日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Online ISSN : 1881-1442
Print ISSN : 0021-5295
ISSN-L : 0021-5295
41 巻, 5 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 久葉 昇, 宮脇 耕平, 船橋 史憲, 小林 正紀, 山根 仙造, 稲口 利次
    1979 年 41 巻 5 号 p. 471-481,485
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ランドレースとヨークシヤーの交雑種15頭(約60日齢雄および雌を含む)を用い, 実験Iは6頭(内対照3頭), 同IIは9頭(内対照6頭), 前者は高リジン飼料, 後者は低リジン飼料を投与した. これら2実験の期間は, それぞれほぼ4ケ月とした. DL-methionineおよびCa/P比は, N.R.C. (1973)の飼料標準に適合する様にこれを配合した. また, 実験IおよびIIの両対照群の飼料成分およびアミノ酸が, それぞれ近似する様に努めた. 実験はその終了と共に放血殺, 今回の研究に対しては, 検討した諸項目中, 病変の最も顕著であった右側第9肋骨-肋軟骨関節を選択した. 得られた結果は次の通りである. 1. 高リジン飼料を投与された発育中の豚群では, 全体としてそれらの肋骨-肋軟骨関節の化骨機転障害が比較的軽度であった. 2. 低リジン飼料を投与された発育中の豚群は, 全体として, それらの肋骨-肋軟骨関節の化骨機転障害が顕著であった.
  • 石嶺 毅, 長沢 秀行, 鈴木 直義
    1979 年 41 巻 5 号 p. 487-493
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    細胞性免疫現象は特異的に感作されたリンパ球と, これによって活性化されたマクロフアージあるいは感作リンパ球産生物質(リンホカイン)などが相互に関与しているものと考えられている. これらは, in vitroで解析する研究方法が確立されだして, その機序が徐々に明らかになりつつある. しかしながら, 犬においての報告は殆んど見当らない. そこで, in vitro培養によるビーグルの末梢血液中単球を用いて, バベシア原虫感作リンパ球産生物質, リンホカインが単球におよぼす影響を貪食能の面から検討を加えた. 犬末梢血液中単球の単層培養作成には, 40%仔牛血清添加培養液を用いて, 5日間前培養をおこない, 試験に供した. バベシア原虫感染慢性犬から採取した単球(バベシア免疫単球)と健康ビーグルからの単球(正常単球)にバベシア含有赤血球を添加して30分後の貪食率を求めると, それぞれ26%および9.4%であった. これらの培養層中に, バベシア免疫新鮮血清を投与すると, それぞれの貪食率は56.6%および21.4%に増加した. 正常単球がバベシア免疫リンホカインあるいは正常リンパ球培養上清と共に24時間培養されて後, バベシア原虫含有赤血球を単球培養層に添加した. 添加後2時間での単球の赤血球貪食率は, それぞれ14.1%および5.6%で, 正常単球の貪食性は免疫リンホカイン添加培養により約3倍亢進した.
  • 局 博一, 沢崎 坦
    1979 年 41 巻 5 号 p. 495-504
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    正常マウスの脳における電気的活動を明らかにする目的で, ICRマウスを用い, 脳波学的研究を行った. 双極誘導によって得られた脳波パターンは, マウスの行動状態と密接な関係をもちながら, 合計5段階に類型化された. 即ち, 覚醒・興奮(AE)段階: 周波数4~6 Hzの律動的なθ-activityが低振幅速波とともに持続して現れた. 覚醒・休息(AR)段階: 2~3秒の持続をもつ高振幅徐波が3~10秒の間隔で出現した. 入眠(DR)段階: 持続1~5秒の紡錘波が3~5秒の間隔で反復出現するようになった. 深睡眠(DS)段階: 高振幅徐波および紡錘波のバーストがそれぞれ5~10秒および10~30秒持続しながら, 交互に反復出現した. REM睡眠(RS)段階: 周波数6~8 Hzの規則正しいθ-activityが2~250秒持続した. これらの5つの脳波学的段階は極めて短い時間間隔で相互に移行する性質が示されたが, とりわけ睡眠時には上述のRS段階が20秒~10分の間隔で頻繁に挿入された.θ-activityおよび紡錘波が顕著に出現すること, 脳波学的諸段階が頻繁に相互移行することなどが, マウスの脳における電気的活動の特徴と考えられた.
