日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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48 巻, 4 号
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  • 古川 敏紀, 杉山 文博
    1986 年 48 巻 4 号 p. 643-653
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ネコ血漿蛋白成分21種(アルブミン, α1アシドグリコプロテイン, α1アンチトリプシン, アンチスロンビンIII, セルロプラスミン, ハプトグロビン, α2マクログロブリン, ヘモペキシン, トランスフェリン, アポ蛋白A-I, アポA-II, アポB, アポC-I, アポC-III, IgG, IgA, IgM, 補体第3成分, 補体第4成分, プラスミノゲン, フィブリノゲン)およびヘモグロビンを分離・精製した。これら精製物を家兎に免疫して作成した各特異抗血清を用い, ネコ血漿蛋白の免疫電気泳動図の同定を試みた。また7.5%ポリアクリルアミドゲル電気泳動におけるネコ血漿蛋白の各バンド同定を, 精製蛋白による易動位置の確認と併せ, 各特異抗血清を用いた交差免疫電気泳動及びエレクトロ・トランスファー・ブロッティング等の手法を用いて行い, 両電気泳動図における各蛋白の易動位置を同定した。
  • 阿部 正則, 杉村 誠, 鈴木 義孝, 阿閉 泰郎
    1986 年 48 巻 4 号 p. 655-665
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ナキウサギ(Ochotona rufescens rufescens)の脾臓の一般構築を光学ならびに電子顕微鏡的に観察し, ナキウサギ脾臓における微細血管走行を明らかにするため, その合成樹脂鋳型標本を走査電子顕微鏡で観察した。脾臓の基本的細胞成分および血管系はイエウサギのそれに類似していたが, 成熟した個体においても, 脾索に活発な髄外造血が認められ, 特徴ある所見を呈していた。また, ナキウサギ脾臓においては, 縁洞壁の構造が脾洞壁と同様に有窓状であることが注目された。鋳型標本を走査電顕で観察すると, 縁帯では閉鎖および開放循環の双方が, また赤脾髄では開放循環のみが示唆された。合成樹脂あるいはカーボン粒子を静脈内に注入すると, これらは最初に縁洞壁から漏出するところから, 縁洞の機能は異物あるいは抗原性物質に対する濾過装置的なものと思われた。
  • 高井 伸二, 松村 一男, 永井 幹美, 椿 志郎
    1986 年 48 巻 4 号 p. 667-673
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    R. equiの肺内感染マウスにおける肺の食細胞応答を, 肺内洗浄法により検討した。肺内の食細胞応答は接種菌量に依存し, 103および105CFUの菌量を投与したマウスでは, 細胞数のわずかな変化が認められたのみで, 107CFUの菌量を投与したマウスでは, 好中球の著しい増加が認められた。ナイトロジェン・マスタード投与マウスでは, 白血球数の減少が著しく, その結果, 肺内の好中球数が増加せず, 感染初期にR. equiの肺内増殖を許した。菌を投与した肺内では, 好中球が一過性に集合し, その消失に引き続いて, マクロファージの増加が認められた。カラギーナン処理マウスでは, 感染3日目より肺内菌クリアランスの遅延が認められた。以上の成績から, マウス肺内における少数菌のクリアランスには肺胞マクロファージで十分であるが, 多数菌のクリアランスには好中球が必要であることが示唆された。
  • 竹原 孝一
    1986 年 48 巻 4 号 p. 675-684
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    哺乳動物に対し病原性を減弱した狂犬病ウイルスの鶏胚順化H株の離乳マウスにおける感染の様相をしらべた。強毒の固定および街上ウイルスは, 著明なウイルスの増殖後に感染マウスは死亡したが, 弱毒のHウイルス感染では, 増殖ウイルスは急速に消失し, 多くのマウスが耐過生残した。Hウイルス感染マウス脳には, ウイルス消滅後もCF抗原が証明された。最も弱毒のFl. Hウイルス感染では, ウイルスの増殖は低く, CF抗原も証明されなかった。HおよびFl. Hウィルス感染マウスは, 血中に高い中和およびCF抗体を産生した。Hウイルスの大量を接種したマウスでは, 小量接種マウスに比し, 脳中のウイルス増殖およびその消滅は速く, 血中中和抗体の産生も速かった。小量のHウイルスを接種したマウスでは感染率は低く, 発病も遅延したが, 感染マウスの死亡率は大量接種マウスに比し高かった。しかし, これら死亡マウス脳からウイルスは検出されなかった。Hウイルス感染早期のマウス脳には, ウイルス増殖阻止物質あるいは不完全ウイルス粒子は検出されなかった。Hウイルス感染マウス脳の抗原性, 免疫原性を経時的にしらべると, 感染防御能と, 中和抗体産生能の消長はウイルスのそれと, CF抗体産生能の消長はCF抗原のそれと一致した。
