家畜・家禽のMycoplasmaは,牛の牛肺疫をはじめとして,ニワトリのCRD(Chronic丁espira一torydiscase),ブタのSEP(Swineenzooticpneumonia)などの呼吸器疾患,あるいは反別獣の乳房炎の病原菌となる.また関節炎や各種家畜・家禽の繁殖障害の原因菌となることが疑われており,畜産に及ぼす損害は甚大なものがある.しかしながら,まナごその診断,予防,治療対策は充分ナこてられず,その基礎的研究の進展が急がれている.Mycoplasma(M)は,細菌とウイルスの中間的な性格をもつために,本菌の研究は,従来,細菌学とウイルス学の谷間にあって,一般細菌,ウイルスの研究に比べ,きわめて立ち遅れている.特に本菌属の分類,自然界における分布,疾病との関係,感染発症の機序,免疫などに関する知見は,まだ不明の点が多い.著者らは,Mと疾病の関係を究明するrこめに,まず牛の生殖器および泌乳器を主たる対象として,どのような種類のMが,どのような姿で存在するものかを追究しIこ.その結果,従来,死物寄生性とされているM.laidlawiiを多数分離した.牛の生体より本菌種を分離しナこ報告は,EDWARDほか少数にとどまり,ほとんど無視されているのが現況である.著者らは,本菌種が動物体から高頻度に分離されたことから,本菌種の分類学的研究を行なった.第一報として,分離実験の結果を要約すると,次の通りである.乳汁材料:乳房炎が常在し,頻発している数地域の牛群の乳汁材料511例において,分離を試みたところ,直接分離培養法では,全例Mの分離が陰性であった.しかし,短期増菌分離培養法では,2株のMを分離した.I大学付属牧場の牛30頭117例からは,長期保存分離培養法で100例(85.4%)127菌株を分離した.乳質をCMTおよびBTB検査によって判定し,これとMの分離との関係をみたが,なんの関係もみれず,牛乳に含まれるMは,乳房炎と無関係であることが明らかにされIこ.Mの分離を,牛個体の分房別にみると,3~4分房より分離されIこものが大多数を占めナこ(25/30,83.3%).Mの分離と一般細菌との関係をみると,一般細菌は分離されないでMのみ分離されナこものが277117例あったが,その他は,いずれも各種細菌が分離されている.菌種はStaphy10coccus,Streptococcus,Coryncbacterium,Baci11us,Es-cherichiacoli,Gram-negativerods,Gram-positiverods,YcastおよびNocardiaである.それらの菌数は,大部分が,100個/ml以下である.泌尿生殖器材料:無作為的に採取しナこ泌尿生殖器系材料(腟,頚管腟部,子宮,尿道,精液,包皮)212例よりMを37株(17.5%)分離しナこ.その他は・
抄録全体を表示