1961年10月茨城県下の一牧場において6カ月令競走馬の ringworm の一症例を診断した. その臨床症状について観察するとともに, 菌学的検査を実施した. Ringworm 病変は直径約3cmで, 右後肢の脛部内側に位置し, 病変部から採取した被毛を材料として培養検査を行った結果, 多数の macroconidia と少数の microconidia を有する一種の菌を分離した.本分離菌は肉眼的および顕微鏡的形態によって, Microsporum gypseum (Bodin) Guiart and Grigorakis, 1928と同定された. またた分離菌をもって人工感染試験を行なったモルモットの感染部位には主として痂皮内に, arthros-pores が鎖状もしくは集団的に配置しているのが認められ, 本菌は明らかにモルモットに対して病原性を示した.
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