日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Online ISSN : 1881-1442
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ISSN-L : 0021-5295
44 巻, 3 号
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  • 牧村 進, 鈴木 直義
    1982 年 44 巻 3 号 p. 389-395
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    マクロファージ高含有マウス腹腔細胞のミリスチン酸処理により, スーパーオキサイド (O2-) および過酸化水素(H2O2)の産生が認められた. ミリスチン酸刺激によるトキソプラズマまたはマラリア免疫マウス腹腔マクロファージの O2- および H2O2 の産生能は, グリコーゲン誘出正常マウスマクロファージに比較して, 著しく亢進していた. トキソプラズマ感染のみならずマラリア感染免疫マウスの腹腔マクロファージは, in vitro でトキソプラズマ虫体の増殖を抑制した. この活性化マクロファージの示す antimicrobial activity と O2- および H2O2 産生能の亢進との関連性が示唆された.
  • 中村 政幸, 吉村 治郎, 小枝 鉄雄, 佐藤 静夫
    1982 年 44 巻 3 号 p. 397-402
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    前報で, ヒナは餌付前から耐性大腸菌の汚染を受け, これらの耐性大腸菌は50日齢までほとんど減少しないことを報告した. 本報告では, これらのヒナをさらに180日齢あるいは360日齢まで, 抗生物質を含まない飼料で飼育し, それらの耐性大腸菌の変動を調べた. また前回と同様, ふ卵器の綿毛から分離された耐性大腸菌の定着性を血清学的にも検討した. 50日齢まで高頻度に分離されていた耐性大腸菌は, ゆるやかな減少傾向を示し, 耐性頻度は半年後には約50%, 1年後には約20%になった. 耐性型をみると, 50日齢以前にみられていた4, 5, 6剤耐性菌は著しく減少し, 単純な耐性型を示す大腸菌あるいは感受性大腸菌が優勢となった. またふ卵器の綿毛由来で, 初期に優勢であった耐性大腸菌と同一のO抗原群に属する耐性大腸菌も, 50日齢以降激減した. このような耐性大腸菌の変動には, それぞれの大腸菌の定着性が関係しているものと考察した.
  • 筒井 敏彦, 高谷 博文, 広瀬 修, 山内 亮
    1982 年 44 巻 3 号 p. 403-410
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    犬の受精卵の着床および妊娠の維持におよぼす prostaglandin F (PGF) 投与の影響について検討した. 実験犬24例にいて, PGF 5-50mgを投与した場合の, 着床および妊娠の維持におよぼす影響は, 開腹手術による子宮の状態, 分娩時期の観察および末梢血中 progesterone 濃度の測定によって行なった. まず, 妊娠初期の 5-17日の8例に, PGF 5-30mgを投与した結果, 全例が着床したが, 20mg以上投与した4例では, 末梢血中 Progesterone 濃度が著明に低下し, 着床後に胚の一部, または全部が死滅した. 妊娠中期の 25-51日の7例に PGF 5-50mgを投与した結果, 51日に20mgを投与した1例が早産した他は, 流産することなく妊娠が維持された. 妊娠末期の 55-58 日の9例にPGF 5-10mgを投与した結果, 1例を除いて, 他の8例では, 投与後, 平均38.1時間, 妊娠55.5-60.0 日に分娩が誘起され, 妊娠期間は短縮した. 以上のように, 犬の妊娠中に PGF を投与しても, 妊娠末期で分娩が早期に誘起される以外は, 特に多量に投与しないかぎり, 著明な影響がないことが認められた. また, 妊娠中に PGF を投与した場合, 分娩後から発情回帰までの日数は, 無処置の場合のそれに比べて約40日短縮することを認めたが, この発情期における繁殖成績には変りがないことが分った.
