日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Online ISSN : 1881-1442
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ISSN-L : 0021-5295
48 巻, 5 号
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  • 大浪 洋二, 菊池 元宏, 大沼 秀男
    1986 年 48 巻 5 号 p. 863-871
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    排卵時の卵胞の成熟度を規制して, 牛の黄体形成不全の実験的発生を試みた。黄体期の成牛に対しPGF-analogue 1.0mgを投与後, 16時間(1群: 4頭), 32時間(II群: 4頭)および48時間(III群: 3頭)にGnRH-analogue 200または1,000μgを投与した。I群, II群およびIII群には, それぞれGnRH-analogue 注射後平均37.5, 20.0および24.7時間に排卵が誘起された。I群とII群, 計8頭の誘起排卵後の黄体形成はいずれも不良で, 性周期は著しく短縮した。III群の黄体形成は3頭のうち1頭が良好であったが, 他の2頭の黄体は小型であった。I群4頭, II群3頭, III群2頭について誘起排卵後の血中progesteroneの消長を調べたが, I群とII群は低値のまま推移し, III群は黄体形成の良好な例では正常性周期とほほ同じ経過をたどり, 小型黄体の例では短期間の増加が認められた。以上の成績から, 排卵時の卵胞成熟度と黄体形成不全の成因との関連が示唆された。
  • 高橋 雄二, 飯田 正明, 小田 憲司, 城戸 靖雅
    1986 年 48 巻 5 号 p. 873-878
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ベンジルペニシリン20,000units/kgを24頭のウシに投与し, 5頭については投薬前および投薬後0.5, 1, 2, 4, 8, 12時間, 1, 2, 3, 4, 7, 9, 11, 14および21日に肝臓組織を採取した(反復生検群)。他のウシを投薬後3, 7, 14および21日に屠殺解剖し, それぞれ肝臓組織を得た(逐次屠殺群)。投薬後3および7日に屠殺解剖したウシについて屠殺前2時間以内に生検を行い, 肝臓組織を採取した。生検試料と生検直後に屠殺解剖して得た屠体試料中のPC-G濃度の間に有意差(p=0.05)は認められず, 投薬後3および7日の反復生検群のPC-G濃度と同時点の逐次屠殺群との間にも有意差は認められなかった。また, 両群の薬物動態学的パラメーターおよび減衰直線はよく一致した。以上から, ウシ肝臓中の薬物の休薬期間を設定する場合において反復肝臓生検による薬物残留評価法は従来の逐次屠殺法に代わる有用な方法であると考えられた。
  • 村上 敏明, 平野 紀夫, 井上 玲, 千歳 健一, 土屋 耕太郎, 小野 勝彦, 柳原 敬
    1986 年 48 巻 5 号 p. 879-885
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    牛ロタウイルスおよび牛コロナウイルスで免疫した牛の血清および初乳々清から免疫グロブリン分画を採り, 人工初乳(AC)を作成した。両ウイルスの流行が確認されている2ヶ所の肉牛牧場で, 早春の下痢多発時期に野外試験を行なった。出生した仔牛を直ちに同数の2群に分け, 実験群には補足的にACを3回, 1日おきに給餌した。他の群は対照とした。AC投与により下痢発症を完全に防ぐことはできなかった。下痢の初発日齢, 持続日数, 症状の程度の点で, AC群と対照群との間に若干の差がみとめられた。仔牛血中の免疫グロブリン濃度または抗体価の平均値では, 両群の間に差がみられなかった。1組の双生子において, 仔牛血中の免疫グロブリン濃度および症状に対するACの効果が直接にみられた。AC給餌は野外における初生仔牛下痢症の防除に有効とみなされた。
  • 浅野 隆司, 保刈 成男
    1986 年 48 巻 5 号 p. 887-891
