日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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33 巻, 6 号
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  • 板倉 智敏, 山極 三郎, 小野 威
    1971 年 33 巻 6 号 p. 277-290_7
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
  • 其田 三夫
    1971 年 33 巻 6 号 p. 291-294_1
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    臨床的に異常がない5例の健康馬で, 末梢血液中のリンパ球の微細構造を観察した. その結果, 本細胞の微細構造は, 基本的には, 従来, ひとおよび若干の動物で報ぜられているリンパ球のそれに一致することがわかった. なお, 光顕レベルで観察されるアズール顆粒に相当する顆粒の微細構造を明らかにし, これら顆粒の形および内部構造が多様であることを写真で示した.
  • 小田嶋 美喜代, 其田 三夫
    1971 年 33 巻 6 号 p. 295-300_1
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    従来, 牛では赤血球沈降速度が極端に遅いため, 末梢血から大量の白血球を収集することは, きわめて困難であることが知られている. 私たちは, 1958年 NAGEL らが報じている塩化アンモニウム液を用いた溶血法に注目し, まず10例の健康牛の末梢血を用いて, 収集方法について検討した. その結果, 血液と0.83%塩化アンモニウム液との混合比率は1:2, および混和時間は3分間が, 赤血球を全く含まず, かつ障害の少ない白血球を得るための望ましい方法であることを知った. 次いで, 本改良法を用いて, 10例の健康牛の末梢血から分離収集した白血球について, 新鮮血のそれを対照として, 血液学的検討を試みた. その結果, 正常細胞の減少, 破壊細胞およびいわゆる ghost cell の増加, エオジン可染性細胞の増加, 単球および好酸球の墨粒貧喰能の減退, 白血球白分比における好中球の増加およびリンパ球の減少が推計学的にそれぞれ有意であった. しかしながら, 正常細胞の出現率は, 平均89.95%となお著しく高く, また死亡細胞のそれは11.75%に過ぎなかった. 一方, 電顕的観察では, 細胞膜および細胞質内小器官に, 処理の影響と思われる所見を示す細胞もあったが, その程度は軽微であり, 大部分の細胞は, それぞれの細胞に固有な微細構造上の特徴像を, 充分保持していた. 以上のごとく, 本法を用いて収集した白血球では, 処理の影響をうけることは明らかではあるが, 本法は, その目的によっては, 充分有用な牛白血球の収集法と判断される.
  • 山田 一彦
    1971 年 33 巻 6 号 p. 301-314
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    COHN 6法と ONCLEY 9法(A, B)を用いて, 鶏血漿中蛋白質の特定の一成分のみを完全に他から分離し精製することは困難であるが, 主として, Albumin (Alb.) は Fraction (F)-V, α-globulins (globs.) は F-IV-5, β-globs. は F-IV-1, Fibri-nogen (Fib.) 群は F-I, γ-globs. は F-II-1, 2の各分画中に高率に含有されることから, これら蛋白質各成分の選択的な精製が要求される場合には, ここにあげた各分画を, その Source sample (SS) として出発することができる. また, ONCLEY 9法(B)は, 他の COHN 6法や ONCLEY 9法(A)らと比較して, 鶏血漿蛋白質の分別法としてはほぼ限度にちかい蛋白質成分を分離除去しうる可能性を示しているが, 分画中各蛋白質成分の含有実量という点では,当然, 基本法である COHN 6法によって粗分別される分画中各成分の総蛋白質(TP)含量には及ばない. しかし, 本法によれば, Disc 法によって Alb. 位成分と同定された, CA法による Pre α1-golbs. らを含む数個の Alb. 成分をはじめ, α, β, γ位の各 globs. の特定の Subfraction (SF) を含有する分画を分別することができ, 目的に応じてこれら SF 分画を SS として, さらに他の分別法を併用することにより, このうちの特定成分を選択的に分別分取することも可能であると考えられる. ここで, 鶏血漿中蛋白質各成分の分別条件を COHN および ONCLEY 各法の沈降条件に従って要約すると次のとおりである. (1) Alb.: pH 4.8~5.7, Ethanol (EtOH) 25~40 vol.%. (2) α-globs.: pH 4.8~4.9, EtOH 40 vol.%. (3) β-globs.: pH 4.9~5.2, EtOH 1~18vol.%. (4) Fib.: pH 6.9~7.2, EtOH 8~25 vol.%. (5) γ-globs.: pH 5.2~7.4, EtOH 17~25 VOl.%.