  • 和田 隆一, 鎌田 正信, 福永 昌夫, 安藤 泰正, 熊埜御堂 毅, 今川 浩, 及川 正明, 秋山 綽
    1982 年 44 巻 3 号 p. 411-415,418
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ゲタウイルス感染馬の病理学的変化を明らかにするため, 5頭のMI-110株実験感染発症馬を病理学的に検索した. 主な肉眼的病変は全身のリンパ節の腫大と, 発疹が認められた2例の真皮の多発性紅斑と皮下織の浮腫であった. 一方, もっとも顕著な病理組織学的変化はリンパ節および脾臓におけるリンパ系細胞の著しい増生であった. なお, 10日および11日目殺例の脾臓の一部のリンパ炉胞は萎縮し, その中心部には変性したリンパ球が多数認められた. リンパ節お上び脾臓における上記の組織学的所見は亜急性型の馬伝染性貧血罹患馬に認められる変化と類似しており, 体液性および細胞性免疫機構に結びついたリンパ系組織の反応性変化と思われた. 皮膚の組織学的病変は肉眼的に紅斑を呈した真皮に限局し, リンパ球, 組織球, 好酸球の血管周囲性またはビ慢性浸潤, 血管壁の水腫性変化および散在性の出血巣が認められた. また, 単核細胞からなる血管周囲性細胞浸潤が2例の大脳に認められ, 他の1例の脊髄に軽度の出血巣が確認された.
  • 谷口 和之, 望月 公子
    1982 年 44 巻 3 号 p. 419-426
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ハムスター鋤鼻器官の形態学的詳細について光顕および竜頭的に検索を行なった. 本器官は鼻中隔の前腹側に横たわり, 骨におおわれた全長約 7mm の一対の管状構造で, 後方は盲端となって終るが, 前方では小孔により鼻腔と交通していた. 本器官の管腔内側壁をおおう感覚上皮は嗅上皮に類似した細胞配列を示したが基底細胞は見出されなかった. また感覚上皮の感覚細胞の自由縁は線毛と微絨毛の中間型を呈する構造物におおわれていた. 感覚上皮にはしばしば毛細血管が侵入し, 感覚上皮の下方に見られる鋤鼻神経は無髄線維より成っていた. 本器管の管腔外側壁をおおう呼吸上皮は典型的な多列線毛上皮であったが, 杯細胞は認められなかった. 管腔の背外側および腹内側に多数分布するヤコブソン腺は粘液性と漿液性の2種の腺胞から構成されており, 粘液腺主体であった. またヤコブソン腺は P.A.S. 陽性であり, 嗅上皮のボウマン腺がアルシアン・ブルー陽性であるのと異っていた. ヤコブソン腺の腺胞の間にはしばしば有髄および無髄の神経線維が分布していた.
  • 北村 延夫, 山田 純三, 山下 忠幸, 三須 幹男
    1982 年 44 巻 3 号 p. 427-431
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ネコの消化管全長における内分泌細胞の出現頻度を光学顕微鏡で検索した. Grimelius 法陽性細胞は胃底部, 前十二指腸曲および直腸で多数認められた. Hellerstrom-Hellman 法陽性細胞は幽門部で最も多く認められたが, 前十二指腸曲および直腸でも比較的多数認められた. Masson-Hamperl 法陽性細胞および鉛ヘマトキシリン法陽性細胞は前十二指腸曲と直腸で多数認められた. 各陽性細胞の出現傾向は, 胃領域では様々であったが, 小腸および大腸では同様の傾向が認められ, 前十二指腸曲および直腸における増数が顕著であった.
  • 坪倉 操, 大槻 公一, 河岡 義裕, 福島 博
    1982 年 44 巻 3 号 p. 433-437
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    日本で分離されたYersinia enterocolitica (定型的292株, 非定型的57株) の溶原性と, ファージ型について試験を行った. 定型的 Y. enterocolitica 292株のうち, 生物型2, 血清型9の3株を除けば, 生物型4, 血清型3 (262株) および生物型2, 血清型5B (27株) はすべて溶原株であった. ファージの放出を確認するための指示菌は, 血清型3においては Dr. Mollaret から分与を受けた Ye 3827株のみが適しており, 日本で分離されたすべての定型的および非定型的菌株では, ファージは検出されない. 血清型5Bの全菌株は, 血清型3のどの菌株を指示菌としても, ファージが検出される. 非定型的 Y. enterocolitica は, 5株がファージを放出した. 血清型3は, ファージXIIを除くすべてのファージ (I~XI) に感受性を示した. 一部の菌株は, Dr. Mollaret により8型に型別されたが, ファージVIIIに溶菌されるので, ヨーロッパで分離される8型とは, 若干異なることが示唆された. ファージの溶菌作用は37℃では起らず, 25℃のような低温で活性を示す. いっぽう, ブロファージは37℃培養菌にも内包される.
