SDDSの50倍散を市販の配合飼料に混じ,各群2匹の子豚に,薬剤実景それぞれ1.25mg,2.5mg,5.0mg,10.0mg/kg/dayを朝夕2回に分けて投与し続けた.薬剤投与後8日目に,トキソプラブマ原虫(自然感染豚より分離し,マウスにて継代中の)TT株の腹腔内感染(マウス腹腔内増殖型虫体5×106/pig),または経口感染(感染マウス2匹/pig)を実施した.その後,感染無投薬対照豚の発症が軽度であったので,経口感染群では,4日後にふたたび感染マウス2匹/pigを餌食せしめた.さらに10日後に眼結膜感染(5×106/pig)を行ない,腹腔内感染群では,28日後に,前報4)で使用したHG株の再接種(2×107/Pig)を試みた.その結果,1.25mg/kg/dayの投薬量でも,経口感染に対して抵抗を示し,発熱も,パラジテミアも完全に阻止された.一方,腹腔内感染群では,2.5mg,5.0mg,10.0mg/kg/day各群とも,完全に発病が阻止された.ただしバラジテミアは10.0mg/kglday群の1例に1回観察されたが,その他の供試豚では,すべて陰性を示した.試験豚計12例を,初回トキソプラズマ感染後60~74日の間に殺処分し,体内の諸臓器,リンパ節,筋肉等における原虫の存否を検索した.その結果,投薬群は全例陰性であったのに比し,対照群の半数では,心筋,横隔膜,肋間筋または脳から,原虫が検出された.以上の成績から,SDDS散剤の経口投与は,豚トキソプラズマ症感染防御にきわめて有効であることが認められた.
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