日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1975 巻, 9 号
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  • 宮嶋 孝一郎, 稲荷 恭三, 浜口 直, 吉田 裕光, 中垣 正幸
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1447-1452
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    グァニジニウム塩の水構造におよぼす影響を調べる目的で,25℃においてこれら塩水溶液の活量係数と密度をそれぞれ等圧比較法,pycnometryによって測定した。その結果,比較的高濃度(ほぼ13以上)領域ではこれら塩の活量係数は,同じ対イオンをもついずれのアルカリ金属壇よりも小さく,その序列は1価-1価型ではoAc->cr>Bガ>ScN篇>No3樋,1価-2価型ではcQ82畳>so~響で,これら対イオンの水構造破壊性の序列と逆であった。グァニジニウムイオンを水構造破壊イオンと見なして水和穀の重なりの効果を考慮したDesnoyersのイオン間相互作用のモデルを使って,この序列はうまく説明できた5グアニジニウムィオンの無限希釈の部分モル容積は44mηmol(1価-1価型),49ml/mol(1価-2価型)で,結晶中でのイオンのモル容積40rnl/molより大きかった。低濃度でグアニジン塩酸塩の当量導電率はOnsager-Fuoss式にしたがい,グアニジン塩酸塩,グアニジニウムイオンの無限希釈の当量導電率はそれぞれ129.7,53.3であった。modi丘edStokesIawを使って水和イオンの体積を求めると75.1mllmolが得られ,グアニジニウムィオンはほぼ2分子の水和水をもつことがわかった。同-の方法で得られたLi+,Na÷の7分子および5分子とくらべて少ない。以上の結果からグァニジニウムイオンは水構造破壊イオンであると結論した。
  • 田淵 大作, 大桑 恒通, 井上 直樹
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1453-1457
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    塩化ナトリウムのジオキサン水溶液の超音波吸収スペクトルを超音波パ燕ス法で10~110MH2の範囲で翻定した。超音波速度をパルス波と連続波の干渉で5MHzで測定した。
    塩化ナトリウ肉は水溶液で完全に解離し,緩科による超音波吸収は見いだされない。もしジオキサンを水溶液に加実て誘電率を変化すると,ナトリウムィオン,塩化物イオンと溶液に現われた不解離の塩ロ化ナトゾウムの間に解離平衡ぷ成立し,この反応の緩和による超音波吸収が測定される。
    讐棚財妙ゆ鱗駄碓積変化鰯融吸収スペクトルから計算し,脇塩化ナトリウムのジオキサン水溶液中の解離平衡の圧力変化から推定した値と比較したところ,これらの間の-致はかなりよい。
    それゆえに塩化ナトリウムのジオキサン水溶液に見いだされた超音波吸収は,この溶液中の塩化ナトリウムの解離反応の緩和によると考えられる。
  • 坂口 雅一, 平林 孝圀, 望月 通晴, 桜井 秀雄
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1458-1461
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    硫酸カリウム結晶に硫酸タリウムを種々の割合に配合した試料,ならびにそれらをヘリウム,酸素水素あるいは真空の各雰囲気中,450~1000。Cで1時間焼成した試料をそれぞれ調製し,それら各試料に9。Sr線源を照射したのち,そのグロー曲線を熱発光線量測定装置を用いて測定した。
    熱発光強度はタリウム配合量1rnol%近辺で極大に達した。その強度は,ヘリウム中で焼成したさい,温度の上昇とともに減少し,焼成後の結晶表面層には細孔およびクラックの発生が認められたことから,それらの生成により発光中心が破壊されると推定した。また,酸素中で焼成すると,拡散した酸素による捕獲中心が形成されるために,熱発光強度が増大した。他方,水素中では試料が黒化し,熱発光現象を示さなくなった。さらに,硫酸カリウムに硫酸ナトリウムを30mol%固=溶化した混晶を用いた場合,熱発光強度がいちじるしく大きいことを見いだし,これを体積補償の原理に基づき考察した。
  • 上原 勝也, 荒井 弘通, 功刀 泰碩
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1462-1466