  • 暮部 勝
    1971 年 33 巻 6 号 p. 315-325
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    SHAW らによって, Tacrine (THA) がMorphine 桔抗作用を有していると報告されて以来, その薬理作用の性質が注目されるに至った. 最近 ST0NE らは, Morphine を癌患者に連続投与する時, THA を併用すると, Morphine の耐性および依存性が予防されると臨床報告している. 従って, 著者は, THA と Morphine の桔抗現象に興味を持ち, まず今回は, THA の中枢作用を脳波学的に検討し, さらにその薬理作用の性質について検索したところ, 次のような結果を得た. (1) 慢性電極植え込み家兎の脳波に及ぼす THA の影響を調べたが, THA は, 外部刺激によって招来されると同様の自発性脳波の賦活化を惹起した. 即ち THA の少量投与によって, 皮質脳波の Spindle burst をまじえた High voltage wave が, Low voltage fast wave に変化した. THA の投与量を増加すると, 皮質の Desynchronized patternは, さらに顕著となり, 皮質下の海馬, 視床, 尾状核等の諸核では, Irregular wave から, 4~6 cps の Regular synchronous wave に変化した. その時の自発性脳波 Pattern の変動を, 周波数分析計によって分析すると, THA 投与によって, 皮質脳波の8 cps 以上の周波数帯域の増加が, また海馬, 尾状核では, 4~8 cps 周波数帯域の若干の増加傾向が認められた. THA 投与後の脳波分析値の変化は, 皮質下諸核よりも, 皮質において顕著に認められた. 海馬刺激によって誘発される After-seizure discharges の閾値および Seizure discharge propagation に対して, THA は有意な影響を与えなかったが, Hippocampal after-seizure の持続時間延長を招来した. また THA は, 脳幹網様体刺激による覚醒反応を亢進し, 視床低頻度刺激による Recruiting response を抑制した. このような実験結果から, THA の中枢賦活作用が大脳皮質に著明に認められ,皮質が本薬物に対する感受性の高い事を示唆しているが, 特異的でなく, 中枢の広い範囲に作用部位があるものと推察される. その効果は, Anti-cholinesterase 剤や Acetylcholine の場合と類似し, THA は, Blood-brain barrier を通過する Eserine や Nonquaternary organophosphorus compounds 等の Anti-cholin-esterase 剤と, 同属に分類される. (2) THAは, マウス Methylhexabital 睡眠に顕著な影響を与えなかった. (3) 家兎坐骨神経刺激による腓腹筋誘発電位および攣縮に対しては, 顕著な影響を惹起しなかった. また蛙骨格筋の Acetylcholine による収縮反応を, THA は亢進した. (4) THA 投与後, 家兎血圧の一過性下降と軽度の呼吸興奮が認められた. また犬小腸の電気活性と運動の亢進が惹起された.
  • 小西 信一郎, 高橋 英司, 尾形 学, 石田 葵一
    1971 年 33 巻 6 号 p. 327-333_2
    発行日: 1971/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    FIP は1966年ごろから, 米国の二三の研究所で観察されているネコの新しい伝染性疾患で, 発熱, 痩削, 腹水貯留, 白血球増多症を主徴とし, 著明な線維素性腹膜炎と限局性肝炎を認め, その斃死率は極めて高いといわれている. 米国以外では, 最近英国において, その発生が確認されているのみである. 著者らは1969年春以来, 都内を中心とした臨床家および本学家畜病院の協力を得て, 12頭の自然感染例を発見するとともに, その3例の材料から, ネコを用いて伝達実験に成功し, 疾患および病原に関する検討を行なった. 自然例の腹水と肝の混合乳剤を接種した1~8カ月令のネコにおいて, 2~10日の潜伏期を経て40℃前後に発熱し, 2万ないし4万/cmm の白血球増多症(一部は白血球減少症を経た後)が持続してみられた. 接種後10日から2週間で斃死した例, および5~7週後に安楽死させた例とともに, 透明無色ないし麦藁色で卵白状を呈しフィブリンを混じた5~200 mlの腹水が貯留し, 腹膜は濁った顆粒状を呈して, 肝脾ともに表面は部分的に線維素性付着物でおおわれており, 大網は著しく肥厚し, 腸間膜リンパ節の著明な腫大もみられた. 組織学的には線維素性ないし壊死性腹膜炎が, 腹腔臓器の包膜を含め, 広く認められるほかに,肝, 腎, 肺における壊死巣ないし細胞集簇巣がみられる. また特徴的な静脈炎, 接種例ではとくに動脈炎を示すものも認められた. 病原体については確定的でないが, 細菌, Mycoplasma, Toxoplasma, Bedosonia のいずれもが否定され, 本病はわが国においては今回はじめて発見されたネコの新しいウィルス性疾患と考えられる.
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