日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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21 巻, 5 号
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  • 梁川 良, 平棟 孝志, 藤田 尋吉, 石井 進
    1959 年 21 巻 5 号 p. 259-264
    発行日: 1959/10/30
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    レプトスピラ病に関する定量的研究は, これまで殆んどおこなわれていない. これは適当な定量方法が無かったためと考えられる. われわれは, レプトスピラ, 特に組織や臓器中のレプトスピラの定量に, マウスを使用することについて基礎的検討をおこなった. 実験の結果を要約すればつぎのとおりである. 1) マウスの尾端を切って少量の血液をとり, これについて凝集溶菌反応をおこなうことによって, 予めレプトスピラの自然感染のおそれのない無処置マウスをえらび, 実験に供することが可能である. 2) dd系マウス3,038匹について, Leptospira iceteruhaemorrhagiae および Leptospira ballumを含む5種の抗原を用いて凝集溶菌反応をおこない, 抗体を調査したが, 陽性マウスは1匹も認められなかった. 3) 少数のレプトスピラをマウスに接種して, マウスのレプトスピラに対する感受性を検査した. 凝集溶菌抗体の上昇, および, 腎からのレプトスピラ回収が, 少数のレプトスピラを接種されたマウスでも認められた. 凝集溶菌抗体の上昇を感染のめじるしとした場合, TR-1株(Leptospira iceteruhaemorrhagiae)のdd系マウスに対するID50は11.2±1.5ケ, 佐伯株(Leptospira autumnalis)のそれは1.9ケと計算された. マウスがこのように少数のレプトスピラに感染することを利用して, 少数のレプトスピラをマウスを用いて検出することが可能と考えられる. 4) 実験感染の結果, レプトスピラを尿中に排泄するようになったマウス4匹を, 無処置マウス7匹と同じ箱の中で飼育して, 同居感染の有無を検討したが, 21週間の観察期間中, 同居感染は認められなかった. 5) 組織や臓器の中のレプトスピラ数を, マウス接種により算出するための, ひとつの式を記載した.
  • 岩科 一治
    1959 年 21 巻 5 号 p. 265-280
    発行日: 1959/10/30
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    鶏ペスト病毒及びニューカッスル病毒の死毒を用いての免疫試験は数多くなされ, その業績も様々な結果をえており, 化学薬品, 加熱或はその他の物埋化学的方法によって, 死毒としたものを免疫原として, 実験的免疫或は野外の実際の免疫に応用されたが, その結果も一様でなく, あるものは可成り良い成績を示し, あるものは全くその効果がみとめられないものもある. 実験者によっては必ずしも一致した結果はえられていない. 然しながら, 生きた変性病毒を免疫原として強い免疫結果をえようとする試みも相当に多数行われているが, 決定的成績をみとめるには至っていない. 一方, ニューカッスル病毒については, 野外発生例から有効抗原の分離, 或は実験中の偶発変性株の発見をも試みられ, 一部の地域によっては好結果がえられた報告もある. 更に, これら病毒の変性株を異種動物を通過することによって, 異種動物順化株を人為的に作る試みも行われ, これらに関する報告も相当見られるが免疫原として価値をみとめるまでには至っていないようである. 異種動物である哺乳動物への感染試験としては, 鶏ペスト病毒を用いて, DOERR, SEIDENBERG及びWHITEMANはマウスの感染性を確認し, マウスの長期通過によるマウス順化変性株を作ろうとしている. この株はマウス感染株とされているが, 続いて COLLIER, JANSEN, NIESCHULZ, LEPINE, MACKENZIE 及び FINDLAYらがその自国株を用いてマウス感染株を確認している. 然し, これらの株の鶏体にたいする変性については述べておらなく, わが国でも中村及び今井は千葉株鶏ペスト病毒のマウス感染性とそれに関する詳細な実験結果を報告した. 