日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Online ISSN : 1881-1442
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44 巻, 6 号
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  • 三浦 康男, 稲葉 右二, 津田 知幸, 徳久 修一, 佐藤 邦彦, 明石 博臣, 松本 稔
    1982 年 44 巻 6 号 p. 857-863
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    インドネシアのジャワ島およびバリ島で1979年採取した牛血清について, 34種のアルボウイルスの抗体調査を行った. アルファウイルスおよびフラビウイルス属のウイルスについては赤血球凝集抑制 (HI) 試験, 他のウイルスについては中和 (NT) 試験を行った. アルファウイルス属のウイルスでは, Getah ウイルスに対する HI 抗体が一例のみ検出され, Chikungunya および西部馬脳炎ウイルスの抗体は検出されなかった. フラビウイルス属のウイルスでは, 日本脳炎, Stratford および Kokobera ウイルスに対する抗体の検出率は36~54%であった. ブニヤウイルス属の Aino, Akabane, Tinaroo, Peaton, Ilesha, Batai, Kairi, Kowanyama および Belmont ウイルスの NT 抗体検出率は30%以上であった. オルビウイルス属の Ibaraki, Mitchell River, Warrego ウイルス, bluetongue の1型お上び20型ウイルスの抗体検出率は40%以上であった. また, 牛流行熱ウイルスの抗体検出率は79%であった. 以上のように, 多くのアルボウイスがインドネシアの牛に広く伝播していることが明らかにされた.
  • 白幡 敏一, 清水 亀平次
    1982 年 44 巻 6 号 p. 865-871
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    トキソプラズマおよびBCG感染マウスの脾細胞培養よりII型インターフエロンを調製し, マウス培養細胞内でのトキソプラズマの増殖抑制効果について検討した. 両IFNサンプルともにマウス腹腔マクロファージやL細胞内での本原虫の増殖を同様に抑制し, 特異性は認められなかった. II型IFNによる原虫抑制効果はL細胞よりもマクロファージに対しより効果的に作用した. II型IFN処理細胞内におけるトキソプラズマの増殖抑制機序は供試細胞種により若干異なり, マクロファージ内では殺虫的に作用したが, L細胞に対してはほんの静虫作用を賦与するのみで, 虫体の殺滅・消化は認められなかった. IFN処理細胞による抗トキソプラズマ活性の発現は供試IFN量や処理時間に相関しており, 高単位のIFNで, より長時間処理された細胞ほど強い抑制効果を発揮した. また, II型IFNで24時間前処理後トキソプラズマを感染させた細胞では, 虫体接種1時間目と2時間目における細胞内虫体数や感染率が対照に比較して明らかに低下していた.
  • 永友 寛司, 清水 高正, 小谷 均, 尾形 学
    1982 年 44 巻 6 号 p. 873-879
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ureaplasma 感染による子ウシ肺炎の診断に関して, 間接血球凝集反応法 (IHAテスト) の有用性を検討した. ウシ由来 ureaplasma の代表血清群3株の濃縮菌液から作成した抗原の超音波処理後の遠心上清 (細胞質分画) を等量混合して多価抗原とし, glutaraldehyde 固定血球を感作, IHAテストを試みたところウシ由来3血清群の代表株に対する抗血清のいずれに対しても明瞭な凝集 (1:64~1:2048倍) を示した. しかし, 参照株として用いたヒト・サル・ネコ・イヌ・ニワトリ由来の ureaplasma, および6種の mycoPlasma に対する抗血清とは全く反応しなかった (1:2以下). 感染発症例が続発している飼育場に新たに導入された子ウシについて, ペア血清をしらべると, 導入後60~120日の間にIHA抗体価が上昇し, 代謝阻止試験でもIHA反応の特異性が裏付けられた. 以上の成績から, Polyvalent 抗原を用いるIHAテストは, 簡便な血清診断法として有用と思われた.
