日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Online ISSN : 1881-1442
Print ISSN : 0021-5295
ISSN-L : 0021-5295
44 巻, 4 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • 石川 濶, 小西 辰雄
    1982 年 44 巻 4 号 p. 555-563
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    本学附属農場で出産した23頭のホルスタイン種子牛について, 出生直後より13週齢まで経時的に採血し, 血清免疫グロブリン濃度を測定した. 出生直後(哺乳前)は各免疫グロブリンともに検出不能か微量であった. 哺乳後, 各免疫グロブリンは急激に上昇し, 生後18~30時間でピークに達した. その後の減少率は, 各免疫グロブリンによって異なり, IgG1とIgG2はゆるやかに減少するのに対し, IgMとIgAでは1~2週齢の間に急激な減少を示した. 特にIgAは4日齢でピーク時の1/2以下に減少しており, 特徴的な推移を示した. その後, 各免疫グロブリンは徐々に上昇するが, 13週齢でもその値は低かった. 哺乳後の血清免疫グロブリン濃度には個体により, かなりの差が認められ, これらは, 哺乳量, 哺乳時期などが関連しているものと思われた. "低γグロブリン血症" を呈した2頭の子牛において, 1週齢よりIgMの産生が認められたが, IgAの産生はかなり遅れ6週齢であった. 試験期間中, 一過性の下痢, 感冒が数頭に認められたが, 2, 3日で恢復した. また, 血清免疫グロブリン濃度と増体率, 疾病の発生率との間には, 特に関連が認められなかった.
  • 沢田 拓士, 村松 昌武, 瀬戸 健次
    1982 年 44 巻 4 号 p. 565-570
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    豚丹毒生菌ワクチンを皮下接種した豚29頭の感染防御能と血清の受身マウス感染防御能の関係を調べた. ワクチン接種前(18例), ワクチン接種後攻撃直前まで(115例)および攻撃後(38例)の血清, 合計171例についての受身マウス感染防御試験の結果, マウス生残率(SRM)と生菌発育凝集抗体価(GA価)の間には正の相関関係(P<0.01)が認められた. ワクチン接種後10あるいは15日目の血清のSRMとワクチン接種2, 3, 4力月後の強毒菌による攻撃に対する豚の感染防御能とには関連性が認められた. このことから, ワクチン接種後早期の豚血清のマウス感染防御能は接種豚の免疫の持続性を示唆すると思われた. ワクチン接種後1力月以内に攻撃された豚は, 攻撃前血清でのSRMが低いか, 多くは陰性であったにもかかわらず, 何ら接種部位における限局性皮膚反応(発疹)を示さなかった. 一方, ワクチン接種後3あるいは4力月目で攻撃された豚の多くは, 攻撃前血清でのSRMが陽性であったにもかかわらず, 種々の強さの発疹を呈した. これらの結果から, ワクチン接種豚血清のマウス感染防御能のみからその免疫状態を推測することは困難であると思われた.
  • 筒井 敏彦, 村田 幸雄
    1982 年 44 巻 4 号 p. 571-576
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    妊娠犬45例について,妊娠末期に体温測定を行ない, 体温の変動と分娩開始 (第一子娩出) の時間的関係を検討した. その結果, 妊娠末期の体温は, 分娩3日および2日前では, 平均38.0℃であったものが, 20時間前で平均37.4℃, 10時間前で平均37.0℃と明らかに下降を示した (P<0.001). その後, 分娩が近づくにつれ, 徐々に上昇し, 分娩1時間前では37.4℃と明らかに上昇した (P<0.001). これらのうちで, 妊娠末期に下降する体温の最低値がもっとも高かった例は, 37.5℃であった. この値は, 本実験と併行して行なった非妊娠犬の体温の日内変動における最低値 (37.7℃~38.1℃) より低いので, この体温に下降した時を基準として, 各個体における分娩開始までの時間をみると, 13-33時間, 平均21.5±0.8時間 (S.E.) であった. このように, 妊娠末期の体温が37.5℃以下になってから, 分娩までに21.5時間と, かなり長時間を要すること, また, 個体間における時間に, あまりばらつきが認められないことから, 犬の妊娠末期における明らかな体温下降は, 分娩予知の指標となり, この時期における体温測定が臨床的に応用価値のあることを認めた.
