ファルマシア
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51 巻 , 9 号
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目次
  • 2015 年 51 巻 9 号 p. 826-827
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    特集にあたって:薬学6年制により,薬剤師が臨床の場により近くなり,臨床データと接触する機会が増えてきている.在宅医療と関わる場面も増え,医師のいない状況で情報を読み,それを医師・患者に伝える必要性も出てきた.基礎研究の場においても臨床データを意識する機会が増えている.薬剤師が,生来の強みである化学的知識,薬物動態・薬理・薬剤学的知識を背景に,フィジカルアセスメント術を手にすることで,「薬剤師としての薬物治療・処方への関与」と「副作用と医療事故の防止」に深く貢献できることが期待される.本特集号では,各領域で精力的にご活躍の先生方に,それぞれの初歩と最前線を示していただいた.ここがきっかけとなり,詳細に知りたい,深く学習し実践したいと思っていただければ,それが本特集号の目指すところである.
    表紙の説明:中央のアンドロイドは1926年の独映画「メトロポリス」よりイラスト化.時は昭和元年.薬学会(1880年設立)の会員は当時で既に4,427名.それから約90年.健康科学の発展は平均寿命を90歳に到達させようとしている.薬剤師教育6年制から10年.ヒトと向き合うようになりつつある我々は,そこにある「身体所見」をどのようにとらえ,どのように活かしていくのだろうか,次の10年に.
オピニオン
  • 北田 光一
    2015 年 51 巻 9 号 p. 825
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    近年の生命科学技術の進歩,製剤技術の進歩は,多くの優れた医薬品の開発・供給を可能としてきた.薬物治療の進歩は目覚ましく,手術をせずに治療することが可能となったり,入院日数や治療日数の短縮による生活の質(quality of life:QOL)の向上や医療費の削減等に貢献している.アルツハイマー病や糖尿病の3大合併症などをはじめとして,いまだに有効な治療方法や決定的な治療薬がなく,治療の満足度が低い病気も少なくないが,多くの優れた医薬品の登場は患者に対して恩恵と希望を与えている.さらに,薬物治療の適正化を実践するための解析方法や生化学的手法の進歩によって,個々の患者に最適な医薬品の選択や投与量の設定などへの臨床活用が可能となり,薬物療法の質が格段に向上している.しかし,薬物療法の選択肢が拡大し,重要性が増大している一方で,医療従事者に求められる知識と情報の量は膨大なものとなり,医薬品に関係するリスクが増大していることも事実である.医薬品に関する情報の共有化を図り,医薬品情報と患者情報に基づいて医薬品の適正かつ安全な使用を実践し,個々の患者に最適な薬物治療を提供する上で薬に関する専門職としての薬剤師が果たすべき役割と責任は拡大している.
    一方,我が国は他国に類を見ない人口の超高齢化に伴う,医療環境の激変期を迎えている.慢性疾患や複数の病気を持った患者の急増といった疾病構造の変化に伴って求められる医療が変化し,医療に対する需要・ニーズも多様化してきている.質が高く,安全で安心な医療を求める国民の声の高まりと医療の高度化・複雑化により業務が増大するなかで,限られた人的・財政的資源での対応が喫緊の課題となっている.そこで,医療の効率性の向上による医療従事者の負担軽減と医療の標準化・組織化を通じた医療安全の向上を実現するために,チーム医療の充実が進められている.患者を中心に据えた医療職種の連携から成るチーム医療における薬剤師の役割として,医師等と協働・連携して個々の患者に最良の薬物療法の提供に処方前から関わることが求められているが,薬学的な専門知識に加えて,患者や医師,他の医療職種と緊密なコミュニケーションが取れる能力,患者の変化に対して的確な薬学的臨床判断ができる能力が必要となっている.機械化等による合理化が急速に進行する時代にあって機械化されにくい職能の展開に真剣であるべきである.
    これまで,薬剤業務は医療現場,社会のニーズに応える形でモノからヒトへ,中央業務から病棟業務へ,病棟訪問業務から常駐業務へと展開されてきた.そして今はチーム医療の一員として薬物治療に主体的に関わり,薬物治療のモニタリングによる薬学的管理から薬物治療マネージメントへの積極的な関与である.感染制御や栄養サポートにおけるチーム医療や手術,集中治療におけるチーム医療など,病棟横断的なチーム医療が展開されてきたが,病棟において求められている「薬剤業務」は従来の業務内容を大きく超えたものとなっており,これを実践し,期待に応えていかなければならない.