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    銅による溶血とSuperoxide dismutase (SOD) との関連性を検討するため, in vitroでウシ赤血球に硫酸銅(0.1及び0.5mM)を作用させ, 経時的にSOD活性及び溶血度の測定を行った。溶血に先行してSOD活性は著明に低下し, 硫酸銅処理開始12時間後には0.1及び0.5mM硫酸銅処理赤血球において, それぞれ処理開始時の活性(2.8×103units/gHb)の50%及び15%に減少した。溶血はSOD活性の減少に伴って進行し, 24時間後における溶血度は0.1及び0.5mM硫酸銅処理赤血球でそれぞれ30%及び80%であった。これらSOD活性の低下, 溶血の進行はグルコースの添加によって著明に抑制された。
  • 志賀 瓏郎
    1986 年 48 巻 5 号 p. 893-899
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    冬季(1月)に, 4頭の非泌乳雌羊に対し, 一定飼養条件下で自然状態の飲水(5.4℃: 冷水)から加温飲水(26.8℃: 温水)へ切りかえ給与し, 水, MgおよびCa代謝の変化とそれらの相互関係を調べ, 以下の成績を得た。1) 1日の飲水量および尿排泄量は, 全例で有意に増加し(60-102%および65-118%), 実験期間を通じ, 飲水量(X: ml/kglt;0.75>体重/日)と尿排泄量(Y: ml/kglt;0.75>体重/日)との間に有意の正の相関(y=0.83x-16.84, P<0.001)が認められた。2) Mgは, 全例で血清濃度が有意に上昇し, 消化管からの吸収量および腎臓での再吸収量の増加が示唆された。3) Caは, 血清濃度が2頭で有意に低下し, 2頭で変化しなかったことから, 水の吸収量の増加はCaの吸収に影響しないことが示唆された。4) 実験期間を通じ, 血清Mg濃度(ml/100ml)と尿中Ca濃度(mg/100ml)との間に有意の負の相関(y=-6.45x+19.32, P<0.01)が認められた。5) 羊No. 3は, 飲水量, 尿排泄量, MgおよびCaの尿中排泄量が他の3頭に比べ著しく多く, 腎臓の機能障害がうたがわれた。6) 冬季の飲水温度低下による水摂取の抑制はMg吸収量を減少させること, MgとCaの吸収様式が異ること, 水, MgおよびCaの代謝調節に腎臓機能が重要であること, などが示唆された。
  • 志村 亀夫, 伊藤 進午
    1986 年 48 巻 5 号 p. 901-908
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ネコにヤギの筋肉を食べさせたところ, 43日後からトキソプラズマ様オーシスト (G-8株)を排出した。オーシストは類円ないしは卵円形で, 大きさは12.7×11.5μm (胞子未形成)および13.0×11.4μm (胞子形成後)であった。胞子形成オーシスト105個をマウスに経口投与したところ, タキゾイトが肺臓, 脾臓, 腎臓, 小腸および腸間膜リンパ節に1日目から15日目まで観察され, シストが骨格筋に9日目から認められ, その後, 心筋, 舌, 食道, 横隔膜および脳にも認められた。摂食後181日のシストの大きさは筋肉内で25~224×20~80μmで, 脳では35×35μmであった。一部の感染マウス血清に抗トキソプラズマ抗体が認められたが, 抗体価は低かった。シストは他のマウスへの感染性を示さなかったが, シストを食べたネコは7~8日後からオーシストを排出した。ネコにG-8株のオーシストを経口投与してもオーシストを排出せず, またそのネコの筋肉を食べたネコもオーシストを排出しなかった。G-8株は生活環が obligatorily heteroxenousであることと, 筋肉内のシストの形態から Hammondia hammondi (Frenkel and Dubey 1975)と同定され, わが国にも本原虫が存在することが明らかとなった。
  • 鎌田 洋一, 小崎 俊司, 永井 隆文, 小笠原 準, 阪口 玄二
    1986 年 48 巻 5 号 p. 909-914
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ボツリヌス菌E型毒素に対するモノクローナル抗体(E13)を用いて, 種々の様式のELISAの評価を試みた。E13はボツリヌス毒素を, ポリクローナル抗体と同程度に中和した。ポリスチレンプレートのウエル表面に, 抗原を直接吸着させる様式のELISAでは, E13は毒素とは全く反応せず, トキソイドとのみ反応した。ペルオキシダーゼ識式E13と毒素とを予めインキュベート後, プレートのウエル表面に吸着させたトキソイドと反応させた結果, 標識E13のトキソイドへの結合量は減少した。125I-標識毒素を用いるRIAにより, E13は溶液中で毒素と結合することを直接証明できた。ウサギ抗毒素をウエル表面に吸着させ, 次に抗原を加えて固定化した上にE13を反応させると, E13は固相に吸着した毒素とも反応した。以上の成績は, ボツリヌス毒素は一定の規則に従ってポリスチレン材表面に吸着し, 吸着する際, 一部の抗原決定基が隠れることを示している。これを避けるには, 抗体を予め吸着させてから抗原を固定化する, いわゆるsandwich ELISAが有効であることが明らかとなった。
