ファルマシア
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60 巻, 2 号
選択された号の論文の41件中1~41を表示しています
目次
  • 2024 年 60 巻 2 号 p. 88-89
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル フリー
    ミニ特集:デジタル技術を活用した創薬・製造の現状
    ミニ特集にあたって:現在,様々な現場でデジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉を聞く機会が増えている.創薬研究では大量のデータ処理,計算科学を駆使したシミュレーションとwet実験との融合などをイメージされるであろう.医療現場に幅広いモダリティの医薬品がもたらされている現状において,創薬・製造でも従来の知識継承と新たな技術獲得が求められており,それを効率的に支えるのがDXである.そこで本ミニ特集では,創薬・医薬品製造でご活躍の先生方より,デジタル技術の活用について最新の知見を解説していただいた.
    表紙の説明:60巻偶数号表紙では,「北陸・信越地区のくすりの博物館・展示コーナー」を紹介する.今月号では,金沢の町民文化が今に生きる「金沢市老舗記念館」をとりあげる.藩政時代から薬種商であった「中屋薬舗」の面影を復元するとともに,金沢の売薬製造・販売用具など,加賀藩政期を通じて,金沢を代表する薬種商・中屋薬舗で用いられた道具類の展示など,金沢の薬の伝統的な製造販売の歴史を知ることができる資料館である.
オピニオン
  • 奥野 恭史
    2024 年 60 巻 2 号 p. 87
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル 認証あり
    AIの目覚ましい進展は、創薬分野への貢献においても大いに期待が高まっている。従来のAIには限界があったが、最近の大規模言語モデルは一定の閾値を超えると未解決問題を解決する創発的能力を示し、科学の偶発的発見(セレンディピティ)を必然に変える可能性を示している。このようなAIの創発性は現在の研究手法を変え、科学に変革をもたらす可能性がある。AIの進化によって、創薬プロセスそのものを変え、多くの疾患を克服し、患者を救える未来が期待される。
Editor's Eye
ミニ特集 最前線
  • 福澤 薫
    2024 年 60 巻 2 号 p. 95-100
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル 認証あり
    電子付録
    日本発の理論手法であるフラグメント分子軌道(FMO)法は、タンパク質や核酸などの生体高分子を丸ごと量子化学計算することが可能であり、さらに残基単位の相互作用エネルギーを取り出せることから、定量的なエネルギー解析ツールとして創薬分子設計に活用できる。量子化学計算であるためパラメータのチューニングが必要なく、様々な分子種に適用可能である。本稿では、多様化する創薬モダリティとデータサイエンスを交えて、FMO法を用いた創薬研究の最近の進展を紹介したい。
ミニ特集 最前線
ミニ特集 最前線
  • 竹内 孝輔, 国本 亮
    2024 年 60 巻 2 号 p. 106-110
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル 認証あり
    医薬品研究開発には多額の費用と10年以上の期間を要する。創薬研究の成功確率向上および効率化を図るため、データおよびAI利活用の取り組みが注目されている。第一三共創薬化学研究所では、データサイエンス専門チームを作り創薬化学にデータサイエンスを融合させるとともに、2つの研究領域のシナジーを生むための循環型の人材育成策を実施した。本施策によって20%の研究業務効率化を達成し、さらに生産性向上に向けた前向きな変化を確認することができた。
ミニ特集 最前線
ミニ特集 最前線
ミニ特集 最前線
セミナー
  • 井之上 浩一
    2024 年 60 巻 2 号 p. 127-132
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル 認証あり
    電子付録
    「食の安全・安心」は国民が関心を寄せる課題のひとつであり、我々も常に意識し、様々な取り組みに関心を委ねなければならない。「食の安全・安心」はリスク分析の概念に基づき、リスク評価、リスク管理、リスクコミュニケーションの3つの柱から成り立ってきた。フードミクスとはリスク分析の一端であるが、従来のリスク管理とは切り口が異なるアプローチと考える。本稿はその基本的事項からLC-MSの応用例について概説する。
話題
  • 湧井 宣行
    2024 年 60 巻 2 号 p. 133-137
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル 認証あり
    この度我々が直面したCOVID-19パンデミックは、公衆衛生に対する薬剤師の役割の重要性を再認識させる大きな契機となった。エビデンスに基づいた予防・治療法の情報提供や正確な医薬品の供給を通じて、薬剤師は地域住民の健康を支え、守る役割を果たした。COVID-19パンデミック禍の中での活動を基に薬剤師について改めて考えてみると、日本の薬剤師法第1条が示すように、薬剤師は公衆衛生の維持・向上において不可欠な存在であることが明らかである。
    本稿では、品川区薬剤師会がCOVID-19パンデミックに関わった事例や地域薬局の薬剤師が果たした公衆衛生への貢献について、学術論文にまとめた結果を含めて述べる。
承認薬の一覧
  • 新薬紹介委員会
    2024 年 60 巻 2 号 p. 138
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル 認証あり
    本稿では厚生労働省が新たに承認した新有効成分含有など新規性の高い医薬品について,資料として掲載します.表1は,当該医薬品について販売名,申請会社名,薬効分類を一覧としました.