  • 谷口 和之, 谷口 和美, 望月 公子
    1982 年 44 巻 6 号 p. 881-887,890
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ハムスター鋤鼻器官感覚上皮および嗅上皮の微細構造の胎生期ならびに生後の発達について検索を行なった. 感覚上皮と嗅上皮はともに嗅板から分化し, それぞれの幹細胞は両上皮に共通であったが, 嗅上皮では細胞の分化は速く生後1日にはすでに成体嗅上皮とほぼ同様の細胞学的特徴を備えていた. いっぽう, 感覚上皮細胞の分化は遅く, 生後4日でも多くの未分化な細胞が観察され, 生後10日においてもなお分化は未完了であった. リボゾームとミトコンドリアはもっとも早く発現し, 中心小体は感覚上皮, 嗅上皮感覚受容細胞の両者に観察され, 微小管の核形成の場と考えられた. 嗅上皮では嗅小毛が胎齢13日に萌出したが, 感覚上皮線毛は成体においてもみとめられなかった. 以上の成績から, 嗅覚機能は主として嗅上皮によって担われるものと考えられ, 鋤鼻器官感覚上皮は嗅覚の識別能力あるいはその機能を補い, あるいは嗅覚とは別の何らかの感覚に関与していることが想像された.
  • 松林 清明, 望月 公子
    1982 年 44 巻 6 号 p. 891-899,902
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ニホンザルの頭胴長・体重の成長曲線と共に精巣・精巣上体・精嚢・前立腺の重量および組織像について, 年齢による変化と季節的変化とを調べた. 精巣および副生殖腺の重量は, 精子形成開始期である4歳前後から著明な増加を始め, 10歳頃まで継続した. 成熟個体では, 精巣上体を除く各器官の重量が繁殖期の間で有意の差を示した. 組織学的には精細管径, 精細管断面に於ける pachytene spermatocyte の数と出現頻度, spermatid および精子の出現頻度, 精巣上体管 (体部) の管径・上皮厚・管内の精子包含率, 精嚢・前立腺 (前葉) の上皮厚などいずれも, 精子形成開始期前後から著しく増加あるいは増大しはじめ, その後10歳頃まで継続した. 精巣管内に最初に精子が観察されたのは3歳または4歳の繁殖期であった. 精嚢・精巣上体および前立腺の上皮細胞の原形質は, 繁殖期においては内腔に向かって高く伸長し, 活発な分泌活動を示す一方, 非繁殖期は細胞の高さを減ずるなど分泌活動の低下がうかがわれた.
  • 八十島 昭, 大川 仁, 土井 邦雄, 岡庭 梓
    1982 年 44 巻 6 号 p. 903-908
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    大量のビタミンD2およびコレステロールを負荷したラットの腹大動脈の初期病変を電顕で検索した. 早期には血漿成分の浸透に関連して内膜に小水胞が出現し, ついで内皮細胞の変形および内膜水腫が目立った. これらの変化にひきつづいて, 中膜の内層お上び中層に, カルシウム塩結晶の沈着をともなった変性が観察された. 中膜の変性初期には, 最初に平滑筋細胞のミトコンドリア内にカルシウム塩の結晶がみとめられた. 以上の成績から, 大量のビタミンD2投与により誘発された高カルシウム血症が大動脈初期病変を惹起する上で重要な役割を果していることが強く示唆された.
  • 林 俊春, 石田 卓夫, 藤原 公策
    1982 年 44 巻 6 号 p. 909-913,916
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    臨床・病理・血清学的にネコ伝染性腹膜炎 (FIP) と診断された85例の自然例中60例に糸球体腎炎をみとめ, 組織学的に膜性 (22例), メサンジウム増殖性 (16例) および膜性増殖性 (22例) の3型に分類された. 電顕的には毛細血管壁およびメサンジウム域に電子密度の高い物質の沈着がみられ, 螢光法によって同部位に免疫グロブリンおよび補体の顆粒状沈着がみられた. 以上の所見からFIPでは免疫複合体による糸球体腎炎が高率に発生することが示唆された.