  • チユンサマンヤート ナロン, 藤岡 俊健
    1982 年 44 巻 3 号 p. 439-451,457
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ニワトリにレセルピンを投与し, その副腎髄質細胞の脱顆粒期およぴ顆粒再形成期の微細構造の変化を観察した. 4mg/kg のレセルピンを腹腔内に注射すると, 分泌顆粒の減少はアドレナリン貯蔵細胞 (A細胞) では注射後1時間で始まるのに対し, ノルアドレナリン貯蔵細胞 (NA細胞) では12時間後にみられる. 脱顆粒期には顆粒の内部構造の変化とともに顆粒の肥大が起こり, 顆粒が癒合して小さい空砲を形成する. 小空砲に対し更に顆粒の内容の放出が行われて, 大きい空胞が形成され, これが細胞外に開く. 開いた空胞にには飲作用を示す小窩がみられた. 細胞膜に直接起こる開口分泌像の増加は認められなかった. 多数の遊離リボゾーム, ポリゾームと粗面小胞体の出現とゴルジ装置の肥大が注射の24時間後には明らかに認められ, 顆粒の再形成が起こる. 鍍銀の結果からゴルジ装置で形成された未成熟顆粒にはカテコラミンが含まれていないことが暗示された. 5mg/kgを3日連続注射すると, 最後の注射より3日後に, 最も著しい顆粒の減少がみられた. 顆粒の再形成の開始を示す細胞小器官の増加は1回注射時よりも著しいが, 分泌顆粒の再形成は7日後にみられ, 正常までに恢復するのは35日後であった. 今回の実験結果では, A細胞もNA細胞もレセルピン投与により分泌顆粒の放出を行うが, A細胞はNA細胞よりもレセルピン注射に対し, より鋭敏に反応することが分った.
  • 中沢 宗生, 石野 情之
    1982 年 44 巻 3 号 p. 459-463
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    子牛から分離された P. heamolytica 113株の血清型と生物型を調べた. 肺炎子牛36頭の肺病変部由来85株は血清型1, また, 健康子牛の外見上正常な肺より分離された1株は血清型2であった. 残りの27株は5株の型別不能株を除いて Frank の新しい血清型13, 14および15に属していた. すなわち, 1株が血清型13, 4株が血清型14, また, 17株が血清型15であった. 血清型13 (1株), 14 (4株) および 15(1株) は血清型1が分離された肺炎子牛とは別の子牛の肺病変部からそれぞれ分離された. また, 血清型15の16株は子牛の眼のスワブより分離された. 一方, 113株の生物型はカタラーゼとβ-ガラクトシダーゼの産生や数種類の糖の発酵パターンから生物型Aに該当すると考えられた. また, 血清型1および2と新しい血清型13, 14および15の生化学的性状の相違についても検討した.
  • 中村 政幸, 吉村 治郎, 小枝 鉄雄
    1982 年 44 巻 3 号 p. 465-471
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    6種類の野鳥(カラス, コジュケイ, ムクドリ, キジバト, ヒヨドリ, オナガ)30羽から分離された大腸菌の薬剤耐性とRプラスミドについて調べた. カラス, コジュケイ, ムクドリ由来株にのみ耐性が認められ, それぞれ120株中34株(28.3%), 25株中2株(8.0%), 10株中7株(70%)が耐性であり, これらの全分離株230株中43株(18.7%)が耐性であった. 耐性型は比較的単純で, すべてテトラサイクリン, ストレプトマイシン, スルファジメトキシンの単独型か組合せ型を示した. Rプラスミドはカラス由来耐性菌34株中5株(14.7%)のみから検出された. 一方, テトラサイクリン, クロラムフェニコールあるいはストレプトマイシンを含む平板培地で分離されたカラス由来株34株では, 4剤, 5剤, 6剤耐性菌が認められ, それらの菌株のうちRプラスミドは8株から検出された. なお, これら13株のRプラスミドの遺伝性状を調べた結果, 半数はFi+であったが, ファージによる制限では多くのプラスミドが異なる性状を示し, 不和合群は用いた簡易法では型別不能であった. 以上の結果から野鳥がRプラスミドの伝播に果す役割は家畜よりも小さいものと推察された.