    本稿は,厚生労働省医薬局医薬品審査管理課より各都道府県薬務主管課あてに通知される“新医薬品として承認された医薬品について”等を基に作成しています.今回は,令和5年11月28日,11月30日付分の情報より引用掲載しています.また,次号以降の「承認薬インフォメーション」欄で一般名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果などを表示するとともに,「新薬のプロフィル」欄において詳しく解説しますので,そちらも併せて参照して下さい.
    なお,当該医薬品に関する詳細な情報は,医薬品医療機器総合機構のホームページ→「医療用医薬品」→「医療用医薬品 情報検索」(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/)より検索できます.
承認薬インフォメーション
  • 新薬紹介委員会
    2024 年 60 巻 2 号 p. 139-141
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル 認証あり
    本稿では既に「承認薬の一覧」に掲載された新有効成分含有医薬品など新規性の高い医薬品について,各販売会社から提供していただいた情報を一般名,市販製剤名,販売会社名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果を一覧として掲載しています.
    今回は,59巻12号「承認薬の一覧」に掲載した当該医薬品について,表解しています.
    なお,「新薬のプロフィル」欄においても詳解しますので,そちらも併せてご参照下さい.
最終講義
留学体験記 世界の薬学現場から
長井記念薬学奨励支援事業採用者からのメッセージ
長井記念薬学奨励支援事業採用者からのメッセージ
  • 大橋 栄作
    2024 年 60 巻 2 号 p. 147_2
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル 認証あり
    大学院生時代、世界で最も合成が困難とされるパラウアミンの合成研究に従事した。挑戦的な研究で目立った成果がないにもかかわらず採択されたことは励みになった。ご支援のおかげで2年間ネガティブデータに苦しむも研究に没頭することができ、画期的な合成手法を開発した。この経験は次のキャリアにも活きており、日本学術振興会特別研究員への採用を頂いたり、塩野義製薬入社後は研究員として一定の成果を得た。今後も有機合成を通じて社会貢献を目指す。
トピックス
  • 的場 博亮
    2024 年 60 巻 2 号 p. 148
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル 認証あり
    sp3炭素の医薬品候補化合物への導入は,水溶性や薬物動態の改善が期待できる.キュバン骨格はベンゼン環との幾何学的類似性が高く,オルト,メタ,パラ,全ての二置換ベンゼン環構造を模倣可能である.また,骨格の高い歪みにより,そのC-H結合は代謝安定性に優れている.以上より,キュバン骨格はベンゼン環の理想的な生物学的等価体である.しかし,創薬科学におけるキュバン骨格の利用は,一置換ベンゼンまたはパラ二置換ベンゼンに対応するものに限られている.これは,二置換キュバンの合成が未だ困難な課題であることに起因する.Wiesenfeldtらは,種々の二置換キュバンに対する新規合成法を報告したので本稿にて紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Subbaiah M. A. M., Meanwell N. A., J. Med. Chem., 64, 14046-14128(2021).
    2) Wiesenfeldt M. P. et al., Nature, 618, 513-518(2023).
    3) Casser L. et al., J. Am. Chem. Soc., 92, 6366(1970).
    4) Le C. et al., Science, 360, 1010-1014(2018).
  • 小菅 周斗
    2024 年 60 巻 2 号 p. 149
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル 認証あり
    低分子創薬研究において,膨大な化合物ライブラリーからヒット化合物を迅速に見いだすことは重要である.近年,DNAタグを用いるDNAエンコードライブラリー(DNA–encoded library: DEL)が一般的な手法になりつつある.DELを用いたスクリーニングは,DNAタグを付した化合物ライブラリーの混合物と標的タンパク質との結合試験,DNA増幅,シーケンシングによって標的タンパク質と結合したヒット化合物を簡便に同定できる.一方,DNAの化学的不安定性のためライブラリー合成に使用できる反応条件に大きく制限を受けることや,DNA結合タンパク質への適応が困難であることなどの課題が挙げられる.Rösslerらは,これらの課題を克服しうる次世代のライブラリー技術として,ペプチドエンコードライブラリー(peptide–encoded library: PEL)を開発したので,紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Kleiner R. E. et al., Chem. Soc. Rev., 40, 5707–5717(2011).