  • 小川 絵里, 篠木 忠, 赤堀 文昭, 政岡 俊夫
    1986 年 48 巻 4 号 p. 685-691
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    犬のタマネギ摂取による赤血球内抗酸化物質(SOD, カタラーゼ, G-6-PD, GSH, グルタチオンペルオキシダーゼ, NADH-メトヘモグロビンリダクターゼ)への影響を, Heinz小体性溶血性貧血との関連において検討した。夕マネギ煮汁を生タマネギ換算で30g/kg 1日1回連続3日間投与すると, 初回投与後2, 3日にHeinz小体の急激な増加にともなって, SOD, カタラーゼ, G-6-PDは投与前の約60%に, GSH は約70%に減少した。これらの抗酸化物質の低下は一過性で, Heinz小体出現率が100%近くを維持する間に徐々に上昇し, Heinz小体を含む赤血球が血流中からほとんど消失する10日目には投与前の約2倍に達した。グルタチオンペルオキシダーゼおよびNADH-メトヘモグロビンリダクターゼはHeinz小体増加と関連した変動を示さなかった。メトヘモグロビンはHeinz小体出現にともない有意に増加したが, 2-3%の低レベルで推移し, 小体の出現率とは無関係であった。
  • 中井 豊次, 久米 勝己, 吉川 博康, 小山田 敏文, 吉川 堯
    1986 年 48 巻 4 号 p. 693-701
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    壊死毒産生血清型D・P. multocida(Pm)接種豚の鼻粘膜は軽度な炎症反応を呈するが, 上皮細胞はよく保持され, ほぼ正常な組織像を示した。Pmは試験期間中鼻腔内から少量ずつ回収されたが, 鼻粘膜へのPmの付着は走査型電顕では認められなかった。一方, B. bronchiseptica(Bb)接種豚の鼻粘膜は顕著な慢性鼻炎像を呈した。上皮細胞は変性剥離し, 残存する変性した線毛上皮細胞は線毛をほとんど欠いていた。Bbの付着は残存上皮細胞や微絨毛付近に多数認められ, Bbは試験期間中鼻腔から多量に回収された。鼻甲介の萎縮および変形を特徴とする, いわゆる萎縮性鼻炎はBb接種豚でのみ認められた。
  • 桑原 正貴, 許 敏道, 広瀬 昶, 菅野 茂
    1986 年 48 巻 4 号 p. 703-709
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ラットとブタにアトロピンおよびプロプラノロールを単独または同時投与後, 固有心拍数および自律神経緊張度の成長に伴う変化を追跡し, 両者間にみられる相違を明らかにした。ラットの固有心拍数は, 2~4週齢に増加し, 以降は漸減したが, ブタの固有心拍数は成長に伴って一方向性に漸減した。また, ラットの副文感神経緊張度は2~4週齢で急激に強まったが, ブタでは週齢にかかわらず同程度の緊張度が保たれていた。交感神経緊張度は両者とも2週齢時にもっとも強かった。ラットでは成長に伴って正味の自律神経緊張度が副交感神経緊張型に移行したが, ブタでは常に交感神経緊張型で推移した。このような動物種差は単位体重当り心拍数を指標として, 両者の生物学的年齢を対応させることによってより明確となった。
  • 桜井 健一, 栗原 富男, 松岡 俊和, 飯島 雄二, 渡辺 文男, 小枝 鉄雄, 沢田 拓士
    1986 年 48 巻 4 号 p. 711-717
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    キジ(green pheasant) 450羽を飼育する埼玉県下の某養雉場で, 1群150羽のうち28羽(19%)が1984年2月に急性経過で死亡した。死亡例の主要臓器からPasteurella multocidaが純粋に分離され, その血清型はCarterの莢膜型A, Heddlestonの3型, 波岡の8, 9:A型と同定された。病理解剖においては, 肉眼的に肝臓と脾臓に多数の小黄白色斑が, 小腸に出血が認められた。組織学的には, 肝臓と脾臓で多数の壊死巣と菌塊がみられ, 偽好酸球を主体とする軽度の細胞浸潤が認められた。菌塊は心臓と肺にも認められた。小腸ではうっ血と菌栓塞が認められた。以上の所見から, 本感染症はわが国土着の鳥であるキジでは初めての家禽コレラと診断された。