  • 河岡 義裕, 内貴 正治, 梁川 良
    1982 年 44 巻 3 号 p. 473-478
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    レプトスピラ型特異多糖体抗原(TM抗原)の抗原決定基に関する研究の一環として, Leptospira interrogans serovar kremastos Kyoto 株のTM抗原を 2N 蟻酸あるいは 0.5N 硫酸で加水分解した. 両処理で各々限外ろ液に抗原活性を示す低分子物質を得たが, ゲルろ過したところ, 蟻酸分解でより均一な低分子活性物質が得られることがわかった. この物質は分子量約3,000ダルトンと推定され, TM抗原に含まれたタンパク成分および脂肪酸成分をほとんば含まず, 主に糖成分より構成されていた. この物質は抗体と沈降反応を示さなかったが, 型特異的放射免疫測定法で阻止活性を示した. 以上の結果から抗原決定基として糖鎖が示唆されたが, その可能性に関して考察された.
  • 大島 寛一, 高橋 喜和夫, 岡田 幸助, 沼宮内 茂, 香川 裕一, 南野 久晃
    1982 年 44 巻 3 号 p. 479-485,488
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ウシ白血病腫瘍期にある妊娠牛47例お上びその胎児51例について, 病理組織学的検索を行なった. 母ウシについては, 血清 BLV 抗体および電顕による BLV 粒子の検索を併せ行ない, 検査した全例が陽性であった. 血清 BLV の検索を行なった15例の胎児では, 5例(30.3%)が陽性で, そのうち1例は母ウシより高い抗体価を示し, かつ胎児胎盤に腫瘍細胞の浸潤を認めた. 別の2例では全身に腫蕩組織が認められ, そのうち1例では胎児胎盤から臍帯を経て, 胎児皮下に腫瘍組織が見られ, 母ウシからの浸潤とともに転移を思わせるものがあった. また, 血清を検査しなかった36例の胎児のうち, 11例(30.6%)のリンパ組織に活性化が認められ, BLV の経胎盤感染を思わせた. これらの所見にもとついて, 経胎盤感染の頻度, 病理発生などについて考察を加えた.
  • 猪股 智夫, 江口 保暢, 山本 雅子, 浅利 昌男, 鹿野 胖, 望月 公子
    1982 年 44 巻 3 号 p. 489-496
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ウシ胎仔外生殖器, とくに陰唇の形成と外生殖器の性分化について, 実体顕微鏡を用いて観察した. 陰唇の形成について-尿生殖ヒダは, 体長(CRL) 33cmぐらいの時期までに, 生殖結節をほとんど被うように発達して陰唇 (ヒ卜でいう小陰唇に相当) となった. 生殖隆起, すなわち, ヒトでいう大陰唇となるものは, 体長の増加にともなって頭方へ移動し, 体長が 10cm になるころに生殖結節の頭方, 恥骨部付近に退行消失した. よって, ウシに見られる陰唇は, 生殖隆起に由来するものではなく, 尿生殖ヒダに由来するものである. 外生殖器の性分化について-雄で体長 2.7cm の時期に, 生殖結節の尾方, 肛門との間に, わずかに隆起した会陰縫線と楕円形の小さな尿生殖口が認められた. しかし, 同じころの雌 (体長2.9 cm) では, 会陰縫線や尿生殖口は認められなかった. よって, ウシ胎仔外生殖器が性分化する時期は, 体長 2.7cm 前後のころであるものと思われた.
