ウレタン麻酔下のニワトリに人工呼吸を施し, 両側迷走神経を切断し, 生理食塩水の点滴を行ないながら, その腺胃内腔を5×10
-4 Nまたは1×10
-3 Nの苛性ソーダで灌流し, 流出液のpHを灌流型電極で連続測定し, 相対的な酸分泌に対するヒスタミン(Hist)の作用と, これにおよぼす抗ヒスタミン薬の影響を検討した. 腺胃通過後の灌流液のpHが5~7の範囲でも, 9~10の範囲でも, Hist (10μg/kg, i.v.)は, 一過性および持続性の2相から成る酸分泌促進作用を示した. H
1-遮断薬であるジフェンヒドラミン(0.5mg/kg, i.v.)は, Histの持続性作用をわずかに抑制し, H
2-遮断薬のメチアマイド(0.4mg/kg, i.v.)は, Histの持続性作用をほぼ完全に抑制したが, 両者とも, Histの一過性酸分泌促進作用にほとんど影響しなかった. したがって, ニワトリにおけるHistの酸分泌促進作用には, 従来より報告されているH
2-遮断薬により抑制されるものと, H
1-およびH
2-遮断薬に対して抵抗性を有する部分があることを見出した. 謝辞: 稿を終えるにあたり, 本研究に終始御指導と御校閲を賜った, 本学農学部家畜薬理学教室浦川紀元教授に深甚の謝意を表します. また実験にあたり, スミスクライン・藤沢株式会社よりメチアマイドの提供を受けたので記して謝意を表します.
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