  • 吉田 明由, 真板 敬三, 白須 泰彦
    1986 年 48 巻 4 号 p. 719-728
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    マウスの副腎における被膜下細胞過形成の発生頻度と形態学的特徴を2~25ヵ月齢のICR系マウス雌雄について検索した。病変の発生は雌雄ともに4ヵ月齢より認められ, 以後19ヵ月齢時に雄で59%, 雌で91%に達するまで加齢とともに増加した。雌はいずれの検査時期においても, 雄に比べて高い発生頻度を示した。初期病変は副腎被膜下に好塩基性核を有した細胞質の乏しい紡錘形細胞(A型細胞)の小集簇巣として観察されたが, 病変部周囲の球状帯細胞には形態学的異常は認められなかった。病変はその後, 水平および垂直方向に拡大し, 皮質に浸潤する楔型病巣を形成した。このような発達した病巣では紡錘形細胞とともに, 細胞質がより豊富でしばしば細胞質内に空胞を有する多角形細胞(B型細胞)が観察された。脂肪染色では紡錘形細胞および多角形細胞の両細胞質内に脂肪滴を認めた。電顕観察では基底膜, デスモソームおよび液胞への分化を示す暗調体(dense body)が認められ, 数個の被膜下細胞が集簇して球状帯細胞に類似した腺様構造を形成した。
  • 津田 修治, 岩崎 真, 吉田 稔, 池田 孝則, 白須 泰彦
    1986 年 48 巻 4 号 p. 729-737
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ミストの粒径と吸入毒性の関係を検討するために, 雄ラットにクロルフェンビンフォス(CVP)の大粒子ミスト(1μm以上)および小粒子ミスト(1μm以下)を4時間吸入させた。半数致死濃度(LC50)を基準としたCVP吸入毒性の強さは, 大粒子ミストが小粒子ミストの5倍であり, 死亡のほとんどが暴露中に起った。同じ濃度で暴露すると, 暴露中のCVP血中濃度は大粒子ミストが小粒子ミストに比較して2倍高かった。2時間の暴露中とその後5時間のCVP血中濃度・時間曲線下面積を比較すると, 大粒子ミストが小粒子ミストより4倍大きかった。大粒子ミストによるCVP血中濃度の増加はCVP吸収量の増加によると思われた。しかしながら, それぞれのLC50値に相当する濃度を暴露すると, 大粒子ミストによる血中濃度は小粒子ミストに比較して明らかに低かった。暴露中, CVP血中濃度に応じて脳コリンエステラーゼ(AChE)が抑制された。CVPの血中濃度とAChE抑制の関係はミスト粒子の大小とは関連しなかった。以上から, 暴露中のCVP血中濃度の増加が大粒子ミストの強い毒性発現に一部関与しているものと考えられた。
  • 久米 勝巳, 中井 豊次
    1986 年 48 巻 4 号 p. 739-744
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    モルモットを用い, H. pleuropneumoniae(Hpn) 1~5型菌株の交差免疫原性を検討した。供試菌株は補体結合(CF)反応で各々型特異CF抗原とヘテロ抗血清に対して種々な程度に反応する共通CF抗原とを有した。感染防御は攻撃菌株に対するCF抗体価とよく相関して認められた。すなわち, ホモのCF抗体価16倍以上を示したモルモットの大部分は, ホモ株の攻撃に対していずれもよく防御し(87.5%以上), これら血清型菌株間の防御は型特異性を呈した。交差免疫は2回注射モルモットで低率に(37.5%以下)認められ, その交差パターンは交差CF反応のそれとほぼ一致して認められた。従って, Hpnの防御は概して血清型特異性に一致する免疫型特異性を呈することがモルモットを用いた実験系から明らかにされた。
  • 関口 邦彦, 加藤 憲夫, 元井 葭子
    1986 年 48 巻 4 号 p. 745-751
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    脂肪肝牛の血清と肝臓のタンパク質動態をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動で解析した。脂肪肝牛血清では他の肝疾患牛にくらべて35Kタンパク質のレベルが高かった。このことは血清をセファデックスG-100でゲルろ過することにより確認された。肝臓においても35Kタンパク質は正常牛肝臓にくらべて高かった。