  • 林 恭行, 児玉 洋, 石垣 克至, 見上 彪, 伊沢 久夫, 酒井 勝信
    1986 年 48 巻 5 号 p. 915-924
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    無症状のヤマメから分離されたヘルペスウイルス(H-83株)の性状を検討した。H-83株はサケ科魚類由来株化細胞では培養温度15℃で最もよく増殖し, 融合多核巨細胞形成を特徴とするCPEを示し, 核内に封入体を形成したが, サケ科魚類以外の株化細胞では増殖しなかった。有機溶媒, 酸および熱に対し感受性を示し, またIUdRを含む培地ではウイルスの増殖は著しく抑制された。ウイルスキャプシドの直径は約103~118nm, エンベロープの直径は約250nmであった。蛍光抗体法によりH-83株感染細胞に, 細胞内抗原および膜抗原が検出された。サケ科魚類由来ヘルペスウイルスであるOncorhynchus masuo virus (OMV) (ヤマメから分離)およびHerpesvirus salmonis (H. salmonis) (ニジマスから分離)との交差中和試験の結果, 各ウイルスはそれぞれ同種の抗血清によってのみ中和され, 異種の抗血清では中和されなかった。一方, ウイルス感染細胞より抽出したウイルスDNAの制限酵素切断パターンを比較したところ, H-83株DNAの切断パターンはONVのそれに類似するが, H. salmonisとは明らかに異なるものであった。
  • 昆 泰寛, 橋本 善春, 北川 浩, 工藤 規雄
    1986 年 48 巻 5 号 p. 925-931
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ニワトリ腎臓における糸球体傍細胞(JG cell)内果粒と糸球体血管間膜細胞および血管内皮細胞内に存在するライソゾーム様果粒の性状を, 酸性フォスファターゼの検出およびコロイダルカーボンに対する貧食能とで比較した。酸性フォスファターゼは糸球体内血管内皮細胞, 血管間膜細胞およびJG cell内に強く局在し, 果粒内ならびに果粒膜の他いわゆるGERLにも局在した。JG cell内果粒の反応は多様性を示し, 全く反応を示さないものから強い局在を示すものまで種々存在した。カーボン粒子投与後1日目では血管内皮細胞内に, 1-4週目では血管間膜細胞内にカーボン粒子がみとめられ, とくに4週目では間質内に食細胞小島が形成されていた。しかし, JG cell内のカーボン粒子は全観察期間を通じてみとめられなかった。これらの結果はJG cell内の酸性フォスファターゼが貧食能に関係するものではないことを示唆するものと思われる。なお, その存在意義を果粒の産生と関連させて考察した。
  • 岡本 芳晴, 大友 勘十郎, 小池 寿男
    1986 年 48 巻 5 号 p. 933-941
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    24頭の正常牛の内側膝蓋靭帯を切断し, その切断端間を術後7~201日の期間, 肉眼的および組織学的に観察した。手術直後から跛行を示さず, 全例において切断部位の癒着はみられなかった。肉眼的観察から, 修復時期を3期に区分すると, 初期には切断端間隔がほとんど一定(19mm±S.D(17-23mm))で, 中期には同間隔が伸長する傾向(23mm±S.D(13-33mm))がみられ, 後期には短縮(14mm±S.D(7-27mm))した。切断端間を満たす組織は, 初期では粗鬆な結合組織であったが, その後切断端部で線維芽細胞が長軸方向に密に配列し, 漸次切断端間中央方向へ進行した。術後201日には, 間隔を埋める組織は細胞密度, 膠原線維の走行などにおいて靭帯組織と同様であった。
  • 川合 覚, 高橋 清志, 其田 三夫, 黒沢 隆
    1986 年 48 巻 5 号 p. 943-949