  • 林 光昭, 伊出 優, 勝屋 茂美, 榎本 千可志, 溝口 春寿
    1979 年 41 巻 5 号 p. 505-510
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    黒毛和種の子牛にキサンチン尿症の発生があり, その数例について臨床生化学的に観察した. 発症牛では, 血清の尿素値は著明に高く尿酸値は低かった. 尿のpHは7以下であった. しかし, 尿の蛋白, 糖, ビリルビン, ケトン体, 潜血反応は陰性であった. 尿のキサンチン含量は極めて高く, 尿酸含量は低かった. 膀胱, 腎, 尿管から採取した結石のキサンチン含量は乾物中51.5~96.9%であった. 結石の赤外線吸収スペクトルはキサンチン標準品と極めてよく一致した. 発症牛の肝, 脾, 腎, 十二指腸のキサンチンオキシダーゼ汚性は, 健康牛に比べ非常に低く1%以下のものが多かった.
  • 竹内 正太郎, 東 量三, 須藤 恒二
    1979 年 41 巻 5 号 p. 511-516
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Corynebacterium pyogenesによって産生された溶血毒を限外濾過, CMセルロースおよびセファデックスG-200を用いるカラムクロマトグラフィーによって精製した. この精製した溶血毒は高分子の物質で, ポリアクリルアミドゲル電気泳動において1本のバンドを形成した. しかし, SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動においては, 約5本のバンドが認められた. この溶血活性はシステイン, ハイロドロサルファイトおよびチオグリコレートなどの還元剤によって増強されなかった. 重金属イオンはこの溶血活性を抑制も増強もしなかった. さらに, 溶血活性はプロナーゼおよびトリプシンによって完全に破壊され, 60℃10分の加熱によって失活した. 家兎, 馬および豚赤血球は溶血毒に対して最も感受性が高かったが, 鶏赤血球は非感受性であった. この溶血毒のLD50はマウス当り約96溶血単位であった.
  • 板倉 智敏, 武知 雅人, 宮川 義史, 五藤 精知
    1979 年 41 巻 5 号 p. 517-530
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1974年9月から12月にかけて, 3養鶏農場の肉用種若鶏に多発したクル病48羽(28~69日齢)の, 骨と上皮小体を病理学的に検索した. 主な肉眼病変は発育不良, 肋骨頭の腫大, 全身骨の肥大, ならびに上皮小体の著明な腫大であった. 骨の組織病変は, その形成過程を考慮に入れて, I~IIIの病期に大別した. I期の病変は初期変化に相当し, 肥大軟骨細胞層の軽度の増幅を主体としていた. II期の病変は肥大軟骨細胞層の著明な増幅と旺盛な軟骨内骨化, 破骨細胞性骨吸収を伴った中等度の内骨膜性異常造骨からなり, さらに, 外骨膜性異常造骨, 脱ミネラル化が皮質骨にしばしば認められた. III期の病変では肥大軟骨細胞層は類骨梁化され, 増幅した増殖軟骨層が骨端軟骨の大部分を構成する例が目立った. また内骨膜性異常造骨は極めて著明で, 骨髄腔の広域が新生異常造骨組織で置換されていた. さらに皮質骨内方は, 破骨細胞性骨吸収によりしばしば粗鬆化していた. 検索したすべての上皮小体は機能充進の像を示し, これは主細胞の腫大と増生を主体としていた. 以上の所見から, 若鶏のクル病の骨病変は時とともに推移し, 骨病変の形成に上皮小体機能亢進が深く関与するものと思考された. 今回のクル病は飼料中のビタミンD3欠乏によって惹起されたものと見なされた.
