日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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25 巻, 3 号
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  • 山本 脩太郎, 石田 葵一, 藤原 公策, 佐藤 昭夫
    1963 年 25 巻 3 号 p. 135-150_4
    発行日: 1963/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    家兎の実験的鳥型結核症に於ては静脈内に接種された菌量の大小に従って, YERSIN型(Y型)および VILLEMIN型(V型)とよばれる病変占坐部位ならびに菌の分布状態の異なる2つの病型を生ずることが知られており, 著者等はすでに之等両病型の経時的観察を行なって菌の消長ならびに病変発生機序について記述した. この両型間に見られる菌分布ならびに病巣占坐部位の明瞭な相違を解明すべく, 前報告においてはY型の修飾を試みた. すなわちY型においてはツベルクリン皮内反応が陽転することなく家兎が斃死するのに対し, V型では之が陽転して居ることに注目し, 予め弱毒鳥型結核菌の皮下接種により前処置を施した家兎にY型を惹起するに足る量の強毒菌を再接種した. その結果, 前処置によりツベルクリン反応が陽転する時期, すなわち弱毒菌接種後2乃至4週間で強毒菌を接種した場合前処置の影響が強く現われ, 強毒菌再接種後Y型を生ずる期間内に於てV型に近似の病変及び菌の分布を示すことがあることを知った. 今回は同様の前処置を施し, 強毒菌の再接種を行なった家兎について経時的観察を行ない, 菌量及び病変の推移を追跡した. 3週間前に弱毒 Flamingo 株 0.5mg/kgの皮下注射を行なってツベルクリン反応を陽転させた家兎に強毒 Flamingo 株 0.1mg/kgの静脈内再感染を行ない, 30分, 3日, 6日, 12日後各2頭を, 18及び24日後各1頭を空気栓塞により屠殺した. 又3頭の前処置家兎には再感染に先立つ3日間2.5%墨汁10ml 1回, 5ml 2回の静脈内注射を行ない, 之等は再接種後6日, 12日及び24日に致死剖検した. 更に静脈内接種対照として5頭の健康家兎に, 再接種に用いたのと同一の菌液を接種し(0.1mg/kg), 30分, 6日, 12日, 18日及び24日後致死検索した. 以下に主要な結果を記述する. 1. 静脈内に再接種された菌の直後における各臓器への分布は対照のそれとの間に殆んど差を認めず, 6日目迄は肝・脾・骨髄・淋巴節・副腎で菌の増加が見られるがその後Y型では菌の急激な増殖が見られる時期に至って, 菌の増殖の停止あるいは減少の傾向が現われ, 特に肝・脾においてはかなり急激な減少が見られる. この様にして再接種後24日には之等臓器の菌量は対照のY型と大差を示す. 之に対し再接種家兎の肺及び腎では, 菌は対照と殆んど同じ経過で徐々に増加し, 肝・脾の如き急激な減少を示さない. その結果実験の末期には再接種家兎の菌量模型図はV型の特微を示すに至る. 墨汁注入家兎では前処置の効果が減弱されている様に見え, 菌量は対照と単純再感染家兎との中間を示すことが多く, 腎では対照のY型をしのぐ菌量を示した. 2. 再接種家兎ではすでに静脈内再感染後3日で, かなりの脾腫があり, 肝・脾に病巣の形成が見られ, 以後病巣は急速に発達するが, 18日を頂点として24日目には肝脾骨髄病巣の急激な消退が見られた. 再接種家兎では肺に於ても3日目から瀰蔓性胞隔肥厚に加え限局した結節状病巣が発生して居る. 腎に於てはY型では見られなかった皮質の限局性病巣が再接種後12日から出現した. 再感染家兎に於ては菌に対する組織反応が著しく促進されて居ると同時に, 肺腎の如きY型に於ては病変の著明でなかった臓器にV型に特徴的と考えられる様な病巣が出現して居り, 更に各病巣における淋巴球の参加がかなり著明に認められること, さらに, 病巣が比較的限局性で, 早期に中心壊死を呈する点等病巣そのものの性格もV型の方向ヘ修飾されたことを示すものと考えられる. 3. 以上の所見に考察を加えれば, 菌量曲線の所見では前処置の影響が各臓器に平等に作用するものではなく, 特に肝・脾・骨髄等いわゆる網内系臓器における菌増殖抑制効果が顕著である. 他方各臓器共大単核細胞の動員が明らかに促進されており, 極めて早期に病巣が形成され, 特に肝脾骨髄では対照のY型よりはるかに早期に大単核細胞及び巨細胞の集族が発達する. 之等はH.E.染色ではY型で見られる大単核細胞および巨細胞と異なる点は認められないが, 菌染色標本ではY型において肝・脾等の病巣細胞内に夥しく検出される菌が殆んど之等の細胞内に検出されないことは著しく異なる点である. 従って之等の病巣細胞はY型と再感染家兎では菌に対する態度が異なっているものと考えられる. 又前述の臓器別の菌抑制能, 換言すれば免疫程度の差を夫々の臓器に形成される病巣内の大単核細胞及び巨細胞の菌滅殺能力の差に帰することも出来よう. V型の陳旧な例では肺・腎等の管臓器では管内性蔓延による菌の増殖を考慮しなければならぬが, 本実験の範囲内では之は殆んど無視し得る. 前報のV型の経時観察に於て, 定型的V型菌量模型図を呈するのは8乃至10週以後であって, 3乃至4週では菌の絶対量の少ないY型菌量模型図を呈することを知ったが, この場合接種菌量が僅少なため接種後6週前後には個体の感作が成立していると考えられるので, 逆に今回の再接種家兎における再感染菌の消長はV型の経