  • 韓 相燮, 佐伯 英治, 樋山 正士, 石井 俊堆
    1982 年 44 巻 3 号 p. 497-501
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    6種のゲッ歯類(マウス, ハムスター, スナネズミ, ラット, ハタネズミ, モルモット)の Babesia rodhaini に対する感受性について検討した. その結果, マウス (dd, ICR, BALB/c/nu/nu) が他の動物に比較して感受性が高く, 常に, 虫血症及び血色素尿症を認め, かつ, 104接種では接種後9-12日目, 108接種では3~5日目に全頭が斃死することが分った. ハムスター, スナネズミ, ラットでは109接種で全頭に虫血症及び血色素尿症が認められ, 過半数以上のものが斃死した. ハタネズミでは109接種で虫血症が認められたものの血色素尿症及び斃死は認められなかった. モルモットにおいては108及び109接種では虫血症, 血色素尿症あるいは斃死は全く認められなかった. この成績から供試した動物は以下の4つのグループに分けられると考えられた. 1. マウス (dd, ICR, BALB/c/nu/nu) は感受性が最も高く, 104接種でも全頭が斃死した. 2. ハムスター, スナネズミ及びラットでは109接種で虫血症及び血色素尿症は全例に, かつ, 高率な斃死が認められた. 3. ハタネズミでは109接種で虫血症のみが認められるに止まり, 血色素尿症はなく, 斃死するものもなかった. 4. モルモットでは全く感受性が認められなかった.
  • 鈴木 孝司
    1982 年 44 巻 3 号 p. 503-510
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ウマ4頭の頭部に総頸動脈から着色したラテックスまたは澱粉を注入し, 10%ホルマリンで固定したのち, 吉川らの咬筋層分化説にしたがって咬筋の各筋層の動脈分布を肉眼的に観察した. ウマの咬筋の各筋層にはつぎの動脈からおこる咬筋枝が分布する. 1) 表層筋第1層; 顔面動脈, 外頸動脈, 顔面横動脈, 2)表層筋第2層と中間層筋; 外頸動脈, 顔面横動脈, 頬動脈, 3) 深層筋前部; 外頸動脈, 4) 深層筋後部; 顔面横動脈, 5) 上顎下顎筋先駆層; 顔面横動脈, 外頸動脈, 頬動脈, 6)上顎下顎筋第1層; 顔面横動脈, 外頸動脈, 顔面動脈, 頬動脈, 7) 上顎下顎筋第2層; 外頸動脈, 顔面動脈, 頬動脈, 8) 頬骨下顎筋; 顔面横動脈, 頬動脈.
  • 柳井 徳磨, 立山 晉, 野坂 大, 芦沢 広三
    1982 年 44 巻 3 号 p. 511-513,516
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    今までほとんど報告されていないウマの甲状腺芳濾胞細胞を二重固定材料で電顕的にしらべた. 核は大型で比較的染色質に乏しく, 細胞質には大きさと濃淡により区別される2種類の分泌顆粒が多数観察された. またよく発達したゴルジ装置とその周辺部の前分泌顆粒, 微小フィラメントの束, 隣接細胞との間のデスモゾーム結合などが認められた. これらの所見は他の哺乳動物の芳濾胞 (c) 細胞と類同であった.
  • 田中 饒
    1982 年 44 巻 3 号 p. 517-521
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    犬由来(保存株)の線毛4株の経口投与による ID50 値は, 同由来非線毛2株のそれより小さく, 両者の間に有意差を生じた. 一方腹腔内接種による LD50 値は両者共にほぼ同様であった. 鶏肉由来(保存株)の経口投与実験では線毛5株のうち, 2株の LD50 値および ID50 値は残りの線毛3株および同由来非線毛2株より大きく, 有意差がみられた. 線毛3株と非線毛2株における ID50 値および LD50 値の間には犬由来株でみられたと同様の有意差があった. In vitro の実験で, 走査電顕の観察から線毛による回腸粘膜の microvilli との接触による菌体の付着像がみられた. 以上から, 前報において新鮮分離株でみられたように由来の異なる保存株においても線毛の有無による感染性に差異を生じ, この原因は線毛の腸管粘膜付着能によるものと推測された.
