日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Online ISSN : 1881-1442
Print ISSN : 0021-5295
ISSN-L : 0021-5295
43 巻, 6 号
選択された号の論文の26件中1~26を表示しています
  • 今川 浩, 安藤 泰正, 鎌田 正信, 杉浦 健夫, 熊埜御堂 毅, 福永 昌夫, 和田 隆一, 平沢 澄, 秋山 綽
    1981 年 43 巻 6 号 p. 797-802
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ゲタウイルス感染症の発生のあった地域並びに日本のその他の地域の馬におけるゲタウイルス(GV)の伝播状況を知るため, 血清疫学調査が行なわれた. 1978年の秋にGV感染症の発生のあった美浦トレーニングセンターにおいて, GV感染症の発生前の馬のGVに対する中和抗体保有率は6.0%(14/232)であった. GV感染症発生後においては, 発症馬の93%(120/129)及び非発症馬の34.2%(52/152)にGVに対する中和抗体が認められた. 1978年の全国調査では, GVに対する中和抗体は検査されたいずれの地域からも検出されたが,ー歳馬から中和抗体が検出されたのは九州地方だけであった. 1972年から1977年にかけて, 中山競馬場白井分場から採取された各年約200例の血清のGVに対する抗体検索では, いずれの年においても陽性のものが検出された. これらの結果から, 美浦トレーニングセンターの発症馬の臨床症状はGVによっておこざれたものであり, さらにGV感染症は1978年の流行以前から日本の馬に伝播していたであろうと考えられた.
  • 藤永 徹
    1981 年 43 巻 6 号 p. 803-813
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    日本の牛から分離され, 新種のバベシアとして報告されたBabesia ovata(和名: 大型ピロプラズマ)の病原性を検討するため, 摘脾牛および非摘脾牛を用いて実験感染を行い, 臨床および臨床病理学的に観察した結果, 次の成績を得た. 摘脾牛6頭では, 接種後原虫は流血中で著明に増殖し, 発熱, 食欲および元気消失, 貧血, 黄疸および赤色尿の排出が認められ, 2頭が死亡した. 尿検査では, 血色素尿, ウロビリン尿および蛋白尿の排出が認められた. 血液学的には, 原虫寄生率の上昇につれ, 赤血球数, HtおよびHb値の低下, 白血球および血小板数の著明な減少が認められた. 貧血極期には, 赤血球浸透圧抵抗の著明な減弱が認められた. 血液生化学的には, 直接および間接ビリルビン, GOT, BUNおよび尿酸値の著増と血清蛋白質量および血糖値の低下が認められた. このような変化は原虫寄生率の上昇程度と密接な関連があり, 最高寄生率の高いものほど重度であった. いっぽう, 非摘脾牛6頭では, 原虫の最高寄生率は低く, 貧血は軽度であり, 臨床, 血液および血液生化学的所見の変化も軽度であった. 以上のことから, B. ovataは牛に対して貧血, 黄疸および血色素尿の排出だけではなく, 摘脾あるいはその他の免疫抑制作用によって, 流血中で原虫が著明に増殖した場合, 肝・腎機能に障害を及ぼす病原性を有するものと考えられた.
  • 千早 豊, 松川 清, 谷山 弘行
    1981 年 43 巻 6 号 p. 815-822
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    いわゆるフィードロット方式で飼育された約20力月齢の去勢肥育牛, ホルスタイン種90頭および黒毛和種13頭について, 第四胃労細胞細胞質内結晶性封入体の出現率および超微細構造の検索を行った. ホルスタイン種においては, 100%, 黒毛和種においては, 53.8%の出現率を認めた. 封入体は, 肥育牛に特異的に出現すると考えられた. 封入体は, H・E染色標本において, 均質, 好酸性を呈した. 電子顕微鏡的に, 封入体は, 根棒状, 六角形, 菱形を示し, 電子密度高く, 膜構造を伴わず, 直接細胞質の基質の中に存在していた. 他の細胞小器官との関連性ほ, 認め得なかった. 根棒体は, 縦断面, 正六角形は, 横断面, 菱形は, 斜断面と考えられた. 封入体の基本形態は, 一辺が約1.1μ~2μ, 両端が軽度の丸味をおびた長さ約13μ~23μの正六角棍棒体と考えられた. 封入体の内部構造は, 横断面では, 六角形細管状物の集積よりなり, 縦断面では, 平行に走る密度の高い線状構造からなっていた. 細管状物は, 直径約115Å~154Åを示し, 中心から中心までの距離は, 約190Å~200Åの値を示した. 隣接する細管状物は, 互いに60°の角をもって六方点様に配列していた.
