日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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24 巻, 6 号
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  • 山本 脩太郎, 石田 葵一, 藤原 公策
    1962 年 24 巻 6 号 p. 317-330_1
    発行日: 1962/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    家兎に鳥型結核菌の一定量以上を静脈内に接種すると YERSIN型とよばれる敗血症型の病型を生じ, 家兎は約4週以内に斃死する. この場合いずれの臓器にも肉眼的な結節形成は認められず, 著明な脾腫を呈するだけであるが, 組織学的には肝・脾・骨髄等に大単核円形細胞と巨細胞から成る繁殖性病巣が高度に発達し, 菌も之等臓器の病巣に無数に証明される. YERSIN型(Y型)に於ける肺・腎の病変は極めて軽度である. 少量の鳥型菌を家兎の静脈内に接種して家兎が1ケ月以上生存すると全身各臓器に肉眼的な結節形成を示す所謂VILLEMIN型結核(V型)が起り病変は次第に肺及び腎に限局して来る. 従ってY型と慢性のV型を比較すると病変及び菌の分布が全く逆となって居る. 著者等は前2報に於て夫々Y型とV型の経時的観察を行い病変及び菌の消長を追跡し, 特に各臓器の菌量(対数)を肝・脾・骨髄・腸間膜淋巴節・肺・副腎・腎の順に棒グラフで表示した場合, Y型では肝・脾・骨髄に菌量が多く肺・副腎・腎に之が少いため, この菌量模型は逆梯型を呈し, V型では之が各臓器間に差の少い矩型, 或いは肺・腎の菌量の多い菌量模型が得られることを知った. 之等を夫々Y型及びV型の菌量模型図と呼んだ. Y型とV型の相違の一つとして, Y型ではツベルクリン皮内反応が陽転することなく斃死するのに対しV型では之が陽転して居るという事実がある. V型の経時観察で, 接種後4週間以内では菌及び病変の分布上Y型に似た時期があることを知ったが, 以後の病変・菌量の分布がV型に移行するのは或いは個体の感作が影響して居るのではないかと考えられる. それならば,予め個体を感作しておけばY型が何等かの修飾を受ける可能性があるので, 今回の実験を行った. 強毒鳥型結核菌Flamingo株の0.05mg/kg静脈内接種前4, 3, 2, 1週及び静脈内接種と同時に夫々4頭の家兎に培養基継代により毒力の低下した Flamingo 株0.5mg/kgの皮下接種を行った. 各群の半数を皮下接種の対照とし別に無処置の家兎2頭に強毒菌の静脈内接種を行った. 感作の途中で下痢のため斃死するものがあったので実際に強毒菌の静脈内再接種を受けたのは4週群1, 3週群~同時群各2頭で, 皮下接種のみの対照は4, 3及び2週群各1頭, 1週及び同時群各2頭である. 以上を第一実験とし, 第二実験として6頭の皮下接種家兎を準備し内4頭に3週後強毒菌0.1mg/kg静脈内接種を行った. 別に2頭の無処置家兎に同量の静脈内接種を行ってY型の対照とした. 以下に両実験の結果をまとめて記述する. 1. ツベルクリン皮内反応は4乃至2週前に皮下接種を行った家兎では明瞭に陽転して居た(Table 1,4). ツベルクリン反応が陽性を呈した家兎では静脈内接種後対照のY型より早期に発熱が見られ, 特に第二実験の再接種家兎では之が著明であった(Chart 1,2). Y型に於て全経過を通じて証明される菌血症は若干の家兎, 特に生存期間が延長したものでは抑制されて居た(Table 2, 5). 2. 第一実験では下痢のため再接種後1週間内外で斃死した家兎があったが, 又対照のY型が斃死した後長期間生存したものもあった. 第二実験ではY型対照の斃死と共に再接種家兎を殺して検索したが, 放置すれば長期間生存したであろうと思われる例があった. 3. 臓器の定量培養の成績では早期に斃死したものではY型の初期の菌量分布と大差はないが, それ以後Y型の期間内に斃死又は屠殺した1~3週群の再接種家兎では肝・脾・骨髄の菌量が対照或いは同時期のY型に比し著しく少く菌量模型図がV型に近いものが見られた(Chart 1,2, Table 3, 6). 