    2) Rössler S. L. et al., Science, 379, 939–946(2023).
    3) Wysocki V. H. et al., J. Mass Spectrom., 35, 1399–1406(2000).
  • 尾﨑 太郎
    2024 年 60 巻 2 号 p. 150
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル 認証あり
    リモノイドは主にミカン科とセンダン科の植物に含まれ,トリテルペンの一種に分類される.ミカン科植物の苦味の原因となる一方,殺虫活性等の有用な生物活性を示すものが多い重要な化合物群でもある.リモノイドは炭素数30の通常のトリテルペンとは異なり,C4ユニットの脱落とともにフラン環が形成されている点,前駆体メリアノール(1)に存在する30位のメチル基が生合成の過程でシフトしている点に構造上の特徴がある.しかし,長年の研究にもかかわらず,これらの特徴的な構造の構築方法は明らかとなっていない.本稿では,リモノイド生合成遺伝子を同定し,生合成経路を明らかにしたDe La Peñaらの研究を紹介したい.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) De La Peña R. et al., Science, 379, 361–368(2023).
    2) Hodgson H. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 116, 17096–17104(2019).
    3) Reed J. et al., Science, 379, 1252–1264(2023).
  • 島本 茂
    2024 年 60 巻 2 号 p. 151
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル 認証あり
    近年,タンパク質の持つ特定の物質と特異的に結合する性質を応用した分子標的医薬が急速に発展してきた.分子標的医薬に応用されているものは,抗体を用いたものが主力だが,近年は抗体以外にも様々なタンパク質が利用されている.そのなかの1つがSkerraらが開発してきたリポカリンタンパク質の骨格を利用した人工結合タンパク質Anticalinである.
    リポカリンは,20 kDa程度の大きさのタンパク質であり,多くは特定の分子の輸送に関わる.リポカリンの面白いところは,アミノ酸配列の相同性が低いにもかかわらず,どれも非常に似通ったリポカリンフォールドと呼ばれるβバレル構造をとることである.しかも,相同性が高い領域(SCR)は3か所に集中しており,立体構造の安定化に寄与するが,リガンド結合に関係する部位は全く違う場所にあるので改変しやすいのが良い.Skerraらは,1990年代頃からリポカリンの構造的性質に着目し,ファージディスプレイ法と組み合わせながら,人工結合タンパク質“Anticalin”の鋳型となるリポカリンの選定と結合標的の改変に効率的なアミノ酸の選定などを試行錯誤し,最適化してきた.本稿では,Morathらが開発した前立腺特異的膜抗原(Prostate Specific Membrane Antigen: PSMA)結合Anticalinを応用したがん組織のイメージングについて紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Schlehuber S., Skerra A., Drug Discov. Today, 10, 23-33(2005).
    2) Morath V. et al., Mol. Pharm., 20, 2490-2501(2023).
  • 德留 健太郎
    2024 年 60 巻 2 号 p. 152
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル 認証あり
    ケモカインは白血球の遊走・活性化作用を有する塩基性タンパク質の総称であり,それぞれ同定された19種類のケモカイン受容体を介して,ウイルス感染や免疫応答,造血など様々な生理機能に寄与している.その中で,C-C motif chemokine receptor(CCR)5は主にマクロファージやT細胞などの免疫細胞および神経細胞に発現しており,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染時にコレセプターとして利用されることが知られている.加えて最近,HIV感染による脳炎を併発したエイズ患者の死後脳において,神経細胞でのオートファジーの増加が確認された.したがって,CCR5は神経細胞内の異物除去に関わっていることが示唆された.一方で,神経細胞はミクログリアとサイトカインや栄養因子等を介し,神経細胞の突起伸長やミクログリアの貪食能等を双方向的に調節するが,神経-ミクログリア相互作用が神経細胞内のオートファジー機構にどのように寄与しているかはこれまで不明であった.そこで本稿では,ミクログリアから遊離されるケモカインによるCCR5を介した神経細胞内におけるオートファジー調節機構について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Oppermann M., Cell Signal., 16, 1201-1210(2004).
    2) Berger E. A. et al., Annu. Rev. Immunol., 17, 657–700(1999).