  • 中山 裕之, 二井 愛介, 久和 茂, 寺西 宗広, 井上 智, 藤原 公策
    1986 年 48 巻 4 号 p. 753-761
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    マウスにTyzzer菌接種後1~4日に大量菌攻撃に対する抵抗性がみられた。攻撃時に血清抗体は検出されず, 攻撃後4日に検出された。インターフェロンは攻撃後7日までは検出されなかった。このような前処置効果はホルマリン死菌, 溶菌上清, lipopolysaccharide, BCGによっても誘導されたが, Freund complete adjuvant, poly-inosinic:poly-cytidylic acid, 不活化マウス肝炎ウイルス処置などでは誘導できなかった。
  • 神谷 正男, ウイ ホンキエン, 大林 正士
    1986 年 48 巻 4 号 p. 763-767
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    6頭のネコ(雌5, 雄1頭, 6~12ヶ月齢)に北海道で分離した多包条虫の原頭節7方個を経口投与し, 27日後に剖検したところ, 4頭から発育過程の条虫を回収した。回収率は低く, 投与数の0.1~1.2%であった。同時に投与したイヌ(雌1頭, 6ヶ月齢)からは40%の虫体が回収された。イヌ, ネコともに大半の虫体は小腸後部から回収された。ネコから回収された虫体はイヌからの虫体に比べて片節形成が遅く, 多くは2片節以下であった。
  • 見上 晋一, 須藤 禅, 谷口 和之, 山田 靜弘
    1986 年 48 巻 4 号 p. 769-780
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    鶏胚膵臓における4種類の主要内分泌細胞について, その出現時期, 出現部位および分布の変化を, 膵葉形成過程との関連において免疫細胞化学的に検索した。A細胞は孵卵3日に初めて背側膵原基に出現し, その後増数してα島を形成した。α島は巨大化し, 孵卵11日には成体とほほ同様の形態となったが, 背側膵原基由来の第三葉と脾葉に限局して認められた。B細胞は孵卵4日に初めて明瞭なβ島を形成して背側膵原基に出現したが, 少数のB細胞のみが抗インシュリン血清に対して陽性反応を示した。孵卵6日には, 大部分のB細胞が抗インシュリン血清に陽性を呈し, 背側膵葉に分布したが, 孵卵11日以後にはβ島は腹側膵原基由来の背葉および腹葉にも観察された。D細胞は孵卵4日に背側膵原基に出現し, α島の形成に参加した。孵卵11日にはD細胞はβ島の周辺にも出現し, B細胞同様, 背葉および腹葉にも認められた。APP細胞は孵卵9日に初めて各葉の膵臓外分泌部に出現し, 以後, 膵島とは独立に主として外分泌部に散在した。
  • 杉山 芳宏, 金子 賢一, 高島 郁夫, 橋本 信夫
    1986 年 48 巻 4 号 p. 781-789
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Yersinia属菌の病原性解析の一環としてV抗原の生体内における役割を, 酵素抗体法を用いて病理組織学的解析した。Yersinia pseudotuberculosis感染マウスの脾臓, 肝臓および腸間膜リンパ節において, V抗原は菌体を包む様に存在した。一方, 本菌は腸管でよく増殖してコロニーを形成したが, V抗原はほとんど産生されていなかった。本抗原は宿主の感染防御に抵抗して菌体を保護すると推測され, 本菌が容易に増殖できる環境ではV抗原は産生されないと考えられた。また, Yersinia属菌の腸管定着現象には, plasmid+菌による腸管病変の形成が関連すると判断された。
  • 佐々木 啓, 溝井 茂, 赤島 章, 品川 森一, 後藤 仁
    1986 年 48 巻 4 号 p. 791-796
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    3頭のヒツジ(4歳4か月齢から5歳4か月齢)の大脳, 中脳, 橋, 延髄の灰白質と, 大脳白質に海綿状変化が認められた。電顕的に, 海綿状変化は神経細胞および神経膠細胞の胞体における空胞形成, 神経細胞および神経膠細胞の突起の空胞化や腫脹, 軸索周囲腔の拡張ならびに髄鞘の分離に由来していた。神経細胞の胞体の空胞は小胞体と関連していた; 空胞に隣接して小胞体やゴルジ装置が拡張していた。神経細胞および神経膠細胞における空胞形成や腫脹は原発性変化とみなされた。
  • 三浦 浩二, 土谷 稔, 奈良間 功
    1986 年 48 巻 4 号 p. 797-800
