診断では,がんの発症や進展に関わるマーカータンパク質の発現量を免疫組織化学法で調べる.しかし酵素反応に依存した免疫組織化学法は,定量性や感度に課題があり,予後や薬効を診断する上で十分とは言えなかった.我々はこの課題を解決すべく,蛍光ナノ粒子を検出プローブに用いた新たな方法を開発し,既存法よりも格段に高精度な診断技術開発に成功した.本稿では1粒子蛍光イメージングによるがん組織診断法を紹介する
セミナー
  • 丹羽 敏幸
    2018 年 54 巻 1 号 p. 41-45
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル フリー
    アーキテクチャ(建築学), 薬学領域では耳慣れない用語であろう.ナノテクと称される超微細加工技術が脚光を浴び,製薬領域でもナノクリスタル(ナノメーターサイズ結晶)に注目が集まって久しい.著者はこれまで,粉砕工程を起点とする医薬品粒子の設計に従事してきた.医薬品結晶を極限まで微細(サブミクロン)化し, それをレゴ・ブロックがごとく,再度マイクロメーターサイズの粒子へと組み立てる.医薬品特有の微粒子設計(マイクロ建築)である.本稿では,我々が開発した微粒子設計技法を紹介するとともに,構造体に組み込まれた医薬品としての機能について解説する.
セミナー
話題
FYI(用語解説)
  • 弓場 英司, 原田 敦史
    2018 年 54 巻 1 号 p. 54_1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル フリー
    飽和脂肪酸鎖からなるリン脂質二分子膜は,低温では脂肪酸鎖がオールトランスで密にパッキングした結晶構造(ゲル相)となっており流動性はないが,ある温度以上において分子運動が可能となり,流動的な液晶相へと転移する.この脂質二分子膜がゲル相から液晶相へ転移する温度はゲル−液晶相転移温度と呼ばれ,脂肪酸鎖の長さ,不飽和結合の有無,極性基間の相互作用によって脂質ごとに異なる値を示す.脂質膜の物質透過性はゲル相では物質拡散が抑制されるため極めて低いが,液晶相では脂質分子の運動により透過性が上昇する.このような特性を利用して,温度によって薬物放出挙動が変化する温度感受性リポソームが開発されている.
  • 弓場 英司, 原田 敦史
    2018 年 54 巻 1 号 p. 54_2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル フリー
    溶液が特定の温度以上において2相に分離する時,この温度を下限臨界溶液温度(lower critical solution temperature:LCST)という.ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)に代表される温度感受性高分子の水溶液は,LCST以上において高分子が不溶化して相分離する.低温では高分子側鎖が疎水性水和されたコイル状のコンホメーションをとるが,LCST以上では疎水性基周りのエントロピー的に不利な水和水が放出され,高分子鎖がグロビュールへと転移する.一方,低温で不溶,高温で溶解する上限臨界溶液温度(upper critical solution temperature:UCST)を示す機能性高分子も知られている.このような温度変化による高分子の親-疎水性変化を利用して,温度によって薬物放出を制御するインテリジェントDDSが開発されている.
  • 権田 幸祐
    2018 年 54 巻 1 号 p. 54_3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル フリー
    量子ドットは半導体の結晶をコアとしており,発する蛍光波長は半導体材料や粒径(結晶数)によって決定される.よく利用される材料はCdSeであるが,同じ材料でも粒径を1〜10nmと変えることでバンドギャップが変化し,青から赤に蛍光波長が変化する.市販製品は蛍光特性の改善のためにZnSシェルでコートされ,さらに他分子との結合用にアミノ基やカルボキシル基がPEGなどのポリマーコーティングを介して表面に提示されており,粒径が10〜20nm程度となっている.1粒子の量子ドットは,1分子の有機系蛍光分子と比べ,数十倍以上の蛍光強度,数百倍以上の耐光性,励起波長の多様性などの光学特色を持つ.
  • 中瀬 生彦
    2018 年 54 巻 1 号 p. 54_4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル フリー
    マクロピノサイトーシスは,エンドサイトーシス(細胞外物質が細胞内へ取り込まれる機構)の一種である.マクロピノサイトーシスの特徴として,低分子量Gタンパク質Racの活性化を含むシグナル伝達によって,アクチン骨格が重合し,形質膜の波打ち構造(ラメリポディア)が生じる.その形質膜の波打ち構造を利用して,細胞は通常1 µmを超える大きさで細胞外液を取り囲み,最終的に液胞を形成し,細胞内へ取り込む.特定のがん細胞において,細胞外の栄養分を効果的に細胞内に取り込むために,マクロピノサイトーシス機構が促進される場合が知られている.