    薬に関する専門職として社会の期待に応え,信頼される存在となるためには薬に関する全てのことに責任を持つ覚悟で,明確な臨床的アウトカムを意識した薬学的管理を実践していくことが不可欠である.薬剤師が本来兼ね備えていた外部から見え難かった能力の活用,新たな能力の開発と活用が必要であり薬剤師リポジショニングの時代を迎えているとも言える.いまが飛躍のときである.
Editor's Eye
話題
セミナー
  • 古野 喬志
    2015 年 51 巻 9 号 p. 841-845
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    薬剤師によるフィジカルアセスメントが注目されて数年が経ち,当初の薬剤師がフィジカルアセスメントを行う意義を議論する時期から,どのようにフィジカルアセスメントを薬剤師としての臨床判断に活かすかを考える時期に入りつつある.
    薬剤師がフィジカルアセスメントを行う意義は,最適な薬物療法を行うに当たって,薬剤の効果や副作用をカルテなどから間接的に情報を収集するだけでなく,薬剤師自身によって直接情報を採集し,評価することである.そのため,血圧測定の手技や原理,聴診器の使用法などを習得する必要がある.ただし,薬剤師によるフィジカルアセスメントは血圧・脈拍・呼吸・体温などのバイタルサインを含めた患者情報を採集すること自体が目的ではなく,採集した情報をアセスメントし,いかに薬物治療に役立てるかである.そのため,血圧計や聴診器の使用法を習得することが最終目標でないことを忘れないようにしたい.
    また病院では在宅医療と異なり,バイタルサインや生体検査は看護師や他のスタッフが採集してくれることが多いため,在宅医療と病院でのフィジカルアセスメントの活用法は少し異なるように感じる.
    本稿では病院の中での薬剤師によるフィジカルアセスメントについて,循環器専門病院である大崎病院東京ハートセンター(以下,当院)での例をもとに述べる.
セミナー
  • 橋本 敬太郎
    2015 年 51 巻 9 号 p. 846-850
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    臨床医学の現場から,薬学,農学,理学系の分野の研究者にもよく使われるものに心電図があり,また心臓の機能検査として臨床での有用性,重要性が確立している心エコーの適応も多くなりつつある.本稿では,心電図と心エコーについて,その原理ならびに基礎を簡潔に分かり易く記載するとともに,筆者の30年以上の経験を中心に,心電図・心エコーを薬効薬理試験や安全性薬理試験などの動物実験で応用する場合の注意点を指摘するつもりで,このセミナーを執筆した.本特集号の趣旨とは若干乖離するかもしれないが,心電図・心エコーは方法論的には古くから確立しており,あらゆる局面での原理原則的手法と言えるであろう.実験科学に基盤をおく薬学出身者にとっては,「前臨床」的視点を持ちながら「臨床」に当たる方が理解が深まるのではないかと思われる.また,これから動物実験をしてみようとされる方には,本稿はその手ほどきとなるエッセイとして捉えていただければ幸いである.
セミナー
  • 山下 直美, 川上 真樹
    2015 年 51 巻 9 号 p. 851-854
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    人間の生命維持にとって,循環とともに呼吸は必須の機能の1つである.そのフィジカルアセスメントは,日常的に評価が必要であるとともに,災害時にも医療の担い手としてトリアージ(疾患治療優先順位の決定)に大きな意味を持つこととなる.「フィジカルアセスメント」という言葉は,看護・薬学領域で頻用されるが,その基本は医学領域で言う「身体所見」「現症」に相当し,次にどのような臨床検査が必要かを判断する指標を得る重要なステップである.薬学領域で施行されるフィジカルアセスメントでは,セルフメディケーション,異常を早期発見し受診勧告,薬剤の効果・副作用を見極める手段として活用される必要がある.
    本稿では,呼吸器のフィジカルアセスメントとしてどのような評価項目があるか,またその代表的所見について,疾患の罹患率が高い気管支喘息と,薬剤の副作用早期発見としても重要な間質性肺炎を例として概説したい.各項目は,それ自体で1つの学問体系ができるくらい奥深いものであるが,まず本稿では,概要を把握する一助となればと考え簡潔に記載させていただく.