  • 北川 均, 石原 勝也, 横山 信治, 佐々木 栄英
    1982 年 44 巻 6 号 p. 917-923
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    犬糸状虫(F)症犬60例を病期により4群に分類し, 酵素螢光法により血清総胆汁酸 (SBA) 濃度を測定した. 重症群 (n=14, 38.0nM±40.8 (S.D.)) および血色素尿群 (n=26, 24.4nM±18.3) のSBA濃度は, 正常 (n=94, 5.3nM±3.9), 未発症 (n=9, 9.0nM±9.3) および軽症群 (n=11, 7.3nM±6.8) より有意に高値であった. SBAと他の検査項目との相関は, F症の全群では総コレステロール (Ch), 遊離 Ch, リン脂質, 赤血球膜 Ch およびビリルビンがそれぞれ有意であり, 血色素尿例を除くF症群では, GOT, CPT, A1-P, 総 Ch, 遊離 Ch および BUN との相関が, また, 重症群では総 Ch および遊離 Ch との相関が有意であった. これらの所見は, 肝機能検査としての SBA の有用性を示すとともに, Ch とその代謝産物である胆汁酸との密接な関係を示唆していた. SBAと血清 lecithin cholesterol acyltransferase (LCAT)との間に認められた有意の相関から, SBA が LCAT 活性を直接阻害する可能性も考えられたが, 肝障害による LCAT 産生低下が主因と推察された. 血色素尿症群では, 肝細胞の著明な破壊があるにもかかわらず, その SBA レベルは重症群よリ低値であり, また, 総 Ch および遊離 Ch を含むすべての検査値とも有意の相関を示さなかったことから, この群の胆汁酸代謝は他群と異なることが示唆された. 虫体摘出後, SBAは増減さまざまの変動を示し, その平均値は術前 29.4nM±23.4, 術後 32.5nM±29.3 であった. 一方, 血漿ヘモグロビン濃度は術後著減し, SBA と血漿ヘモグロビンとの間に有意の相関はなかったので, F性血色素尿症における血管内溶血は SBA の直接的関与によるものではないと考えられた.
  • 伊東 季春
    1982 年 44 巻 6 号 p. 925-931
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    糸状肺虫による牛肺虫の感染防御試験を牛を用いて行った. 免疫に用いたのは感染幼虫または第5期幼虫であり, それぞれにX線照射群と非照射群を設置した. 免疫はいずれも4週間隔で2回行い, 最終免疫後6週目に牛肺虫感染幼虫による攻撃を行った. 攻撃後の糞便内幼虫数, 剖検時の寄生虫体数お上び肺病変などから各群の免疫効果を判定したところ, 非照射糸状肺虫感染幼虫10,000匹/頭の経口投与による免疫群において比較的高い感染防御効果がみられた.
  • 佐々木 栄英, 北川 均, 石原 勝也, 望月 敬司, 佐野 弘
    1982 年 44 巻 6 号 p. 933-940
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1980年10月から1981年4月にかけて静岡県下の一養豚場で出血性疾患が発生し, 30~40日齢の子豚19頭が去勢後の止血不良で死亡, さらに40~70日齢の子豚22頭が皮下出血で死亡した. 皮下出血は主として内股部・腋下部または顎下部に認められ, 病豚は患部の著しい腫脹, 跛行, 起立困難および衰弱などの症状を示して多くは発病後2~3日以内に死亡した. 剖検した3例はいずれも高度な貧血所見を示し, 1例では右腋下深部から, 他の2例は大腿深部から出血しており, 付近の筋層間および皮下に多量の血液が浸潤していた. 病理組織学的検査では, 内側大腿回旋動静脈壁の粗鬆化ならびに血液の漏出が2例に認められた. 血液凝固学的検査では, 剖検例3例ならびに同腹豚の8例中5例に PT および APTT の延長, および, ビタミンK依存因子である第II, VII, IX, X因子の減少が認められた. しかし, 第I (Fibrinogen), IV (Ca), V, VIII 因子および血小板数は, ほぼ正常範囲内にあった. 以上の成績から, 本病はビタミンK欠乏による出血性疾患と診断され, 特定血統の子豚に限り抗菌性物質の投与期間中に発生していたので, これらの要因が発病に関与していたものと推察された.
