中員環
trans-アルケンは,ねじれた構造を持つ高度にひずんだ化合物である.例えば
trans-シクロオクテンは室温で単離できる最小の
trans-シクロアルケンであり,環反転ができないほどの剛直な構造のために,面性不斉を有することが知られている.近年,中員環
trans-シクロアルケンは有機合成や分子不斉だけでなく,ケミカルバイオロジーの観点からも注目を集めている.しかしながらエナンチオ選択的な
trans-シクロアルケンの合成は,その報告が限られている.本稿では三浦・村上らが報告した不斉シクロプロパン化―骨格転位を用いた
trans-シクロアルケンの不斉合成を紹介する
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Selvaraj R., Fox J. M.,
Curr. Opin. Chem. Biol., 17, 753-760 (2013).
2) Miura T.
et al.,
J. Am. Chem. Soc., 136, 15905-15908 (2014).
3) Davies H. M. L., Alford J. S.,
Chem. Soc. Rev., 43, 5151-5162 (2014).
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