  • 大越 伸, 鈴木 直義, 友田 勇
    1963 年 25 巻 3 号 p. 151-163_2
    発行日: 1963/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    著者らは, さきに, 各種疾病時における犬の血清Caの動態のうちで, とくに血清透析性Caの低下が, 生体の感染防衛反応に示す態度を究明する目的から, 内科臨床の全般にわたり, 血清Ca・血液一搬性状・血清蛋白像・肝機能および尿などの諸検査を実施した. その結果, 犬糸状虫症・肝炎・レプトスピラ症・鉤虫症など, 肝と腎の障害または貧血を主徴とする諸種の疾患において, 低血清透析性Ca伏態の傾向があることを認めた. 次いで, 生体防衛反応における実験的低血清透析性Ca状態の意義を究明する第一段階として, 四塩化炭素の皮下注射によって肝障害を起こさせた家兎において, 血清Caの動態を検索した. その結果と, 犬糸状虫症および肝炎の臨床成績とを比べて, 肝障害と血清Caとの関係を追究した. 四塩化炭素の大量, 中等量または少量を注射すると, いずれも注射後明らかに血清Caが低下し, その後しばらくたって回復に向かうが再度注射すると, 血清Caは減少した. 血清透析性Caが急激かつ著明に低下したままで, 回復の傾向が認められない実験例は, すべて死の転帰を取った. なお慢性移行型肝障害(少量注射群)の場合にも, 血清透析性Caは明らかに低下した. これらの実験例の肝を組織学的に検索したところ, 大量注射群においては, 急激な循環障害に基ずく肝障害像と思われる所見が認められた. また中等量および少量の反復注射群においては, 程度に差はあるが, 肝細胞および網内系組織の障害があることがわかった. 以上の実験例における肝組織の障害像と, 血清Caの著明な低下現象から, 犬糸状虫症および肝炎の臨床例における血清Caの低下状態は肝機能の障害と関係があるのではないかと推察した.
  • 武川 義照, 畦地 速見, 瀬戸 健次, 安藤 敬太郎, 森谷 保昭
    1963 年 25 巻 3 号 p. 165-176
    発行日: 1963/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
  • 友田 勇
    1963 年 25 巻 3 号 p. 177-185
    発行日: 1963/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    犬鉤虫感染犬の血清蛋白像を, 主として臨床例について観察し, 臨床症状・貧血・宿主の年令および肝機能との関係を検討するとともに, 一部の症例について, 血清複合蛋白分画の動態を明確にした. さらに, 人工感染時ならびに瀉血貧血時における血清蛋白の動態を追究した. その結果, 犬鉤虫症にみられる血清蛋白の動態は, 臨床症状との現象的な関係を意味するという範囲では, 感染ならびに障害に対する宿主の反応を反映することを認めた. そして, alb. の減少は, 貧血あるいは毒素などによる障害に基づく, 宿主の蛋白代謝の異常を意味しており, また, 障害や炎症の程度など, 宿主の症状と関係がある点では, α2-glob. 分屑の態度が最も規則正しいことを知った. 一方, 宿主抵抗の増大を知る面では, γ-glob. の動態に意義があることを, 本症の場合においても認めることができた. 終りにのぞんで, 終始御懇篤な御指導と御校閲を賜わった大越伸教授に, 衷心より謝意を表します. また, 実験遂行上, 種々協力して下さった教室員各位に深謝します.
  • 板垣 啓三郎, 坪倉 操
    1963 年 25 巻 3 号 p. 187-192
    発行日: 1963/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
  • 白井 弥
    1963 年 25 巻 3 号 p. 193-199_1
    発行日: 1963/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
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