家庭薬物語
薬学を糧に輝く!薬学出身者の仕事
くすりの博物館をゆく
  • 池田 幸弘
    2018 年 54 巻 1 号 p. 62-63
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル フリー
    長崎は坂の町である。しかし、市の中心部にいるとあまり気付かず、むしろ川と橋の町ではないかと思ってしまったが、天主堂や亀山社中など各所を巡ると実感した。
    みなさんご存知のとおり、江戸時代、長崎は世界に開かれた唯一の窓のような存在であった。シーボルトが1824年(文政7年)、この地に鳴滝塾を開いて高野長英らに西洋医学を教えたことなど、長崎は西洋医学の中心地として発展してきた。それゆえ、薬に関する資料が多く遺されているのは自然なことなのかもしれない。
    長崎駅から路面電車に乗り換えて長崎大学薬学部を目指す。頻繁に往来する路面電車の多様な車両と塗装に見とれているうちに程なく大学前駅に到着した。薬学部講義棟1F事務室で見学の旨を伝える。薬の歴史資料館は講義棟2階のリフレッシュルームに設置されている。無線LANなどインターネット環境も整備されており、日々学生さんが勉学に励んでおられるようである。小職が訪ねたときも、数名が歴史的資料に囲まれて勉強されていた。邪魔をしないよう静かに見学させていただく。
日本ベンチャーの底力 その技術と発想力
日本人が知らないJAPAN
トピックス
  • 増井 悠
    2018 年 54 巻 1 号 p. 68
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル フリー
    フロー反応は,管内に試薬を流通させながら化学反応を行う手法であり,フラスコなどを用いるバッチ反応と比較して安全性,生産性に優れている.また,従来のフラスコ内でのかく拌とは異なり,微小空間において試薬を衝突させて混合を行うため,反応効率が向上することが知られている.一方で,反応の収率や選択性は反応器の形状(反応管の長さ,径,屈折など)に大きく依存するため,反応器の最適化が必要になり,簡便かつ目的に応じて反応器を微調整する工夫が必要である.3Dプリンターは,用途に合わせて迅速かつ自由自在に立体を造形でき,複雑な流路で構成されるフロー反応器の最適化において極めて効果的である.今回PuglisiとBenagliaらは,3Dプリンターで自作したフロー反応器を用い,医薬品原料として多用される光学活性1,2-アミノアルコール1の不斉合成に成功したので,本稿にて紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Movsisyan M. et al., Chem. Soc. Rev., 45, 4892-4928(2016).
    2) Rossi S. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 56, 4290-4294(2017).
  • 一刀 かおり
    2018 年 54 巻 1 号 p. 69
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル フリー
    特定の生体内タンパク質への化学修飾(ラベル化)は,タンパク質機能解析を行う手法の1つであり,標的タンパク質の同定やプロテオーム解析に汎用される.効果的なラベル化を行うためには,標的タンパク質が有する「反応性基」と結合する「分子(プローブ)」の選択が重要である.本稿では,最近Martinらにより報告された最新のカルボン酸ラベル化法を紹介したい.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Martin-Gago P. et al., Cell. Chem. Biol., 24, 589-597(2017).
    2) Woodward R. B. et al., J. Am. Chem. Soc., 83, 1007-1009(1961).
  • 渥美 聡孝
    2018 年 54 巻 1 号 p. 70
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル フリー
    近年,九州では大型肉食恐竜の歯の化石が発見され,恐竜研究の地として注目を集めている.古代生物の化石は生物史や系統学,分類学など古生物学的に重要な意義を持つものである.化石の中には竜骨という名で生薬として用いられるものもあるが,恐竜に由来するものではない.第17改正日本薬局方では,竜骨は「大型ほ乳動物の化石化した骨で主として炭酸カルシウムからなる」と規定されており,漢方薬原料として用いられている.しかし近年は中国政府が竜骨の採掘を制限するなど,資源枯渇に対する危機感が露わになっている.したがって,持続的利用のために竜骨代替品などの検討が行われているが,原動物が不明瞭なため対策が困難な状態にある.竜骨は東大寺正倉院にも収蔵されており,奈良時代の生薬が今も残っている.この竜骨は過去の調査でシカ科動物の化石であるとされているが,現在の市販品について分類学的に原動物の調査をした報告はない.今回,日本と中国の市場品竜骨について検討した報告がなされたので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Oguri K. et al., J. Nat. Med., 71, 463-471(2017).