  • 大友 勘十郎, 小池 寿男, 工藤 忠明, 酒井 保
    1981 年 43 巻 6 号 p. 823-832
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    我々は1967年以来犬の可移植性性器腫瘍を継代している. 今回, この腫瘍を使用して反復接種した場合の退縮機構を組織学的に検討した. 10頭の犬を2群に分け, 実験群には実験に先だち腫瘍細胞浮遊液を反復接種して感作した. 実験群と対照群の左右の下腹部の皮下に腫瘍細胞浮遊液(生残率22.0~38.8%)を接種した. 両群ともに接種後4~5日目に径3~5mm大の腫瘤物を触知し得た. 以後対照群の腫瘤は次第に増大するのに対し, 実験群は10日目以後次第に退縮し18日目に触知不能となった. 次にそれぞれの組織所見を検討した. 実験群では, 第1に腫瘍細胞間にリンパ球が浸潤し, 次にリンパ球が腫瘍細胞の周囲に密着し, 続いて腫瘍細胞が破壊され, 最後に吸収された. さらに腫瘍細胞の微細構造を観察すると, 最初に腫瘍細胞とリンパ球の細胞膜が互いに平行に密着し, 次いで膜面が粗造となり, 微細突起が互いに入り込んでいるように見える. 腫瘍細胞内には大小不同の種々の形のdense bodyが多数出現した. また小胞体は全般に拡張し, 空胞状を呈し, また核形は不定形となった. ついで細胞膜の構造が不明瞭となり, 細胞は全体に膨化し, ribosome様粒子を包む包状物が多数流出した. 最後に腫瘍細胞の破壊産物中に多数のリンパ球が見られた. 以上の所見より, 腫瘍細胞の破壊にはリンパ球が重要な役割を担っているものと考えられる.
  • 吉村 治郎, 伊藤 治, 米沢 昭一
    1981 年 43 巻 6 号 p. 833-840
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ベンジルペニシリンまたはアンピシリンを筋肉内注射した牛および豚を用い, これらペニシリンの鑑別を, 殺処分後に採取した腎, 肝, 筋および尿について行なった. まず, 蒸留水による各組織の4倍乳剤を作成し, pH 6.0と8.0に調整した寒天培地を用い, Micrococcus luteus ATCC 9341およびBacillus subtilis ATCC 6633に対する阻止径を, 平板円筒法によって測定した. 尿は, 5倍希釈で625倍まで希釈し, 同様にこれら試験菌に対する阻止径を測定した. M. luteusに対する阻止径が大きく, またその抗菌活性がペニシリナーゼの添加により消失した検体だけを, 薄層クロマトグラフィーによる鑑別に供した. 次に, 供試検体をメタノール処理し, 3,000rpm 10分間遠沈した上清10μlを, シリカゲルプレートの原点にスポットした. 酢酸エチル・メタノール・水(6:2:1)で展開後, 試験菌にM. luteusを用いたbioautographyによりRf値を求めた. この方法でクロマトグラム上にM. luteusの発育阻止ゾーンがみられなかった場合には, スポット量を30μlとして再試験を行なった. 各検体とも, ベンジルペニシリンによるRf値はアンピシリンによるそれよりも約2倍高く, またそれぞれの常用標準品の値ともよく一致した. 以上の成績から, M. luteus寒天培地上の阻止径に応じて, スポット量を10ないし30μlとする薄層クロマトグラフ法を利用すれば, 屠畜におけるこれらペニシリンの残留の鑑別も可能と思われた.
