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西尾 晃, 石黒 茂, 宮尾 陟
1983 年 45 巻 6 号 p.
699-705
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
離乳直後のWistarラットをMg欠乏飼料(Mg:0.001%)で8日間飼育したときのhistamine代謝酵素活性の変動について検討した. Histidine decarboxylase (HDC)活性は対照群の胃, 皮膚, 肺, 脾, および肝でみられたが, 十二指腸と腎では認められなかった. Mg欠乏飼料で飼育すると, 欠乏4日目から肺, 脾および肝のHDC活性の上昇がみられ, 6日目, 8日目と上昇した. 皮膚では4日目に著しく高い活性がみられたが, 6日目に低下し, 8日目に再び上昇した. Diamine oxidase(DAO)活性は, 対照群の十二指腸で高い活性がみられ, 脾, plasmaおよび他の二三の臓器でも低いながら活性がみられた. これらの活性は, Mg欠乏飼料で飼育すると, 第2~4日から低下し, 第8日では対照群の活性の約1/2になった. Histamine methyl transferase(HMT)活性は, 対照群の腎, 十二指腸および肝で高い活性がみられた. これらの活性はMg欠乏飼料で飼育しても有意な変動を示さなかった. これらの成績はHDC活性の上昇とDAO活性の低下が, Mg欠乏時に示されるhistamine量の増加に関与していることを示唆する.
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板庇 外茂雄
1983 年 45 巻 6 号 p.
707-711
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
哺乳動物の喘息や肺気腫などの不均等換気時にみられると同様な変形波の出現の程度を, 9~70週齢の産卵系の雌雄鶏, および約60日齢の肉用系の雌雄鶏で検討した. この変形波の出現頻度は, 成鶏に比して若令鶏で著明に低く, 出現頻度および持続時間の個体間でのばらつきはかなり大きかった. この変形波は, SPF鶏でかつ呼吸気道に病理組織学的検索で変化が認められない場合にも出現し, その頻度や持続時間はやはりばらつきが大きかった. これらの結果から, この変形波は正常鶏でみられる加齢現象と判断した.
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板庇 外茂雄
1983 年 45 巻 6 号 p.
713-720
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
約70週齢の産卵鶏を用い, その呼気酸素濃度曲線にみられる自発性変形波の発生機構を気道閉塞の点から検討した. まず, X線透視下で濃厚硫酸バリウム浮遊液を第一次気管支内の各所に注入したところ, 変形波が誘発できた. ついで, この変形波が誘発された場合の両側肺外第一次気管支間の内圧差(差圧)の変化を検討したところ, 閉塞部位によって, その差圧の変化に相違がみられた. そこで, この変化をいくつかのパターンに分けて, 自発性変形波出現時にみられるこの差圧の変化が, どの部位の実験的閉塞時のパターンに一致するかを検討し, 自発性変形波出現時の気道閉塞部位を判定した. その結果, この閉塞部位は左右いずれかの肺外第一次気管支の頭側部であることが明らかとなった. さらに, この閉塞部位の尾側部に窒素ガスを呼気にあわせて注入して, 呼気酸素濃度曲線上に酸素濃度の低下として示される棘波が出現するかどうかを検討し, この気道閉塞が気流を完全に停止させる閉塞であるかどうかを判定した. その結果, 閉塞側からも棘波は出現したので, この閉塞は完全でなく不完全閉塞であると結論した.
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中川 治人, 西村 昌数, 浦川 紀元
1983 年 45 巻 6 号 p.
