4-60℃間各区の耐熱処理血漿試料F-GOTの活性曲線は, 50℃区処理の試料活性をピークとする山型曲線として示される. また, これらの試料に対する定量範囲のPyridoxal 5'-phosphate (PALP) 添加の効果は, PALP濃度に比例的な活性の賦活, もしくは復活傾向として示され, そのうち, 最高活性の発現は, 20℃区の処理試料において認められた. このように, 補体的要素としてPALPをとるF-GOTは, 形式上, 一次の反応に属する反応次数を持ち, 熱失活を無視することができる温度範囲内の4-40℃区において, 反応速度定数(k)の温度変化から求められたこれら酵素の見掛けの賦活エネルギー(E
A)は, 平均9,024.18cal/Mである. また, Arrhenius式に適合するこれらF-GOTのE
A算定の基準となった, 反応初速度(Vi)から測定された最大反応速度(V
max)と絶対温度(T)間の関係を示す, (log V
max-1/T)プロット上の, 20℃区を境とする折線グラフは, 当該温度の両側温度区では, 温度上昇とともに, 本系反応速度が律速的に変化・加速され, その反応最適温度は40℃区にあることを示している. この場合, 0℃区の温度係数(Q
t)を基準に算定した, 10-50℃区間にあって, 10℃差のQ
tを示すQ
10値範囲は1-4である. なお, これらの反応に, 系上, 対応するR-GOT系酵素由来のR-GOT反応との間には, 直接的な平衡関係は存在しない.
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