冬季(1月)に, 4頭の非泌乳雌羊に対し, 一定飼養条件下で自然状態の飲水(5.4℃: 冷水)から加温飲水(26.8℃: 温水)へ切りかえ給与し, 水, MgおよびCa代謝の変化とそれらの相互関係を調べ, 以下の成績を得た。1) 1日の飲水量および尿排泄量は, 全例で有意に増加し(60-102%および65-118%), 実験期間を通じ, 飲水量(X: ml/kg
lt;0.75>体重/日)と尿排泄量(Y: ml/kg
lt;0.75>体重/日)との間に有意の正の相関(y=0.83x-16.84, P<0.001)が認められた。2) Mgは, 全例で血清濃度が有意に上昇し, 消化管からの吸収量および腎臓での再吸収量の増加が示唆された。3) Caは, 血清濃度が2頭で有意に低下し, 2頭で変化しなかったことから, 水の吸収量の増加はCaの吸収に影響しないことが示唆された。4) 実験期間を通じ, 血清Mg濃度(ml/100ml)と尿中Ca濃度(mg/100ml)との間に有意の負の相関(y=-6.45x+19.32, P<0.01)が認められた。5) 羊No. 3は, 飲水量, 尿排泄量, MgおよびCaの尿中排泄量が他の3頭に比べ著しく多く, 腎臓の機能障害がうたがわれた。6) 冬季の飲水温度低下による水摂取の抑制はMg吸収量を減少させること, MgとCaの吸収様式が異ること, 水, MgおよびCaの代謝調節に腎臓機能が重要であること, などが示唆された。
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