721-726
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
ニワトリの胃酸分泌と血糖値に対する2-deoxy-D-glucose(2DG)の影響を検討した.ニワトリ(ラミート種, 雄, 1.5~2.8kg)にウレタン麻酔, 人工呼吸, 生理食塩水の補液および保温を施し, その腺胃に急性フィステルを装着し, 胃内灌流液のpHを連続記録した.2DG(50~200mg/kg i.v.)は30~60分間の潜伏期の後, 持続的なpH低下を示し, 血糖値はわずかに上昇した. 一方, insulin(4I.U./kg i.v.)は血糖値を約1/2に減少させたにもかかわらず灌流液pHを変化させなかった. 2DGによるpH低下反応時間は濃度依存的であった. 2DG反応はpyruvic acid(80mg/kg i.v.)により一部抑制され, 頸部迷走神経切断により完全に消失した. また2DG反応は, atropine(0.5mg/kg i.v.), proglumide(200mg/kg i.v.) およびmetiamide(0.5mg/kg i.v.)により抑制された. 以上の成績から2DGは, 迷走神経を介する脳相を刺激し, コリン, ガストリンおよびヒスタミン作動性胃酸分泌を促進することが示唆された.
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桐沢 力雄, 見上 彪
1983 年 45 巻 6 号 p.
727-738
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
正常鶏, マレック病ウイルス(MDV)あるいは七面鳥ヘルペスウイルス(HVT)を接種した鶏由来の種々の細胞を用いて, 両ウイルスの標的細胞を調べた. MDV接種鶏の胸腺, ファブリキウス(F)のう, 脾臓および末梢血のリンパ球ではMDVの部分的増殖感染が認められた(細胞内ウイルス抗原を検出). しかし, HVT接種鶏由来のリンパ球ではウイルス抗原は検出されず, 潜伏感染が認められた(ウイルスを検出). さらに骨髄細胞は両ウイルスに感染しており, 特にプラスチック面に非付着性の細胞から高力価のウイルスが回収された.In vitro で, 正常鶏由来の種々の細胞に両ウイルスをそれぞれ接種したところ, 胸腺, Fのう, 脾臓および末梢血のリンパ球, 肺培養細胞は感受性を示し, 部分的増殖感染が認められた. しかし, 腹腔浸出細胞は感受性を示さなかった. 骨髄細胞ではウイルス抗原は検出されず, 潜伏感染の状態であったが, 培養ののち両ウイルスを接種したところ, プラスチック面に付着性の細胞で部分的増殖感染が認められた. 以上の成績より, MDVおよびHVTの標的細胞は鶏体内の各種臓器や末梢血に分布するが, それぞれのウイルスの感染状態は異なることが示された. また, 骨髄細胞の分化の段階が両ウイルスの感受性を左右する重要な因子となる可能性が示唆された.
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岩崎 利郎
1983 年 45 巻 6 号 p.
739-746
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
イヌの皮膚アポクリン汗腺の汗管を光学顕微鏡を用いて観察した. 汗管は真皮内に存在する真皮内汗管と毛包内を走行する毛包内汗管に分けられた. 真皮内汗管は1層の内周細胞とそれを取り囲む1~2層の外周細胞から構成され, 周辺には筋上皮細胞はみられなかった. 真皮内汗管はヒトのそれと比較して短かく, ミトコンドリアの集積もみられず,水分, イオン等の再吸収を暗示するような形態も認められなかった. 毛包内汗管は毛根鞘細胞に取り囲まれていた. 毛包内汗管の下部では外周細胞にトノフィブリルの集積はみられたが, 角化の徴候は認められなかった. 毛包内汗管中間部では外周細胞にケラトヒアリン滴, membrane-coating granuleが出現すると共に外周細胞の角化が認められた. 毛包内汗管上部では外周細胞の角化に続いて, 内周細胞の角化が観察された. 内周細胞の角化にはmembrane-coating granuleの出現がなく, ケラトヒアリン滴を有し細胞膜の肥厚が認められた. 角化した内周細胞および外周細胞は毛包腔内に脱落するものと考えられた.
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三森 国敏, 高橋 和明, 俣野 修身, 後藤 真康, 白須 泰彦
1983 年 45 巻 6 号 p.
