日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Online ISSN : 1881-1442
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ISSN-L : 0021-5295
50 巻, 6 号
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  • 浜本 好子, 緒方 宏泰
    1988 年 50 巻 6 号 p. 1143-1149
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    三種の異なる粒子径のオキソリン酸(A; 1μm, B; 5μm, C; 20μm)を鶏に20mg/kg経口投与し, そのバイオアベイラビリティー(BA)を絶食あるいは採食状態において測定, 比較した. オキソリン酸の溶出率は, その粒子径の違いにより大きな差異を示した. 絶食状態では, AおよびBのBAはCより有意に良好であったが, AとBの間には差はみられなかった. BとCのBAは, 絶食状態に比較して採食状態の方が有意に良好で, 絶食時に見られたBAの差は採食時に, より顕著になった. この結果より, オキソリン酸のBAは5μmより大きな粒子径を持つ製剤においては, 溶出速度に依存するが, 5μm以下の製剤では, それに依存しないことが示唆された.
  • TANTASWASDI U., WATTANAVIJARN W., METHIYAPUN S., 熊谷 哲夫, 田島 正典
    1988 年 50 巻 6 号 p. 1150-1160
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    アヒルウイルス性腸炎ウイルスを接種した12羽の子アヒルの食道, 肝, 脾, 小腸, 胸腺, F嚢を光学, 蛍光および電子顕微鏡で検索した. これら器官の肉眼的・組織学的病変は, ウイルス抗原あるいはウイルス粒子の出現および分布と密接な関連において発現した. ヌクレオカプシドは核で形成された後, 細胞質ヘ移動し, テギュメントで包まれ, 次いで細胞質膜系を通過する時にエンベロープを獲得するものと見られた. 明調と暗調の2種の細胞質封入体があり, それらは染色標本の好酸性細胞質封入体あるいは大型蛍光粒子に対応するもののようであった. 明調封入体は無数のウイルス粒子と恐らく過剰生産されたエンベロープである小管状物を含んだ. 暗調封入体では, 崩壊過程にあるように見えるウイルス粒子と小管状物が高電子密度の物質に埋もれていた. この型の封入体は, 封入体形成の後期にあるものであり, リソソームの1種であろうと考えられた.
  • 佐藤 文昭, 佐々木 俊作, 茅野 文利, 遠藤 大二
    1988 年 50 巻 6 号 p. 1161-1168
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    本実験はX線の部分照射をうけたマウスに現われる晩発障害を調べる目的で行われた. 10週令のddY/SLC雌マウス428匹を次の4群に分けた. (1) 950radの頭部照射群, (2) 950radの躯幹部照射群, (3) 950rad の下肢部照射群, (4) 非照射対照群. 10週令でX線照射後に終生飼育した. 照射後の平均生存期間±標準誤差は以下の通りであった. 頭部照射群では430±13日, 躯幹部照射群では354±8日, 下肢部照射群では435±13日, 非照射対照群では472±14日であった. これらのデータから放射線による寿命短縮を計算すると, 頭部照射群で9%, 躯幹部照射群で25%であった. 下肢部照射群の寿命短縮は統計的に有意ではなかった. 頭部照射群には下垂体腫瘍が誘発された. 躯幹部照射群では卵巣腫瘍が誘発され, 悪性リンパ腫の発生率が減少した. この悪性リンパ腫の減少は, 躯幹部照射では寿命短縮が大きかったので, この腫瘍の好発年令まで生存したマウスが少なかったためと考えられる. 下肢部照射群の腫瘍スペクトルは非照射対照群に比べ, 有意の変化は認められなかった.
  • 井上 武, 岩田 祐之, 松村 健道, 後藤 直彰
    1988 年 50 巻 6 号 p. 1169-1176
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    正常なブタの脾臓, 血液, 胸腺, 腸管膜リンパ節, パイエル板のリンパ球を用いて, 酸性α-ナフチルエステラーゼ(ANAE)染色がブタTリンパ球の同定に使用しうるか否かを検討した. ただし, 今回は細胞の固定は緩衝ホルマリンアセトン液(pH 6.6) 2~3秒とした. ANAE陽性のリンパ球は大部分が赤褐色のspot状の染色像を示し, 濃赤色びまん性の染色像を示すのは単球であった. 脾臓, 血液, 腸管膜リンパ節, パイエル板のリンパ球ではE-ロゼット形成率とANAE陽性率との間には差が認められなかった. しかし胸腺では陽性染色像は微弱でANAE陽性率はE-ロゼット形成率よりも有意に低かった. Con AまたはPHA-Pで刺激した細胞では, ANAE染色像は培養前の細胞より弱く, ANAE陽性率はE-ロゼット形成率より低くなった. 以上の結果から, ANAE活性はブタの脾臓, 血液, 腸管膜リンパ節, パイエル板のリンパ球については成熟リンパ球のマーカーとなりうる. また同時に単球の同定にも使用しうる.