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    透過型電子顕微鏡を用いて, 牛赤血球内のBabesia ovataを観察した。merozoiteは梨子状または双梨子状を呈し, 外膜と不連続な2層の内膜によって囲まれ, 内部には大型核, polar-ring, rhoptry, microneme, spherical body, endoplasmic reticulum, および food-vacuoleが認められた。spherical bodyは低電子密度の領域と連続した1層の膜構造により囲まれ, 内部には特徴的な紡錘形顆粒が多数認められた。trophozoiteはアメーバ状を呈し, 1層の外膜によって囲まれ, 1個の核, 数個のcistern-vacuole以外に目立った内部構造は認められなかった。trophozpiteは発育に伴い multiplication stageに移行し, やがて内部諸器官を有するdaughter-cellが形成され, 双梨子状の merozoiteへと発育した。B ovataの感染赤血球の表面全域には約7.4nmの雲絮状構造物が多数認められた。また感染赤血球の細胞質内には大きさの異なる紡錘形の顆粒が集合または散在して観察された。以上の赤血球内寄生位置, 形, 大きさ, および内部諸器官の点でB. bigeminaと酷似していた。
  • 高橋 秀之
    1986 年 48 巻 5 号 p. 951-956
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    寒冷環境下での膵内分泌および副腎皮質ホルモンの分泌能を知るため, 常温環境(22℃, 60%相対湿度)あるいは寒冷環境(2℃, 60%相対湿度)の第1, 4, 7, および10日に去勢雄仔豚の静脈内にグルコース(1.25mmoles/kg)を投与し, 血漿インスリン, グルカゴンおよび11-ハイドロキシコルチコステロイド(11-OHCS)の濃度を調べた。常温環境時のグルコース投与にともなう血漿インスリン濃度の上昇は, 動物を寒冷環境に暴露することにより, さらに促進され, めん羊における所見とは異なった。血漿グルカゴン濃度は, 常温環境下ではグルコースを投与しても大きな変化は起こらなかったが, 寒冷環境下ではその濃度は3分後に大きく低下した。血漿11-OHCS濃度は, 常温環境下ではグルコース投与によってわずかに低下した。寒冷暴露することによりその低下反応はさらに促進されたが, その低下の程度は寒冷暴露第4日が最大であった。
  • 望月 雅美, 南 京子, 坂本 紘
    1986 年 48 巻 5 号 p. 957-964
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    イヌロタウイルスRS15株感染仔イヌを用いてロタウイルス感染症血清診断試験法について検討し, 南九州地域のイヌとネコの血清疫学調査に応用した。ウイルス経口投与後, 仔イヌは臨床症状を発現しなかったが, プラック減数中和試験(PRNT), 血球凝集抑制(HI)試験および逆受身血球凝集抑制試験により, 約1週間で抗体が陽転したが, 補体結合試験では2週間以後に陽転した。仔イヌ感染実験と野外イヌ血清を用いて検討した結果, HI試験はPRNTに代替可能な型特異抗体検出法であることが確認された。これらの方法を応用した疫学調査では, (1)本地域のイヌの約40%はすでにロタウイルスに暴露しており, RS15株血清型ウイルスの感染が主であること, さらに複数サブグループウイルスの感染の可能性があること, (2)ネコでは約30%がすでに抗体を有しており, RS15株と同一サブグループながら異型血清型ウイルスの感染・伝播があること, が示唆された。ヒト血清中にもRS15株に対するHI抗体活性が検出された。
  • 久米 勝巳, 長野 功, 中井 豊次
    1986 年 48 巻 5 号 p. 965-970
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    200頭の屠場搬入豚について, 細菌学的, 血清学的, ならびに病理学的検査をおこなった。外見上健康な計106頭(53%)の豚の鼻腔から103株(51.5%), 肺病巣部から37株(18.5%), 計140株(血清型2) H. pleuropneumoniae (Hpn)が分離された。37頭の肺病巣保有豚のうち34頭の肺病巣部と鼻腔に Hpnが存在した。補体結合(CF)抗体は103頭(51.5%)の豚で認められた。93頭(90.3%)の抗体陽性豚鼻腔からHpnが分離されたが, 抗体陰性豚からの分離は10頭(10.3%)にとどまった。一方, Hpnは抗体陰性豚の肺からは分離されず, 大部分の肺病巣保有豚は高いCF抗体価(16倍以上)を有していた。
