日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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33 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 田島 正典, 本橋 常正, 岸 茂, 中村 稕治
    1971 年 33 巻 1 号 p. 1-10_8
    発行日: 1971/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ジステンパーおよび牛疫ウイルスの増殖を, 初代培養鶏胚細胞および Vero 細胞において, 形態学的に研究した, 両種ウイルスは, 染色標本において認められる細胞変性効果, 電子顕微鏡的に見られるウイルス粒子の微細構造およびウイルス粒子形成様式のすべての点において, 相互に良く類似していた. 両種ウイルスに感染した細胞において, 好酸性細胞質封入体と合胞体が, 感染の最初の表現として観察され, 約24時間遅れて, 好酸性核内封入体が出現を始めた. 電顕下で, 細胞質および核内封入体は, ウイルス粒子の内部成分である nucleocapsid と同一構造をもつ, 無数の管状構造からなると見られた. 細胞質で形成された nucleocapsid のウイルス粒子への取り込みは, 細胞表面において発芽様式によって行なわれた. 細胞質で合成された nucleocapsid の一部分のみがウイルス粒子の組立てに利用され, 大部分の nucleocapsid は光学顕微鏡で見られる細胞質封入体に対応する集団として, 細胞質に集積した. フィラメント状の発芽粒子は, 本研究では見られなかった. 両ウイルスの粒子は多形性を示し, 大きさも種々であるが, 大部分は球形を呈し, 直経は牛疫ウイルスでは250~500mμ, ジステンパーウイルスでは200~500mμであった. 核内に集積した nucleocapsid が, 両種ウイルスの増殖において, 何等かの役割を演ずることを示唆する証拠は得られなかった. ジステンパーおよび牛疫ウイルスの増殖に関する形態学的研究によって得られた成績は, 麻疹ウイルスに関して得られた成績に極めて良く一致していた. ただし, 麻疹ウイルス感染細胞では結晶状配列を示す核内 nucleocapsid が〓々観察されているが, 本研究ではそのような規則正しい配列は認められなかった.
  • 板倉 智敏, 山極 三郎
    1971 年 33 巻 1 号 p. 11-16_2
    発行日: 1971/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    著者らは, 鶏骨の Dysplasia とみなすべき症例に, 再び遭遇した. それは, 本研究の第I報におけると同様に, 一養鶏農家に集団的に発生したものであるが, 骨組織所見に注目すべき差異が存在したので報告する. 検索材料は3例よりなる. それらはすべて32日令, 肉用種(White Cornish×White Rock), 殺処分例である. 全症例について, 第I報におけると同様に, ほぼ全身骨の縦断および横断組織片が組織学的に検索された. 今回の例は, 2週令から4週令にわたって発生した. 臨床症状の特徴としては, O字脚 (Genu varum) が共通的であった. 飼料は市販のものが使用されたが, そのほかに, ストレス緩解の目的で抗生物質およびビタミン製剤が与えられた. 発生数は, 同日令群1,200羽中192羽(16%)に達した. 検索した3症例に共通した組織変化として, 骨体性骨組織の完熟遅延と局所性異常増殖が指摘された. このような変化を示す部位として, 管状骨の後面骨, 特にその骨幹中位および骨端よりの骨化点に相当すると思われる部位が, 多く選ばれていた. 他方,骨端性骨組織の異常増殖像には遭遇しなかった. このことは, 第I報において記載した所見とは異なったものとして注目された. 以上の組織変化を基礎として, 本例の症状の特徴であるO字脚の成因を考えてみた. また, 原因発生について, 集団的に発生したこと, 飼料のほかに抗生物質およぴビタミン製剤などが与えられたことは, 看過し得ない事実として, 若干の考察が行なわれた.
  • 康 炳奎, 輿水 馨, 尾形 学
    1971 年 33 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 1971/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    前報において, 豚の Bordetella 感染による萎縮性鼻炎(AR)が, 凝集反応によって特異的に診断されることを明らかにした. 本報においては, この方法を用い, 野外感染豚の抗体調査を行ない, 一部の豚については, 菌分離および病変との関連を検討した. その結果を要約すると, 次のとおりである. 1. 凝集反応を実施した総計400頭の豚のうち, 218頭(54.5%)が B. bronchiseptica に対する抗体価陽性(20倍以上)を示した. このうち89頭の養豚場飼育豚を対象として, 凝集抗体の分布調査を行なったところ, 37頭(41.6%)が20~2560倍の抗体価を示した. その感染の疫学的様相は, 養豚場または豚舎が感染の単位として存在していることがうかがわれた. 2. 野外例における AR 豚鼻腔内の B. bronchiseptica は, 感染初期(生後1~3カ月)において検出率が高いが, 感染後期(6カ月以降)は検出率が低下した. 一方, 本菌に対する血中凝集抗体価は, 生後3カ月以降に初めて陽転する傾向が認められた. 3. 菌分離, 病変の有無と凝集抗体との関係は, 豚の月令, 病気の消長などにより著しく影響を受け, 必ずしも相関した成積は得られなかった. しかしながら, 菌分離, 病変および凝集抗体を同時に検査した135頭の豚で, 血清反応が陽性であった93頭のうち, 85頭(91.4%)が病変陽性であり, また病変が認められた110頭のうち, 85頭(77.3%)が凝集抗体陽性であった. このことから, わが国の豚の AR に, B. bronchiseptica が重要な役割をもって関与していることが, 血清学的にも確かめられた. このようにして, AR の診断に凝集反応が利用されることが明らかにされた.
  • 菅原 伯
    1971 年 33 巻 1 号 p. 25-37
    発行日: 1971/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
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