  • 佐々木 栄英, 北川 均, 石原 勝也, 石﨏 清美
    1988 年 50 巻 6 号 p. 1177-1183
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    コリー, シェルティ及び雑種犬にミルベマイシンD(ミルベ)を経口投与し, 血漿及び組織の濃度を測定するとともに, 血漿及び組織のミルベ濃度と神経症状との関係を検討した. 体重1kgあたり5mgを経口投与した雑種犬では, 1例も神経症状を発症しなかった. しかし, コリーでは4例中の3例で, シェルティでは4例中2例で流涎, 歩様蹌踉及び振せん等の神経症状を発症した. また, 雑種犬でも12.5mg/kgの投与で4例中2例が神経症状を発症した. 投与3時間後, コリー, シェルテイ及び雑種犬の全例において, ミルべは血漿, 大脳, 小脳, 延髄, 肝臓, 胆汁及び腎臓で検出され, それらのミルベ濃度は神経症状発症例において非発症例より有意に高値であった. 血漿ミルベ濃度は, 大脳, 小脳, 延髄, 肝臓及び腎臓のミルベ濃度と有意に相関し, 神経症状の発症は高い血漿ミルベ濃度と関連するように考察された. Ivermectinで示唆されているような血液脳関門の特殊性は, ミルべについてはコリー及びシェルテイでも認められなかった.
  • 北川 均, 佐々木 栄英, 石原 勝也, 石﨏 清美
    1988 年 50 巻 6 号 p. 1184-1191
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    コリーやシェルティがミルベマイシンD(ミルベ)に高感受性を示す理由を検討する目的で, こへらの犬種と雑種犬にミルべを経口(1.0, 5.0または12.5mg/kg)または静脈内(0.5mg/kg)に投与し, 血漿のミルベ濃度を測定した. 1.0mg/kgの経口投与では, 神経症状は全く発生せずず, 血漿ミルベ濃度は低値であったが, コリー及びシェルティでは比較的高い値を示す傾向を示した. 5.0mg/kgを投与した雑種犬では全く神経症状を発症しなかったが, コリーでは3例中3例が, またシェルティでは9例中5例が歩様蹌踉, 散瞳, 昏睡及び振せん等の神経症状を発症した. 神経症状発症例では, 血漿ミルベ濃度は400ng/ml以上の高値を示したが, 非発症例では300ng/ml以下であった. 12.5mg/kgを投与した雑種犬では3例すべてが神経症状を発症し, 血漿ミルベ濃度も高値であった. 0.5mg/kgの静脈内投与では, 雑種犬とコリー及びシェルティの薬物動態パラメーターには有意差が認められなかった. 神経症状は犬種にかかわりなく高い血漿ミルベ濃度に伴って発生したが, 同じ投与量でもコリーやシェルティでは雑種犬より高い血漿濃度を示す例が多く, 主にミルべの吸収の相違等がこれに関与しているように考察された.
  • 立山 晋, 河野 明広, 山口 良二, 野坂 大, 近藤 房生
    1988 年 50 巻 6 号 p. 1192-1199
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    泌乳や乳癌の研究の手段の一つを提供する目的で, 山羊乳汁由来の乳腺上皮細胞の培養を試み, その最適培養条件を検討した. 細胞は30%の割合で牛胎児血清(FCS)を含むイーグルMEM培地で良好な発育が得られたがそれ以下のFCS濃度では不可能であった. 細胞は培養開始後1ないし2日で培養器に接着し, 5日程度で小さなコロニーを形成した. この様なコロニーは次第にその大きさを増して他のものと融合しシートを形成した. シートを形成する細胞は種々の形態を示したが, 5ないし6代継代すると伸長した細胞と多型性を示す細胞が主成分となった. これらの細胞は抗ケラチン及び抗アクチン抗体に陽性で電子顕微鏡的にもデスモゾーム, 細胞陥合あるいは微紘毛等を認め, 上皮細胞の形態を示した. しかしながらカゼイン粒子や脂肪滴等の泌乳に関する細胞分化は本培養法では認められなかった.