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    塩化水銀(II)を活性炭に担持したものを触媒としてプロピレン,インブチレンの水存在下における酸化反応を酸素=濃度の高い条件で行ない,その生成物について検討するとともに塩化水銀(III)-活性炭触媒に主として塩化鉄(III),塩化銅(II)を添加しその効果を調べた。
    1)プロピレンおよびインブチレンに対し酸素を10倍(モル比)供給し反応を行なった結果,反応はほぼ定常的に進行しプロピレンからアクリルアルデヒドへの選択率は約75%であり,インブチレンからメタクリルアルデヒドへの選択率は約70%であった。
    2)塩化水銀(III)-活性炭系に塩化鉄(III),塩化銅(III)を添加しこれを触媒とし反応を行なった結果,プロピレンの場合,無添加触媒にくらベアクリルアルデヒドの生成速度は増加し,添加効果が認められた。インブチレンの場合メタクリルアルデヒドの生成速度の増加は認められなかったが,長時間にわたり安定した活性を持続することがわかった。
  • 新山 浩雄, 飯田 博, 越後谷 悦郎
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1467-1470
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アルミナに担持した種々の金属および金属酸化物上における-酸化窒素の-酸化炭素による還元反応を通常の流通系反応装置を用いて行なった。ここではとくにFe2O3-AI203およびCuO-Al303上における反応機構を速度論的観点から研究した。酸素滴定により測定した触媒の酸化状態は気相の反応ガス組成とともに変化し,また図1および図3に示されるように反応速度ともよい相関性を示した。前報で-酸化窒素の水素による還元反応はレドヅクス機構で進行することを明らかにしたが,この反応た対しても同様の機構が成立することが確かめられた。この機構により求められた反応速度および触媒の還元サイト数は式(10)と(9)よって与えられ,気相の-酸化窒素と-酸化炭素の分圧の関数として表わされる。これは図2および図6によって検証され,これから求めた速度論的数値は合理的な値を示した。速度定数の値から判断するとCuO-AI203触媒では反応のおもな抵抗は酸化過程にあり,-方,Fe208-Al203触媒では全過程がほとんど同じ割合で寄与していると考えられる。
  • 片桐 晃, 稲住 近, 竹原 善一郎, 吉沢 四郎
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1471-1478
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    活性炭吸着法排煙脱硫プロセスにおいて,二酸化硫黄は活性炭上で触媒的に酸化され,硫酸となる。既鞭において,この反応が二酸化硫黄のアノード酸化と酸素のカンrド還元を含む電気化学機構にしたがって起こる可能性を示し,白金上での反応についてこの機構を裏づけた。本研究では,炭素上での反応の特徴を電気化学的観点から解明するために,二酸化硫黄と酸素を溶解した硫酸中に炭素粉末を分散させ,白金網を集電子として電気化学測定を行なうとともに,二酸化硫黄の接触酸化速度を分析的に測定した。その結果,懸濁炭素粒子上での二酸化硫黄の電気化学的酸化に対応するアノード分極曲線,および酸素の電気化学的還元に対応するカンード分極曲線が再現性よく得られること,種々の炭素について得られる電気化学的活性度と接触酸化速度の間に比例関係があることが見いだされた。さらに,種々の炭素の中で酸素のカンード還元に対する活性の高いものほど,二酸化礒黄の接触酸化に対して高い触媒能を示すことが明らかになった。
  • 西川 泰治, 平木 敬三, 合田 四郎, 中川 和実, 玉暉 宗夫
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1479-1484
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水溶液中の単核鉄(III)錯イオンを多核錯イオンから分離する方法として8-キノリノールークロロホルム抽出法を検討した。またこの方法により抽出される鉄(III)のイオン種が単核錯イ=オンであることを,鉄(III)イオンの加水分解反慈における紫外吸収スペクトルの変化および限外源過法による分子量の分画の結果と対比して考察同定した。鉄(III)の加水分解反応における8-キノリノール抽出鉄量は二次反応速度即こしたがう。この反応について25~40。Cの温度域で速度論的検討を行なった。Arrheiusプロヅトから得られた活性化エネルギーとして39.5kcal/mol,活性化自由エネルギーおよび活性化エントロピーとしてそれぞれ16,4kca1/mol,73e.u。([Fe3]:(1.4±0.1)×104mol/1,pH3.40±0.05)なる値を得た。その結果,鉄(巫)の加水分解反応の初期過程においては次式に示す機構を含む反応で進行するものと推定される。