  • 小木曽 洋一, 福田 俊, 飯田 治三
    1982 年 44 巻 6 号 p. 941-950
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    新生仔から老犬までのビーグル犬計50例の剖検例について病理組織学的検索をおこない, 偶発病変分布と加齢性変化について検討した. 新生仔や1歳以下の幼犬では肺炎による死亡例が多かったが, 高齢のイヌでは加齢性変化が多くみとめられた. すなわち, 肝臓では空胞変性, 脂肪変性, リポフスチン沈着, 好酸性結晶状核内 (ACN) 封入体および肉芽腫様単核細胞集簇, 腎臓ではタンパク円柱, 石灰沈着, ACN 封入体, 慢性間質性腎炎および腎孟腎炎, 副腎では皮質の脂肪変性, 空胞変性および結節状過形成, 小腸では粘膜嚢胞形成, 甲状腺では, ろ胞の萎縮と嚢胞形成およびろ胞間細胞の増数などがみとめられた. このほか少数ではあるが, 新生仔の腎孟拡張をともなう水腎症, 脳室拡張をともなう軽度の脳水腫, 下垂体前葉の嚢胞形成, リンパ球性甲状腺炎および皮膚病等が注目された. また腫瘍性病変は高齢の数例にのみみとめられた.
  • 中井 裕, 扇元 敬司, 勝野 正則
    1982 年 44 巻 6 号 p. 951-956
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    鶏胚を用いた Eimeria tenella の培養条件を検討した. 10日齢鶏胚の尿膜腔内, 卵黄のう内, 漿尿膜上にスポロゾイトを接種して41℃で培養すると, オーシストを回収できたのは尿膜腔内接種法のみで, 接種後48時間に成熟初代シゾント, 72時間に2代シゾント, 144時間にガメートおよびオーシストが観察された. オーシストは漿尿膜内および尿膜腔内沈澱物中に多数見られたが, 尿液中に浮遊するオーシストはわずかであった. また, 接種後7日と8日とでは産生オーシスト数および胞子形成率に差は認められなかった. 8~12日齢胚にスポロゾイトを接種したところ, 致死率は接種日齢に関係なくほぼ同値を示したが, オーシスト数は8日齢胚のみが低値を示した. 10日齢胚では, 致死率は接種数を増すと上昇し, 産生オーシスト数は接種数の対数に比例して増加した.
  • 永幡 肇, 野田 寛, 工藤 忠明
    1982 年 44 巻 6 号 p. 957-960
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    9% Ficoll (24容) + 33.4% Conray (10容)を分離液とし, 比重 1.073~1.101 (0.002間隔) のl5種類の比重液を用いて比重遠心法による成牛末梢血リンパ球の分離・回収率を検討した. 比重1.087 (20℃) が成牛末梢血リンパ球の回収には最適 (回収率74.3±15.4%, 純度98.4±1.4%) であり, また本法実施時の血液希釈倍数は3倍が適当であった.
  • 三枝 順三, 河合 清之
    1982 年 44 巻 6 号 p. 961-963,966
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    SD 雄2, Wistar 雄4計6例に endocardial disease を検出した. いずれの症例も13力月齢以上であった. 病巣は主に左心室にみられ, 心内膜と心筋の間に間葉系細胞の増殖を呈していた. 重篤例では表層部と深部で病巣が異なり, 前者は卵円形核と塩基性細胞質を有する大型細胞で構成され, 後者は小型細胞からなり細胞間の膠原線維が豊富であった. 病理発生および組織発生については今後の研究が必要である.
  • 松村 富夫, 後藤 仁, 清水 亀平次, 杉浦 健夫, 安藤 泰正, 熊埜御堂 毅, 平沢 澄, 秋山 綽
    1982 年 44 巻 6 号 p. 967-970
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1979~81年に, 北海道全域より収集した馬血清910例のゲタウイルスと日本脳炎ウイルスに対する抗体調査から, 馬の間における両ウイルスの伝播様相を比較検討した. 両ウイルスの抗体保有状況は地区によって異なり, とくに道北地区では, ゲタウイルスが広く伝播していた (105/230, 45.7%) のに対し, 日本脳炎ウイルスの伝播は非常に少ない (18/230, 7.8%) か, あるいはほとんど伝播していないことが示唆された.