セミナー
話題
話題
  • 平田 純生
    2015 年 51 巻 9 号 p. 863-867
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    実際の例を示して,それに基づき本稿の重要性についての解説を進めたい.腎機能の評価ミスにより投与設計を誤ったメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant staphylococcus aureus:MRSA)感染症症例
    有料老人ホームに長期入居の男性(年齢90歳,体重37.7kg,身長150cm)が体調不良を訴え入院.入院時検査値は血清クレアチニン(Cr)0.34mg/dL,血中尿素窒素(BUN)5.1mg/dL,血清アルブミン1.7g/dLで,MRSA敗血症と診断され,尿中排泄率90%のバンコマイシンの投与設計を行った.日本人向け糸球体ろ過量(GFR)推算式では正常値は100mL/min/1.73m2であるが本症例では
    推算GFR(eGFR):mL/min/1.73m2)=194×Cr-1.094×Age-0.287=173.6mL/min/1.73m2
    のような高値が算出された.
    しかし上記eGFRの値の単位はmL/min/1.73m2であり,体表面積補正をしていないことから,薬物投与設計に用いるべきではない.そのためDu Boisの式を用いて体表面積を算出すると

    体表面積(BSA:m2)=体重(kg)0.425×身長(cm)0.725×0.007184=1.27m2

    となり,173.6mL/min/1.73m2を1.27m2で補正を外すと127.4mL/minと算出された.この腎機能を用いて解析ソフトで計算すると定常状態の血清バンコマイシン濃度の最低血中濃度(トラフ値:次回投与前濃度)は15μg/mになるはずであったが,実測値は28μg/mLと高値になり,バンコマイシンによる腎障害により,血清Cr値が7.6mg/dLに上昇し透析導入が必要になった.
    実はこの症例は腎機能の見積もりを誤ったために薬剤性腎障害を来したと考えられる.
    腎排泄性薬物の投与設計には薬物の尿中排泄率と患者の腎機能が必要であるため腎機能の正確な把握は,中毒性副作用を減らすためにも,薬物投与設計上の基本と言える.上記症例のような誤りを起こさないためにも,腎機能を正しく把握するコツと理論について以下に記載する.
話題
  • 板垣 麻衣
    2015 年 51 巻 9 号 p. 868-870
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    薬剤性皮膚障害は,発症機序が明確でない場合も少なくないが,一般にアレルギー機序によるものと非アレルギー機序によるものに大別される.分子標的治療薬による皮膚障害は従来の典型的な薬疹とは異なり,薬剤ごとに様々な特徴的所見がみられる.その多くは直接生命を脅かすものではないが,著しく患者の生活の質を低下させる原因となるため,円滑な治療を施行していく上では症状の重篤化を防ぐために適切なマネジメントを行うことが不可欠となる.また,近年がん化学療法は入院から外来にシフトしており,副作用の早期発見・対応のためのチーム医療がますます重要になっている.国立がん研究センター東病院(以下,当院)では,医師・薬剤師・看護師のチームにより分子標的治療薬の皮膚障害に対する薬物療法の充実のための運用・検討を行ってきた.本稿では分子標的治療薬による皮膚障害とその特徴,また外来でのがん治療における薬剤師の役割について述べる.
話題
話題
  • 並木 隆雄
    2015 年 51 巻 9 号 p. 874-878
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    漢方の診断には四診というものがあり,四診とは望診・聞診・問診・切診の総称である.このうち,望診とは眼による観察・診断で,現代医学でいう視診である.すなわち,望診は,患者の体型や歩行などの所作で体全体を観察すること,および皮膚の状態や眼の状態などの体のパーツを観察することであり,その中には舌を観察する舌診が含まれる.聞診は,音(声の大きさ)や嗅覚(においの有無)の情報,問診は西洋医学と同じで患者の訴え,切診は体を触って得られる情報で,脈診や腹診などがある.
    今回はその中で日常診療に役立つと思われる舌診と脈診についてご紹介する.特に舌診では,舌色や舌の形態などを観察することで患者の体質や病状を知ることができると考えている.毎朝自分の舌を鏡で見ることは健康の自己管理に役立つとともに,日常の薬剤師活動としても知っていると役立つ診断であろう.是非,本稿により基本を理解していただきたい.