  • 奥谷 猛, 古市 隆三郎, 石井 忠雄
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1485-1490
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1500℃まで測定できる高温ガスフローDTA装置を用いて,硫酸カルシウムと酸化アルミニウム,およびアルミン酸カルシウムと空気-SO2混合気体の間で起こる次式の可逆反応を研究した。
    値の異なる六つのアルミン酸カルシウムが生成することがわかった。正反応について検討するためDTAおよび等温実験を,CaSO4-η-A1203,CaSOrα-Al203混合物(モル比1:1)を用いて窒素流通下(100mηrnih)で,14006Cまでの温度範囲で行なった。逆反応については,空気-SO2混合気体流通下(モル比1:1,100m1/min)で行なった。1反応に用いたアルミン酸カルシウム試料は1300℃,1時間,CaSOぺAlp3混合物を加熱して得た。なお,比較実験として,単独CaSO4の分解,CaOとA1p3,CaOとSO2の反応についても行なった。
    実験結果はつぎのように要約できた。(1)CaSO4-A1208系では,CaSO4の分解(CaSOペ→CaO十SO8,JHo(1373K)=89.7kcal/mol)とアルミン酸カルシウムの生成(例,CaO十A12O3-→Ca6A1204,Ho(1373K)=,-55kcallmol)が同時に生じ,これらの反応に絹当するDTAの吸熱ピークは,CaSO4-η-A1203,CaSO4--α-Al208系に対し,それぞれ1140,1190。Cに現われた。(2)CaSO4の分解はA1203により促進され,CaSO4単独試料の分解温度よりも低温ではじまり,速度もはやかった。この効果はη-A1203α-A1203であった。(3)CaSO4の分解により生成したCaOは,市販のCaOよりも反応性は高かった。アルミン酸カルシウムとしてCaO,A1203,12CaO,7AI203,3CaO,5A1203,3CaO,A12p3,CaO,6A1208,劣CaO響Al203が生成し,どのアルミン酸塩が生成するかはCaOまたはA1203の活性の相違および反応状態下での系の組成に依存する。劣CaO,AI208は新しい未知のアルミン酸カルシウムであり,郎よりも軍の方が大きい化合物であると推定した。(4)アルミン酸ヵルシゥムは市販CaOよりも空気-SO2に対する反応性は高く,η-A1203から調製したアルミン酸塩はα-Alp3からのものよりも空気-SO2との反応開始温度は低かった。(5)アルミン酸カルシウムは空気-SO2混合気体と反応し,CaSO4とη-AI203が生成した。1の値のアルミン酸塩は,空気-SO慧との反応に対して活性であった。(6)空気-SO2と窒素雰囲気で行なった連続DTA実験で以上の結果を確かめた。
  • 柏瀬 弘之, 三田 宗雄, 今 高司, 岡部 泰二郎
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1491-1495
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    クロム鉱石の溶融ナトリウム塩分解生成物中からクロム酸ナトリウムと遊離の水酸化ナトリウムを分離する方法を見いだすため,分解反応生成物をまずメタノールで浸出して遊離の水酸化ナトリウムを除去し,つぎにその浸出残留物を水で浸出してクロム酸ナトリウムを得る2段処理法について検討した。第1段のメタノール浸出では,最適条件下すなわち反応生成物に対して4倍量の90%メタノール水溶液を使用し35℃で1時間の浸出を行なうことにより,遊離水酸化ナトリウムの約90%がメタノール中に選択的に溶出分離され,第2段の水浸出ではクロム酸ナトリウムの全量が水に溶出しクロム酸ナトリウム溶液が得られることがわかった。
    これらの結果に基づきクロム鉱石の溶融ナトリウム塩分解反応生成物にメタノール浸出を適用する一つのクロム酸ナトリウムの製造プロセスを想定した。
  • 石田 良栄, 外崎 巧一
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1496-1501