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    自然発生パルボウィルス性腸炎による死亡例の消化管について病理組織学的に探索した。小腸では著しい粘膜上皮の脱落のため封入体の検出は困難であったが, 大腸では頻繁に封入体が検出された。小腸において珍奇な形態を呈する再生上皮が多数例においてしばしば観察され, パルボウィルス感染の病理組織学的診断の指標として有用であることが論議された。
  • 樋口 誠一
    1986 年 48 巻 4 号 p. 801-807
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    フタトゲチマダニをウサギに吸血させた後, 4日間成ダニ唾液腺内 Theileria sergentiの観察を行なった。吸血後1~4日の間に, 唾液腺細胞内T. sergentiはスポロゾイトになるまで3つの型(第1期, 第2期, そして第3期)のスポロブラスト期をとることが観察された。吸血4日目のダニ唾液腺細胞はスポロゾイトの増殖と, それらの放出にともなう細胞の空洞化が明瞭に認められた。
  • 中川 迪夫, 長谷川 勝治, 須田 宏, 平棟 孝志
    1986 年 48 巻 4 号 p. 809-812
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Theileria sergentiおよびAnaplasma centraleの混合感染を受けた12か月齢のホルスタイン種の放牧牛が突然中枢神経症状を示し, 29日後に殺された。肉眼的に, 貧血, 黄疸がみられたほか, 小脳白質に2個の壊死巣が認められた。組織学的に, 原虫感染にもとづく溶血性病変以外に, 接合菌による小脳髄質の肉芽腫性炎と化膿性腎炎がみられた。
  • 田中 淳一, 椛 秀人, 斉藤 英郎, 瀬戸 勝男, 佐久間 勇次
    1986 年 48 巻 4 号 p. 813-816
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    視索上核ヘ軸索投射を持つ脳弓下器官ニューロンを逆行性活動電位の誘発により同定した。これらのニューロンは, アンギオテンシンIIの電気泳動的ならびに大腿静脈内投与により興奮反応を示し, この反応はサララシンの電気泳動的投与により遮断された。
  • DALVI R. R., WILLIS L.B.
    1986 年 48 巻 4 号 p. 817-821
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    豚赤血球のG6PDをDEAE-Sephadex A50クロマトグラフィおよびSephadex G100およびG25ゲル濾過により精製した。Sephadex A50およびG100処理後に硫酸アンモニウムで塩析した。最終的な酵素サンプルの力価は18単位/mgであった。見かけ上のG6PおよびNADPのKm値を測定すると, G6PよりもNADPに対する親和性が高かった。NADPHに対するKi値にもとづいて, 豚赤血球G6PDのNADPHによる調節は有意でないと思われた。いっぽう, 無機リン酸塩に対するKi値はNADPHに対するそれに比べて極めて低いので, 豚赤血球G6PDは阻害剤としての無機リン酸塩に対してNADPHよりも感受性が高いと思われた。
  • 相内 聖峰, 小林 賢一, 佐久間 貞重
    1986 年 48 巻 4 号 p. 823-827
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    12週齢ラットにN-メチルニトロソウレア(MNU)で誘発した奇形性水小頭症について, K+依存性p-NPPaseの細胞化学的局在を検討した。馬屋原法による反応部位は毛細血管内皮の増生したの^^・み^^・こ^^・み^^・小胞と細胞間結合, 間質細胞の小空胞および脈絡叢上皮の基底陥入, ライソゾーム, 多胞体, または被覆小胞であった。これらの変化から, 脈絡叢水腫においては, 漏出血液成分が脈絡叢上皮細胞を通過することが示唆された。
  • 納 敏, 一条 茂
    1986 年 48 巻 4 号 p. 829-832
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    免疫拡散法によって栄養性ミオパチーの仔牛16例の血清および尿中ミオグロビン(Mb)の検出を試みた。Ouchterlony法によって血中では16例中12例, 尿中では13例中9例にMbが検出され, かつこれらの陽性例は一元平板免疫拡散法によっても定量が可能であった。治療後の血中および尿中Mb濃度の減少は明瞭で, 1~2日後には検出されなかった。免疫拡散法によるMbの検出限界は5μg/m1であった。