747-757
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
各群56匹のSprague-Dawley系SPFラット雌雄に塩化メチル水銀(MMC) 0, 0.4, 2および10ppm含有飼料を130週間投与し, 13および26週時に各群10匹ずつ, 52および78週時に各群6匹ずつ, 130週時に生存動物全例を殺処分し, 臨床検査および組織内水銀の分析を実施した. 10ppm群では, 雌雄に体重増加抑制が認められ, 雄は投与119週までに全例死亡した. MMC中毒に起因する後肢の屈曲交差および歩行失調などの神経症状は, 雄で22週以後10例に, 雌で46週以後7例に発現した. 雄では, 各検査時に貧血が見られた. 血液生化学検査では, 腎機能障害を示唆するコレステロールおよび尿素窒素の増加が認められた. 組織内水銀分析では, 10ppm群において被毛での水銀濃度が顕著に高く, 以下腎・血液・肝・神経組織の順であった. 被毛および血液への水銀蓄積は, 78週でほぼ最高値に達した. 大脳・小脳・脊髄および坐骨神経における水銀濃度は26週以後ほぼ一定の値で推移し, 26~78週の大脳における平均水銀濃度は, 雄で5.3ppm, 雌で6.7ppmであった.
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林 俊春, 佐々木 伸雄, 網 康至, 藤原 公策
1983 年 45 巻 6 号 p.
759-766
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
胸腺摘出あるいは免疫血清または免疫腹水を投与した抗体陰性ネコの胃内にFIPウイルスを接種すると, 接種後10日目の剖検で, 胸腺摘出例では無処置対照例に比べ, より強い腸病変がみられた. 一方, 抗体を投与した胸腺摘出例あるいは偽胸腺摘出例では線維素性腹膜炎がみられ, 病変は前者でより強かった. 以上のことから経口感染の場合, 漿膜および臓器病変の形成は液性抗体の存在によりむしろ促進され, 胸腺依存域リンパ球によって抑制されることが示唆された.
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澤口 和成, 岩城 秀治, 三日月 勝見, 谷地田 俊介, 青山 茂美, 高橋 直治, 入谷 好一, 北畠 哲夫, 川崎 喜代司
1983 年 45 巻 6 号 p.
767-774
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
日本で分離されたIBウイルス(IBV)との間に広交差性が認められた発育卵順化 Beaudette 株を用いた中和試験で, 野外鶏における伝染性気管支炎(IB)の診断を行った. 各地の鶏群を対象に抗体検出率および抗体価分布率を求めたところIBワクチン投与鶏の92.7%, 非投与鶏の68.7%が反応し, 発育卵順化 Beaudette 株が使用可能であることが示唆された. そこで1980~1981年に集められた呼吸器症状を呈した肉用鶏のペア血清を用いてIBVとマイコプラズマ・ガリセプチカム(Mg)の感染について調査した結果, IBワクチン無投与鶏群の59.2%にIB, 8.3%にMg感染が認められ, 混合感染例は10.9%であった. ワクチン投与鶏群においては36.6%にIB, 13.4%にMgの感染が認められ, 8.9%が混合感染例と診断された. IB発生週齢はワクチン投与の有無に関係なく3週齢に多くみられた.
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竹内 正太郎, 中島 靖之, 橋本 和典
1983 年 45 巻 6 号 p.
775-781
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
牛の肝膿瘍の発生機序を解析する一つのアプローチとして, BALB/cマウスを用いて, Fusobacterium necrophorum の感染実験を行った. 肝膿瘍は F. necrophorum を腹腔内あるいは静脈内に接種したマウスで認められ, 膿瘍内には3.6×10
9個/gのF. necrophorum が存在していたが, 肺臓, 脾臓および腎臓における菌数は10
4~10
6個/gであった. Corymebacterium pyogenes あるいは Bacteroides oralis を接種したマウスでは膿瘍は認められなかったが, F. necrophorum と C. pyogenes との混合液を接種すると, 肝膿瘍形成は増強された. しかし, このような相乗作用はF. necrophorum と B. oralis あるいは黄色ブドウ球菌との間では認められなかったが, F. necrophorum の活発に増殖した肝臓の膿瘍部から多数のC. pyogenes と B. oralis が回収された. これらの成績から, しばしば牛の肝膿瘍から分離されるC. pyogenes は肝膿瘍の形成においてヘルパー細菌であり, B. oralis と黄色ブドウ球菌は二次感染菌であると思われた.