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    銅(II)は弱塩基性のpH領域において2,2ノービピリジン(Bipy)1およびクロムアズロールS(ChS)版応し調(II):Bipy:ChS-1:,:2の結合雌射る混鐸雌錯体を形成する。510nmに吸収極大を示し,pH10.0~10.6の範囲で-定かつ最高の吸光度を与える。また,錯体の生成は調製と同時に完了し,その吸光度は長時間一定値をたもっ。BipyおよびChSの最適濃度範囲において吸光度と銅(III)濃度との間には良好な直線関係が得られ,銅(II)濃度1.o~3。5×10噛5mol/1の範囲で精度よく測定できる。キル吸光係数はおよそ206001,6m白憲,mor1となり,これはSandel1表示法による呈色感度0,003μ9/cm3に相当する。混合配位子錯体の見かけの生成定数の対数値.として109κ=19.12が得られた(pH10.4,温度25±0.1℃)。
  • 桑原 武, 鈴木 繁喬
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1502-1507
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    銅とヒ素,銅とテルル,銅とセレンおよび亜鉛とガリウムの共電着を利用するアノーディヅクストリッピングボルタンメトリーにおける共電着機構および溶出機構について電気化学的方法または化学分析法により検討を加えた。
    共電着過程における分極曲線から,各組の2成分は両者の電着電位の中間の電位で共電着していることを確認した。定電位電解法によっても,2成分は同時に共電着することを確認した。Te℃u系,Se-Cu系およびGa-Zn系に関しては,定電流法における電着電位-時間曲線から,両金属イオン共存下での挙動は各単独溶液中における挙動とほぼ同様であることがわかった。As-Cu系においては,電解初期において電位シフトがみられた。この電位シフトは電解電流密度が1mA/cm2以下では認められなかった。ストリヅピングボルタンモグラム上の第ニピークの面積は,電解電流密度が1mA/cm2のとき極大をなし,10~133mA/cm2のとき極小を示した。分光光度法により,アルシン発生は電解電流密度が1.7mA/cm2以上で起こり,133mA/cm2のとき最大になることを確認した。これは,電極反応が水素発生をともなうことによりアルシンが発生するためと考えられる。また,水素発生速度が-定量以上になるとアルシン発生の原因となる発生期の水素量が減少すると考えられる。溶出過程での電流-電気量曲線から,唯-の反応が起こっていることを確認した。共電着物の2成分のモル比について分光光度法により検討した。その結果,ストリヅピングボルタンモグラム上の第ニピークは,As-Cu系,Te-Cu系およびSe-Cu系において,それぞれCu3As,Cu2Te3およびCu2Seの溶出に起因するものと考えられる。
  • 山本 善一, 山岸 英樹, 上田 俊三
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1508-1511
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    チタン中の微量のマンガン,鉄を沈殿分離-ケィ光X線で迅速,簡単に同時定量する方法を検討した。試料を硫酸,フヅ化水素酸および硝酸で加熱溶解しち,ホウ酸を加えて水で-定量に希釈する。この溶液の-定量(チタン50mg,マンガン10μ9,鉄200μ9以下)に内漂準としてコパルト50μ9と10%クエン酸ナトリウム溶液5m1を添加したのち,アンモニア水でpHを7~9に調節する。この溶液に10%ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム(DDTC)溶液5mZを添加し,生成したDDTC錯体の沈殿をメンブラZフィルターでミ戸過,赤外線ランプで乾燥する。コバルトに対する各元素のK.線の強度比を測定し,マンガン,鉄を定量した。マンガン100μ9,鉄200μ9まで良好な直線関係が得られた。チタンβOm玄の共存でマンガン50μgl鉄100μ9における5回のくり返し実験め変動率はそれぞれα鰯鵠4彫であ?た諮灘より冴タ沖の耀伽ンガン,鋤聴瀞に同時定量することができ,その分析結果礁原子吸光分析溝や吸光光度法による結果ともほぼ-致した。
  • 本間 恒行
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1512-1516