  • 江島 博康, 黒川 和雄, 池本 卯典
    1986 年 48 巻 5 号 p. 971-976
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ネコ血漿中に抗-Caおよび抗-Cbの2種類の自然抗体が認められた。抗体の出現頻度は, 抗-CaはCb(+)型ネコの66.7%に, 抗-CbはCa(+)型の27.3%に認められた。抗体の凝集素価は, 抗-Caは1:64~1:128倍, 抗-Cbは1:2以下で, 溶血素価は抗-Caは1:16以下であり, 抗-Cbには溶血素活性はみられず, 力価の変動は季節とは一致しなかった。抗-Ca活性はIgMグロブリン分画にあった。赤血球型の出現頻度は299例中, Ca(+)型: 99.0%, Ca(-)型: 1.0%, Cb(+)型: 10.7%, Cb(-)型: 89.3%であり, 赤血球型の組合せにおいては, Ca(+)Cb(-)型: 89.3%, Ca(-)Cb(+)型: 1.0%,Ca(+)Cb(+)型: 9.7%であり, 両赤血球型を欠損する個体はみられなかった。各赤血球型出現頻度に性差や品種差はなく, また, Ca(+)型, Cb(+)型の遺伝様式は確定できなかった。特定のCa(+)型赤血球を用いて検索したネコ血漿中の凝集素出現頻度は加齢に伴って高くなった。
  • 鳥海 亘, 岡田 信彦, 河村 晴次, 藤原 公策
    1986 年 48 巻 5 号 p. 977-988
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    マウス初代培養肝細胞で増殖したラット由来Tyzzer菌('B. piliformis')RT株で免疫したBALB/cマウス脾細胞とNS1細胞の融合により, 単クローン抗体MAb-5F6, MAB-18C3を作出した。Western blottingおよび間接蛍光抗体法により, MAb-5F6は分子量約54,000の菌鞭毛成分を, MAb-18C3は分子量約73,000の菌体表面の成分を認識することがわかった。MAb-5F6は, RT株抗原のほかにマウス由来MSK, HanA株抗原とも反応したが, MAb-18C3はRT株抗原とのみ反応した。いずれのMAbも, in vivo, in vitroでの菌増殖・病変形成を抑制したが, MAb-5F6がより顕著な抑制効果を示した。
  • 石原 勝也, 佐々木 栄英, 北川 均
    1986 年 48 巻 5 号 p. 989-991
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    開胸をせず外頸静脈から肺動脈内の犬糸状虫を摘出できるフレキシブル・アリゲーター紺子を開発した。この紺子は, 全長570~620mm, 挿入部の長さ380~430mm, 外径3mmで屈曲操作性と把握機構を持ち, X線透視下で容易に肺動脈内に挿入できる。9頭の寄生犬を処置し, それぞれ4~33回の操作で肺動脈内の糸状虫が81.1%(90/111隻)~100%(9/9隻)摘出された。剖検上, 摘出操作による傷害は右心房または三尖弁の点状出血等軽度であった。
  • 久米 勝巳, 中井 豊次
    1986 年 48 巻 5 号 p. 993-997
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    H. pleuropneumoniaeの培養上清から調製したヘモリジンはコットンラット, モルモット, 及びブタ由来の肺胞マクロファージ(PMP)に対し顕著な細胞致死ならびに抗食菌作用を呈したが, マウス由来PMP細胞に対してはこれらの作用を示さなかった。認められた細胞障害作用における動物種特異性は本菌の種々な動物種に対する病原性を解明する上で重要な知見と思われた。
  • 高橋 美幸
    1986 年 48 巻 5 号 p. 999-1002
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ニワトリにスルファジメトキシン(SDM)投与後の主な排泄物で, SDMの非線形動態の原因と考えられる未知の代謝産物が, N1-(2-methoxy-6-hydroxy-4-pyrimidinyl) sulfanilamideであることを, マススペクトル, 赤外吸収スペクトル等により明らかにした。
  • 稲葉 俊夫, 森 純一, 鳥居 隆三
