ファルマシア
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54 巻 , 5 号
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目次
  • 2018 年 54 巻 5 号 p. 388-389
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
    特集:医薬品開発を成功に導くシミュレーション研究
    特集にあたって:医薬品開発の最終ゴールは,ヒトにおける医薬品の有効性・安全性を担保することであることから,非臨床データからヒトへのブリッジング,患者集団という不均一な集団における薬剤応答性の個人間変動は,大きな課題である.近年のシステム生物学の発展と,これまでに蓄積された臨床データを統合的に利用するプラットホームの開発により,モデリング&シミュレーションは医薬品の開発成功確率を高める技術として,大きな注目を集めている.研究の裾野を広げ,より優れた技術の開発につながることを期待して,アカデミックにおける基礎研究に加えて,製薬企業および規制当局における活用状況や今後の展望まで,最新のトピックを幅広くカバーした特集号を企画した.
    表紙の説明:薬物動態,薬効・薬物による副作用や有害反応のシミュレーション研究は,分子・臓器・生体の各階層における生化学・生理学・解剖学的特徴に基づいて,薬物応答を予測することを可能にしてきた.疾患による摂動や,薬物動態の個人間変動に関する機序やその母集団情報など,背景の異なる患者集団における薬剤応答性予測の実現も視野に入ってきた.
オピニオン
Editor's Eye
セミナー
最前線
話題
話題
  • 川合 良成
    2018 年 54 巻 5 号 p. 410-414
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
    近年の医薬品開発ではmodeling and simulation(M&S)という語がしばしば登場する.数理モデルを行いて創薬開発を効率化し、更には成功確率を上げようという試みである.なかでも生理学的薬物速度論(PBPK)や母集団薬物速度論(population PK)については、各国の規制当局がガイドラインとしてその実施を推奨している.そこにここ数年、quantitative systems pharmacology(QSP)という新たなM&S用語が登場してきた.本稿では、一昨年EFPIAワーキンググループから発表されたMID3白書を基点に、種々のM&S手法の考え方、医薬品開発業務における長所・短所を挙げ、特にQSPの活用法と今後の展望など、筆者の理解を共有する.
最前線
話題
最前線
セミナー
話題
話題
FYI(用語解説)
  • 村木 翔太, 柏原 祐志, 家入 一郎
    2018 年 54 巻 5 号 p. 439_1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
    MIXTUREモデルとは,複数の確率モデルを組み合わせることによってより複雑な分布形を表現できるようにした確率モデルのことである.集団の薬物/薬効動態のモデル化を行う際には,現象の発生に関わる因子が非常に多いこと,母集団が均一でないことなどから,単一のモデルではその挙動を記述しきれない場合がある.MIXTUREモデルを適用することで,薬剤応答の異なる複数の部分集団を仮定し,各被験者をそれら部分集団に分類することが可能となる.データまたはモデル依存的な分類であるため,結果の解釈は慎重に行う必要があるが,複雑な現象をモデルとして記述するうえで非常に汎用性の高い手法である.
  • 齊藤 隆太
    2018 年 54 巻 5 号 p. 439_2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
    創薬の成功確度および効率の改善に対して,Critical Path Initiativeの白書で定量的な意思決定の重要性が強調されている.Model-informed drug discovery and development(MID3)とは,この医薬品R&Dにおける定量的意思決定を推進するための,薬物とその作用および病態生理を統合したモデリング&シミュレーションから得られる知識・予測を軸とした定量的な創薬フレームワークのことである.従来のmodel-based drug development(MBDD)を拡張した概念で,臨床開発だけでなく創薬における様々なステップを対象としている.また,最終的な意思決定はヒトが行うことを強調するため,“informed”という表現に訂正された.
  • 飯田 理文
    2018 年 54 巻 5 号 p. 439_3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
    MagerおよびJuskoらによって提唱された,薬剤が特定の標的分子に作用する際に,薬剤と標的分子の結合型が薬剤の消失に寄与するモデル.薬剤が受容体や抗原といった標的分子と結合した場合,受容体介在性のエンドサイトーシスにより消失する.抗原-抗体薬物の反応の場合は,抗体薬物が抗原より低濃度の場合には線形消失を示し,抗体薬物の濃度上昇に伴って非線形が認められ,消失速度が遅くなる.さらに抗体薬物濃度が高くなると,抗体自体の消失経路によって消失するため再び線形消失を示すようになる.