  • 田中 饒
    1982 年 44 巻 3 号 p. 523-525,527
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    抗生物質処置マウスに線毛株 (F1)108 個を胃内投与したところ, 投与3時間で回腸 (末端) および盲腸の各壁で 105~107/g の菌が検出された. その後7時間までに菌数が減少したが, 以後菌は増殖し96時間目には 106~108/gに達した. 特に盲腸壁で菌の増殖は顕著であった. 肝では投与 5~7時間で菌が検出され, 以後徐々に増殖していた(104/g). 一方非線毛株 (NF1)の同量菌の投与では, 各腸管壁での菌の増殖はみられず消失する傾向を示した. 肝では稀れに 24~48時間で少量菌が検出された. 投与4時間後の回腸壁を走査電顕で観察したところ, 線毛株投与例では線毛の介在による菌体の粘膜上皮への付着がみられた.
  • 鹿嶋 傅, 野村 豊一郎, 新井 成之, 野村 靖夫, 土屋 新男, 斎藤 保二
    1982 年 44 巻 3 号 p. 529-531,533
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    と畜検査において豚骨髄性白血病(好酸球性)の1例に遭遇した. 症例は3歳雌ランドレース系雑種で, 全身の各リンパ節は緑色調を呈し, 腎臓では皮質に小豆大~大豆大の黄褐色結節が密発し, 肝臓および脾臓の腫大は軽度であった. 組織学的にはペルオキシターゼ反応陽性の幼若な好酸球が各臓器に浸潤増殖しており, と殺直後採取した血液中には好酸性前骨髄球, 好酸性骨髄球および赤芽球が多数観察された.
  • 大槻 公一, 中村 貴史, 河岡 義裕, 坪倉 操
    1982 年 44 巻 3 号 p. 535-537
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ニワトリ伝染性気管支炎ウィルス Beaudette-42 株をヒナに接種した場合, インターフェロンを誘発するか否か検討した. その結果, 107.8~108.5 ELD50 のウィルスを静脈内接種, 気管内接種あるいは噴霧してもいずれの場合も血漿においてインターフェロンの産生が認められた. しかし, 呼吸器のインターフェロン産生は微弱であった.
  • 内田 郁夫, 金子 賢一, 橋本 信夫
    1982 年 44 巻 3 号 p. 539-542
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Yersinica enterocolitica O3菌121℃ 2時間半加熱死菌あるいはホルマリン死菌で経口免疫したマウスでは, 胃内接種された同生菌の糞便への排菌が阻止された. また O3菌のホルマリン死菌を皮下免疫することによって, O凝集素価 1:160, OH凝集素価 1:320 を保有するマウスでは, 胃内接種された同生菌の糞便への排菌は阻止されなかった.
  • 毛利 資郎, 半田 純雄, 和田 俊雄, 時吉 幸男
    1982 年 44 巻 3 号 p. 543-545
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    福岡市, 長崎県, 熊本県の野犬抑留所由来イヌから, 1978年3月から1979年3月までの間に集められた血清796検体について, イヌパルボウイルスに対する HI 抗体調査を行った. その結果1878年6月以前のものはすべて陰性であったが, 1978年7月以降陽性例が認められ, 日本においても1978年7月には, すでにイヌパルボウイルスの浸潤が始まっていたことが示唆された.
  • 韓 相燮, 佐伯 英治, 石井 俊雄
    1982 年 44 巻 3 号 p. 547-549
    発行日: 1982/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    B. rodhaini 豪州株を用い, マウス (dd strain) の年齢及び性による感受性の差について虫血症, 血色素尿症および死亡率などを示標として検討した. その結果, 4~5週齢, 10-11週齢及び23-24週齢の感受性の差は全く認められなかった. また,10-11週齢の雌と雄との感受性の差も認められなかった.
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