MSB1細胞をはじめとするマレック病 (MD) 腫瘍由来株化細胞の表面抗原の解析のため, マウス骨髄腫細胞と, MSB1細胞で免疫したマウスの脾細胞とを融合させて単クローン性抗体を作出した。MD腫瘍付随表面抗原 (MATSA) に対する抗体を分泌する3種類の融合細胞を選択し,その性状について検討を行なった。これらの融合細胞由来の抗体はIgG
1型であり, MSB1細胞を用いて膜螢光抗体法で求めた抗体価は培養上清で 5
2-5
3, マウス腹水で5
5-5
7であった。これらの抗体のうち1種 (2B9) は MSB1細胞のMATSAに特異的であったが他の2種 (2D5,2D8) はMSB1細胞だけではなく, 他のMD腫瘍由来株化細胞とも反応した。これらの抗体はまた, 野外淘汰鶏由来のMD腫瘍細胞とも反応したが, MATSA陽性細胞の出現率は5-34%とさまざまであった。これらの抗体は正常鶏のリンパ組織, MDウイルス (MDV)接種鶏腎培養細胞, MDV接種ウズラ腔線維芽細胞, 1日齢鶏および成鶏の赤血球とは反応せず, さらに, 牛, 羊, 馬の赤血球とも反応しなかった。これらの抗体のMSB1細胞ならびにMD腫瘍細胞に対する特異性は吸収試験で確認された。また, これらの抗体のMSB1細胞に対する反応性は同一の抗体による細胞の処理で阻止されたが, 他の抗体では阻止されなかった。
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