  • 志賀 瓏郎, 篠崎 謙一
    1979 年 41 巻 5 号 p. 531-540
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    反芻動物における低Mg血症に関する研究の一環として, 4頭の非泌乳雌羊を用い, 通常飼料, 低Mg・低Ca飼料および低Mg飼料の順に飼料を切りかえて給与し, MgとCaのバランスを急激に変化させたときのMgおよびCaの出納と血清濃度の変化を調べた. 低Mg・低Ca飼料給与時には, MgおよびCaの糞・尿中排泄量, みかけの吸収量, 体内残留量は著しく減少し, 血清濃度も有意に低下し, MgとCaの間には終始有意の相関関係が認められた. 1頭の高齢羊は, 他の3頭に比べMgおよびCaの変動が著明であった. 低Mg・低Ca状態の羊にCaを補給すると, 飼料切りかえ4日目に1頭の高齢羊は, 血清Mg濃度が0.29mg/dl (血清Ca/Mg比, 24.7) と著しく低下し, 典型的な低Mg血症性テタニーの症状を示した. さらに5日目には, 起立不能, 採食・飲水不能となり, 7日目に死亡した. 他の3頭の羊も, 4日目に血清Mg濃度が1.15mg/dlとなり, 5-6日目には食欲を失ったが, 7日目以降は徐々に食欲を回復し, 血清Mg濃度も上昇した. 以上を要約すると, 1) 低Mg状態下での飼料中Caのバランスの急激な変化は, 低Mg血症性テタニー発症の重要な要因となりうる, 2) 急性のテタニーは, 飼料の切りかえ後3-4日以内に発生する可能性がある, 3) 同一環境条件下では, 老齢動物ほどMgおよびCaの調節機能が低下している可能性があり, テタニーを起こしやすい, ことが示唆された.
  • 中沢 宗生, 根本 久
    1979 年 41 巻 5 号 p. 541-543
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    M. bovisに線維素溶解活性を見いだした. そこで, 本活性がM. bovis同定上, 有意義な性状になりうるかどうかを検討した. その結果, M. bovis 7株中6株に活性が認められ, M. bovis類似菌としてのM. Nonliquefaciens, N. ovisおよび, N. catarrhalisには確認されなかった. したがってgelatinase, caseinaseおよび, lipase活性とともにfibrinolysin活性もM. bovsi同定上の意義があると思われる.
  • 輿水 馨, 曲渕 輝夫, 伊藤 正博
    1979 年 41 巻 5 号 p. 545-549
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    実験用動物として使われた外見的に健康な100匹の猫からウレアプラズマの分離をこころみた. ウレアラズマは口腔(雄20/46:43.5%, 雌30/54:55.6%)および鼻腔(雄1/35, 雌1/36)から分離されたが, 結膜, 包皮および腔からは分離されなかった. クローニングされた45株の猫由来ウレアプラズマ菌株について, 代謝阻止試験および発育阻止試験によって血清学的性状を検討したところ, これらの株は抗原的に互に交差しない42株および3株の2群に型別された. これらの2群の株は, ヒト, サル, ウシおよびトリ由来株との間に血清学的類縁関係が認められなかった.
  • 山田 進二, 松尾 和夫, 福田 輝俊
    1979 年 41 巻 5 号 p. 551-553
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    トリレオウイルスUchida株を7および190日齢アヒルに経鼻接種したところ, アヒルは臨床的に症状を発現せず, 剖検でも異常を認めなかった. ウイルスは7日齢の5日目の腸内容から回収できた. ウイルス接種後1週目から中和抗体が上昇し, またゲル内沈降抗体も2週目に陽転した. ウイルスは発育卵(13日齢)で増殖した. 以上の成績からアヒルは, 鶏より劣るがレオウイルスに対して感受性を有しているものと考える.
  • 福田 勝洋, 西田 隆雄, 望月 公子
    1979 年 41 巻 5 号 p. 555-559
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    3週令の白色レグホンに羊赤血球を静脈内投与し, さらに2週間後同一抗原を二次投与したところ, 一次投与後, 脾臓の白脾髄にピロニン好性大型細胞が出現し, これらが集族して胚中心を形成したが, この胚中心は二次投与後24時間以内に急速に減少した. その後は増殖に転じ, 多数の胚中心が出現した.
  • 板倉 智敏, 中村 菊保, 中塚 順子, 五藤 精知
    1979 年 41 巻 5 号 p. 561-566
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    犬ジステンパー(CD)生ワクチンを接種された3頭のレッサーパンダが, 定型的なCD症状と病変を示した. 特微病変は, 上皮細胞, 細網内皮細胞における酸好性細胞質ならびに核内封入体形成と, リンパ組織からの著明なリンパ球減数であった. 電顕下で, 細胞質封入体はnucleocapsidから構成されていた. 以上の所見は, 本動物がCDに対し高い感受性を持つこと, CD予防に際し生ワクチン使用は極めて危険であることを示唆する.
feedback
Top