日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Online ISSN : 1881-1442
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ISSN-L : 0021-5295
47 巻, 6 号
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  • 竹内 啓, 永田 伴子, 大橋 文人, 佐々木 伸雄, 生塩 敬之, 畠中 坦
    1985 年 47 巻 6 号 p. 859-868
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    犬脳組織に対する硼素中性子捕捉療法(BNCT)の影響を正常犬に10Bで合成したNa2B12H11SHを静注後, 原子炉からの熱中性子を頭部に照射して検討した. シリーズ1においては, 現在のヒト脳腫瘍治療時とほぼ同じ処方で, 2000-3000radsを照射し, 3年間にわたって観察した. またシリーズ2においては, 最大9000radsまでの種々の高線量を照射してその影響を観察しつつ, 1ヶ月後および1年後の両時期に剖検した. 両シリーズとも全例において, 臨床所見, 血液所見, 神経学的所見などのいずれにも異常はみられず, また剖検所見でも, 放射線傷害を示唆する所見は認められなかった. 一方, BNCTで血管壁が受ける線量は血管内線量の約1/3であり, しかも熱中性子が組織内で速やかに減衰することを考慮すると, 治療線量照射(シリーズ1)および高線量照射(シリーズ2)のいずれにおいても, 大部分の正常脳血管の受ける線量は2000rads以下であり, 正常脳が耐えうる範囲であると理解できた.
  • 竹内 啓
    1985 年 47 巻 6 号 p. 869-878
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    犬の骨肉腫が硼素中性子捕捉療法(BNCT)で治癒する可能性を, 硼素化合物の取り込み試験ならびに1例の治療実験の結果から示唆することができた. 取り込み試験では, Na2B12H11SHを50mgB/kgの割合で静注し, 腫瘍・血液・骨のB濃度の経時的変化を調べた. 各症例ごとに個体差があり, 必ずしも均一な傾向は得られなかったが, 注入12時間後には, 硼素の腫瘍中濃度が, 有効なBNCTに十分なレベルであり, かつ血液および骨中の濃度が明らかに低い傾向が認められた. これらの検討結果に基づいて, 1例の骨肉腫例に対してBNCTを実施した. 10Bを用いて合成した上記化合物を, 50mg10B/kgの割合で静注し, 12時間後に1.4×1013n/cm2の中性子照射を武蔵工大原子炉で実施した. 腫瘍表面の受けた合計線量は約3800ラドと考えられるが, 照射後は臨床所見およびX線所見の改善が目覚ましく, 20日後のX線写真上には, 腫瘍塊がほぼ認められなかった. 30日後に安楽死させ, 病理組織学的検索を行った. 腫瘍原発部位およびその周辺には腫瘍細胞は検出されず, また正常骨組織の著明な変性も認められなかった.
  • 松田 治男, 宮川 誠, 井関 修一, 村田 昌芳
    1985 年 47 巻 6 号 p. 879-888
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    可移植性マレック病腫瘍細胞株(MDCC-MSB1-41C)移植鶏血清(移植血清)および正常鶏血清(正常血清)を用いて, pH5~6領域のクロマトフォーカシングを行い, その出現パターンを比較した. 移植血清では5つの主要なピーク(I~V)の出現が認められたが, 正常血清では移植血清で認められたピーク(I~IV)が正確には観察できなかった. ピークIおよびIIは, 腫瘍の発達に伴なって高く出現した. ゲル炉過によって精製したピークIおよびIIは, SDS電気泳動法によりいずれも分子量が約105,000(105K)の糖蛋白質であった. 細胞融合法によって, 精製ピークIおよびIIに対する単クローン抗体の作製を試み計6つの抗体を得た. これらの単クローン抗体は, いずれもピークIおよびIIに対して等しく反応した. さらに, 得られた単クローン抗体の1つP5-13抗体を用いたイムノブロッティング法により, 正常ならびに移植血清のいずれの血清においても, 105Kの位置に単一のバンドが検出された. バンドの濃さは, 腫瘍の発達に伴ない強く出現した. 以上の成績は, 鶏の担癌状態の進行に伴なって105K糖蛋質が増加することを示唆している.