  • 岩松 茂, 沢田 拓士
    1988 年 50 巻 6 号 p. 1200-1206
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1983年から1986年の間に, 長崎県下の豚の肝変化,膿瘍および胸膜炎の各肺炎病巣から分離されたPasteurella multocida計116株の血清型および皮膚壊死毒素(DNT)産生能を検査した. 莢膜血清型別の結果, 95株(81.9%)がA型で, 残り21株(18.1%)はD型であった. 膿瘍由来株にはA型およびD型がみられたが, 肝変化および胸膜炎由来株はすべてA型であった. 菌体血清型別では, 多くの株(94.0%)が3型血清と反応した. DNT産生能は21株(18.1%)に認められ, これらはすべて膿瘍由来株であった. また, これらの血清型はD:3が13株(61.9%), A:3・4が3株(14.3%), D:11が2株(9.5%)およびD:3・7, D:3・4・7・12, D:7・12が各1株(4.8%)であった. 以上の成績より, 豚の肺炎病巣から分離されるP. multocidaの莢膜血清型は菌が由来する病変の型により異なる傾向にあること, および肺からもDNT産生株が多数分離され, それらは膿瘍由来株であることがわかった.
  • 望月 雅美, 赤星 隆雄
    1988 年 50 巻 6 号 p. 1207-1214
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ネコパルボウイルス(FPV)の亜種であるネコ汎白血球減少症ウイルス(FPLV), ミンク腸炎ウイルス(MEV)およびイヌパルボウイルス(CPV)のカプシド構造ポリペプチドを比較した. CRFKネコ腎細胞系で作成した各ウイルスを塩化セシウム平衡密度勾配遠心法で精製した. 精製ウイルスは密度測定と形態観察の後, ポリアクリルアミド電気泳動法(SDS-PAGE)にて分析した. さらに, ウイルス感染CRFK細胞をSDS-PAGE法にて経時的に分析し, ウイルス非感染CRFK細胞と比較した. その結果, FPLV, MEVおよびCPVの各々の精製ウイルス粒子は3種類のポリペプチド(VP 1, VP 2, VP 3)で構成されていた. 各々のポリペプチドの分子量には亜種ウイルス間の違いは認められず, VP 1は84,000, VP 2は64,000, VP 3は63,000と推計された. FPVカプシド構造ポリペプチドのこれらの性状は他のパルボウイルス属ウイルスのそれらと類似していた.
  • 潘陳 眞眞
    1988 年 50 巻 6 号 p. 1215-1221
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    チンチラの大腸の微細血管系について, 透過電顕による組織学的観察, および鋳型標本の走査電顕的観察を行った. さらに, モルモット, ラットの鋳型標本を用いて, 大腸の微細血管構造を比較した. チンチラの大腸粘膜上皮直下の血管は有窓性毛細血管であった. 窓の数および毛細血管の密度は, 盲腸および大結腸では常に小結腸より高い値を示した. さらに, チンチラの大腸の部位によって, その微細血管構造は3型(Type I, II, III)に分けられた. モルモットとラットの大腸において, 両者の毛細血管の密度は異なるが, 微細血管構造は類似していた. また, これら3種動物の大腸のいずれの部位においても, チンチラの毛細血管の密度が最高値を示した. 以上の結果から, チンチラの盲腸と大結腸は生理学上で重要な役割を演じていると考えられた.
  • 加茂前 秀夫, 金田 義宏, 百目鬼 郁男, 岩村 祥吉, 荒井 徹, 小笠 晃, 中原 達夫
    1988 年 50 巻 6 号 p. 1222-1231
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    卵巣静止のホルスタイン種未経産牛20頭を4群に区分し, PMSGをI群6頭に500IU, II群6頭に1,000IU, III群5頭に2,000IU, IV群3頭に4,000IU, それぞれ筋肉内に1回注射した. 処置後, 卵巣の変化を調べると共に, 5頭について末梢血液中のEstradlol-17β(E2)とProgesterone(P)の消長を調べた. 処置後E2値は急激に増加し, 2日にピーク(11~15pg/ml)を示した. 排卵が処置後2~4日に, I群の2頭を除く18頭(90%)で誘起された. 排卵後に形成された黄体は, 形成不全で寿命の短いもの, 発育良好で寿命の短いもの, 及び発育, 寿命とともに正常なものの3型がみられ, それぞれ血中P値の増加を伴った. 黄体の退行に従って, 6頭(30%)で誘起排卵後8~22日に処置後2回目の排卵が起り, 卵巣は正常に活動し始めた. なお, II群の一部とIII, IV群のほとんどすべてにおいて, 処置後多数の卵胞が発育し, これと共に血中E2値も増加して7日に高いピークを示した. これらの成績から, PMSGは卵巣静止の牛において卵胞の発育, 成熟を促してEstrogen (E)を活発に分泌させ, 排卵を誘起することが示された. また, 増加したEが排卵性LH放出を惹起することにより排卵が起こるものと推察された.