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    加圧下で使用できる熱テンビンと示差熱装置の応用例としてMgCI2,6H20の熱分解に蒐する圧力の影響を検討し,圧力が異なるときのTG,DTG曲線および示差熱ピークの認められる温度の変化やDTGおよびDTAピークの相互位置の関係,さらに常圧下での電気伝導度,X線回折および化学分析などの測定結果を総合してMgCl2,6H20の熱分解過程をつぎのように推論した。
    MgCl2,6H20を加熱すると117。CでMgCla,6H20(5)-→MgCl2,4H20(s)+2H20(Z)が起こる(DTAピーク1)がMgCl2,4Hpは解離した水に溶けてMgCl2溶液となる。さらに温度が高くなるとMgCl2不飽湘溶液からの水の蒸発(DTAピーク2)がはじまり,200。C(常圧下)で飽和溶液となって蒸発(DTAピーク3およびDTGの第1ピーク)が進み,MgCI3,2H20の結晶が析出する。さらに高温になると
    のように反応が進行するが,本実験の条件ではMgCl2,4H20-→MgCl2,2H20+2H20に相当する反応は認められなかった。
  • 小方 芳郎, 池尻 敏則
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1517-1519
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    イソ吉草酸にクロロ硫酸,クロラニルなどの存在下で,酸素ガスを混合した塩素ガスを140。Cで吹き込むことによって,α-クロロイン吉草酸が好収率(78%)で得られることを見いだした。その収率におよぼす各種条件の影響と反応の時間的経過について論する。
  • 篠田 清徳, 安西 修三, 関 茂
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1520-1523
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    トシクロロァセチルクロリド(TCAC)の生成におよぼす酸素圧の効果を検討するたやにテトラクロロエチレン(TCE)の塩素増感光酸化反応を行なった。
    実験の結果をつぎのようにまとめることができた。
    (1)おもな反応生成物はTCACであり,TCACの生成速度はTCEの濃度の→次に比例する。
    (2)40。Cでのその生成速度定数(:min騰1)と酸素圧(po,:mmHgabs)との間に次式の関係がある。
    ,es(minマ1)-5.71×106po2-0.0283
    (3)TCE中の溶存塩素濃度が増加すると反応速度は増加したのち減少し,1,4~1,8wt%の範囲でピーク点を示す。
    (4)常圧および300m=mHgの酸素加圧下のTCACの生成速度定数をそれぞれつぎの式で表わすことができる。
  • 小田中 満, 井高 英一, 佐藤 成美
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1524-1529
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    種々のSchi鮪基とケテンイミンとの加熱による反応を行なった。Shi鮪基認しNとジフェニルケテンーNr-トリルイミンとは,RI=,(CH3)2N,RH,CH30,または,Cl,R8=Hのとき110。Cでかなりの好収率でアゼチジン誘導体を生成した。R裏をCH30に変えると同様の生成物を得たが反応率,収率ともに低下した。またRR2=H,R3=C6H5のときは反応がなかった。
    質量スペクトルについて,アゼチジン環の分裂によると思われるフラグメントが認められ,また-部は途中でジアゼチジン環構造に転移したのち分裂したものと推定された。その他刎6165のフラグメントが生じたがこれらについても考察した。なお,本反応はイオン的な機構で段階的に進むものと推定された。
  • 高橋 和行, 木村 育夫, 武井 豊, 在間 忠孝, 三橋 啓了
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1530-1534
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    数種のイミダゾールーおよびピリジンーカルボン酸を,過剰の塩化チオニル中,五塩化リンと反応させることによりそれぞれ対応するトリク戸ロメチル化合物を得たことはすでに報告した。さらに本研究で,ピリジン環に置換基を導入したカルボン酸およびジアジン系ジカルボン酸について同様な条件下で反応を行なった結果,4-クロロおよび6-メチルピコリン酸からは対応するトリクロロメチル化合物を得,3-クロロおよび6-クロロピコリン酸,ピラジンー2,5-ジカルボン酸,ピリミジンー4,6-ジカルボン酸およびピリダジンー3,6-ジカルボン酸からはそれぞれ対応するカルボン酸クロリドを得たのみであった。