静脈・皮下同時接種群ではY型と大差のない菌量模型図が得られ, 菌増殖に関しては同時皮下接種による大きな影響はなかったものと考えられる. 第一実験に於て対照の斃死後長期間生存したものの菌量模型は定型的なV型を呈したが, 之は長期間生存したための当然の結果と考えられる. 尚第一実験の皮下接種対照家兎の定量培養で接種後33日及び32日に屠殺したものの脾から夫々少量(0.7×10及び1.3×10)の菌が検出されたが其他の臓器への菌の撒布は認められず, 再接種家兎の定量培養では皮下接種菌の内臓への撒布は無視し得る程度と考えられた. 4. 再接種後1週間内外で斃死した家兎に既に相当程度の脾腫が認められた. 正常家兎にY型を惹起すべき菌量を接種した場合にはこの様に早期の脾腫は認められず, ツ反応陽転家兎に於ける早期の発熱と同様再接種菌に対する促進された反応の現れと考えられる. 之等の家兎では組織学的にも肝・脾・骨髄に相当高度の病巣が出現して居た. 再接種家兎の病巣も大単核細胞及び巨細胞から成りH-E染色ではY型のそれと本質的な差は認められないが, 之等細胞の胞体内にY型に見られる様な夥しい菌が見られないことは著しい相違点である. 病巣の構造には, Y型の期間内に斃死又は屠殺した再接種家兎でも若干の相違点が指摘される. 病巣周辺に淋巴球浸潤が見られることはV型病巣の性格を示す
  • 越智 勇一, 小西 信一郎, 木村 博夫
    1962 年 24 巻 6 号 p. 331-336
    発行日: 1962/12/25
    公開日: 2008/02/13
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  • 友田 勇
    1962 年 24 巻 6 号 p. 337-348
    発行日: 1962/12/25
    公開日: 2008/02/13
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  • 藤江 昇, 倉田 一明, 沢田 実
    1962 年 24 巻 6 号 p. 349-357
    発行日: 1962/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1. 農林省動物医薬品検査所および国立予防衛生研究所で保管されている, 日本脳炎ウイルス中山株(それぞれ薬検-および予研-中山株とよぶ)を用いて行なった交差感染防御試験では, homo の場合が, hetero の場合より高い防御能を示し, 両ウイルス株間の防御能には差が認められた. その差は, 免疫程度が高いものほど顕著であった. 2. 両ウイルス株の免疫過程における各時期の血清について行なった交差中和試験においても, 両ウイルス株間の中和指数に差が認められた. 3. 両ウイルス株とも, 血球凝集反応の至適pHは6.4にあった. 両ウイルス株の免疫過程の各時期の血清について行なった交差血球凝集抑制反応においても, 抑制価はほとんど等しく, 消長も同一の傾向を示し, 両ウイルス株間に差が認められなかった. 4. 両ウイルス株の抗血清の交差補体結合反応では, 差が認められなかった. 5. 硫酸プロタミンによる沈降試験およびデゾキシコール酸による抵抗試験では, 両ウイルス株とも, プロタミンによる感染価の低下はなく, デゾキシコール酸によって感染価は低下し, 差は認められなかった. 6. 両ウイルス株ワクチンと, 流行時に患者から分離されたウイルス株とを用いて行なった感染防御試験では, 両ウイルス株の感染防御能に差がなかった. 終わりにのぞみ, 終始懇篤な指導および本稿の校閲を賜わった川島秀雄所長に深甚な謝意を表する. ウイルス株を分与され, 種々教示をいただいた国立予防衛生研究所大谷明博士, 緒方隆幸博士に謝意を表する. 本報告の大要は, 第49回日本獣医学会に発表した.
  • 玉崎 幸二
    1962 年 24 巻 6 号 p. 359-365
    発行日: 1962/12/25
    公開日: 2008/02/13
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