  • 遠山 俊光, 角田 清, 藤田 潯吉
    1982 年 44 巻 6 号 p. 971-973
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Isospora felis と I. ohioensis の人工脱シスト条件について検討した. I.felis は, 胆汁を成分とする脱シスト液の感作をうけると, オーシストの一端あるいは両端に陥没の発生とスポロシストの破裂, さらには陥没部位よりスポロゾイトの脱出がみられた. I. ohioensis では, 上記脱シスト液をスポロシストに感作することにより脱シストがみられた. 数種の動物から得た胆汁はいずれも同程度の脱シスト効果を示した.
  • 秋山 潔, 秋山 敬子, 鈴木 義孝
    1982 年 44 巻 6 号 p. 975-979
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    食欲不振, 咽吐, 腹水の貯留, 消化管の位置異常を示した6歳の去勢雄シャム猫を剖検した. 臓側および壁側腹膜には白色小腫瘤が播種状に多数認められ, 腹腔・骨盤腔に 1mm~15mm 大の腫瘤が存在し, 肺および胸部リンパ節にも転移巣を認めた. 病理組織学的に腹膜中皮腫と診断され, 電顕的に腫瘍細胞は多数の微絨毛を有し, 細胞質内には微絨毛に裏打ちされた Psammoma bodies もしばしば認められ, 細胞間に接着斑が認められた.
  • 清水 高正
    1982 年 44 巻 6 号 p. 981-983
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    慢性肺炎により死亡した子牛3頭の肺, および肺炎発生飼育場4場の罹患牛33頭の鼻汁のうち, 3場由来の13例から M. bovis が分離された. 臨床診断の目的で鼻汁を培養に供する場合, M. bovirhinis が優勢に発育し, M. bovis の集落の検出を困難にする例が多かった.
  • 西尾 晃, 加納 晴三郎
    1982 年 44 巻 6 号 p. 985-987
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    内毒素を投与されたウサギの発熱と血清の血管透過性亢進活性の変化を, 直腸温と皮膚毛細血管の色素透過性を指標として検討したところ, 投与90分後に血管透過性亢進活性が一過性に上昇することがわかった. この透過性亢進活性の上昇は解熱薬による発熱抑制下でも認められたことから, 発熱によるものではなく多核白血球から遊離する分子量5,000~10,000の物質の増加によることが示唆された.
  • 塚本 健司, 小西 信一郎, 尾形 学
    1982 年 44 巻 6 号 p. 989-991
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    EAVの増殖に与える M. orale の影響について, Vero 細胞を用い検討した結果, EAVのプラック形成能・ウイルス産生・ウイルス増殖曲線は, マイフプラズマ・フリー細胞および感染細胞の間にほとんど差を認めなかった. プラックの直径は後者においてより大きかったが, アルギニン添加により前者と同様になった.
  • 佐藤 博
    1982 年 44 巻 6 号 p. 993-996
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ホルスタイン種の雄子牛を用いて 1, 4, 5-6, 8 および12週齢にそれぞれ4日間ずつ採尿し, 尿性状と尿への酸あるいは塩基の排泄を調べた. 子牛には6日齢から代用乳, また11-13日齢から人工乳とヘイキューブを与え, 32-35日齢で離乳した. 観察期間中クレアチニン係数はほとんど一定であった. 1週齢においては尿の比重, 緩衝能, PHが低く, 滴定酸が排泄されていた. 発育にともなって比重・緩衝能が高まり, 5-6週齢以降は成牛の値に達していた. また尿はアルカリ性になり, 滴定塩基が排泄されていた. 尿へのリン酸排他は哺乳期に多く, 離乳後には減少した. アンモニウム排泄は8週以降に著しく増加していた.
  • 平沢 勉, 畔高 政行, 小西 信一郎
    1982 年 44 巻 6 号 p. 997-1001
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    良好な管理下にある18コロニーの集団飼育犬について, イヌ・パルボウイルス抗体の分布と動態について検索した. 検索した全コロニーで HI 抗体陽性例を検出し, 総検査頭数401例中320例 (80%) が抗体陽性であり, 隔離・飼育されている犬集団にも本ウイルスが広く蔓延していることが確認された.