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久米 勝己, 澤田 章, 中井 豊次
1983 年 45 巻 6 号 p.
783-792
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
Haemophilus paragallinarum 血清型1菌株の3種類の赤血球凝集素(HA-L, HA-HL, およびHA-HS)の血清学的および免疫学的異同が調べられた. 各赤血球凝集素の赤血球凝集抑制(HI)抗体産生能および成果防御能には大きな差を認めた. すなわち, HA-L注射ひなはHA-LとHA-HLとに対するHI抗体を産生し, 感染防御を示した. HA-HLに対するHI抗体のみを保有するひなでは感染防御は認められず, また, HA-HS注射ひなは非特異的HI抗体産生能を有するが, やはり防御能を欠いた. HA-Lの感染防御能は121℃2時間の加熱で失活したが, 72℃~l00℃30分間の加熱では一部残存した. しかし, HI抗体産生能はこの加熱によって消失した.
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松下 博治
1983 年 45 巻 6 号 p.
793-798
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
ウサギ妊娠関連蛋白のPregnancy-associated leporine serum protein-2 (PALP-2)について, アフィニティクロマトグラフィー, イオン交換クロマトグラフィーおよびゲル〓過等を用いて精製を試みた. PALP-2は電気泳動的にはβ mobilityを示し, SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法により分子量の測定で, 約45,000の値を認めた. また等電点電気泳動法により得られたpIは5.5であった. 一方, PALP-2は, ヒトおよびラットの妊娠後期血清中における妊娠関連蛋白との免疫交叉反応を認めず, 種特異性を示した. 温度に対するPALP-2の抵抗性は, 57℃30分の処理にて抗原活性に影響を認めず, 65℃30分の処理には抗原活性に変化を認めた. 4℃保存では一週間安定しており, -20℃保存では6力月間抗原活性に変化を認めなかった.
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甲野 雄次, 泉対 博, 新井 啓五, 石田 秀史, 入汐 渉
1983 年 45 巻 6 号 p.
799-802
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
空気調節を行った吸血昆虫不在の隔離畜房内で牛白血病ウイルス(BLV)の接触伝播実験を実施した. 3頭および5頭の子牛をそれぞれ一畜房内に飼育した, 各群の1頭および2頭にBLV感染牛リンパ球を接種した. これらの実験感染牛は接種後4ないし12日の間に無細胞ウイルス血症を示したが, ウイルス血症は血中に中和抗体が出現した後に検出されなくなった. しかし, 接種後4~5日以降観察期間中, 末梢血リンパ球からは, ウイルスが検出された. これら3頭の感染牛と同居した5頭中1頭は実験開始後89日目に抗BLV抗体陽性となったが, 他の4頭は1年間の観期察間中抗体陰性であった.
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山本 雅子, 木内 貢, 有嶋 和義, 江口 保暢, 望月 公子
1983 年 45 巻 6 号 p.
803-806
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
妊娠20日に母ラットの卵巣を除去後, 妊娠22日に剖検し, または妊娠20日の胎仔にβ-estradiol(0.02mg)を皮下注射し, 妊娠22日と生後1日に剖検して Leydig 細胞の総体積およびその組織像を検索したところ, estradial は出生前の Leydig 細胞の発達と出生後の萎縮に影響しなかった.
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佐々木 脩, 勝野 正則
1983 年 45 巻 6 号 p.
807-809
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
豚肺虫の虫卵, 3期子虫, 成虫抽出液のモルモット白血球の遊走作用を, Boyden チャンバーを用いて in vitro で調ぺた. 3期子虫, 抽出液は好酸球に撰択的に遊走作用を示し, 虫卵, 成虫抽出液は好中球, マクロファージに強い遊走作用を示し, いずれも蛋白濃度の対数との比例関係が認められた. これらの抽出液の白血球遊走因子は易熱性, 非透析性で凍結乾燥に安定した物質であった.