    1986 年 48 巻 5 号 p. 1003-1006
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    超音波エコー画像診断装置を用いてウサギの妊娠診断法の検討を行った。交配後6日頃より妊娠ウサギの子宮腔は円形に腫大しはじめ, 交配後9日以降は妊娠診断可能であった。妊娠18日を過ぎると, 胎仔の心臓の動きが観察でき, この時期からは胎仔の生死判定が可能であった。船齢は子宮腔の直径から推定可能であった。胎仔数は±2羽以内の誤差で予測できた。
  • 佐藤 繁, 鈴木 利行, 横山 亮一, 大島 寛一, 岡田 幸助
    1986 年 48 巻 5 号 p. 1007-1010
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    褐毛和種, 雌, 14歳牛で, 両側腎に大豆大ないし鶏卵大, 乳黄白色の新生物が多数認められた。腫瘍細胞は類円形ないし一部多形性で, 充実性増殖を示し, 腫瘍性増殖への移行を思わせる尿細管上皮の多層化増殖巣もみられ, 腎リンパ節のほか, 肝リンパ節, 脾および大網に転移巣が認められた。
  • 望月 雅美, 阿多 端代
    1986 年 48 巻 5 号 p. 1011-1014
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    イヌロタウイルスRS15株について, ポリアクリルアミド電気泳動法と免疫ブロッテイング法により, 少なくとも5種のウイルスポリペプチドが同定され, 血球凝集素はウイルス外殻に存在することが示された。他ロタウイルス株との交差試験結果から血球凝集阻止試験は中和試験に代えて型特異抗体検出法として応用できることが示唆された。
  • 浅野 隆司, 保刈 成男
    1986 年 48 巻 5 号 p. 1015-1019
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ポリアクリルアミドゲルを支持体として, ヘマトクリット用毛細管内でマウスの nonspecific esteraseの等電点電気泳動を行った。毛細管1本当りのゲル溶液量はわずか30μlであり, サンプル量もマウスの組識湿重量として50μg以下で十分であった。また, ゲル作成から染色終了までほほ2時間と極めて短時間の分析が可能であった。なお, マウスの10組織を試料として泳動を行ったところ, 合計31本のバンドが検出された。
  • 松田 治男, 江口 行生, 村田 昌芳
    1986 年 48 巻 5 号 p. 1021-1023
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    MDCC-MSB1-41C (MSB1-41C)株移植鶏の血清から精製した105Kgpの腫瘍細胞増殖に及ぼす影響をしらべた。105Kgp投与・移植鶏における腫瘍増殖は, 105Kgp非投与・移植鶏におけるそれと比較して有意に増加した。また, 培養MSB1-41C株の増殖は, 105Kgpを培地に添加することによって増加した。以上の事実から, 105Kgpが腫瘍細胞増殖のための効果的因子として働いている可能性が示唆された。
  • 後藤 仁, 種田 貴至, 品川 森一, 浜 恵津子
    1986 年 48 巻 5 号 p. 1025-1028
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ミンク腸炎ウィルス(MEV)の生物学的, 物理学的性状を, ネコ汎白血球減少症ウイルス(FPLV)およびイヌ・パルボウイルス(CPV)の各性状と比較検討した。交差HI反応, MDCK細胞での増殖性および血球凝集性において, MEVはFPLVとほほ同一の性状を示したが, 熱抵抗性とDNA制限酵素切断後の泳動像はCPVと同じであった。
  • 斎藤 徹
    1986 年 48 巻 5 号 p. 1029-1030
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    鋤鼻器官剔出成熟雄ラット(Wistar系)に新鮮な1~2日齢の新生仔を毎日6匹ずつ与え続け, 観察期間8日間における母性行動を調べた。鋤鼻器官剔出群9例と偽手術対照群8例の母性行動の出現率, 平均出現日数(±SE)は, それぞれ, 100%・12.5%, 4.9±1.0日・8日以上で, 成熟雄ラットにおいて, 鋤鼻器官剔出後に新生仔に対する母性行動の顕著な促進化が認められた(P<0.001)。