  • 東原 朋子, 伊澤 久夫, 小沼 操, 児玉 洋, 見上 彪, 野田 寛
    1981 年 43 巻 6 号 p. 841-851
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1978年, 北海道網走支庁管内のミンク飼育場に流行性の下痢症が発生し, 罹患ミンクの腎から直接培養法により, ウイルスが分離された. 分離ウイルスは猫由来の培養細胞で増殖し, 好塩基性, 大型の核内封入体を形成した. 本ウイルスの直径は約24nm, また核酸はDNAであり, 有機溶剤, 熱および酸に対して安定で, 4℃, pH 6.5および6.8の条件下で豚, ミドリザル, カニクイザルの赤血球を凝集した. また, 抗猫汎白血球減少症ウイルス血清および抗ミンク腸炎ウイルス血清を用いた中和試験ならびに赤血球凝集抑制試験では, 分離ウイルスと両ウイルスとの間に交差が成立した. 上記の諸成績より分離ウイルスをミンク腸炎ウイルスと同定した. 本ウイルスを接種した生後3力月の仔猫には白血球減少, 嘔吐, および軽度の下痢が発現し, 接種ウイルスに対する抗体産生を認めた. また, 同居感染が成立した.
  • 神崎 淳二, 清水 一政, 中條 真二郎, 浦川 紀元
    1981 年 43 巻 6 号 p. 853-861
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    プロスタグランジン類(PGs)は広く生体内に存在するが, 特に消化管に対するPGsの作用はPGsの種類, 実験動物種, 消化管の部位等によってまちまちである. 本実験は, 各種動物(サル, イヌ, ネコ, ウサギ, モルモット, ハタネズミ, ラットおよびマウス)の摘出回腸縦走筋標本を用いて, PGE2の収縮反応をマグヌス法によって求め, 動物種属間の感受性の差を対比すると共に, 各種桔抗薬の影響を観察した. サルおよびネコの回腸縦走筋はPGE2により持続性に収縮し, 他のものは一過性の収縮後弛緩した. 回腸縦走筋標本における各種動物の感受性は濃度作用曲線より, モルモットが最も高く, 続いてハタネズミ, ウサギ, ラット, マウスの順に高く, サル, イヌおよびネコは低く, PGE2収縮には種属間に感受性の差が認められた. さらに, PGE2収縮に対する各種桔抗薬の影響を検討したところ, ウサギ, モルモットおよびハタネズミなどの草食動物におけるPGE2収縮はTTX, アトロピン, スコポラミンおよびSC-19220で抑制された. またイヌおよびネコの肉食動物においてはスコポラミン, SC-19220で抑制されたがTTX, アトロピンでは抑制されなかった. そしてサル, ラットおよびマウスの雑食動物においてはSC-19220のみにより抑制された. 以上のように, 各種桔抗薬の効果からPGE2収縮は3つのグループに分けられた.
  • 岡本 敏一, 山田 純三
    1981 年 43 巻 6 号 p. 863-870
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    アヒル腺胃における内分泌細胞を光学および電子顕微鏡で観察し次の所見を得た. 1) アヒル腺胃には銀親和細胞は認められなかった. 2) 深在腺には多数の好銀細胞が卵円形と2極あるいは多極性の突起をもった形でみられた. 浅在腺には卵円形のものが少数みられるにすぎなかった. 3) これらの内分泌細胞を電顕観察し, 分泌顆粒の形態から次の4形に型別した. I型:顆粒が径約100~250 nmの球形で種々の電子密度と, 空胞状から充実したものまで多様な内容を示すもの. この型の細胞は深在腺のみにみられ, Grimelius法またはSevier-Munger法で検出される突起をもつ細胞と同じ細胞と考えられた. II型: 径約200~450 nm大の多数の大型球形顆粒の間に, 長径約200~500 nmの多形性顆粒が少数混在する. いずれの顆粒も電子密度が高く, わずかな明調帯を有していた. 少数の脂肪様滴がこれらの顆粒間に混在していた. III型: 顆粒は径約230~400 nmの球型で種々の電子密度を示す. この顆粒がアヒル膵島のD細胞顆粒と同様の形態であることから, この型の細胞はD細胞と推察された. IV型: 顆粒は球形で径約80~200 nmと非常に小型で, 限界膜に囲れ高い電子密度を示す. 4) これらの内分泌細胞はすべて閉鎖型と推定した.