  • 新井 敏郎, 大木 与志雄
    1986 年 48 巻 4 号 p. 833-836
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ハタネズミを低線維濃厚飼料で飼育すると比較的容易に糖尿病が誘発され, 腎の糖閾値や肝・骨格筋の解糖酵素(GK・HK)活性が低いという草食動物の特性にもとづくものと考えられた。糖尿病ハタネズミにおいては, 病状の進行に伴ないインスリン分泌が著しく変動する結果, 解糖系酵素活性は著しく変化した。そして, ハタネズミは草食動物の糖代謝障害のモデル動物として有用であると考えられる。
  • 溝口 順二, 今道 友則
    1986 年 48 巻 4 号 p. 837-839
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    心乳ラットにCB-154を投与すると, 血中インスリン濃度は処女ラットの値まで回復したが, 同時に泌乳は停止した。泌乳ラットのインスリン濃度は乳仔の除去によって上昇したが, この上昇は同時にプロラクチンを投与しても阻止できず, 授乳再開によりインスリン濃度は再び低下した。これらのことから, 泌乳ラットでは乳汁分泌がインスリン濃度の低下をもたらすと推察された。
  • 望月 雅美, 橋本 哲二
    1986 年 48 巻 4 号 p. 841-844
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ネコ汎白血球減少症ウイルス(FPLV) TU 1株およびイヌパルボウイルス(CPV) Cp49株はネコ由来細胞では著明に増殖したが, イヌ由来細胞ではCPV Cp49株のみが増殖した。FPLV TU 1株はイヌ由来のMDCK細胞で不完全ながら増殖し, 宿主細胞の連続的な分裂増殖を必要としたが, 10代継代後も他のイヌ由来細胞への感染性は認められなかった。
  • 榎本 秋子, 吉田 明由, 原田 孝則, 真板 敬三, 白須 泰彦
    1986 年 48 巻 4 号 p. 845-849
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    101週齢のICR系雌マウスの尾に脊索腫様病変を認めた。腫瘍組織は大小の空胞を有する細胞の分葉状増殖より成り, ヒトの脊索腫における担空胞細胞に類似した細胞も散見された。電子顕微鏡的には細胞質内あるいは空胞内に微細線維または線維状物質を認めた。
  • 代田 欣二, 小山 令子, 宇根 ユミ, 野村 靖夫
    1986 年 48 巻 4 号 p. 851-854
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    10%中性緩衝ホルマリン(NBF)で6~11ヵ月室温保存したブタ腎をトリプシン処理パラフィン切片免疫蛍光法で検索すると, 糸球体内IgGは凍結切片におけると同様よく保たれたが, C3は明らかに減少した。別の11例を1~180日間, 各々4℃又は室温でNBFおよび10%ホルマリンにて固定した例では, NBFでIgGはよく保たれたが, C3は明らかに減少し, 室温条件でとくに減少は顕著であった。
  • 新井 敏郎, 大木 与志雄
    1986 年 48 巻 4 号 p. 855-858
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    草食性ハタネズミにおけるグルコース, ケトン体, VFA (各1mM/Kg)の静脈内投与に対するインスリン応答をELISA法により測定した。グルコース投与では, 血糖値の上昇をともなって, インスリン分泌が増加した。プロピオン酸, 酪酸, バレリアン酸およびβ-ヒドロキシ酪酸の投与でもインスリン分泌は増加したが, 血糖値はほとんど変化しなかった。酢酸投与では, インスリン分泌は有意には増加しなかった。
  • 高瀬 勝唔, 日笠 喜朗, 小笠原 成郎
    1986 年 48 巻 4 号 p. 859-862
    発行日: 1986/08/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    牛において, キシラジン0.1mg/kgの静脈内投与でみられた鎮静, 鎮痛, 第1胃運動の抑制および徐脈はトラゾリン1mg/kgの静脈内投与により明らかに桔抗され, 副作用は認められなかった。
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