ファルマシア
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58 巻, 9 号
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目次
  • 2022 年 58 巻 9 号 p. 836-837
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル フリー
    特集:グリアデコーディングの現在とこれから
    特集にあたって:グリア細胞は,神経細胞よりもはるかに多く脳内に存在するが,語源がGlue(糊)であるように,神経細胞を支える単なる脇役と考えられてきた.しかし近年,グリア細胞が脳の発達および生理的・病理的機能を積極的に制御していることが明らかになってきている.なかでも,脳血管や免疫細胞と密接に関連して,グリア細胞が脳と身体の相互作用の中核として機能していることが最近注目されている.本特集では,多様なグリア細胞の状態・機能・細胞間シグナル伝達を包括的に読み出すグリアデコーディング技術により明らかになってきた最先端のグリア研究を紹介するとともに,グリア細胞をターゲットとした脳疾患の診断法・薬物治療法の可能性についても考えてみたい.
    表紙の説明:ヒトは外界から様々な刺激・情報を受け取ってこれに適応している.この適応において,身体(感覚器・臓器等)は情報を脳へ送り,脳は身体に指令を送り相互に調節し合う.その際,脳内では多種のグリア細胞と神経細胞が相互に影響し合うことで,生理的/病理的役割を果たす.我が国の最先端の研究技術により,多様なグリア機能の包括的な読み出し(グリアデコーディング)が現在進められており,脳の理解は飛躍的に進むと期待される.
オピニオン
Editor's Eye
最前線
最前線
最前線
  • 齋藤 光象, 小泉 修一
    2022 年 58 巻 9 号 p. 853-857
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル 認証あり
    グリア細胞は、中枢神経系の大部分の容積を占める脳細胞の一種であり、大別するとアストロサイト、オリゴデンドロサイト、ミクログリアに分類される。これまで、脳の中核機能は神経細胞が担うと考えられてきたので、これらグリア細胞は殆ど注目されてこなかった。しかし最近の脳科学の大きな進歩により、グリア細胞が脳の情報処理・発信といった中枢神経系の中核機能制御に重要な役割を担うことが明らかにされている。このうちミクログリアは脳の自然免疫細胞であるが、病原体や異物の排除といった免疫細胞としての役割だけでなく、脳内の環境変化に素早く応答し、種々の脳機能、例えばシナプス形成、シナプス除去、神経ネットワーク再編、さらに神経細胞の活動制御など、脳の中核機能をダイナミックかつ多彩な様式で制御している。従って、ミクログリアは脳の生理機能及び病態生理機能の両者の制御において重要な役割を有していると言える。またこのようなミクログリアの作用は、中枢神経系の制御にとどまらず、末梢臓器の情報を感知してそれらを制御するなど、末梢と中枢のインターフェースとしての役割にも注目が集まっている。本稿では、特にミクログリアによる全身監視及び制御に関する最近の知見を紹介すると共に、ミクログリアと似て非なる細胞である中枢性マクロファージに関する知見も紹介する。
最前線
  • 健常時,発達期,病態期でのミクログリア
    和氣 弘明, 橋本 明香里
    2022 年 58 巻 9 号 p. 858-861
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル 認証あり
    電子付録
    アルツハイマー型認知機能障害、自閉スペクトラム症、統合失調症などの多岐にわたる疾患において、神経回路を決定するシナプスの異常を認める。近年の光学技術の発達に伴い、脳の免疫細胞であるミクログリアが、健常時、発達期、病態期の様々な場面で、シナプスと直接の接触を繰り返し、その新生、除去、維持、活動の制御などの多岐にわたる役割を果たすことが解明されてきた。本稿では、ミクログリアとシナプスに関する最新の知見をまとめ、今後の疾患研究への展望について議論する。
最前線
  • 濵﨑 祐斗, 杉浦 圭, 星野 歩子
    2022 年 58 巻 9 号 p. 862-867
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル 認証あり
    電子付録
    エクソソームとは,全ての細胞から産生される,直径 30~150 nmの脂質二重膜を持つ小胞であり,細胞間コミュニケーションツールとして働いていると言われている。近年,がんなどの疾患において,エクソソームの疾患促進的機能分子としての働きについて研究が進められている。本稿では特に脳に着目し,他臓器と脳との間の臓器連関を担うエクソソームに含まれるタンパク質や核酸が,脳内にどのような影響を与えうるのか,また脳内局所におけるエクソソームを介した細胞間コミュニケーションについても紹介する。
最前線
最前線
最前線
承認薬の一覧
  • 新薬紹介委員会
    2022 年 58 巻 9 号 p. 882
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル 認証あり
    本稿では厚生労働省が新たに承認した新有効成分含有など新規性の高い医薬品について,資料として掲載します.表1は,当該医薬品について販売名,申請会社名,薬効分類を一覧としました.
