脳神経外科ジャーナル
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24 巻, 3 号
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特集 脳動脈瘤と脳動静脈奇形の最新治療
  • —合併症回避に向けて—
    中山 若樹
    2015 年 24 巻 3 号 p. 152-158
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/25
    ジャーナル フリー
     脳動脈瘤の手術において, 特に留意すべき合併症とその回避法として, 以下の4点を詳述する. 1) 分岐血管のkinking狭窄およびネック裂け : closure lineの理屈にのっとり, 形成的クリッピングをすることで狭窄は回避でき, 血管の可動性を得ることによって無理な力はかからずネック裂けは起こさずに済む. 2) 穿通枝障害 : 認識不足によるclipでの挫滅, 起始部のkinkingや引き抜き損傷などで発生する. これを防ぐには, 良好な視認性と十分な剝離が重要である. 3) 静脈性障害 : 前述した2つの事項の実現には間口の広い術野での自在な視軸と操作軸が必要である. 静脈は徹底的に剝離フリーにすることでその温存と両立する. 4) 母血管遮断による虚血合併症 : 一時遮断が長時間になることが予想されるときには, その間の保護としてのバイパス使用を逡巡なく行うべきである.
  • —合併症回避を中心に—
    松丸 祐司, 天野 達雄, 佐藤 允之
    2015 年 24 巻 3 号 p. 159-164
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/25
    ジャーナル フリー
     脳動脈瘤塞栓術は低侵襲な治療法であるが, 脳動脈瘤壁の脆弱性とデバイス留置による血栓形成のため, 術中破裂などの出血性合併症と, 血栓症や塞栓症などの虚血性合併症が低頻度であるが生じ得る. 3mm未満の小型動脈瘤, 大型, ワイドネック, ステント併用, 破裂急性期例に合併症は多く, 適切な周術期抗血栓療法, 適切なワーキングプロジェクションで予防する. 術中破裂に対してはバルーンやコイルによる止血, 開頭治療への変更を, 虚血性合併症には抗血栓療法の強化, 血管内治療による再開通を考慮する.
  • 清水 宏明, 松本 康史, 遠藤 英徳, 井上 敬, 藤村 幹, 冨永 悌二
    2015 年 24 巻 3 号 p. 165-172
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/25
    ジャーナル フリー
     クリップやコイルで治療困難な脳動脈瘤に, 開頭・血管内複合手術が行われる場合がある.
     症例提示 : 1) 海綿静脈洞部巨大内頚動脈瘤に術前バルーンテスト閉塞の所見をもとにバイパス術+親動脈閉塞, 2) 破裂椎骨動脈解離の血管内親動脈閉塞術に先立ち閉塞される後下小脳動脈にバイパスを施行, 3) 巨大脳底-上小脳動脈瘤の瘤壁から起始する上小脳動脈にバイパス作成後, 瘤内コイル塞栓術, 4) 内頚動脈kissing aneurysmsに対するクリッピング術中に断念し瘤内コイル塞栓術, 5) 脳底動脈先端部瘤のコイル塞栓術中に不完全閉塞になることが判明し断念, クリッピング施行.
     複合手術では両治療チームの協働が重要である.
  • —直達術の立場より—
    栗田 浩樹, 竹田 理々子, 池田 俊貴, 吉川 雄一郎, 伏原 豪司, 大井川 秀聡, 小倉 丈司, 石原 正一郎
    2015 年 24 巻 3 号 p. 173-179
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/25
    ジャーナル フリー
     高難度脳動脈瘤 (AN) および脳動静脈奇形 (AVM) に対する直達術と血管内手術の同時手術 (hybrid surgery) の初期治療経験について報告する. 手術は全例でhybrid ORを使用し, AN症例ではclippingで動脈瘤のneck形成あるいはdome clippingを行い, 引き続きremnantに対してcoil塞栓を行った. AVM症例では開頭後にstrategic feederに対するNBCA/Onyxによる塞栓を行い, 引き続きnidusを摘出した. 術後は全例でAN/AVMの完全な消失が確認され, 良好な予後 (mRS 0-2) が得られている. 高難度ANやAVMに対して, 必要に応じて術中3D-angiographyや塞栓術が施行できるhybrid ORの有用性は高い. Hybrid surgeryは今後multimodal treatment時代の一つの治療optionとなり得る. 代表的症例を用いて手術の基本strategyを提示する.
  • —塞栓術の役割—
    石井 暁, 宮本 享
    2015 年 24 巻 3 号 p. 180-188
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/25
    ジャーナル フリー
     脳動静脈奇形 (AVM) はきわめて多様性に富む病変であり, 本邦では, 開頭手術・血管内治療・放射線治療のそれぞれの長所短所を活かした集学的治療が広く実践されている. なかでも, 血管内治療による塞栓術は, 非接着性液体塞栓物質Onyxが認可された後, きわめて重要な役割を果たしている. 単独でも塞栓術の根治性は大きく向上したが, 特筆すべきは, 開頭摘出術中の出血コントロールがきわめて容易になることである. 一方で, n-Butyl-cyanoacrylate (NBCA) は自由な濃度調整が最大の利点であり, Onyxが苦手とする高流量流入動脈の塞栓や標的塞栓術の中心的役割を今なお担っている. また, 開頭摘出術の優れた根治性と定位放射線治療の低侵襲性は塞栓術では実現が難しく, 集学的治療において重要な役割を果たしている. 本稿では, 本邦におけるAVM治療の現況とARUBA研究結果を比較検証し, 今後のAVM治療のあるべき姿を考察する.
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