日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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28 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 金内 長司, 光岡 知足, 山本 脩太郎
    1966 年 28 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1966/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
  • 大越 伸, 北野 訓敏
    1966 年 28 巻 1 号 p. 11-16_2
    発行日: 1966/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    昭和38年1月23日, 東京都下三鷹屠場において, ホルスタイン種, 3才牝牛の涙腺嚢から, T. rhodesi と異なる眼虫7隻を検出した. 可検虫体の各部計測値を測定した結果, 1928年ロシアの W. S. ERSCHOW によって報告された T. skrjabini の計測値とほぼ一致するのでこれを同種と同定した. わが国において牛の眼球から T. skrjabini が検出されたことは, まだ報告されていない. 次いで T. skrjabini の分布を知るため, 全国から牛が参集する芝浦屠場において, 17府県から集まった屠殺牛96頭の眼球を検査した結果, 2地区の牛(千葉県4頭, 茨城県1頭)から, 合計16隻の T. skrjabini を検出することができた. さらに昭和40年7月から10月にわたり, 東京都の八丈島と大島, 北海道の新冠種畜牧場, 茨城県の東京大学付属牧場における合計199頭の牛を, 生理食塩液加圧眼球洗浄によって検査した結果, 合計226隻の眼虫を得た. そのうち35隻(15.4%)が T. skrjabini であったので, 本虫はわが国においても広く分布していることが判明した.
  • 山本 脩太郎, 石田 葵一, 佐藤 昭夫, 高橋 令治
    1966 年 28 巻 1 号 p. 17-26_2
    発行日: 1966/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    前報においては, 弱毒 Flamingo 株で家兎を感作し, 3週後に強毒株の攻撃を行ない, 経時的に観察した. その結果, 感作群では, (1)攻撃菌の臓器内における増加は, 肝・脾等では著明に抑制されるが, 肺・腎では不明瞭であること, (2)病変の発現が促進され, また, 後期においては肝・脾の病変が軽度となることなどが示された. 今回は, このように臓器によって感作の程度が異なる現象が, 感作期間を延長することによって, どのように修飾されるかを観察した. 感作には, 広木によって鶏から分離された鳥型菌A71株を使用した. この株は, 実験当時, 静脈内に10mg接種しても, 家兎をたおすことができない弱毒菌であったが, 皮下に接種すると, ツベルクリジ皮内反応を陽性に転化させることができるものであった. 観察の結果は, つぎのとおりである. 1) 臓器内における攻撃菌の増加に及ぼす感作の影響は, 肝・脾・骨髄・リンパ節において認められ, 菌量は著明に減少した. 肺に対する効果は, 3週間感作例においては明瞭に認めることができなかったが, 10週間感作例においては明確にとらえることができた. 腎に対する影響は認められなかった. 2) 感作群では, 病巣の発現が促進された. 攻撃後6日目に, すでに肝・脾に大単核円形細胞からなる病巣が見いだされた. 肺においては, 病巣はやや遅れて発現した. そして, この時期では, 対照無感作例に比し, 病変は重篤であった. 3) 実験後期では, 肝・脾の病巣が消褪して行く傾向が見られ, それらの病変は対照例に比して軽度であった. しかし, 肺・腎の病変は重篤であった. 4) 組織内に見いだされる抗酸性菌のあり方は, 定量培養の成績を裏付けるものであった. 5) ツベルクリン皮内反応, 菌量の消長, および病変の様相についての観察を通じて, 25週間感作群では, 10週間感作群に比し, 感作の影響が減弱していることが認められた.
  • 清水 高正, GREENBERG L.
    1966 年 28 巻 1 号 p. 27-34
    発行日: 1966/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ブドウ球菌 Smith 株が, ゲル状培地中にC型・ D型・M型と表示される3種の変異集落型を解離し, それに伴って, 種々の性状にも変異が認められることは, さきに報告した. 今回は, これらの集落変異株について, 各種の実験動物に対する病原性の特徴を比較した. その結果, 宿主動物および接種法により, 変異株の間に著しい毒力差が示される場合と, 同じ宿主であっても, 菌株間の病原性に全く差がみられない場合とがあることがわかった. まず, 対マウス腹腔内接種による致死感染性を比較すると, D型株が最強の毒力を示し, M型株がこれに次ぎ, C型株はほとんどマウスを斃さなかった. この実験系にみられる毒力差は, mucin を adjuvant として併用することにより, 一段と大きくなった. 同じマウスへの接種経路を静脈内に変えると, 変異株間のLD50は, ほとんど等しくなった. またマウス陰嚢内接種による化膿性感染の成立は, D型株よりも, CおよびM型株のほうが確実であった. 次に, 宿主をモルモットに変え, 腹腔内接種を行なったところ, DおよびM型株が致死効果を示したが, C型株は無害であった. 家兎皮内接種による化膿巣形成実験では, これらの株の間に有意差が認められなかった. これらの成績から, ブドウ球菌の一部の株にみられるゲル内集落型の変異は, さきに報じたような生物学的・血清学的性状のほかに, 病原性の変異をも伴うこと, および集落変異株間の病原性の差は, 特定の宿主および接種法によってのみ, 明らかにされ得るものと考えられる.
  • 坪倉 操
    1966 年 28 巻 1 号 p. 35-40
    発行日: 1966/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    すでに第II報において, ひな白痢菌のI型(中間型)菌は溶原菌であって, これらから放出されるファージのうち, II群は S および V型菌を, またIII群は V型菌を, 特異的に溶菌する事実を明らかにした. そして, この溶菌関係は, 井関らと植竹らによって明らかにされた, ファージによるサルモネラO-抗原の, 溶原化変換におけるファージ産生菌と, 受入菌との抗原関係にきわめてよく似ていることを指摘した. 次いで第IV報においては, ファージの溶菌特異性を決定する因子として, 感受性菌がもつ抗原特異多糖体が, 主要な役割をはたすことを述べた. これらの知見から, ひな白痢菌の122抗原に見られるForm variationが, ファージによって起こるものと予想した. そこで, 著者の IIa, IIb型およびII1群ファージと, S および V型菌のリゾゲン系, および Ia型ファージと S型菌, IV群ファージと I型菌の溶菌系の組み合わせによって, ファージの感染を受けた細胞に, 抗原の変化が起こるかどうかを試験し, 次の成績を得た. 1. II群ファージの感染を受けたV型菌では,ずべて溶原化を見た. これらの細胞は, 122および123因子血清に反応するが, 約半数は, 数代の継代後に原株の抗原構造に復帰した. 他の半数は, そのままの性状を子孫に伝え得る. III群ファージと V型菌の組み合わせでも, 少数ながら, 122および123因子血清に反応する性状が固定された細胞が作られる. 2. Ia型およびII群ファージの感染を受けた S型菌からは, 一時的に122血清にも反応する細胞が得られたが, すみやかにもとの表現型に復帰した. 3. IV群ファージは, I型菌に対し, 抗原構造にも, プロファージにも変化を与えない. 4. わが国で標準菌株として用いられている S および V型菌の中には, 一時的にI型を思わせる表現型をもつ細胞が, ごく少数ではあるが, 見いだされる. しかしこれらの細胞は, ファージの感染によって生じた変異型とは異なる. 本論文は, 北海道大学審査学位論文で, 規定に基づき公表する
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