    本稿は,厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課より各都道府県薬務主管課あてに通知される“新医薬品として承認された医薬品について”等を基に作成しています.今回は,令和4年6月20日付分の情報より引用掲載しています.また,次号以降の「承認薬インフォメーション」欄で一般名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果などを表示するとともに,「新薬のプロフィル」欄において詳しく解説しますので,そちらも併せて参照して下さい.
    なお,当該医薬品に関する詳細な情報は,医薬品医療機器総合機構のホームページ→「医療用医薬品」→「医療用医薬品 情報検索」(http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/)より検索できます.
承認薬インフォメーション
  • 新薬紹介委員会
    2022 年 58 巻 9 号 p. 883
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル 認証あり
    本稿では既に「承認薬の一覧」に掲載された新有効成分含有医薬品など新規性の高い医薬品について,各販売会社から提供していただいた情報を一般名,市販製剤名,販売会社名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果を一覧として掲載しています.
    今回は,58巻7号「承認薬の一覧」に掲載した当該医薬品について,表解しています.
    なお,「新薬のプロフィル」欄においても詳解しますので,そちらも併せてご参照下さい.
日本ベンチャーの底力 その技術と発想力
薬用植物園の花ごよみ
  • 三宅 克典
    2022 年 58 巻 9 号 p. 888-889
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル 認証あり
    電子付録
    東京薬科大学薬用植物園は、4.1haの敷地を有し、約2,700分類群の植物が展示・栽培されている。教育面では、学生対象のゼミナールでの活用に加え、植物説明板を充実させ、手ぶらでも学習できるような環境の構築に取り組んでいる。また、社会貢献として、無料一般公開のほか、公開講座の開催、市民大学での活用があげられる。研究面では、材料提供からエキスライブラリの作製、さらには栽培研究に取り組んでいる。薬用植物園は、大学広報にとって有力なツールであり、大学の特色を出せるような園を目指している。
期待の若手
期待の若手
トピックス
  • 安井 基博
    2022 年 58 巻 9 号 p. 892
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル 認証あり
    カルボニル基は化合物の物性や生物活性に影響を与えるだけでなく,有機合成における反応部位としても広く利用されることから,カルボニル基を構築する際にはその位置制御が重要な課題である.なかでも,カルボニル基の位置を隣の炭素へ移動させる1,2-位置変換法は,より多様な出発原料から合成戦略を立案できるため魅力的な手法である.しかし,これまでに報告された方法では酸化,還元,保護基の着脱を逐次的に行う必要があり,工程数に課題があった. 今回DongらはエノールトリフラートをCatellani型アミノ化反応に適用することで,ケトンから2工程でカルボニル基の1,2-位置変換を可能とする手法を報告したので,本稿で紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Kane V. et al., Tetrahedron, 39, 345–394(1983).
    2) Wu Z. et al., Science, 374, 734–740(2021).
    3) Dong Z. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 54, 12664–12668(2015).
    4) Wang J. et al., Nat. Chem., 11, 1106–1112(2019).
  • 田良島(齊藤) 典子
    2022 年 58 巻 9 号 p. 893
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル 認証あり
    新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する初の経口治療薬として,モルヌピラビルが承認された.モルヌピラビルは,NHC(N4-hydroxycytidine)の5′-水酸基をイソブチリル化した化合物である.NHCそのものは古くから知られた化合物であり,様々なRNAウイルスに対して幅広く抗ウイルス効果を発揮する.本稿では,モルヌピラビルをいち早くより多くの患者に届けるために開発された,2つの生体触媒反応を含む,まさに芸術的な合成法を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Yoon J. J. et al., Antimicrob. Agents Chemother., 62, e00766-18(2018).