  • 石田 卓夫, 河合 三郎, 藤原 公策
    1981 年 43 巻 6 号 p. 871-874
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1980年1月~11月に東京都内で採取したネコ血漿材料について酵素抗体法(ELISA)でネコ白血病ウイルス(FeLV)抗原の検出を行ない, 642例中37例(5.8%)がFeLV陽性であった. これらの陽性例では何らかの疾患, とくに腎疾患および貧血を示すものが多く死亡率は54%であった.
  • 吉川 堯, 小山田 隆, 吉川 博康, 坂口 真紀子
    1981 年 43 巻 6 号 p. 875-881,885
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ワラビ(pteris aquilina)の腫瘍原性について, ラット(211例)を用いて実験的研究を行った. そして特に膀胱腫瘍について組織形態学的検討を試みた. ワラビ給与例では膀胱の他, 小腸, 皮下, 腎臓および口蓋に腫瘍の発生を認め, ワラビの著しい腫瘍原性が確認された. 組織学的に膀胱には良性から悪性性格を示す乳頭腫(60例), 移行上皮癌(9例), 腺癌(2例), 腺維腫(6例), 平滑筋肉腫(2例), 血管腫(1例)が認められた. 腫瘍の発生はワラビ多給群において, より高率かつ悪性であった. 上皮性腫瘍の発生に対して粘膜上皮層の水腫および好酸性紡錘形細胞の出現を伴う上皮層の増生並びに肥胖細胞の動態が注目された.
  • 九郎丸 正道, 西田 隆雄, 望月 公子
    1981 年 43 巻 6 号 p. 887-899
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    草食性実験動物として開発されたハタネズミの胃粘膜を, 肉眼, 光学顕微鏡, 走査型および透過型電子顕微鏡を用いて観察し, 雑食性のハムスターのそれと比較検討した. ハムスターの胃が前胃および腺胃の2つの部位からなるのに対し, ハタネズミの胃は食道嚢, 腺胃および幽門胃の3つの部位からなる. この3部位のうち中間に位置する腺胃は多数の固有胃腺を含み, その粘膜表面には多くの円形の胃小窩が開口する. 一方食道嚢および幽門胃は小弯部において連続し, ともに角化重層扁平上皮によっておおわれる. 食道嚢粘膜表面は多数のヒダ状隆起が複雑に迂曲して走るが, 幽門胃粘膜表面は規則正しい小隆起構造の連続よりなる. 食道嚢と腺胃の間には, ハタネズミに特有のfimbriaとよばれる弁様構造物が存在する. このfimbriaは食道嚢の独立性を強め, その発酵槽としての役割を高めるように働く構造と考えられる. またハタネズミの幽門腺部は腺胃から幽門胃によって隔てられ, 十二指腸近位端の幅数mmの部分に局在する. これら幽門胃および幽門腺部の機能的な意味については明らかでない.