薬学実践英語
  • F. W. FOONG
    2015 年 51 巻 9 号 p. 879-881
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    2020年の東京オリンピックが近付くにつれて,沢山の外国人が来日することが予想される.外国人が日本国内を旅行中に軽度の感染症や病気にかかり,薬局を訪れることは十分にあり得る.薬剤師はこの状況に備えておかなければならない.「私は英語が話せません」と言って,病気で弱っている客(すなわち患者)を避けることはあってはならない.プロの薬剤師の最優先の義務は,健康を害した人をあらゆる可能な方法で助けることである
    今回と次回の2回にわたって,OTC(over-the-counter)医薬品を販売・服薬指導するための英語表現の基本を学習しよう.薬剤師は以下の手順で客と会話をするであろう.①来店した客に挨拶する,②客の現在の症状や既存の症状について尋ねる,③可能性がある原因について尋ねる,④もし必要なら,医師の受診を促す,⑤食物や薬物に対するアレルギーの有無について尋ねる,⑥その医薬品を選択した理由について述べる,⑦選択した医薬品の用法・用量を説明する,⑧可能性のある副作用と,副作用が現れたときの対処法について情報を提供する,⑨医薬品の価格を伝える,⑩客の質問に答える,⑪服薬遵守を確認する,および⑫挨拶で終わる.
    そこで,以下にこれら12項目についての基本的な英語表現を例示する.
家庭薬物語
  • 竹内 眞哉
    2015 年 51 巻 9 号 p. 882-883
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    効能効果:便秘,便秘に伴う次の症状の緩和:吹出物,肌荒れ,食欲不振(食欲減退),腹部膨満,腸内異常醗酵,痔,のぼせ,頭重
    成分分量:(1日量90丸中)日局ダイオウ末1.2g,日局エイジツ末0.8g,日局サンキライ末0.8g,日局センキュウ末0.5g,日局カンゾウ末0.5g,日局コウボク末0.4g,添加物として寒梅粉,沈降炭酸カルシウム,カルメロースカルシウム,薬用炭,タルクを含有
    用法用量:1日3回食前服用,1回量15歳以上15~30丸,7歳以上15歳未満10~20丸,3歳以上7歳未満5~10丸
くすりの博物館をゆく
トピックス
  • 有地 法人
    2015 年 51 巻 9 号 p. 888
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    中員環trans-アルケンは,ねじれた構造を持つ高度にひずんだ化合物である.例えばtrans-シクロオクテンは室温で単離できる最小のtrans-シクロアルケンであり,環反転ができないほどの剛直な構造のために,面性不斉を有することが知られている.近年,中員環trans-シクロアルケンは有機合成や分子不斉だけでなく,ケミカルバイオロジーの観点からも注目を集めている.しかしながらエナンチオ選択的なtrans-シクロアルケンの合成は,その報告が限られている.本稿では三浦・村上らが報告した不斉シクロプロパン化―骨格転位を用いたtrans-シクロアルケンの不斉合成を紹介する
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Selvaraj R., Fox J. M., Curr. Opin. Chem. Biol., 17, 753-760 (2013).
    2) Miura T. et al., J. Am. Chem. Soc., 136, 15905-15908 (2014).
    3) Davies H. M. L., Alford J. S., Chem. Soc. Rev., 43, 5151-5162 (2014).
  • 久松 洋介
    2015 年 51 巻 9 号 p. 889
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    ここ数年,“supramolecular chemical biology”という用語が用いられるようになり,低分子の水溶液中での自己集積化を鍵とする疾病の診断・治療,組織工学やドラックデリバリーシステムが注目されている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Petkau-Milroy K., Brunsveld L., Org. Biomol. Chem., 11, 219-232 (2013).
    2) Pires R. A. et al., J. Am. Chem. Soc., 137, 576-579 (2015).
    3) Pautke C. et al., Anticancer Res., 24, 3743-3748 (2004).
  • 伊藤 哲朗
    2015 年 51 巻 9 号 p. 890
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    ポドフィルム根はメギ科Podophyllum hexandrumPH)およびP. peltatumPP)の根茎を基原とし,リグナン誘導体(-)-ポドフィロトキシンを含む.(-)-ポドフィロトキシンは抗悪性腫瘍薬であるエトポシドの製造原料であるため,これまでに,その安定供給を目指した生合成経路の解明研究が進められてきた.一方,メギ科植物の多くはアルカロイドを豊富に含むことが知られているが,19世紀より論議され続けてきたポドフィルム属植物のアルカロイド産生能については決定的な成分分析成果はなく,加えてアルカロイドの骨格形成に関わる酵素遺伝子は未同定であった.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Gordaliza M. et al., Toxicon, 44, 441-459 (2004).