  • 杉山 広, 奥田 稔, 松本 正博, 菊地 隆俊, 小田切 美晴, 冨村 保
    1985 年 47 巻 6 号 p. 889-893
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    奈良県宇陀地方産サワガニ寄生のメタセルカリアをネコに感染させて得た30匹の肺吸虫成虫につき, 核型分析を行いつぎの成績を得た. 1) 検索虫体の染色体数はすべて2n=22(n=11)であった. 2) 11対の相同染色体は, 大形のもの1対(中部動原体型), 中形のもの4対(次端部動原体型3対, 次中部動原体型1対), および小形のもの6対(中部あるいは次中部動原体型3対, 次中部動原体型3対)の3群に分類することができた. 3) 精巣内にはさまざまの精子形成過程にある性細胞が多数観察され, 精子の形成は正常であった. 以上から, 調査した地区のサワガニに寄生しているのは, ウエステルマン肺吸虫のメタセルカリアで, ベルツ肺吸虫メタセルカリアの混在はないことが確認された.
  • 宮澤 清志, 友田 勇, 臼井 和哉
    1985 年 47 巻 6 号 p. 895-900
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ウシ腎臓アルカリホスファターゼ(ALP)の存在部位ならびに腎機能との関係について検索するため, ウシ胎仔ならびに出生直後の仔ウシ腎臓を摘出し, 酵素組織化学的に観察した. 胎仔の腎臓ALP活性は尿細管腔内に, わずかに認められた. 出生後尿細管腔は拡大し, 24時間までALP活性は漸増した. ALP活性は, 尿細管上皮細胞の刷子縁に局在し, 出生後時間の経過とともに細胞質内にも観察された. 以上の所見から, ウシ腎臓ALPは尿細管上皮細胞で産出され, 尿の再吸収に関与していると推測された.
  • 原澤 亮, 輿水 馨, 潘 英仁, Barile M.F.
    1985 年 47 巻 6 号 p. 901-909
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    鳥類由来ウレアプラズマとヒトおよびウシ由来の2基準株とを代謝阻止(MI)試験, 細胞タンパク質のドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミド・ゲル電気泳動(SDS-PAGE), 染色体DNAの制限酵素による切断像, およびDNA-DNA交雑試験で比較した. MI試験では, 鳥類由来株は血清学的に均一で, ウシおよびヒト由来の基準株とは区別された. この抗原的差異はウエスタン・ブロット法でも確認された. 鳥類由来株の染色体DNAの切断像の分析により, 細胞タンパク質のSDS-PAGEやMI試験では検出困難な生態学的な変化を知ることができた. DNA-DNA交雑試験では, 鳥類由来株が遺伝的に均一で, 2種の基準株とは異なることが示された. これらの成績は, 鳥類由来ウレアプラズマが新種であることを支持するものであった.
  • 柴原 壽行, 西田 弘
    1985 年 47 巻 6 号 p. 911-919
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1979年11月から1985年2月までの狩猟期間中に, ウエステルマン肺吸虫(二倍体型)Paragonimus westermani(Kerbert, 1878)-diploid typeの濃厚な分布地として知られる兵庫県北部, 但馬地方の出石郡内において捕獲された7種計332頭の野生哺乳動物の肺吸虫感染状況について調査を行った. その結果, 捕獲された7種の動物のうちテン, タヌキ, イノシシの3種の動物の肺に多数の虫嚢形成を認め, そのうちのテン2頭, タヌキ13頭, イノシシ8頭の合計23頭の肺に形成された虫嚢内から多数の虫体を検出した. これらの虫体-特に成虫-および虫卵について精査し, その形態学的特徴からテンから検出された虫体を宮崎肺吸虫P.miyazakii Kamo et al., 1961, 13頭のタヌキのうちの1頭から検出された虫体を大平肺吸虫P.ohirai Miyazaki, 1939, 残り12頭のタヌキから検出された虫体およびイノシシから検出された虫体をウエステルマン肺吸虫(二倍体型) P.westermani-diploid typeとそれぞれ同定した. これらの虫体を保有していた動物の陽性率はそれぞれ6.3%, 0.7%, 8.6%および9.1%であった. 今回の調査結果から, この地方におけるウエステルマン肺吸虫(二倍体型)の主要な終宿主はタヌキであることが明らかになった. また, イノシシにおいても, 同虫成虫の自然感染例が今回初めて見出されたことから, 同地方においてはタヌキのみならず, 時にはイノシシも自然終宿主としての役割を果しているものと考えられる.