  • 吉川 堯, 花田 貴宣, 吉川 博康, 鈴木 和枝
    1982 年 44 巻 4 号 p. 577-587
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    萎縮性鼻炎罹患発育遅延豚16例と対照豚4例の上皮小体が病理組織学的ならびに超微形態学的に検索された. 光顕的には実質細胞は light chief cell, dark chief cell, atrophic chief cell および vacuolated clear cell とに区別されたが, 遅延豚には特に dark chief cell および atrophic chief cell が多く認められた. 電顕的にはホルモンの合成状態によって inactive light cell, active dark cell, inactive dark cell, atrophic chief cell および vacuolated clear cell に区別されたが, 遅延豚には特に active dark cell, atrophic chief cell および vacuolated clear cell の増数が明らかであった. Dark cell の増数はホルモン分泌活性の増大を示し, vacuolated clear cell はホルモン放出刺激の増大に基づく hyperactive な機能状態を表わすものと考えられた. 一方, atrophic chief cell は chief cellの退行的過程のもので, それは分泌活性の抑制影響に基づくものと解された. 発育遅延豚の上皮小体における病態は, 細胞学的に機能亢進状態にあるとみなしてよいと思われる
  • 原田 悦守, 加藤 清雄
    1982 年 44 巻 4 号 p. 589-596
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    アドレナリン, グルカゴン, ハイドロコーチゾン, サイロキシンおよびインシュリンを7日間投与したラットについて, CCK-PZ (0.2U/100g体重) による膵外分泌反応と膵臓のアミラーゼ含量を調べた. インシュリンあるいはサイロキシン処置によって, 静止時の膵液流量と蛋白放出量は対照群よりも増加し, CCK-PZによるこれらの反応も約3倍増大した. ハイドロコーチゾン処置群の CCK-PZ による膵液流量は抑制されたが, 蛋白放出量は変らなかった. 膵液と膵臓に含まれる蛋白に対するアミラーゼの比率は, アドレナリン, グルカゴンあるいはサイロキシン処置群で減少していたが, インシュリンとハイドロコーチゾン処置群では変らなかった. 血漿のグルコース, 遊離脂肪酸とインシュリン濃度の変化は, アドレナリン, グルカゴンとサイロキシン処置群のアミラーゼ含量の減少と直接関連していなかった. これらの結果は, アドレナリン, グルカゴン, サイロキシン及びインシュリンが膵臓のアミラーゼの合成及び放出あるいはそのいずれかを調節している可能性を示している.
  • 橋本 善春, 北川 浩, 工藤 規雄, 杉村 誠
    1982 年 44 巻 4 号 p. 597-601,605
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    アヒル胸腺髄質内にみられる, 細胞内小胞および細胞間小胞を形成する上皮性細網細胞の微細構造とその分泌能を電子顕微鏡的免疫組織化学によって検討した. 細胞内小胞を含有する上皮性細網細胞は, その小胞内にPAS陽性物質を含み, 粘液物質の分泌および貯蔵を示す像がみとめられたが, 細胞間小胞を構成する細胞にはこれらの像はみとめられなかった. horseradish peroxidase (HRP) で免疫すると, 抗HRP抗体が小胞含有上皮性細網細胞内に検出されたが, ファブリキウス嚢除去アヒルではみとめられなかった. これらの所見は, アヒル胸腺上皮性小胞含有細胞は粘液物質の分泌および貯蔵能を有することを示唆するものと思われた.
  • 安食 政幸, 高村 恵三, 平松 計久, 中井 正久, 佐々木 文存, 小西 信一郎
    1982 年 44 巻 4 号 p. 607-615,618
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    流行性の呼吸器症状を呈して斃死した3力月齢の仔犬の肺炎部から, 初代犬腎培養細胞に細胞病原性を示す agent を分離した. この agent は, 生物学的および理化学的諸性状, negative 染色による電顕観察, パラインフルエンザ5型ウイルスSV5との交差中和試験の結果から, パラインフルエンザウイルス5型と同定された. この分離ウイルスを経鼻接種により, 2頭の仔犬に感染試験を行なったところ, 軽い呼吸器症状が発現し, 中和抗体の上昇がみられた. また, 1958年から1977年にわたって近畿, 東海地方で集めた175例の犬血清について本ウイルスに対するHI抗体を調査した結果, 1975年以前のものはすべて陰性であったが, 1976年と1977年のものでは抗体陽性例が認められた.