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土本 まゆみ, 喜田 宏, 梁川 良, 乾 純夫
1983 年 45 巻 6 号 p.
811-814
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
北海道天塩町で乳牛1頭が血色素尿を示して突然死亡した. 病理組織学的にはわが国の牛レプトスピラ病および pomona による本病の所見とは一致しなかったが, その血清は hardjo に対し1:32Oの凝集価を示し, 同居牛15頭中7頭のペア血清でも抗体価の上昇が認められた. これを機に北海道の牛の hardjo に対する抗体調査を行なった. その結果, 1977年以降道内各地で抗体陽性牛が認められ, 特に隣接の幌延町で多くの抗体陽性牛が認められた.
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清水 孜, 森下 芳行, 粟飯原 景昭
1983 年 45 巻 6 号 p.
815-820
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
4週齢DDYSマウス32匹にMNNGを軟水に溶かして, 100μg/ml 12日間, 50μg/ml 22週間投与し, 53週齢までの腫瘍発生を観察した. 低投与量短期間で胃癌1; 十二指腸の腺癌1, 血管肉腫6, 血管外皮腫1; 肝の血管肉腫2の腫瘍が認められ, 胃・肝の腫瘍は十二指腸の血管腫と併発していた. 著明な貧血が15例に認められ, 内7例は脾腫を示したが, これは感受性の高いこの系統のマウスに特異的な反応と思われた.
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門井 克幸
1983 年 45 巻 6 号 p.
821-823
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
豚水疱病ウイルス(Pd894株)を1日齢マウスの腹腔内に接種し, 発症・病死時に凍結保存した各個体の4群の臓器からウイルスの回収を試みた. 臓器別の平均ウイルルス感染価は, 躯幹筋(骨を含む)が7.03 (log
10・TCID
50/g)で最高値を示し,ついで脳が5.45, 肝と脾の混和物で5.02, 腸管で4.35あった.
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田村 豊, 田中 正三
1983 年 45 巻 6 号 p.
825-827
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
動物の Clostridium chauvoei に対する自然抵抗性機構を解析するため, サイクロホスファマイド(CY)およびカラギーナンで食細胞活性を抑制したマウスで攻撃菌の推移を観察した. その結果, CY処理マウスにのみ菌の増殖が認められ, ほとんどのマウスは死亡した. このことから, マウスの本菌に対する防御にはマクロファージより多形核白血球が重要な役割を果していると考えられた.
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高橋 喜和夫, 岡田 幸助, 大島 寛一
1983 年 45 巻 6 号 p.
829-832
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
1982年2月岩手県内の1養豚場において, 臨床および疫学的に豚伝染性胃腸炎(TGE)に似た下痢症が発生した. 免疫蛍光法, 組織培養および血清学的検索によりTGEウイルスの関与は否定されたが, 電顕的検索では腸内容に多教のコロナウイルス様粒子が検出され, また小腸上皮皮細胞の細胞質空胎内にもウイルス様粒子が観察された. 以上から, コロナウイルスが関与する新しい豚の下痢症が, 日本においても存在することが示唆された.
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金城 俊夫, 森重 正幸, 源 宣之, 福士 秀人
1983 年 45 巻 6 号 p.
833-835
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
中部3県の8地域の公園, 神社, 飼料倉庫等に生息するドバトの糞からSkirrow培地による直接培養でC. jejuniの分離を試みた. 1982年には捕獲ドバト196羽の剖検時直腸便のうち54羽27.6%から, 1983年には133羽の新鮮排泄便のうち24例18.0%から, また総計では23.7%から該菌を分離した. 一方, Salmonella typhimuriumが僅か0.6%から分離されたが, Yersiniaは全く検出できなかった.
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湊 良雄, 高田 博, 山中 久, 和田 功, 武下 政一, 岡庭 梓
1983 年 45 巻 6 号 p.