    2) Mclntosh J. A. et al., ACS Cent. Sci., 7, 1980–1985(2021).
    3) Zhou S. et al., J. Infect. Dis., 224, 415–419(2021).
  • 吉村 彩
    2022 年 58 巻 9 号 p. 894
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル 認証あり
    抗菌剤開発には,常に耐性菌の出現がつきまとう.蔓延する多剤耐性菌に対して新規抗菌剤,ワクチンやファージセラピーなどの開発が進んでいるが,有効な治療法は確立されていない.本稿では,既存抗菌剤の生合成遺伝子をもとにしたゲノムマイニングと化学合成により,薬剤耐性を克服する新規抗菌剤候補化合物を見いだしたWangらの研究を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Aslam B. et al., Infect. Drug Resist., 11, 1645–1658(2018).
    2) Wang Z. et al., Nature, 601, 606–611(2022).
  • 松尾 和哉
    2022 年 58 巻 9 号 p. 895
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル 認証あり
    タンパク質同士が近接して起こる相互作用は,代謝やシグナリングなどの細胞応答を制御する.近年,タンパク質間相互作用を制御・操作するための分子ツールとして,chemical inducer of proximity(CIP)が注目される.なかでも,ラパマイシンは最もよく研究されているCIPで,FKBP12およびFRBと三者複合体を形成する.これまでラパマイシンのCIPとしての有用性が明らかにされてきたが,ラパマイシンはほ乳類細胞に内在するmTORとも相互作用するため,系が複雑化することがある.この課題に対し,植物ホルモンであるアブシジン酸(ABA) を,ほ乳類細胞において直交して機能するCIPとして利用する試みが近年注目を集めている.これまでに,変異導入したABA受容体PYR1(PYRMandi)が殺菌剤であるMandipropamid(Mandi)と特異的に結合することが報告されている.本稿では,このPYRMandiを利用し,ほ乳類細胞における三者複合体を形成する分子ツールとしてのMandiの可能性を示した報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Stanton B. Z. et al., Science, 359, eaao5902(2018).
    2) Choi J. et al., Science, 273, 239–242(1996).
    3) Liang, F. -S. et al., Sci. Signal., 4, rs2(2011).
    4) Park S. -Y. et al., Nature, 520, 545–548(2015).
    5) Ziegler M. J. et al., Nat. Chem. Biol., 18, 64–69(2022).
  • 安藤 眞
    2022 年 58 巻 9 号 p. 896
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル 認証あり
    がん抗原特異的キメラ抗原受容体T(chimeric antigen receptor T: CAR T)細胞療法は,血液がんに対して極めて高い治療効果が認められるが,固形がんに対する治療効果は乏しい.その大きな要因の1つとして,CD8T細胞の「疲弊」が挙げられる.CD8T細胞は,がんやウイルスなどの慢性的な抗原刺激やその微小環境によって「疲弊」し,次第に抗腫瘍活性を失う「機能不全」に陥る.しかし,CAR T細胞の機能不全メカニズムは不明な点が多い.本稿では,機能不全CAR T細胞の制御機構を明らかにし,CAR T細胞療法による固形がん治療の新たな可能性を示した文献を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Larson R. C., Maus M. V., Nat. Rev. Cancer, 21, 145-161(2021).
    2) Good C. R. et al., Cell, 184, 6081-6100(2021).
    3) Leong J. W. et al., Clin. Immunol., 177, 60-69(2017).
    4) Malhotra N. et al., J. Exp. Med., 215, 2887-2900(2018).
    1) Larson R. C., Maus M. V., Nat. Rev. Cancer, 21, 145-161(2021).
    2) Good C. R. et al., Cell, 184, 6081-6100(2021).
    3) Leong J. W. et al., Clin. Immunol., 177, 60-69(2017).