  • 林 良博, 西田 隆雄, 望月 公子, 大塚 閏一
    1981 年 43 巻 6 号 p. 901-907
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    インドネシアの在来牛(バリ, マドゥラ, およびアチェ牛)と, 野生のバンティングの頭蓋標本を収集し, 多変量解析と単変量解析法によって各品種間の比較を試みた. その結果は以下のように要約される. (1)アチェ牛は, 他の品種と比較して頭蓋幅および頭蓋高が短い. また, 顔面頭蓋に対する脳頭蓋比が大きい. (2)マドゥラ牛は, アチェ牛とバリ牛の中間の特徴をもつが, 頭蓋計測値の均一性についてはアチェ牛と同様に低い. (3)バリ牛は, 3在来牛の中でもっともバンティングに近い形質をもっている. しかし, 他の2在来牛やバンティングにみられる角間隆起を欠く点が注目される.
  • 早崎 峯夫, 中垣 和英, 小林 茂雄, 大石 勇
    1981 年 43 巻 6 号 p. 909-914
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    犬糸状虫感染に対する犬の免疫応答をマクロファージ遊走阻止(MI)試験(間接法), 間接赤血球凝集(IHA)反応, 受身皮膚アナフィラキシー反応により, 検討した. 犬糸状虫成虫抗原と子宮内ミクロフィラリア(Mf)抗原を用いたMI試験の結果, 犬糸状虫未感染犬群13頭と自然感染犬群20頭の成績は陰性であった. 犬糸状虫実験感染犬3頭(感染子虫数98~121匹)および未感染対照犬2頭の感染経過中における免疫応答の動態についても検討した.感染犬では, IHA抗体, レアギン抗体ともに実験期間を通して産生され, 特に著明な増加は, 第4脱皮期と末梢血Mf陽性時期に関連している可能性が認められた. それにもかかわらず, prepatent periodにおけるMI試験は陰性であった.
  • 佐藤 博
    1981 年 43 巻 6 号 p. 915-917
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    山羊と緬羊における尿中リン(P)濃度の日内変化を調べた. 毎日午前9時に給飼されている山羊の尿を6時間毎に72時間続けて採取してP濃度をみると, 採食後6時間に最も高濃度となる場合が多かった. 緬羊を午前6時あるいは午後6時の給飼条件にそれぞれ2週間以上慣らして同様に6時間毎に96時間採尿したところ, いずれの場合も給飼後にP濃度の高まる傾向がみられた. 同一個体で朝から夕刻へと給飼条件を変えると, 尿中P濃度の日内変動も逆転した例が多かった. 1日に1回給飼のような飼養条件下では尿中P排泄量は給飼時刻に最も強く影響されることが判明した.
  • 新城 敏晴, 吉武 理, 清川 紘子, 三澤 尚明, 内田 和夫
    1981 年 43 巻 6 号 p. 919-921
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    牛肝膿瘍の主原因菌であるFusobacterium necrophorum biovar Aのマウス門脈内接種による肝膿瘍の形成能をしらべた. 原因菌の液体培地培養菌液を接種した16匹のマウスのうち10匹に肝膿瘍が認められた. 特に菌接種3日以後に剖検した例では10匹のマウスのうち9匹に肝膿瘍が観察された. 接種菌は全ての膿瘍から回収され, 肝臓, 脾臓, 腎臓や肺からも高率に回収された. 培地のみを接種した対照のマウスには肝膿瘍は認められなかった.
  • 板倉 智敏, 中塚 順子, 五藤 精知
    1981 年 43 巻 6 号 p. 923-925,927
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    山形県北部の1養豚家の哺乳豚に発生した, 仮性狂犬病3例の形態学的変化を記述した. 第1例(3日齢)は非化膿性髄膜脳炎を示し, 神経細胞と星状膠細胞に核内封入体を認めた. また両種細胞には, 電顕的にヘルペスウイルス粒子を確認した. 第2例(25日齢)の肝臓, 第3例(1日齢)の脾臓には限局性壊死が多発し, 病巣には核内封入体が散見された. 以上の病変は, いずれも仮性狂犬病に特徴的とされているものであった.