837-839,842
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
若齢ラットに自然発生した横紋筋肉腫を病理組織学的に検索した. 腫瘍は筋芽細胞に類似した長紡錘形の細胞, 横紋を示す多核で大型の細胞および細胞質の乏しい小型の細胞から構成されていた. 電顕的に小型の細胞には細線維が, 長錘形および多核で大型の細胞にはアクチンおよびミオシン線維の規則的配列とZ膜様の構造が認められた. これら腫瘍細胞の構造は, それぞれ分化程度の異なる筋芽細胞の特徴を示すものと考えられた.
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平井 克哉, 伊藤 公和, 山下 照夫, 福士 秀人, 林 恭行, 葛谷 光隆, 島倉 省吾, 橋本 晃, 秋山 潔
1983 年 45 巻 6 号 p.
843-845
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
ー般家庭, 小鳥店および動物園で斃死または衰弱した愛玩鳥123羽中21羽(25%)からクラミジアが分離された. すなわち, 一般家庭では30羽中9羽(27%), 小鳥店では30羽中3羽(10%), 動物園では60羽中19羽(32%)が陽性であった.
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福士 秀人, 伊藤 公和, 小川 幸哉, 林 恭行, 葛谷 光隆, 平井 克哉, 島倉 省吾
1983 年 45 巻 6 号 p.
847-848
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
1982年4月から7月にかけて愛知, 岐阜, 三重の3県8地区で捕獲された野生のハトについてクラミジアの疫学調査を行なった. 供試した716検体中6検体からクラミジアが分離された. 血清を得ることができた568検体について補体結合(CF)試験を行なったところ, 211検体, 37.1%にCF抗体が検出された.
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岡田 亮次, 今井 壮一, 石井 俊雄
1983 年 45 巻 6 号 p.
849-852
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
ウンピョウ Neofelis nebulosa の右心室から採取された線虫を, 光顕および走査電顕で観察し, 形態的特徴からDirofilaria immitisと同定した.
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新井 成之, 小林 好作, 高橋 孝佳, 鈴木 立雄, 武藤 真, 若尾 義人
1983 年 45 巻 6 号 p.
853-855
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
11蔵, 雌の秋田犬の直腸壁に見出された2個の腫瘤を生検により形質細胞腫瘍と診断したが, 末梢血には異常蛋白は検出されなかった. 摘出腫瘤を病理組織学的に検索したところ, 両者ともほぼ同様の所見を示し形質細胞の腫瘍性増殖が認められた. 手術後の回復は順調であったが約1カ月後に胃捻転で斃死し, 剖検により骨髄および他の臓器に形質細胞の腫瘍性増殖は認められず, 髄外性形資細胞腫と診断された.
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稲葉 俊夫, 藺守 龍雄, 佐分 孝
1983 年 45 巻 6 号 p.
857-859
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
成熟雌オラウータン1頭の月経周期中における尿中エストロン, エストラジオール, およびエストリオールを測定した. 尿中エストロジェン量は, 多い順にエストリオール, エストロン, およびエストラジオールであり, 月経周期中のそれらの変動は, 3種とも同様で, 周期のほぼ中央で大きなピークを示し, その後, つぎの月経までの期間は約14日を示した. これらのことから, 尿中エストロジェン値は卵胞の発育・排卵と密接な関係を有するものと考えられた.
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白坂 昭治, 寺西 永, 辨野 義己, 東 量三
1983 年 45 巻 6 号 p.
861-863
発行日: 1983/12/05
公開日: 2008/02/13
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日本各地の悪性水腫罹患ニワトリ由来の44株および急性斃死したウシ由来の24株の Clostridum septicum について, NCTC由来の7株とともに0-凝集反応による交差血清反応を行なった. 上記菌株は3型に分けられ, ニワトリ由来株は1型5株, 2型34株, 3型5株, ウシ由来株は1型6株, 2型5株, 3型12株, 型別不能1株であった. NCTC由来は1型3株(No.284,501,551), 2型2株(No.281,286), 3型2株(No.504, 547)であった.
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