  • 佐藤 基佳, 掘 次郎, 広瀬 恒夫, 鈴木 直義
    1985 年 47 巻 6 号 p. 921-929
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    放牧牛のTheileria sergenti感染による小型ピロプラズマ症の軽減あるいは予防を目的としてトキソプラズマ溶解抗原(TLA)投与による免疫賦与効果を検討した. 放牧経験のない6~13ヵ月齢のホルスタイン種雌牛6頭にそれぞれTLA1,000μgを2~3回投与し, 初回投与後7週に小型ピロプラズマ媒介ダニ汚染牧野に放牧, 放牧後9週まで観察した. 放牧後のTLA投与群および対照群の赤血球数最低値は, それぞれ649×104/μlおよび229×104/μlであった. 最高原虫寄生率は, TLA投与群では2.6%(平均値0.6%), 対照群では10%(平均値3.2%)を示した. 6例中5例では, TLA1回投与後にTLAに対する間接血球凝集(IHA)抗体価は1:6以上を示した. TLA非投与牛においても放牧後にはIHA抗体価が上昇した. 一方, T.sergentiに対する補体結合抗体価および蛍光抗体法による抗体価は, TLA3回投与群の1例と非投与対照牛で放牧後1~5週に検出された. いずれの牛にもB.ovataおよびA.centraleに対する抗体は認められなかった.
  • 見上 晋一, 市野 清博, 山田 静弘, 谷口 和之
    1985 年 47 巻 6 号 p. 931-942
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ネコの腹側視床下部における各種神経ペプチド, すなわちアルギニン・バゾプレッシン(AVP), オキシトシン(OT), 黄体化ホルモン放出ホルモン(LHRH), ソマトスタチン(SOM), 副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF), 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH), メチオニン・エンケファリン(ENK), P物質(SP)などの分布について免疫細胞化学的方法を用いて検討した. 各ペプチド産生神経細胞は, 視床下部において, それぞれ特有の分布様式を示すが, 腹側視床下部の特定の神経核は多種類の神経ペプチド産生細胞を含んでおり, それらの細胞は混在してモザイク状の分布を示す. このことはそれらの細胞が情報交換などの機能的関係を有していることを示唆する. 正中隆起では, 多種類のべプチド含有神経線維がモザイク状に配列している. 内層ではAVPおよびOT含有線維が視床下部・下垂体路をなして神経葉に伸びる. また, AVP-, CRF-, TRH-およびENK-反応陽性線維は正中隆起前部の外層のみに分布し, 下垂体門脈の前部第一次血管叢に接して停止する. LHRH-およびSOM-陽性線維は正中隆起後部の外層に多い. 正中隆起における各ペプチド含有線維固有の分布様式は, 各ペプチドがそれぞれの門脈に放出されて, 前葉の特定の部位を支配することを示唆する.
  • 福井 豊, 小林 正之, 椿 実, 菊地 宣幸, 小野 斉
    1985 年 47 巻 6 号 p. 943-950
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ホルスタイン種未経産牛40頭(リピートブリーダー:32頭, 無発情:8頭)を4群(各群10頭)にわけ, PRID, プロスタグランジンF類縁物質(PGFアナログ:エストラメイト, 500μg), または性腺刺激ホルモン放出ホルモン類縁物質(GnRHアナログ:コンセラール, 200μg)を用いて発情調整および受胎性を検討した. PRIDは7日間または12日間挿入し, 除去1日前にPGFアナログを1回筋肉内注射した. PRID12日間挿入群では, 10mgエストラジオール・ベンゾエート(E.B.)が含まれるカプセルを除去した. PRID(-E.B.)12日間挿入+PGFアナログで処置された10頭とも処置後2日目に発情を示し, 凍結精液による3回定時人工授精により6頭が受胎した. PGFアナログ2回注射(11日間隔)群では10頭中3頭のみが受胎した. また, GnRHアナログ+PGFアナログ注射(9日間隔)群では10頭中5頭が受胎した. 処置後24日までの受胎は, PRID(-B.D.)12日間十PGFアナログ群では10頭中9頭, GnRHアナログ+PGFアナログ群では7頭中6頭であった. 以上の結果から, PRID(-E.B.)を12日間挿入し, 除去1日前にPGFアナログを注射する方法は, PGFアナログ2回注射より効果的であり, また, E.B.カプセルは不要と考えられた.
  • 池田 茂美子, 津田 修治, 倉若 欣司, 深尾 隆三, 白須 泰彦
    1985 年 47 巻 6 号 p. 951-955
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    毒性試験における血液学的および血液生化学的検査に適した採血法を検討する目的で, マダイにおいてCuvier氏管採血法(CD)と汎用される尾静脈穿刺法(CVP)とを比較検討し, CDが有用であることが示された. Cuvie氏管は鰓蓋を押し上げると直視できるので, 熟練を要せず, 周辺組織に損傷を与えることなく採血が可能であった. CDによる採血量はCVPと同程度であったが, ときにCVPで生ずる血塊形成はCDでは認められなかった. CDによるものにくらべて, CVPによるサンプルの測定値は乳酸脱水素酵素(LDH)とクレアチンリン酸キナーゼ(CPK)活性は5~6倍, グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(GOT)活性は1.5倍であった. CVPではこれら3種の酵素活性値の変動が大きく, かつ3者間の相関はCDにくらべて非常に強かった. CPKとLDHは筋肉中で高値であることから, CVPでは穿刺により損傷された筋肉からの酵素漏出があることが示唆された. その他の検査値には両法に差は認められなかった.