  • 升永 博明, 有沢 広彦, 片山 純男
    1988 年 50 巻 6 号 p. 1232-1238
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    家兎の頸静脈に自家血による血栓を作製した. ヒト胎児正常線維芽細胞(IMR-90)の培養上清から精製した組織プラスミノゲンアクチベータ(t-PA)とウロキーゼ(UK)を, この家兎の同側または対側の耳介静脈からどちらも体重1kgあたり7万単位の割合で持続注入した. 同側耳静脈から注入したときの血栓溶解率は, t-PA, UKともに対側から注入したときよりも高く, t-PAで70%とUK(40%)を上廻った. またこの際, 血漿中のフィブリノゲン, プラスミノゲン,α2-アンチプラスミンの減少は, UKにくらべ明らかに少なかった. 血栓溶解特性の目安として血栓溶解率と血漿中のフィブリノゲン分解率の比をとると, 同側または対側, いずれの耳静脈内注入時にもt-PAがUKを上廻った. ヒト正常細胞(IMR-90)由来のt-PAは, 家兎自家血栓に対して高い特異性を示した. フィブリン平板を用いて測定したユーグロブリン分画中のプラスミノゲンアクチベータ活性は, t-PA投与終了後, 血中からすみやかに消失した. 以上のごとく, t-PAは, 血漿中での血液凝固線溶バランスに対する影響が軽微であり, 活性消失も速いので, UK大量投与時にみられる出血, 止血不全などの副作用が軽減される可能性が示唆された.
  • 河上 栄一, 筒井 敏彦, 山田 陽一, 小笠 晃, 山内 亮
    1988 年 50 巻 6 号 p. 1239-1244
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    片側性陰睾犬の成犬6頭について, 陰睾側の精巣を摘出した. 摘出前2週間から術後24週まで週1回ずつ精液採取を行うとともに, 4週間隔で末梢血を, さらに摘出時と摘出後24週に精巣静脈血および精巣組織を採取した. 次いで, 採取した血液中のテストステロン値をradioimmunoassay法で測定し, 精巣組織はPAS・ヘマトキシリン染色を施して観察した. その結果, 摘出前における精液性状は不良であり, 摘出時の下降側精巣静脈血中テストステロン値および下降側精巣における精細管内の精細胞数は, ともに正常犬のそれらよりも低値であった. しかし, 陰睾側精巣摘出後は, 精液量, 精子数は徐々に増加し, 精子奇形率は減少して, 摘出後20週を過ぎると正常犬に近い良好な精液性状となった. さらに, 末梢血中テストステロン値および精細胞数も増加し, 摘出後24週では正常犬に近い値を示した. 以上の成績から, 片側性陰睾犬における陰睾側精巣は, 下降側精巣の造精機能に対して, 何らかの抑制要因となっていることが示唆された.
  • 泉対 博, 甲野 雄次, 糸原 重美, 石野 清之
    1988 年 50 巻 6 号 p. 1245-1251
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    実験小動物を用いて牛白血病ウイルス(BLV)の実験感染を試みた. ウサギとモルモットにBLVに対する抗体が出現した. BLV感染牛リンパ球を接種したウサギでは, BLVに対する高い抗体価が長期間持続することが観察された. 幼若ウサギは成熟ウサギに比べ抗体産生が低かった. シンシチウムアッセイでは, これら動物のリンパ球からBLVが検出できなかったが, BLV抗体陽性ウサギの白血球や血液を接種しためん羊やウサギには, BLVに対する抗体が出現した. これらの結果から, ウサギは牛やめん羊ほど感受性は高くないがBLVが感染すると判断でき, BLVによる牛白血病のモデルとして使用可能と思われる.
  • 河野 明広, 立山 晉, 山口 良二, 野坂 大, 近藤 房生
    1988 年 50 巻 6 号 p. 1252-1258
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    山羊乳由来乳腺上皮細胞は, 固定コラーゲン・ゲル上で平板培養と同様, 伸長した細胞形態と多形性を示したが, 浮遊ゲル培養では円形化した. 細胞をゲル内に包埋すると増殖しなかった. パラフィン包埋切片においては, 固定ゲル上培養細胞, 浮遊ゲル培養とも, 細胞は単層に配列し, ケラチン及びアクチン陽性であった. 電顕的には, 浮遊ゲル培養においてはゴルジ装置の発達と基底膜様構造物の形成を認めたが, 固定ゲル上培養では, 細胞小器官の発達が悪かった. 分泌顆粒はいずれの培養においても認められなかった.