  • 関崎 勉, 寺門 誠致, 上田 久, 橋本 和典
    1982 年 44 巻 4 号 p. 619-627
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    牛由来大腸菌から耐熱性腸管毒素産生プラスミド (STプラスミド) およびRプラスミドの検出を試みた.接合伝達および形質転換実験により, 分離株のひとつ AHI-308 では分子量64メガダルトン (Md) のSTプラスミド (pTE500) と2剤 (テトラサイクリン・クロラムコェニコール) 耐性Rプラスミド (pTE308, 44Md) の存在が明らかにされた. また, 別の分離株 AHI-455 からは, 分子量 64Md のSTプラスミド (pTE501) と6剤 (テトラサイクリン・クロラムフェニコール・ストレプトマイシン・カナマイシン・アンピシリン・スルファジメトキシン) 耐性Rプラスミド (pTE455, 54Md) がそれぞれ検出された. これらのプラスミドのうちSTプラスミド (pTE500, TE501) は, 制限酵素による切断パターンがまったく同一であり, さらに, self-annealing した DNA の電顕像では, 同じ大きさの stem-loop 構造が1個観察された. 他方, Rプラスミド (pTE308, pTE455) はいずれも同一不和合群FIIに属し, 制限酵素で切断すると両者間に共通な断片が複数個検出された. また, 電顕下における stem-loop 構造が pTE308 で1個, pTE455では2個それぞれ観察された. 以上の成績から, 今回検出されたSTプラスミド (pTE500, pTE501) は,由来が異なるにもかかわらず, 塩基配列がほとんど同一であること, また宿主菌において伝達性プラミドと共存していること, などが明らかにされだ.
  • 吉野 知男, 山本 春弥
    1982 年 44 巻 4 号 p. 629-637,644
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    馬伝染性貧血(伝貧)の骨髄における繁殖性病変を構成する細胞の性状を知るため, 12頭の伝貧実験感染馬の骨髄を電顕的に検討した. 感染早期症例では, 繁殖性病変は (1) ヘモチトブラスト, (2) 未熟骨髄細胞 (骨髄芽球, 前骨髄球, 骨髄球), (3) 未熟赤血球造血細胞 (エリトロヘモチトブラスト, 前赤芽球), (4) Mononuclear phagocytic system の細胞 (単芽球およびこれに由来する細胞) および (5) プラズマ系細胞など5系統の造血細胞で構成されていた. ことに未熟骨髄細胞は病変の主構成細胞であった. このような病変は伝貧ウイルス感染に対し, 骨髄造血細胞巣の炎症性および修復反応巣とみなされた. 慢性経過症例では, 繁殖性病変は (1) 多染性赤芽球系細胞 (成熟多染性赤芽球および正染性赤芽球) と (2) 造血幹細胞を包含すると考えられる小リンパ球とで構成されていた. マクロファージを囲むこの多染性赤芽球が病変の主構成細胞で, この病変は伝貧ウイルス持続感染による赤血球溶血に対する赤血球造血巣の増生とみなされた. これらの結果から, 本病は lymphomyeloed 症候病と考えられた.
  • 菅野 康則
    1982 年 44 巻 4 号 p. 645-652
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    犬の体温リズムの解析と, その臨床面の応用のためには, 体温の測定時点の検討が必要である. 前報[4]において用いた24回測定データをこの観点から再検討して, 測定時点の決定をこころみた. すなわち一定の温度環境下で飼育した11頭の妊娠雑種母犬から産まれた新生仔25頭 (雄14, 雌11) を60日齢から300日齢まで, 30日おきに1日間, 毎時直腸温を計測し, これに cosine カーブをあてはめて, カーブの特性値を計算した. 次に24回測定値から cosine カーブに適合する7時点 (18時, 22時, 3時, 7時, 10時, 14時, 16時), 6時点 (18時, 22時, 3時, 7時, 10時, 14時), 5時点 (18時, 22時, 7時, 10時, 14時), 4時点 (18時, 7時, 10時, 14時) の点を選び, それぞれの測定値を結んでえた体温リズム曲線に cosine カーブをあてはめ, カーブの特性値を計算し, 24回測定値と比較した結果, 一日を周期として変化する体温リズムの型を決定するには, 雄では日齢にかかわらず6時点を, 雌では, 生後65日齢から240日齢の間は6時点, 270日齢と300日齢では7時点の値を測定すれば24回測定と同じ結果のえられることが判明した. 謝辞: 稿を終えるに当たり, 本研究のまとめのため, 懇篤な指導と校閲を賜わった麻布大学獣医学部板垣博教授, ならびに本研究を始める機会を与えてくださった同大学深野高正名誉教授に感謝の意を表する. また, 計算方法に関する御助言を賜わった熊本大学医学部佐々木隆教授に感謝する.
