EZH2は,ヒストンH3リジン27トリメチル化(H3K27me3)を触媒することで,遺伝子発現を負に制御する.EZH2はがんにおいてマルチフェイスに振る舞い,がん促進にもがん抑制にも寄与する.例えば,リンパ腫や悪性黒色腫においては促進的に機能し(
EZH2機能亢進型遺伝子変異の頻度:それぞれ9〜24%,2%),骨髄異形成症候群やT細胞性急性リンパ芽球性白血病においては抑制的に機能する(
EZH2機能喪失型遺伝子変異の頻度:それぞれ3〜13%,18%).EZH2の制御機構を詳細に解明することが,がんを攻略する1つの鍵であるものの,EZH2の制御機構は未だ十分に解明されていない.本稿では,前立腺がんを抑制するEZH2の新規制御機構を見いだした文献を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Conway E.
et al.,
Curr.
Opin Cell Biol.,
37, 42-48(2015).
2) Iwama A.,
Blood.,
130, 23-29(2017).
3) Yuan H.
et al.,
Cancer.
Cell.,
38, 350-365.e7(2020).
4) Margueron R.
et al.,
Mol.
Cell.,
32, 503-518(2008).
5) Aoyama K.
et al.,
Leukemia(2020), doi: 10.1038/s41375-020-01023-1.
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