    この相違を明らかにするために,それぞれのカルボン酸の環窒素のpK.を測定し,その塩基性と本変換反応の成否との関係を検討した結果,環窒素のpK琵が約3.5以上の場合に本変換反応が進行することを見いだした。
  • 南谷 晴子, 前川 悦朗
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1535-1540
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アニリンを酢酸の存在下にo-アセチルベンゾフェノン[1]と反応させたところ,赤色色素C42H30N2[5d]とともに青色色素(酢酸塩)q7H3δN3。CH3CqH[6]が得られた。このほか,ビス[12]およびトリス(2,3-ジフェニルー1-インインドリル)メタン[13]を単離した。また酢酸のかわりに濃塩酸を用いて反応させたところ[6]とは異なる青色色素(C4重H2gN2)+Cr[3d]を得た。[6]はその各種スペクトルと化学的挙動から1-アニリノー1-[o-(α-フェニルイミノベンジル)フェニル]-2-(2,3-ジフェニルー1-インインドリル)エチレンの酢酸塩と考えられる。
    -方,インプロピルアミン[9]およびシクロヘキシルアミン[8]を[1]と酢酸存在下で反応させて得られる粗生成物を塩酸で処理すると2種の青色色素(C2CgH,gN2R2)℃r[3e,f]およびC2CgH霊8NOR[4e,f]が得られた。なお,[4e,f]は塩酸による処理をしなくても得られる。ところが,はじめから塩酸存在下で[8]および[9]を[1]と放置しても反応は起こらない。また[3e,f]を溶液として放置すると[4e,f]を与えることを確かめた。かブチルアミンは酢酸または塩酸の存在下に[1]と放置しても反応しない。これはかブチル基の立体障害によるものであろうと考えられる。
    [6]の生成ならびに[3e,f]から[4e,f]生成の機溝をi推定した。
  • 石州 延男, 町田 直樹, 田中 潔
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1541-1544
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    トリメチル(トリフルオロアセトキシ)シランおよびジフェニルビス(トリフルオロアセトキシ)シランと各種の1価アルコールとの反応を行なった。その結果,反応は室温においてすみやかに進み比較的よい収率でトリフルオロ酢酸エステルが得られた。さらにグリコールやグリセリンのような多価アルコールからもそれぞれジエステルやトリエステルが得られた。その反応はつぎに示す3段階を経て進行することがわかった。
    R3SiOCOCF3十ROH--→R3SiOR十CF3CO2H
    R3SiOR十CF3CO2H--→R3SiOH十CF3CO2R
    R3SiOH→1/2(R3SiOSiR3十H20)
    またトリメチル(トリフルオロアセトキシ)シランとエポキシ化合物との反応を行なった。その結果,おだやかな条件下でも反応は円滑に進行しエポキシ環が開環してSi-OCOCF8間に挿入した化合物を与えた。たとえばプロピレンオキシドからはCF3CO窪CH(Me)CH20SiMe3とCF8CO2CH2CH(Me)OSiMe3の異性体混合物が,エピクロロヒドリンからはほとんど単--な化合物CF3CO2CH2CH(CH2Cl)OSiMe3が得られた。
  • 永田 章, 伊与田 惇
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1545-1550
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    メチルフェニルジクロロシランとカテコールをピリジンの存在下に縮合させメチルフェニル(o-フェニレンジオキシ)シラン[1]を72%の収率で得た。また,[1]はメチルフェニルジメトキシシランとカテコールのアルコー,ル交換反応によっても83%の収率で得られる。[1]は蒸留後容易に結晶化し,ダイマー混合物[2],mp100~110℃を与えるが,これより〃魏5-ダイマー[2'],mp121。C,δ(SiCH3)0,53PPm,およびof-ダイマー[20],mp105。C,δ(SiCH3)0.68PPm,を単離し,NMRから構造の帰属を行なった。
