創薬研究の初期段階において,無細胞評価系と細胞評価系間の活性値の乖離,すなわち標的分子との親和性の高い化合物が細胞評価系では低活性にとどまることがしばしば問題となる.乖離の原因として,試験化合物の細胞膜透過性の不良や細胞内分布の局在により,標的が試験化合物に十分に曝露されていない可能性が指摘されており,多種多様な細胞に適用可能かつ高スループットの細胞内化合物濃度の定量法は,創薬研究において適切な化合物選択を行うための強力なツールとなることが期待される.最近Mateusらは,細胞内バイオアベイラビリティ(F
ic)という新規パラメータを用いて,無細胞系の活性から細胞系の活性を高精度に予測する手法を開発したので,本稿で紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Hann M. M., Simpson G. L.,
Methods,
68, 283-285(2014).
2) Mateus A.
et al.,
Proc.
Natl.
Acad.
Sci.,
114, E6231-E6239(2017).
3) Mateus A.
et al.,
J.
Med.
Chem.,
57, 3005-3010(2014).
4) Mateus A.
et al.,
Mol.
Pharm.,
10, 2467-2478(2013).
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