  • 谷河 賞彦
    2018 年 54 巻 5 号 p. 439_4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
    非線形混合効果モデル(nonlinear mixed effect model:NONMEM)を扱えるソフトウエア.ファーマコメトリクスを扱うなら欠かせないソフトの1つ.NONMEM®は,その結果をグラフィカルに示すことが単体ではできないので,R(無料で全ての機能が利用可能な統計ソフト)などを用いて効率的な解析を行うことができる.
承認薬インフォメーション
  • 新薬紹介委員会
    2018 年 54 巻 5 号 p. 441-445
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
    本稿では既に「承認薬の一覧」に掲載された新有効成分含有医薬品など新規性の高い医薬品について,各販売会社から提供していただいた情報を一般名,市販製剤名,販売会社名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果を一覧として掲載しています.
    今回は,53巻12号「承認薬の一覧」に掲載した当該医薬品について,表解しています.
    なお,「新薬のプロフィル」欄においても詳解しますので,そちらも併せてご参照下さい.
家庭薬物語
  • 玉川 雅之
    2018 年 54 巻 5 号 p. 446-447
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
    1954年に当社初のOTC医薬品として発売された殺菌消毒薬「リバガーゼ」。主成分アクリノールの優れた殺菌力によって傷口を殺菌、消毒する。本品は発売してから製品改良を重ねながら、ラインアップを拡げ今日に至っている。「リバガーゼ®F」は傷口につかない特殊フィルムを採用し利便性を高めている。2018年に創業119周年を迎えた当社の沿革や医薬品製造方針、アクリノールの生い立ちも併せながら、製品特徴や使用方法を紹介する。
薬学を糧に輝く!薬学出身者の仕事
くすりの博物館をゆく
日本ベンチャーの底力 その技術と発想力
日本人が知らないJAPAN
トピックス
  • 土井 良平
    2018 年 54 巻 5 号 p. 456
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
    遷移金属触媒を用いる有機ハロゲン化物とアルケンとのカップリングは溝呂木-Heck反応と呼ばれる.この反応では通常,炭素求電子剤としてハロゲン化アルケニル,あるいはハロゲン化アリールが用いられる.一方で,ハロゲン化アルキルを用いる反応は一般的な合成手段として確立されているとは言い難い.その主な要因として,遷移金属に対するハロゲン化アルキルの酸化的付加が進行しにくいこと,および生じるアルキルメタル種がβ水素脱離により分解しやすいことが挙げられる.本稿ではAlexanianらによるPd触媒を用いるハロゲン化アルキルの分子内溝呂木-Heck反応の開発と,その反応機構研究を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Venning A. R. O. et al., J. Am. Chem. Soc., 139, 11595-11600(2017).
    2) Firmansjah L., Fu G. C., J. Am. Chem. Soc., 129, 11340-11341(2007).
  • 棚田 幹將
    2018 年 54 巻 5 号 p. 457
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
    創薬研究の初期段階において,無細胞評価系と細胞評価系間の活性値の乖離,すなわち標的分子との親和性の高い化合物が細胞評価系では低活性にとどまることがしばしば問題となる.乖離の原因として,試験化合物の細胞膜透過性の不良や細胞内分布の局在により,標的が試験化合物に十分に曝露されていない可能性が指摘されており,多種多様な細胞に適用可能かつ高スループットの細胞内化合物濃度の定量法は,創薬研究において適切な化合物選択を行うための強力なツールとなることが期待される.最近Mateusらは,細胞内バイオアベイラビリティ(Fic)という新規パラメータを用いて,無細胞系の活性から細胞系の活性を高精度に予測する手法を開発したので,本稿で紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Hann M. M., Simpson G. L., Methods, 68, 283-285(2014).
    2) Mateus A. et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 114, E6231-E6239(2017).
    3) Mateus A. et al., J. Med. Chem., 57, 3005-3010(2014).