  • 東原 朋子, 伊澤 久夫, 小沼 操, 児玉 洋, 見上 彪, 野田 寛
    1981 年 43 巻 6 号 p. 929-931
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1978年にミンク腸炎の流行した飼育場のミンクについて抗体調査を行なった結果, ミンク腸炎ウイルス(MEV)に対する抗体保有率は流行の激しかった畜舎のミンクで高かった. また, 本病の流行が認められた飼育場で捕えたカラス, ドブネズミからはMEVは分離できなかった. また, これらの動物からはMEV抗体は検出できなかった. しかし同飼育場で捕えた野良猫の脾と腸よりMEVが分離された.
  • 河野 潤一, 清水 晃, 木村 重
    1981 年 43 巻 6 号 p. 933-936
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ウマ由来S. intermediusの溶原菌およびウマ鼻腔スワッブからファージの分離を試みた. その結果, 3株の溶原菌由来ファージが分離された. これらのファージを用いてウマ, イヌ, ミンク, ハトおよびキツネ由来のS. intermediusのファージ型別を行った. ウマ由来23株中15株(65.2%)が型別された. その他の宿主の由来株(計126株)では, イヌ, ハトおよびキツネ由来3株を除いてすべてが溶菌されず, 分離されたファージはウマ由来株に特異的であった.
  • 中川 雅郎, 斉藤 学, 幸嶋 和子
    1981 年 43 巻 6 号 p. 937-940
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Pasteurella pneumotropicaのマウス由来8株とラット由来7株をddY系マウスとWistar系ラットに経鼻接種し, 同時にこれら接種動物と無処置動物をゲージ内同居させて本菌の伝播性を調べた. その結果, マウス由来株は, マウス, ラット両種において菌接種動物はもちろん同居動物にもほぼ100%感染した. しかし, ラット由来株は, ラットには100%感染したが, マウスでは接種動物の平均20%, 同居動物の10%以下にしか感染しなかった.
  • 西田 恂子
    1981 年 43 巻 6 号 p. 941-946
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    鶏, 鶉, 家鴨, 鵞鳥, バリケン, 鳩の6種の家禽の筋肉ミオグロビン(Mb)の種特異性をディスク電気泳動法と免疫反応を用いて比較した. 鶏Mbがもっとも速くプラスヘ移動し, より酸性であることを示したが, 他の5種には有意差はみられなかった. 兎の抗鶏Mbに対する抗原性を比較した結果, 鳩を除くすべてのMbは鶏と共通の抗原決定基をもつことを示し, 鳩のみ部分的融合反応によって, その一部が他と異なることを示唆した.
  • 長沢 秀行, 武井 好三, 宮上 禎肇, 鈴木 直義, 小俣 吉孝
    1981 年 43 巻 6 号 p. 947-950
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    トキソプラズマ(TP)免疫ビーグルに特異抗原を静脉内注入し, 24時間後に血液を採取し, 血漿を分離した. 血漿はTp抗体価1,000以上, およびインターフェロン活性1:32を示した. この血漿は酵素, 酸・アルカリ加水分解および熱処理され, その上清をSephacryl S-200およびToyo-pearl Fractgel HW40でゲル炉過し, 分子量3,000~5,000の分画を集めて, これをHP-LKLPと名づけた. 犬単球はTC-199仔牛血清含有培養液で前培養され, Tp接種後1時間目から, 免疫血漿2容+培養液1容(66%)あるいはHP-LKLP(乾燥重量) 0.25~2.0%含有培養液中における48時間目の細胞内Tp増殖の有無を検討した. その結果, 66%Tp免疫血漿あるいは0.5%HP-LKLP添加では, 正常ビーグル血漿あるいは, その0.5%加水分解血漿に比較して, 細胞内Tp増殖は顕著に抑制された. 2% HP-LKLP添加では, 犬単球は障害された. ウシ単球, ヒト心筋細胞およびマウス腎細胞内Tp増殖に関して, HP-LKLP添加は, その添加濃度に差があるが異種細胞内Tp増殖を明らかに抑制した. このHP-LKLP中にはガンマー(免疫)インターフェロン(IFN-γ)活性は検出されなかった. リンホカイン中Toxo-GIFによる細胞活性は種依存性であることが広く認められている. リンホカイン様物質を含む血漿が低分子量化されることによって, 種依存性を失い, 異種細胞内Tp増殖を明らかに抑制したことの意義は, その作用機序は未解決であるが, 極めて大きいと考えられる.