  • 酒井 健夫, 掘本 政夫, 後藤 仁
    1985 年 47 巻 6 号 p. 957-962
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1982~1983年にわたって, 岩手県, 埼玉県および鹿児島県で採取された牛血清1,339検体について, 日本脳炎ウイルスに対する赤血球凝集抑制(HI)抗体価を測定した. 抗体陽性率は, 埼玉県では59.7%(784頭中468頭), 鹿児島県では56.8%(315頭中179頭)であったが, 岩手県では2.1%(240頭中5頭)であった. 抗体陽性牛の分布は, 4月~9月にかけて漸次北上する傾向がみられた.
  • 上原 正人, 上嶋 俊彦
    1985 年 47 巻 6 号 p. 963-970
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    鶏の尾髄は第37節から第41節までの5節からなるが, 灰白質は第39節まで認められ, 背腹角を区別しえたのは第37節のみであった. 大型の運動神経細胞は第39節でごく少数みられたが, 第40節および第41節の頭側部には小型神経細胞のみが見られた. 変性軸索は尾髄を通じてしばしば見られた. 第41節は尾端骨中の脊柱管内にあり, おもに多量のグリコーゲン果粒を含む線維性星状膠細胞と上衣細胞から成っていた. また, この節には血管がみられず, 多量のグリコーゲンの存在との関連が示唆された. 脊髄の尾端で中心管は開放し, 直接クモ膜下腔と連絡し, 中心管内の脳脊髄液の活発な移動に役立つものと思われた.
  • 後藤 直彰, 井上 武, 平野 紀夫, 佐藤 昭夫, 藤原 公策
    1985 年 47 巻 6 号 p. 971-977
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    胸腺欠損ヌードマウスにマウス肝炎ウイルス変異株MHV-2-CCを2×105PFU腹腔内接種すると, ヌードマウスは接種後18日~90日に斃死し, 肝細胞の変性, 壊死とともに持続性活動性炎症反応と結合織増生が認められた. 肝病変は肝細胞の単細胞壊死または小壊死巣に始まり, ウイルス抗原は肝細胞中に接種後48時間から観察された. ウイルス価は接種後96時間まで上昇し, 以後下降したが, 接種後3週目にも103PFU/0.2gまたはそれ以上の値を示した. このようにヌードマウスとMHV-2-CCの系は, ヒトの活動性慢性肝炎のモデルとなることが示唆された.
  • 永幡 肇, 野田 寛
    1985 年 47 巻 6 号 p. 979-985
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    単核細胞から単球を除去するために, イースト貪食による単球除去法を検討した. 血液にイースト液(8×108/ml)を1/10量加え, 37℃1時間後, リンパ球を分離した(単球混入率0.8±0.7℃(mean±SD), 回収率53%). T.Bリンパ球比には明らかな差は認められなかった. 単球除去によりマイトージェン(ConA, PHA, PWM)に対するリンパ球幼若化は有意に抑制された. また幼若化に及ぼすインドメタシン(PGE阻害), 2-クロロアデノシン(単球抑制), マイトマイシンC(代謝阻害)などの代謝阻害物質の影響を検討した. 単核細胞へのインドメタシン処理は幼若化を著明に促進し, 2-クロロアデノシン, マイトマイシン処理では幼若化を有意に抑制した. 以上から, イースト貪食は単球除去に応用可能な方法であり, 単球はリンパ球幼若化に密接に関与していることが確認され, この役割を担っている物質の一つにプロスタグランディンが考えられた.