    4) Mateus A. et al., Mol. Pharm., 10, 2467-2478(2013).
  • 恒松 雄太
    2018 年 54 巻 5 号 p. 458
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
    冬虫夏草という語を初めて目にし「虫なのか草なのか,一体これは何者だろう?」と興味を抱く人は少なくない.昆虫の亡骸からキノコが生えた奇妙な姿形や,その正体が糸状菌(いわゆるカビ)である事実に驚かされたのは筆者だけではないだろう.冬虫夏草の一種であるサナギタケCordyceps militarisは,平板培地においてもキノコを形成するため人工栽培法が確立され,国内でも健康食品として市販されている.その成分の1つがコルジセピン(cordycepin:COR)であり,抗がん,免疫賦活,精力増強など,様々な薬理活性を示すことが知られている.CORはアデノシンの3́位デオキシ体であり,アデノシンとの類似性が故にポリメラーゼによる伸長途中のRNA鎖に取り込まれる.ところが,3́位水酸基が欠如しているため更なる伸長反応が起こらず,細胞増殖が阻害される.一方,CORは生体内のアデニンデアミナーゼ(adenine deaminase:ADA)によって容易に薬物代謝(脱アミノ化)され,活性の減弱化した3́-デオキシイノシン(3́-deoxyinosine:3́dI)を生成する.そのため,かつて実施された白血病治療薬としての臨床試験においては,ADA阻害薬であるペントスタチン(pentostatin:PTN)との併用療法が検討されていた.今回,未解明であったCOR生合成遺伝子が同定され,その独特な生合成戦略が明らかにされたので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Tuli H. S. et al., Life Sci., 93, 863-869(2013).
    2) Xia Y. et al., Cell Chem. Biol., 24, 1479-1489(2017).
    3) Wu P. et al., Cell Chem. Biol., 24, 171-181(2017).
  • 木平 清人
    2018 年 54 巻 5 号 p. 459
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
    多くの抗生物質は,タンパク質合成を阻害することによって細菌増殖を停止させる.しかし,これまでのところ翻訳終結の特異的阻害剤は知られていない.最近,昆虫が産生する抗菌ペプチドであるアピダシンを改良した18アミノ酸から成るApi137が,ユニークな作用機序を用いてリボソームを停止させることが分かった.本稿では,その概要を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Florin T. et al., Nat. Struct. Mol. Biol., 24, 752-757(2017).
    2) Korostelev A. A., RNA, 17, 1409-1421(2011).
  • 森川 ありさ
    2018 年 54 巻 5 号 p. 460
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
    研究用マウスは,低コスト,遺伝子操作の容易さ,多様な系統などの利点を持つことから,多くの研究分野で生物学的現象を理解するために利用されている.しかしながら,ヒト疾患解析や創薬研究では臨床経過を完全には反映しない.これは,マウスとヒトのゲノムレベルの違いに依存するだけの現象であろうか.近年は,同じマウスであっても遺伝的背景以外に腸内細菌叢や餌食を含めた生活環境条件の違いによって,免疫などの生体応答が異なることが示されている.特に研究用マウスは,自然環境と異なる清潔な環境(specific pathogen free)で生活している.そのため,野生マウスはヒト成人に類似しているのに対し,研究用マウスはヒトの成人ではなく新生児に類似した免疫細胞集団を持つ.最近,特に腸内細菌叢は宿主の免疫応答をはじめ,生体恒常性維持に重要であることが明らかになってきている.
    本稿では,野生マウスの腸内細菌叢によって宿主の免疫状態が変化し,感染症や腫瘍形成時における炎症が制御されることを報告したRosshartらの成果を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Harrison C. A. et al., Nat. Rev. Immunol., in press(2017).
    2) Beura L. K. et al., Nature, 532, 512-516(2016).
    3) Rooks M. G. et al., Nat. Rev. Immunol., 16, 341-352(2016).
    4) Rosshart S. P. et al., Cell, 171, 1015-1028(2017).