  • チュンサマンヤート ナロン, 渡辺 徹, 藤岡 俊健
    1981 年 43 巻 6 号 p. 951-953,955
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ニワトリにインシュリンを注射し, その1, 3, 9, 12時間後の副腎髄質細胞の変化を電子顕微鏡により観察した. 脱顆粒が盛んな時には, 顆粒の内容に変化が起り, 電子密度の低い内容をもつ顆粒がふえ, 相互に癒合し, 小空胞を形成する. 小空胞には顆粒が開口し, 大空胞の出現をみる. 細胞の周辺の一部の大空胞は細胞外に開いている. 少なくとも急激な分泌が起る際には, この空胞形成が, 顆粒の分泌と密に関係するものと推定された.
  • 辻本 元, 代田 欣ニ, 林 俊春, 長谷川 篤彦, 友田 勇, 藤原 公策
    1981 年 43 巻 6 号 p. 957-959,961
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    著明な末梢白血球増多, 脾腫, 貧血, および血小板減少を伴ったネコの単球性白血病の1例を経験した. 白血病細胞の普通染色所見, 超微細形態, 貧食能, および細胞化学的所見は, それらが単球系細胞由来であることを示唆していた. 本例はcyclophosphamide, daunomycinなどによる治療によく反応して一時症状の改善が見られたが, これら薬剤投与の中止後約1力月で増悪死亡した.
  • 山下 照夫, 平井 克哉, 島倉 省吾, 伊藤 公和, 平田 克, 橋本 晃
    1981 年 43 巻 6 号 p. 963-965
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    某愛玩鳥卸し売り業者に発生した下痢を主徴とする国内産のセキセイインコ203羽のうち, 108羽(53.2%)からクラミジアが, 107羽(52.7%)からジアルディア原虫が検出され, そのうち59羽(29.1%)は両病原体に混合感染していた. このことは, わが国における人および鳥類のクラミジア感染源としてセキセイインコの重要性を示唆している. 愛玩鳥の飼育環境の改善, 予防的治療の義務化など関係者への行政指導が必要である.
  • 澤 英之, 平井 克哉, 金城 俊夫, 柴田 宇光, 島倉 省吾
    1981 年 43 巻 6 号 p. 967-969
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    インドネシア共和国から輸入後斃死したフィンチ327羽中60羽およびインコ22羽中6羽の肝臓・脾臓から, また, オランダおよびインドからのインコ120羽中2羽からも純粋にS. typhimuriumが計68株分離され, このうち8株がコペンハーゲン型であった. Duguidらの生物型では25i(56株), 25di(9株), 27i(2株)および31i(1株)の4型に型別され, Rプラスミッドを持つ3剤耐性菌(SM-TC-SDM)が7株検出された. 輸入愛玩鳥によって人および家畜の環境がサルモネラに汚染されることを防止するために, 愛玩鳥の輸入検疫が厳重に実施されなければならない.
  • 寺門 誠致, 荒木 誠一, 森 康之, 関崎 勉, 橋本 和典
    1981 年 43 巻 6 号 p. 971-974
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    子豚の肺病巣から5剤(ストレプトマイシン・サルファ剤・テトラサイクリン・クロラムフェニコール・カナマイシン)耐性のB. bronchisepticaが分離された. 混合培養法により該耐性の伝達性を検討したが, 耐性伝達は認められなかった. しかし, プラスミドDNAの直接分離と形質転換実験成績から, 該耐性は分子量15メガダルトンの非伝達性Rプラスミドにより支配されていることが明らかにされた.
feedback
Top