  • 杉山 文博, 古川 敏紀
    1985 年 47 巻 6 号 p. 987-994
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    小出の方法[14]に従って, ネコ・イヌ血漿アンチスロンビンIII(AT III)の分離・精製を試みた. イヌの場合には, イオン交換クロマトグラフィーを必要とした. ネコおよびイヌAT IIIの電気泳動像は近似し, 分子量はネコ・イヌとも約62,000, 等電点はネコで4.70と4.75, イヌで4.70, 4.75および4.80であった. これらAT IIIはヘパリン存在でトロンビンの抑制を促進させた. 両種のAT IIIに対する特異抗血清はイヌおよびネコ血漿と反応したが, ヒト, ニホンザル, ラットおよびマウス血漿とは反応しなかった. Laurellのelectroimmuno assayで測定した血漿中AT III濃度はネコでは0.50±0.1g/l, イヌでは0.49±0.1g/lであり, まだ酵素活性法で測定したheparin cofactor activityはネコでは198.57±33.1 NIH U/ml, イヌでは178.51±26.0 NIH U/mlであった.
  • 出口 栄三郎
    1985 年 47 巻 6 号 p. 995-998
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ^<15>N標識尿素および15N標識DACを適タンパク質飼料(CP 26.64%, ME 3.304 Kcal/g)給与正常ネコ各2頭(♂1, ♀1)にそれぞれ経口投与した. 血清, 肝臓および中殿筋の組織タンパク質分画への15N標識尿素および15N標識DAC由来15Nの取り込みは全頭のネコで認められ, その15N含有率は非タンパク態窒素分画のそれよりも高かった. 15Nの体内保留率は15N標識DAC投与ネコが15N標識尿素投与ネコに比較して高かった.
  • 藤田 潯吉, 今井 壮一, 石井 俊雄, 布谷 鉄夫, 高橋 健, 富田 雅, 及川 良一
    1985 年 47 巻 6 号 p. 999-1002
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    宮城県小牛田町産3才の雌ホルスタイン牛を屠殺検査中, 心室外壁に7個の肉芽腫様結節を認め, そこから1隻の生存虫体と, 少なくとも複数の死滅虫体を採取した. 形態学的観察の結果, 本虫はSetaria digitataと同定された.
  • 望月 雅美, 阿久沢 正夫, 永友 寛司
    1985 年 47 巻 6 号 p. 1003-1006
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    合計11頭のイリオモテヤマネコのウイルス・マイコプラズマ検査を実施した. 気道・直腸・泌尿生殖器の綿棒材料からはウイルス, マイコプラズマ, あるいはウレアプラズマは検出されなかった. 80%の個体にネコ・カリキウイルスに対する中和抗体が検出されたが, その他のネコ主要病原ウイルスに対する抗体は陰性であった.
  • 石野 清之, 甲野 雄次, 泉対 博, 山本 春弥, 松田 泉
    1985 年 47 巻 6 号 p. 1007-1010
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    牛白血病ウイルス(BLV)抗体陰性の去勢雄牛にBLV感染牛のリンパ球を接種したところ, リンパ球数は2か月後に52,000/μlに上昇後, 次第に20,000/μlまで減少, 持続性リンパ球増多症を示しつつ, 接種44か月後に起立困難による衰弱で死亡した. 病理組織学的に第四胃の粘膜下織と筋層, 心臓の左心室壁および脊髄硬膜周囲の脂肪組織にリンパ肉腫が見られた.
  • 福島 博, 坪倉 操
    1985 年 47 巻 6 号 p. 1011-1015
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Yersinia属菌の保菌動物としてのブタの役割を知るために, 1養豚場について6年間調査した. 糞便からは病原性Yersinia enterocoliticaのうち新しく型別されたbiotype 3B serotype 03 phage type II菌が最も多く検出された. 本農場からのbiotype 4 serotype 03およびbiotype 2 serotype 05, 27菌の消失はbiotype 3B serotype 03菌感染による腸管内再定着阻止によるものと考えられた.
  • 代田 欣二, 藤原 公策
    1985 年 47 巻 6 号 p. 1017-1021
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    イヌの尿細管基底膜あるいは糸球体基底膜でモルモットを免疫後2~3週で, 自己免疫性尿細管・間質性腎炎が惹起された. 間質には単核細胞の浸潤と多核巨細胞の形成が認められ, 基底膜に線状のIgG沈着が見られた. 病変が発現したモルモットの血清をイヌに移入7日後, 3頭中1頭において尿細管・糸球体基底膜に線状のモルモットIgG沈着を伴う糸球体腎炎と巣状の尿細管・間質病変の発現が認められた.
  • 白井 淳資, 清水 実嗣, 福所 秋雄
    1985 年 47 巻 6 号 p. 1023-1026
    発行日: 1985/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    急性胃腸炎を示す豚の下痢便を検査したところコロナウイルス様およびカリチウイルス様粒子が電顕により, またアストロウイルス様粒子が接種後細胞変性を示したESK培養細胞上清中に見出された.
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