    4) Malhotra N. et al., J. Exp. Med., 215, 2887-2900(2018).
  • 遠藤 京子
    2022 年 58 巻 9 号 p. 897
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル 認証あり
    特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis: IPF)は,進行性の肺の瘢痕化を特徴とする慢性疾患である.その生存期間の中央値は3年であり,効果的な治療法はなく,その病因についても未だ不明な点が多い.線維芽細胞は,線維症の病因となるコラーゲンなどのマトリックスタンパク質の沈着に重要な役割を果たしており,線維芽細胞の異常な活性化が炎症や線維化の起点となり,IPFの病態形成に関与している.近年,肺線維症の新しい治療標的細胞として線維化促進効果を有するマクロファージが注目されている.本稿では,肺線維症における単球由来マクロファージ(monocyte-derived macrophage: moMac)による線維化促進メカニズムについて紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Bhattacharyya A. et al., Am. J. Physiol. Lung Cell Mol. Physiol., 322, L495-L502(2022).
    2) Martinet Y. et al., N. Engl. J. Med., 317, 202-209(1987).
    3) Aran D. et al., Nat. Immunol., 20, 163-172(2019).
  • 岸本 直樹
    2022 年 58 巻 9 号 p. 898
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル 認証あり
    ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus: HIV)感染症は,世界三大感染症の1つである.1981年に初めてのAIDS症例が報告され,1983年にはLuc Montagnier博士とFrançoise Barré-Sinoussi博士によってウイルスが分離・同定された(2008年にノーベル医学生理学賞を受賞).全世界のHIV感染者数は2020年末時点において3,700万人を超えており,HIV感染症が世界的に重大な公衆衛生上の問題であることに疑いの余地はない.HIVの発見から約40年が経ち,副作用プロファイルが佳良な抗HIV療法(ART)が臨床に供されているが,根治は達成されていない.この背景には,HIV潜伏感染細胞(リザーバー)を生体内から除去できない,という最大の問題がある.リザーバーは,自身のゲノムにHIVゲノムが組込まれていながらウイルス産生を停止している細胞である.ARTによって,血中ウイルス量を検出限界以下に保ちAIDS発症を抑えることは可能となったが,リザーバーは生体内に残存するためにHIV感染者は生涯にわたり服薬を続けなければならない.本稿では,リザーバーを生体内から除去する新しいアプローチとして提唱されている“shock and kill”においてnatural killer(NK)細胞を使用した研究を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Barre-Sinoussi F. et al., Science, 220, 868-871(1983).
    2) Kim J. T. et al., Nat. Commun., 13, 121(2022).
    3) Katlama C. et al., Lancet, 381, 2109–2117(2013).
  • 林 太祐
    2022 年 58 巻 9 号 p. 899
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル 認証あり
    非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease: NAFLD)とはアルコール摂取が原因ではない脂肪肝であり,主にはメタボリックシンドロームに起因し,アルコール性肝障害,ウイルス性肝障害,薬物性肝障害など他の肝疾患と区別される.さらにNAFLDは,病態がほとんど進行しない非アルコール性脂肪肝(NAFL)と非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に分類され,特にNASHは肝硬変や肝がんの原因となりやすい.各国の有病率は25%程度であり,アフリカ以外は地域差がなく,日本でも約30%と報告されている.生活習慣の是正が主な治療方法であり,糖尿病を合併している場合は,糖尿病治療としてピオグリタゾン,SGLT2阻害薬,GLP-1受容体作動薬(以下,GLP-1RA)の使用は2型糖尿病合併症例においてガイドラインで推奨されているが,NAFLDの適応症を有した治療薬は我が国に存在しない.
    本稿では,糖尿病治療薬であるGLP-1RAのセマグルチドが新たな治療の選択肢と成り得る可能性を示した報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Lonardo A. et al., Hepatology, 64, 1388-1389(2016).
    2) Hamaguchi M. et al., World J. Gastroenterol., 18, 1508-1516(2012).
    3) Chavez C. P. et al., J. Clin. Endocrinol. Metab., 107, 29-38(2022).
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