  • 西尾 晃, 石黒 茂, 生垣 一郎, 宮尾 陟
    1982 年 44 巻 4 号 p. 653-659
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1. Mg欠乏飼料 (Mg: 0.001%) で離乳3~5日後のウィスターラット (体重: 60g前後) を飼育すると, 給飼開始4~5日目より耳介および四肢の充血症状がみられ, 体重の増加率も抑制された. 飼料および水の摂取量も対照飼料 (Mg: 0.07%) を給飼した対照群より低下していた. 2. 血漿 MgレベルはMg欠乏飼料給飼4日目で有意に低下し, 6日目以降は対照群の約1/3の値を示した. 血漿 Ca, K および Na 量は有意な変動を示さなかった. 3. 血漿ヒスタミン量および尿中へのヒスタミン排泄量は, Mg 欠乏飼料給飼4~5日目より増加し, 6~12日目にピークに達し, 以後減少した. これらの変化は充血症状の発現および消失の時間的経過とほぼ対応していた. 4. 組織ヒスタミン量は, Mg 欠乏飼料給飼6日目の脾臓で有意に増加しており, 8日目では脾臓をはじめ, 十二指腸, 肝臓, 腎臓および肺臓で有意に増加していた. 脳, 皮膚および胃では対照群との間に有意な差はなかった. 5. Mg 欠乏飼料給飼 6, 12 および20日目の皮膚, 十二指腸および脾臓の mast cell 数を計測した結果, 耳介皮膚の mast cell 数は Mg 欠乏飼料給飼により減少する傾向がみられたが対照群との間に有意な差はなかった. 十二指腸では Mg 欠乏飼料給飼6日目で増加の傾向がみられ, 12日目では対照群の約4倍に増加していた. 脾臓では対照群および Mg 欠乏群ともに6日目と12日目ではほとんど mast cellを認めることができなかった. しかし, Mg 欠乏群の20日目の脾臓では増加が認められた. 謝辞: 本研究の遂行にあたり,組織学的検索に御協力頂いた本学部家畜病理学教室 安田宣紘氏に感謝する.
  • 栗本 司, 池田 敦, 田中 享一
    1982 年 44 巻 4 号 p. 661-665,668
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ウマ分泌型IgA (初乳, 涙) の分離精製については, すでに報告されているが, ウマ血清IgAの分離精製に関する明確な手法を示した報告は見あたらない. われわれは, ウマ血清を脱塩, 硫安塩析し, ついでDEAEセルロース, 免疫吸着体のカラム操作により, 抗原性および分子サイズにおいて, IgG, IgG(T), IgM とは明らかに区別される免疫グロブリンを分離精製した. この免疫グロブリンは抗イヌIgAとの交差反応性により, IgAと同定された. さらに作製した抗分泌型IgAにより, 初乳IgAに secretory component の存在が想定された.
  • 石原 勝也, 佐々木 栄英, 北川 均, 神田 政孝, 柴田 敏裕
    1982 年 44 巻 4 号 p. 669-673
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1981年北海道から2頭の乳牛が岐阜県下に導入され, その2か月後から, 移動性の皮膚小結節より出血を繰返した. 臨床所見ならびに生検で得た病変部皮膚の病理組織学的所見から寄生虫性疾患を疑い, 結節部皮下織を検索し 35~45 mm の糸状虫体を摘出した. この虫体は parafilaria bovicola と同定され, 本病は牛の Parafilaria 症と決定された. 本邦ではこの発生報告が嚆矢であろうが, 虫の prepatent period から, 前飼育地における本病ならびに中間宿主の存在が推察される.