更にDOERR, SEIDENBERG 及び WHITEMANらはモルモット及び家兎について感染試験を行って, これら異種動物の感染性を強調する報告をなしたが, モルモット及び家兎の通過代数も少く, 長期に亘っていないので, 通過病毒の異種動物体への順化及び通過による鶏体への病原性の変性については, 明確な結果はえていない. 従って, 変性病毒による免疫及び変性過程については不明に終っている. そこで著者は鶏ペスト病毒千葉株をもちい, モルモット感染試験を行い, その長期通過によってモルモットへの順化とその経過並に通過病毒の鶏体に対する病原性の推移について観察した. 鶏ペスト病毒干葉株は鶏原株とマウス通過によって既に哺乳動物即ち異種動物に順化したマウス順化株(M.C.F.)の二株をもちいて, モルモットの感染性とその体内臓器中の病毒の分布を調べ, 次の結果をえた. 鶏ペスト病毒鶏原株のモルモット脳内接種では, モルモットへの感染性の差異は接種材料の異なることに基いており, 脳乳剤中の病毒よりも脾臓乳剤中の病毒にすぐれた感染性がみとめられ, 腹腔内接種では感染性が確認できなかった. 脳内接種によって病毒は増殖性を示し, 接種部位以外の体内にも病毒の検出ができた. 脳内増殖病毒もまだ鶏体への病原性は原株と変らなかった. モルモットの感染は鶏原株よりもマウス通過株の方が容易であり, 顕性症状をもって感染し継代せられ, 初期の通過では明瞭な症状を示さないものもあったが, 通過代数を重ねるにしたがって, 明瞭な神経症状を示した. モルモット通過病毒では脳内, 腹腔内, 皮下, 鼻腔内及び経口接種の総ての方法が, 神経性顕性症状を示して感染せしめた. モルモット通過の結果, 鶏ペスト病毒の基本的変性を生ずるには至らないが, 病変の発現は継代数とともに減弱され, 各種の接種路による鶏体接種も生来の病変を示さず, 病毒の変性が招来されているように思われた. 継代数を重ねての観察が必要となった. 感染モルモットの潜伏期は大多数が5~7日であって, モルモットの体重には殆んど影響されなかった. 接種路が腹腔の場合は脳内に比較して潜伏期が延長される. モルモット腹腔内通過された鶏ペスト病毒干葉株はモルモット体内で偏性向神経性であった. Septineuritisについても実験的成績を得ているので, それらについては次の報告に述べる.
  • 劉 栄標
    1959 年 21 巻 5 号 p. 281-287
    発行日: 1959/10/30
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
  • 浅見 望, 遠藤 元清, 土屋 皖司, 依田 八治, 今井 章浩, 三浦 馨, 伊藤 昭吾, 田嶋 嘉雄
    1959 年 21 巻 5 号 p. 289-298
    発行日: 1959/10/30
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
  • 田場 典治
    1959 年 21 巻 5 号 p. 299-306
    発行日: 1959/10/30
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1) 疲労によって神経-筋系に如何様な機能的変化が起るかということを調べるために筋電図学的な研究を行った. 犬を後肢のみで長時間起立させることによって後肢の筋を疲労させることを試み, M.gastrocnemiusから導出した筋の放電パタンの変化を経時的に観察記録した. 同時に単一NMUの放電を記録し, 方式に従って解析した. 2) 放電叢ははじめ均等に散布するが, やがて群化し始め, ついに明瞭な群化放電 Grouping Voltage に移行する. 動物の態度からこれが筋の疲労によるものと解釈した. 3) 単一NMUの放電間隔時系列の緩慢な動揺は, はじめ変動の幅が狭く, なめらかであるが, 群化放電の発現とともに変動の幅が増大し, 不規則になってくることが認められた. 4) 不規則な変動は頭初狭い範囲におさえられているが, やがて次第に増大し, 群化放電の発現するころは極めて大きな範囲に拡大した. 5) 訓練犬の緩慢な動揺は長時間の後肢起立によって変動の幅がわずかに増大するが, 未訓練犬のような大きな動揺は現われなかった. 不規則な変動の振幅の増加も未訓練犬に比べてはるかに小さく, しかも変化の現われる時期が著しく遅かった.
  • 今泉 清, 新井 照雄, 田嶋 嘉雄
    1959 年 21 巻 5 号 p. 307-315
    発行日: 1959/10/30
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
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