  • 矢間 太, 西田 隆雄, 九郎丸 正道, 林 良博
    1988 年 50 巻 6 号 p. 1259-1261
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ブタにおける血液精巣関門は, 種々の哺乳動物における報告とほほ同様に, 相接した二つのセルトリ細胞の細胞膜とそれに平行した小胆体, および細胞膜と小胆体との間のマイクロフィラメント束によって構成されていた. しかし, ブタのマイクロフィラメント束は他の哺乳動物より著しく発達しており, 従ってマイクロフィラメント束の機能解明において, ブタは最も有用な哺乳動物の一つであると考えられる.
  • 岩松 茂, 西中川 駿, 大塚 閏一
    1988 年 50 巻 6 号 p. 1262-1263
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    マウス乳腺に分布する静脈の外径を, 処女, 妊娠, 泌乳および離乳期を通して, 実体顕微鏡下で計測した. 腹鼠径部第一乳腺に分布する浅後腹壁および深腸骨回旋静脈の外径は, 妊娠に伴い徐々に大きくなり, 泌乳期で最大となり, 離乳期では著しく減少した. また, 後大静脈, 大腿静脈近位部もほほ同じ傾向を示した. 泌乳期で, 血管の外径が大きくなることは, 多量の血液が乳腺内を循環し, 乳の産生に関与していることが示唆された.
  • 鈴木 祥子, 高橋 敏雄, 村松 昌武, 大石 弘司, 中島 誠, 山下 征洋
    1988 年 50 巻 6 号 p. 1264-1267
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1986~1987年において, 屠場豚約85,600頭のうち, 肺病巣保有豚461頭からActinobacillus pleuropneumoniae 190株(41.2%)を分離した. 分離株の121℃1時間オートクレーブ加熱抽出抗原を用いた寒天ゲル内沈降反応により血清型別を行ったところ, 1型6株, 2型178株, 5型2株, 7型4株であり, 1及び7型株が我が国で初めて分離された.
  • 江口 正志, 國安 主税, 大前 憲一, 柏崎 守
    1988 年 50 巻 6 号 p. 1268-1270
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    馬由来K. pneumoniae 34株の38薬剤に対する感受性を調べた. GM, CEX, CL, PL, FZには全株が感受性を示した. 菌株が多様な感受性を示した12薬剤(DSM, FRM, KM, SPCM, SM, CTC, DOXY, OTC, TC, CP, NA, TMP)の最小阻止濃度をもとに薬剤感受性型を区別し, 生物型と比較した. 薬剤感受性型は必ずしも生物型に特異的ではなかったが, 生物型3及び4の菌株はそれぞれ1種類の薬剤感受性型しか示さなかった.
  • 安田 和雄, 小野 憲一郎, 長谷川 篤彦, 友田 勇
    1988 年 50 巻 6 号 p. 1271-1273
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    8例の自然発症糖尿病犬についてn-benzoil-1-tyrosyl-p-aminobezoic-acidを用いて膵外分泌機能(EPF)を検討したところ, その程度はさまざまであったが, 機能低下が全例に観察された. しかしながら, EPFの低下と耐糖能やインスリン要求量との間には特に関連を認めることはできなかった. 1年後に行った再検査の結果, 5例ではEPFがさらに低下していた.
  • 河上 栄一, 筒井 敏彦, 小笠 晃
    1988 年 50 巻 6 号 p. 1274-1276
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    精子のアクロソーム異常と尾部屈折奇形が高率に認められた犬2頭について, これら奇形精子の発現部位の検索, 生殖器の組織学的観察および血中androgen値の測定を行った. その結果, これら2頭の精子アクロソーム異常は主に精巣で, 尾部奇形は精巣上体で発生し, これらの要因として, androgen産生量の低下による精巣および精巣上体の機能異常が示唆された.
  • 古賀 哲文, 小野 悦郎, 梁川 良
    1988 年 50 巻 6 号 p. 1277-1278
    発行日: 1988/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Corynebacterium renaleの有線毛(P+)または無線毛(P-)クローンの中にはそれぞれ0.1%の割合でP-またはP+菌が含まれていたが, その割合は培養条件によって変化した. 普通寒天平板培養では, 少数者としてはP+菌ではなくP-菌が常に優勢となる傾向が示され, 他方ブイヨンでは, 振とう培養及び静置培養ともそれぞれ少数者が増加する傾向が示され, P-菌の増加のほうがP+菌のそれよりも顕著であった. 以上の結果集団変化がもたらされた. しかしクックトミート培地では変化は認められなかった.
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