    2) Oguri K. et al., J. Nat. Med., 70, 483-491(2016).
  • 安永 峻也
    2018 年 54 巻 1 号 p. 71
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル フリー
    WHOの調査によると,世界市場に出回っている医薬品のうち10% が偽造医薬品と言われており,現在もアフリカやラテンアメリカを中心に市場が拡大していることから早急な対策が望まれている.日本においてもC型肝炎治療薬「ハーボニー®」の偽造は記憶に新しく,抗生物質の低水準品は耐性菌の発生を誘発することもあり,偽造医薬品の問題は決して対岸の火事といえるものではない.
    紙幣の偽造防止にホログラムが使用されるように,医薬品では(1)高度のセキュリティ(2)高速認証(3)多様な製品への汎用性(4)製品からのタグの除去,再利用の不可,などを満たす技術が求められている.これらに加えて,近年インターネットや物流の発達により,製造や供給,消費の全ての段階において,偽造品が入り込む余地があることから,低いコストで導入可能かつ各段階で頻繁にチェック可能な技術が望まれている.上述の背景から,分析時間が比較的短く,片手で持ち運びできる携帯型ラマン分光装置が注目されている.本稿では,実際に押収された偽造品(錠剤やハードカプセル,粉薬を含む固形製剤)に対してラマンスペクトルを取得し,識別を試みた報告について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Arppe R., Sorensen T. J., Nat. Rev. Chem., 1, 0031(2017).
    2) Degardin K. et al., J. Spectrosc., online 5 March. 2017, doi: doi.org/10.1155/2017/3154035.
    3) Fukuoka T. et al., ICEP-IAAC Proceedings, 432-435(2015).
    4) Alhnan M. A. et al., Pharm. Res, 33, 1817-1832(2016).
    5) Andrea A. et al., Science, 352(6281), 61-67(2016).
  • 芦野 滋
    2018 年 54 巻 1 号 p. 72
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル フリー
    気管支喘息は,様々な免疫反応によって引き起こされ,慢性的な気道炎症と呼吸機能低下を呈する疾患である.その病態は,Th2サイトカイン依存的で好酸球浸潤を伴った気道炎症,あるいはTh1/Th17サイトカイン依存的で好中球浸潤を伴った気道炎症に大別される.どちらの気道炎症も気道過敏性を亢進させて呼吸機能を低下させるが,一般の気管支喘息患者の病態は,Th2サイトカイン依存的な気道炎症がほとんどで,低用量吸入ステロイド薬により良好にコントロールされている.しかし,ステロイド抵抗性の患者が全体の5〜10%程度で認められ,その中にはTh2だけでなくTh1/Th17サイトカイン依存的な気道炎症を伴って,気道過敏性がより亢進する重篤な症例が報告されている.現在,このTh1/Th17サイトカインが関わる重症喘息に対して有効な治療法は確立されておらず,様々な基礎研究や臨床研究が行われている.本稿では,Orissらによって報告されたTh1/Th17型喘息における新たな病態解明に関わる新規知見を紹介したい.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Ray A., Kolls J. K., Trends Immunol., in press.
    2) Oriss T. B. et al., JCI Insight., 2, jci.insight. 91019(2017).
    3) Krausgruber T. et al., Nat. Immunol., 12, 231-238(2011).
    4) Green B. J. et al., PLoS ONE, 9, journal. pone. 0100645(2014).
    5) Ryjenkov D. A. et al., J. Bacteriol., 187, 1792-1798(2005).
  • 天野 大樹
    2018 年 54 巻 1 号 p. 73
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル フリー
    延髄吻側腹外側部(RVM)には痛み刺激に対して異なる応答を示す多様な神経細胞が存在し,それぞれが疼痛閾値の調節に寄与すると考えられている.しかし,その詳細な機構は不明であった.本稿では,RVM-脊髄経路でGABAとエンケファリンを介した疼痛閾値および神経伝達の調節機構を示したFrançoisらの報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) François A. et al., Neuron, 93, 822-839(2017).