  • 林 良博, 西田 隆雄, 藤岡 俊健, 次山 盤, 望月 公子, 富元 幹夫
    1982 年 44 巻 6 号 p. 1003-1006
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    赤色野鶏, 白色レグホン種および日本在来鶏4品種の頭蓋計測をおこない, 多変量解析法によって品種間の比較を試み, つぎの成績をえた. (1) サイズによって, 小型の赤色野鶏と小国, 中型の白色レグホン種とトカラ鶏, 大型の薩摩鶏とシャモの3群に区分された. (2) 薩摩鶏は, 頭蓋の形態においてシャモよりも小国に近似していた. (3) トカラ鶏は, 計測値の変異係数が大きく不均一な集団と考えられた. (4) 頭蓋の形態差に両眼窩最小幅が大きく関与していた.
  • 大島 正尚
    1982 年 44 巻 6 号 p. 1007-1019
    発行日: 1982/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    試験場の牛群を対象として, 2年半にわたり前搾り乳の伝導度測定値 (25℃, 10-4 S) にもとづく伝導度分房間差値 (10-4 S, 以下間差値) によって潜在性乳房炎の調査を行なった. 1. 1泌乳期を通じて分房ごとに間差値の頻度分布を調べ間差値平均を求めそれをクラス分けして障害の程度を分類した. 総分房数362例のうち健康に近い分房 (クラス0と1) は75%, 問題がある分房 (クラス2) が10%, あきらかに障害があると判断される分房 (クラス3~8) が15%あった. 2. 産次が高くなると, 健康な分房の割合が減少し, あきらかに障害のある分房の割合が増加し, 産次に伴う無脂乳固形分含量の減少と関係がある可能性が考えられた. 3. 前に位置する分房の間差値平均は, 同側の後よりも有意に大きく, 過搾乳による影響が考えられた. 4. 障害がある分房では間差値はジグザグ型に変化し, 分房ごとの間差値の標準偏差は間差値平均とともに増大した. また約30%の分房は上り坂型の変化を示した. 5. 前の泌乳期と次ぎの泌乳期の間差値平均の推移を調べると, 次ぎの泌乳期に, 前よりも高い値に移行した分房は, どのクラスでも20~30%であった. 6. 間差値平均が高い (4×10-4 S以上) 分房 (クラス4以上) の過半数は乳房炎の治療をうけた分房であった. 7. 伝導度分房間差値法は, 異常乳の生成に関する混合説により, 乳試料中に混合している浸出液の量的割合にもとづいて異常を評価すると意味づけられることを論じた. 我国あるいは諸外国で多くの牛群について行なわれた乳房炎の調査結果によれば, 約半数の乳牛, あるいは総分房数の20~50%に潜在性乳房炎が検出されるといわれる[10,22,23]. 乳牛の職業病とも呼ばれるこの乳腺の疾病について, 多くの研究が行なわれているが, 乳房炎検査によって潜在性乳房炎が疑われるような分房,あるいはそれと診断された分房が牛乳を生産し続けている牛群に, 長期的な視野においてどのような姿で存在するのか, またそれがつぎの泌乳期にどのように移行していくのかについて観察した報告は多くない. 潜在性乳房炎ほ分房から採取した乳試料についての細菌学的, 細胞学的あるいは化学的検査によって捕えられるから, その病態の全体像は多くの側面をもつが, われわれは近年診断への利用が広く試みられている電気伝導度による検査法[3-9,11,13,21]によって長期間潜在性乳房炎を観察した. この報告では当試験場の牛群の全頭について2年半にわたり連続して行なった伝導度分房間差値法による乳房炎検査[11,13]のデータをもとにして, 全分房を潜在性乳房炎の異常の程度にしたがって分類し, 分類した各クラスの分房の出現頻度, 異常の程度の経時的な変動の経過, あるいは各クラスの分房の特徴, 泌乳期ごとのクラスの推移, またクラスと治療との関係などについて調査した果結を報告する.
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