    3) Zhou D. et al., J. Infect. Dis., 203, 1647-1657(2011).
    4) Festa B. P. et al., Neuron, 111, 1-17(2023).
  • 新谷 勇介
    2024 年 60 巻 2 号 p. 153
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル 認証あり
    ヒスタミンは炎症・アレルギー症状など,様々な生理的・病理的プロセスで重要な役割を果たす.また,抗ヒスタミン薬の副作用の薬理学研究から,ヒスタミンは脳において覚醒や概日リズム,記憶を制御する重要な生理活性物質であることが明らかにされている.このように,ヒスタミンは様々な生理機能の多様な段階に関わることが明らかにされているため,ヒスタミンの放出を高い時間分解能で,複数の領域にわたって検出する技術の開発は,ヒスタミンの生理的および病理的意義の理解に貢献する.本稿では,上海大学のLi研究室のDongらによる論文を紹介する.彼らは,これまでにセロトニンやドーパミン,ノルアドレナリンなどの受容体型蛍光バイオセンサーをG-protein coupled receptor activation based strategy(GRAB法)により開発している.本論文において,著者らは細胞膜に豊富に発現するヒトのヒスタミンH4受容体(H4R)を改変し,高感度にヒスタミン放出の検出を可能にするセンサーGRABHA1hを開発した.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Dong H. et al., Neuron, 111, 1564-1576.e6(2023).
    2) Wu Z. et al., Nat. Rev. Neurosci., 23, 257-274(2022).
    3) Yoshitake T. et al., J. Neurosci. Methods, 127, 11-17(2003).
  • 小串 祥子
    2024 年 60 巻 2 号 p. 154
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル 認証あり
    子どもの性別について,受精時における性比を一次性比という.この時点では男児の方が多く1.1~1.7(男児/女児)とされているが,妊娠の経過に伴って男児の数が減少し,二次性比すなわち出生時の性比(以下,出生性比という)は1.05程度となることが知られている.厚生労働省「人口動態統計」によると,日本の出生性比はおおむね1.05~1.07で推移している.出生性比については,父母の年齢が若いほど,出生順が早いほど高くなることが知られているが,その他にも母体へのストレス,性交の頻度やタイミング,薬剤の使用,気温など様々な環境要因の関与が報告されている.本稿では,COVID-19のパンデミックがイングランドとウェールズにおける出生性比に与えた影響を調査した報告1)を中心に,出生性比に関わる環境要因について最近の報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Masukume G. et al., PeerJ, 11, e14618(2023).
    2) Bruckner T. A. et al., BMC Public Health, 10, 273(2010).
    3) Inoue Y., Mizoue T., Am. J. Hum. Biol., 34, e23750(2022).
    4) Tatsuta N. et al., Sci. Total Environ., 817, 152726(2022).
    5) DeVilbiss E. A. et al., Am. J. Epidemiol., 192, 587-599(2023).
  • 里 美貴
    2024 年 60 巻 2 号 p. 155
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル 認証あり
    プレ心不全は,器質的心疾患もしくはB型ナトリウム利尿ペプチド(B-type natriuretic peptide: BNP)上昇を有しているが心不全症状のない病期であり,心不全および心血管リスクの観点から,プレ心不全患者へのアプローチが重要とされている.心不全は駆出率(ejection fraction: EF)が低下した心不全(heart failure with reduced EF: HFrEF)とEFの保たれた心不全(heart failure with preserved EF: HFpEF)に分類できる.アンジオテンシン受容体-ネプリライシン阻害薬(angiotensin receptor-neprilysin inhibitor: ARNI)であるサクビトリル/バルサルタンは,HFrEFによる入院や心血管障害に起因する死亡を低下させる効果が確立されている.また,HFpEFにおいても心機能の改善やN-terminal pro BNP(NT-proBNP)の低下といった効果は確認されているが,プレ心不全患者におけるARNIの効果は明らかではない.本稿では,プレ心不全患者(特にpre-HFpEF)へのサクビトリル/バルサルタンの投与が心血管構造および心機能のマーカーを改善するかを検証したPARABLE試験の結果を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) McMurray J. J. et al., N. Engl. J. Med., 371, 993–1004(2014).
    2) Solomon S. D. et al., Lancet, 380, 1387–1395(2012).
    3) Solomon S. D. et al., N. Engl. J. Med., 381, 1609–1620(2019).
    4) Ledwidge M. et al., JAMA Cardiol., 8, 366-375(2023).
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