  • 横江 俊一
    2018 年 54 巻 5 号 p. 461
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
    Programmed cell death protein 1(PD-1)は,1992年に本庶博士らにより単離・同定された遺伝子であり,T細胞やB細胞,NK細胞などに発現して,T細胞の免疫応答を負に制御している.PD-1のリガンドであるPD-L1が活性化したT細胞上のPD-1に結合すると,T細胞の活性化が抑制される.がん細胞がPD-L1を発現する場合,免疫細胞による攻撃から逃れることで,がん細胞の異常な増殖・がんの進行につながる.そのため,PD-1とPD-L1の結合を阻害する抗PD-1抗体薬ががんの治療に有用であると考えられている.一方,感染などに対する免疫を担うマクロファージにもPD-1が高発現していることが知られている.本稿では,がん微小環境におけるマクロファージのPD-1発現およびPD-1/PD-L1経路が,抗腫瘍免疫に及ぼす影響について検討したGordonらの研究を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Ishida Y. et al., EMBO J., 11, 3887-3895(1992).
    2) Bally A. P. et al., J. Immunol., 194, 4545-4554(2015).
    3) Gordon S. R. et al., Nature, 545, 495-499(2017).
  • 緒方 文彦
    2018 年 54 巻 5 号 p. 462
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
    リン(P)はヒトの生命維持活動に必要不可欠な元素であり,有限資源として知られている.一方,水環境中に存在する過剰のリンは,富栄養化などの水環境汚染物質として問題視されている.近年,水環境汚染問題の解決のために,特徴ある物理化学的性質を有した新規マテリアルの開発および原因物質との相互作用に関する研究が盛んに行われている.すなわちドラッグデザインのように,ターゲット(水環境汚染物質)に対する親和性(相互作用)を考慮し,新規マテリアル(新規水質浄化剤)の最適化・開発を目指すことが重要と考えられている.
    本稿では,水質浄化剤として広く汎用されている粒状活性炭(granular activated carbon:GAC)を基材とした表面改質有機系材料の開発およびリン酸イオンとの相互作用に関する新たな知見を示した論文について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Kumar P. S. et al., Chem. Eng. J., 326, 231-239(2017).
    2) Zach-Maor A. et al., J. Colloid Interface Sci., 357, 440-446(2011).
  • 田仲 涼眞
    2018 年 54 巻 5 号 p. 463
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
    固形製剤の溶解速度は粒子径に依存するため,製剤中に含まれる薬物の粒子サイズ(PSD)は,薬物吸収に大きく影響を及ぼすことが知られている.またPSDは,均一性や打錠時の圧縮性などに影響を与えるため,常に一定となるように管理されている.しかしながら,錠剤製造工程,特に造粒・乾燥工程では薬物の溶解・再結晶化が起こるため,PSDが原料粉末と最終製剤中で大きく異なる場合がある.そのため,原料中だけでなく,最終製品のPSDも測定・管理することが重要である.
    近年では,近赤外分光法やラマン分光法によるケミカルイメージ,いわゆる化学のデジタルカメラ技術が発達し,空間情報を保持しながら,錠剤中の成分分布や分子状態を評価できるようになった.しかしこれらの手法は,薬物や添加剤に特徴的な官能基(吸収ピーク)が必要となる.あるいは統計学的にデータを扱い,構成成分にとって重要な情報を抽出することで,画像を再構築する必要がある.本稿では,振動分光法によるイメージングではなく,2次元X線回折(2D XRD)イメージを用いて,試料のPSDを測定した事例を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Amidon G. L. et al., Pharm. Res., 12, 413-420(1995).
    2) Punčochová K. et al.,Pharm. Res., 34,990-1001(2017).
    3) Thakral S. et al., J. Pharm. Sci., 107, 231-238(2017).
紹介
追悼
  • 根東 義則
    2018 年 54 巻 5 号 p. 471
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/01
    ジャーナル フリー
    山中宏先生の突然の訃報に接し、薫陶を受けた者の一人として痛惜の念に堪えません。山中先生は東北大学薬学部において教育、研究にご尽力され薬学の発展に貢献されました。反応薬品化学講座の教授として有機化学の教育、研究にご尽力され、特に芳香族複素環の修飾反応の開発を精力的に行いました。東北大学においては評議員、学生部長として、また薬学部長・薬学研究科長として、管理運営に携わりました。心からご冥福をお祈りいたします。
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