  • 町田 登, 山我 義則, 安田 準, 戸尾 祺明彦
    1986 年 48 巻 5 号 p. 1031-1035
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    心雑音ならびに運動不耐性を示した24ヵ月齢のホルスタイン種雌牛に超音波検査を実施した結果, 高位心室中隔欠損, 大動脈騎乗, 右心室肥大および肺動脈拡張が観察された。心臓カテーテル検査では肺動脈圧の軽度上昇が認められ, アイゼンメンゲル複合と診断された。
  • 田中 淳一, 椛 秀人, 斎藤 英郎, 瀬戸 勝男, 佐久間 勇次
    1986 年 48 巻 5 号 p. 1037-1040
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    視床下部外側野の電気刺激により, 視索上核へ軸索投射を持つ脳弓下器官ニューロンは興奮性反応または無反応を示した。この興奮性反応は, アンギオテンシンIIのアンタゴニストであるサララシンの電気泳動的投与により遮断された。
  • 谷澤 浩二, 水野 隆弘, 上田 耕司, 小山 生子
    1986 年 48 巻 5 号 p. 1041-1043
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    5例の猫において, 癲癇発作に対して長期のタウリン経口投与が効果的であった。抗癲癇薬を使用することなく, 脳波上の棘波と臨床症候は消失又は著明に減少した。
  • 宝達 勉, 栄木 隆郎, 井出 誠弥, 山岸 郭郎
    1986 年 48 巻 5 号 p. 1045-1048
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ウイルス感染細胞可溶化抗原を用いたELISA法によりEHV-1に対するウマの抗体検出を試みた。陽性血清との反応で, 抗原タンパク濃度5μg~1μg/wellでELISA値はほぼ一定値を示した。EHV-1不活化ワクチン接種後, 経過的に採取した血清でELISA値と中和抗体価の推移を比較した。ELISA値と中和抗体価は, ほほ類似した推移を示したが, 接種後, 1~2週後の血清ではELISA法の検出感度が優れていた。
  • 猪熊 寿, 廣田 好和, 長谷川 篤彦, 友田 勇
    1986 年 48 巻 5 号 p. 1049-1052
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Eロゼット沈降法およびEAロゼット沈降法によりウシの末梢血からIgGレセプター保有Tリンパ球(Tγ)を分離し, TγとEロゼット非形成細胞または末梢血リンパ球を, PWM存在下37℃で5日間培養し, プラーク形成細胞(PFC)を reverse hemolytic plaque assayにより検出した。Tγとの混合培養においてはPFC数の減少がみられ, TγはPFC発現に対して抑制効果を示すものと考えられた。
  • 田辺 昭
    1986 年 48 巻 5 号 p. 1053-1055
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ニワトリの脛骨神経周膜下にcolchicineを投与し, 一定時間後投与点に結紮をほどこし, 結紮点の両側のacetylcholinesterase (AChE, EC3, 1, 1, 7,)の活性を測定した。また, 同じく脛骨神経にcolchicineを投与し, 同神経支配の下腿三頭筋の重量の経時変化を見た。AChEの軸索内輸送及び下腿三頭筋の重量に対するcolchicineの抑制効果は投与後64日に及び, colchicineの作用がmicrotubuleを構成するtubulinを脱重合させる機序のみでないことが示唆された。
  • 町田 登, 山我 義則, 安田 準, 戸尾 祺明彦
    1986 年 48 巻 5 号 p. 1057-1062
    発行日: 1986/10/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    慢性間質性腎炎にともなうう^^・っ^^・血性心不全を示した14歳・雌のアイヌ犬に, 心電図検査ならびに血清検査を実施した結果, 心筋病変の存在を明らかに示唆する所見は得られなかったが, CPK-MBの割合の著しい増加が見られた。病理学的検索では左心室壁に梗塞巣および巣状心筋線維化が認められた。
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