  • 中村 菊保, 勝屋 茂實, 中島 靖之, 志村 亀夫, 伊藤 進午
    1982 年 44 巻 4 号 p. 675-679
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    15力月齢の雌牛に 2.7×106 個の Sarcocystis cruzi のスポロシストを経口接種し, 接種後29日に殺処分した. 感染牛は, 臨床的には食欲不振, 貧血, ニ峰性発熱, 衰弱を示した. 肉眼所見としては全身性瀰慢性出血, 皮下の膠様浸潤, リンパ節の水腫性腫大を, また組織学的には全身性の出血および水腫に加えて, 単核細胞とリンパ球の浸潤を認めた. S. cruzi のシゾントが全身の小血管内皮細胞内に見られたが, 骨格筋および心筋にはシストは見られなかつた.
  • 永友 寛司, 小谷 均, 尾形 学, 清水 高正
    1982 年 44 巻 4 号 p. 681-685
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ウシ・ヒト・サル・ネコおよびトリ由来 ureaplasma の血清型別された代表株について, 菌体蛋白の電気泳動を行なった. 超音波処理により得た細胞質分画には, 細胞膜分画に比べて, 培地成分の混入がきわめて少ないことが明らかにされた. そこで, 各株の細胞質分画の泳動パターンを比較した結果, いずれもよく類似していることが判明し, 各宿主由来 ureaplasma は遺伝学的にはきわめて近縁のものであることが示された.
  • 中沢 宗生, 久保 正法, 杉本 千尋, 伊佐山 康郎, 菊池 善意
    1982 年 44 巻 4 号 p. 687-689
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    茨城県下のと場で得た1例の増殖性出血性変化を伴う豚の回腸粘膜から Campylobacter sputorum ssp. mucosalis を我国で初めて分離した. 分離菌数は病変部粘膜 1g当リ2.3×107 CFUであった. そのコロニーは直径 1.5mm, 正円で中央が隆起し薄い黄色を呈していた. 分離株のおもな性状はカタラーゼ陰性, TSI 培地で硫化水素陽性で, 1.0% グリシンおよび 3.0% 塩化ナトリウム添化培地では発育しないが, 1.5% 塩化ナトリウムおよび 0.05% SDC 添加培地には発育し得た. ネガティブ染色法による電顕観察では極単毛の鞭毛が認められた. また, 分離株は本菌の抗血清に対して凝集価 1:2,560 を示した. 以上の成績から分離株を C. sputorum ssp. mucosalis と同定した.
  • 野牛 一弘, 梁川 良, 松浦 善治, 福士 秀人, 喜田 宏, 野田 寛
    1982 年 44 巻 4 号 p. 691-693
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    北海道で1978-1980年に1278頭のミンクについて各種A型インフルエンザウイルスに対する抗体調査を行なった. 1980年の11月および12月に, それぞれ175例中35例(18%)および110例中44例 (40%) に A/Hokkaido/45/80 (H3N2) に対する抗体が検出され, 抗体陽性ミンク中48例 (64%) が 1:512 以上のHI抗体価を示した. 野外のミンクにおいてインフルエンザの流行が血清学的に明らかにされたのは今回が初めてと考えられる.
  • 中山 裕之, 林 俊春, 渡部 嘉範, 柳沢 利彦, 藤原 公策
    1982 年 44 巻 4 号 p. 695-697
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    乳のみマウス脳で増殖させたネコ伝染性腹膜炎(FIP)ウイルス弥生株を抗原として寒天ゲル内で反応させると, 螢光抗体法で高い抗体価を示すネコの血清および腹水は1本または複数の沈降線を形成した. しかし, FIPネコ血清および腹水と非感染マウス脳抗原との間, 螢光抗体価が1:400より低いネコ血清とFIPウイルス感染乳のみマウス脳抗原との間には沈降線は認められなかった.
  • 三森 龍之, 河野 猪三郎, 坂本 司, 安田 宣紘
    1982 年 44 巻 4 号 p. 699-701
    発行日: 1982/08/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    実験感染犬において Babesia gibsoni はおもに脾臓, その他肝臓・骨髄内の赤血球もしくは赤芽球内で, 感染後1~2週間目をピークとして二分裂をくり返し増殖することが観察された.
feedback
Top