    2) Heinke B. et al., J. Neurosci., 31, 1313-1322(2011).
  • 福井 貴史
    2018 年 54 巻 1 号 p. 74
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル フリー
    レプトスピラ症は世界中で見られる人獣共通感染症である.その病原体であるレプトスピラは細長いらせん状の運動性細菌で,げっ歯類をはじめとする野生動物やブタなどの家畜といった様々な動物を保菌動物とし,その腎臓に保菌され,尿中に排菌される.ヒトは,保菌動物の尿,もしくは尿で汚染された水や土壌との接触で創傷や粘膜から感染し,重篤化すれば黄疸,腎不全,肺出血などの症状を示す.流行は全世界的に起こっており,特に熱帯・亜熱帯において台風に伴う洪水や雨季に関連した大流行がみられるため,早急な対策が求められる.しかし,マラリアやAIDSなどに比べ重要性や緊急性があまり認識されずneglected diseaseの1つとされている.これには,多様な血清型のため効果的なユニバーサルワクチンが開発されていない,培養や確定診断が煩雑である,効率の良い遺伝子改変技術が確立されておらず,病原因子や感染病態は解析の途上であるといった原因にも拠る.このような背景から,特に感染成立にいたる過程においては依然不明な点が多い.本稿では,Ozuruらによってヒト感染のモデル動物であるシリアンハムスターを用いたin vivo imaging system(IVIS)による解析から,感染初期におけるレプトスピラの動態が明らかとなったので,その研究成果を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Picardeau M., PLoS Negl. Trop. Dis., 9, e0004039(2015).
    2) Ozuru R. et al., PLoS One, 12, e0172973.(2017).
    3) Johnson R. C., Gary N.D., J. Bacteriol., 85, 976-982(1963).
    4) Lambert A. et al., Appl. Environ. Microbiol., 78, 8467-8469(2012).
  • 安田 昭仁
    2018 年 54 巻 1 号 p. 75
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/01/01
    ジャーナル フリー
    医薬品には錠剤やカプセル剤,注射剤といった様々な剤形が存在する.その中でも錠剤は,取り扱い性,服用性,携帯性に優れ,最も市場に出ている剤形である.しかし,一般に錠剤は嚥下能力の劣る小児や高齢者には服用が困難とされる.錠剤は7〜8 mmが飲みやすいといわれているが,7 mmの錠剤でも半数以上の小児(米国の6〜11歳,患児を含む)は服用できないというデータもある.また,錠剤を服用できない,あるいは服用できるか分からない場合,医療現場ではしばしば錠剤を粉砕して投与される.しかし,錠剤粉砕後の有効性の同等性や安定性は保証されていない.
    近年では,小児用製剤に関する取組が活発化し,「嚥下困難な患者にも飲みやすい製剤」や「年齢による用量調節のしやすい製剤」が強く求められるようになった.そうした背景の中,嚥下困難な患者でも飲みやすい剤形として,直径1〜4 mm程度の小さな錠剤であるミニタブレットが注目されている.近年では,幼児を含む小児にとってはグルコースシロップと比較してもミニタブレットの方が受け入れられやすいという報告もある.
    一方,ミニタブレットには製造上の課題が存在する.1錠当たりの質量が小さいため,従来の錠剤よりも製剤工程の影響を受けやすい.例えば,質量が2 mg変動した場合,200 mgの錠剤では全質量の1%程度の影響になるが,15 mgのミニタブレットにおいては10%以上に相当する.そのため,ミニタブレットでは質量の変動が製剤中の有効成分の含量に与える影響が通常の錠剤よりも大きい.また,ミニタブレットは打錠機の臼への顆粒充填量も少ないため,顆粒中における有効成分の偏析(偏りが生じ,不均一な状態)は含量均一性に大きく影響する.
    そのような背景のもと,本稿ではミニタブレット製造の実現可能性について,詳細に検討を行った研究を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Meltzer E. O. et al., Clin. Pediatr., 45, 725-723(2006).
    2) Kilingmann V. et al., J. Pediatrics, 163, 1728-1732(2013).
    3) Mitra B. et al., Int. J. Pharm., 525, 149-159(2017).
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