    2) Marques J. V. et al., J. Biol. Chem., 288, 466-479 (2013).
    3) Marques J. V. et al., Mol. Biosyst., 10, 2838-2849 (2014).
  • 異島 優
    2015 年 51 巻 9 号 p. 891
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    近年,細胞移植による再生医療に注目が集まっている.特に,心筋梗塞に対する間葉系幹細胞(mesenchymal stem cells:MSCs)移植は,心筋において血管新生を誘導するものであり,応用が期待されている.梗塞巣における血管新生はMSCsの生着性に依存しており,MSCsによる血管新生には血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)が重要な役割を担う.したがって,いかにVEGFの作用を引き出し,幹細胞の生着率を向上させるかが治療効果の鍵となる.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Quinn J. F. et al., J. Control. Release, 205, 190-205 (2015).
    2) Yao X. et al., Biomaterials, 60, 130-140 (2015).
  • 白田 成俊
    2015 年 51 巻 9 号 p. 892
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)は近年飛躍的に増加しており,我が国の患者数は1,000万人を超えるにもかかわらず,CKDの根本的治療法はいまだに存在しない.CKDの進展を阻止するためには,血液ろ過装置である腎糸球体の機能維持が重要となる.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Motonishi S. et al., J. Am. Soc. Nephrol., in press.
    2) Hasegawa K. et al., Nat. Med., 19, 1496-1504 (2013).
  • 山口 太郎
    2015 年 51 巻 9 号 p. 893
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    感音難聴は最も高頻度に発症する身体障害の1つとされており,空気の振動である音刺激の中枢までの伝達経路のうち蝸牛以降の過程が障害されたものであるが,その多くは内耳の蝸牛障害に由来する.内耳の蝸牛障害の原因としては音響外傷,遺伝子異常,耳毒性薬物,老化などがある.治療薬としてステロイド薬の短期的大量投与や内耳循環改善薬などが広く用いられているが,症状が固定した慢性期に有用な治療法は補聴器と人工内耳に限られている.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Yamamoto N. et al., Front Pharmacol., 5, 208 (2014).
    2) Oshima. K. et al., Cell., 141, 704-716 (2010).
    3) Kamiya K. et al., Am. J. Pathol., 171, 214-216 (2007).
  • 鳥羽 陽
    2015 年 51 巻 9 号 p. 894
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    大気中の微小粒子状物質(PM2.5)に関する疫学研究は,PM2.5への曝露と死亡のリスクや循環器疾患,気道炎症,喘息の増加との関連性を指摘し,その機構として酸化ストレスの関与が提唱されている.酸化ストレスは,生体内における酸化―抗酸化(レドックス)因子のバランスが酸化の方向に傾いた状態と定義され,スーパーオキシドラジカルのような活性酸素種(reactive oxygen species:ROS)の過剰な生成,あるいはそれらを消去する抗酸化能力の欠損により引き起こされる.ROS産生に基づく酸化ストレスは,粉じん曝露による健康影響に対して大きな役割を担っており,多くの研究が大気粒子成分によるROSを介した気道炎症の誘導能を報告している.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Kumagai Y. et al., Chem. Res. Toxicol., 15, 483-489 (2002).
    2) Fang T. et al., Atmos. Meas. Tech., 8, 471-482 (2015).
    3) Liu Q. et al., Environ. Sci. Technol., 48, 12920-12929 (2014).
  • 横山 由斉
    2015 年 51 巻 9 号 p. 895
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/08/26
    ジャーナル フリー
    肺高血圧症は,種々の原因で肺での血流が阻害され心肺機能不全を来す進行性で重篤な疾患である.近年,肺動脈性肺高血圧症では治療薬の開発が進んでおり,プロスタサイクリン製剤,エンドセリン(endothelin:ET)受容体拮抗薬,ホスフォジエステラーゼ5阻害薬により,その予後は急速に改善している.しかしながら,難治性の症例や治療薬の効果が期待できない病態も存在し,新たな治療法の開発が望まれている疾患領域である.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) McLaughlin V. V. et al., J. Am. Coll. Cardiol., 62, D73-81 (2013).
    2) Galie N. et al., Cardiovasc. Res., 61, 227-237 (2004).
    3) Kim F. Y. et al., Am. J. Physiol. Lung Cell. Mol. Physiol., 308, L368-377 (2015).
    4) Kisanuki Y. Y. et al., Hypertension, 56, 121-128 (2010).
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