    [2]の氷点降下法分子量は溶解後経時減少が見られ,温度,濃度に依存して,重合度1と2の問の-定値におちつく。これに対応して,溶液中でのNMRスペクトルにも経時変化があり,[2],[2∫],[2c]のいずれから出発しても,再現性よく,温度および濃度により定まる-定の平衡状態におちつくことを認めた。これらの挙動は,2種のダイマーおよびモノマーが平衡にあるとして説明される。モノマーからの活性化エネルギー(-4E)は[2]に対して7。5kcallmol,[2]に対して8.3kcal/molであった。
  • 片山 優久雄
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1551-1554
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    原料および分解方法の異なる-連の熱分解重質残渣油7種の抽出物(ピリジン可溶,炉ヘキサン不溶分)について,構造解析値,物性測定値と1000。Cの熱処理によるこれら抽出物の炭化物のX線(002)回折強度指数1鵬。x/Bとを比較検討し,炭化原料の化学構造上の差異から炭化処理後の炭素の構造上の差異を予測できる-義的な関係式を,化学工学で-般に用いられている次元解析の手法を導入し電子計算機を用いた数学的なシミュレーションによって得た。この関係式ノ(φC,,Rノ生,jR,Q,FC)からの計算値とX線(002)回折から求められる回折強度指数1鵬驚/Bとは,かなりよく-致した。
    炭化原料の構造解析値と固定炭素とから関係式ノ(C,RA,R,Q,FC)によって,炭化処理後(1000。C程度)の炭素構造(ハードカーボン型か,ンフトカーボン型か)の予測ができ,炭化原料ピッチの選別が容易に行なえるようになった。
  • 森田 幹雄, 広沢 邦男
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1555-1558
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    石炭抽出物などの分子中に存在するような分子構造をもつ純物質,すなわち,脂環化合物,芳香族化合物,芳香族含酸素化合物類を多量の塩化亜鉛を触媒として水素化分解し,分子構造の違いによる分解生成物と転化率の相違から,溶融状態での塩化亜鉛触媒の性質を検討した。
    その結果,縮合環数の多い芳香族化合物ほど容易に水素化分解されること,脱ヒドロキシル反応も容易に起こること,ベンゼン類のベンゼン環は水素化も水素化分解もされないにもかかわらず水酸基の付いたべンゼン環は水素化もされ水素化分解もされること,ビフェニルやジフェニルエーテル型の分子は作用され難いことなどが明らかになった。
    また,反応物質のイオン化電位と転化率との聞に関連のあることが明らかになり,イオン化電位の小さな物質ほど転化率が高くなる傾向のあることがわかった。
    環状化合物,とくに芳香族化合物は溶融塩化亜鉛と作用してプロトンないし電荷移動錯体を形成することをアントラセンの場合の電子スペクトルの観察に基づき推測し,この種の錯体が反応中間体として反応に関与するものと考えた。
  • 二木 鋭雄, 高石 陽一, 神谷 佳男
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1559-1563
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリプロピレンのモデル化合物である2,4-ジメチルペンタンを70。C,アゾビスインブチロニトリルを連鎖開始剤として用いて酸化し,その動力学を検討した。基質に対する酸化速度の次数は0.76であった。この1よりかなり低い次数は,分子内成長反応の寄与によるものと考えられる。分子内連鎖成長反応と分子間連鎖成長反応の速度定数の比として,約100という値を得た。これは生成物の分析から求められた文献値とかなりよい-致を示した。たブチルヒドロペルオキシド存在下では,酸化速度の基質に対する次数は0.90に増加した。生成物の分析がきわめて困難なポリプロピレンの酸化反応における分子内連鎖成長反応について知見を得る上で,このような動力学的検討が有効であろうと示唆された。
  • 渡瀬 峰男, 赤羽 徹, 荒川 泓
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1564-1571
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    チリ産およびアルゼンチン産クピレオゴノリ粘質物(Gプαo伽プ毎61081θ漉HARVEY1972年産;以下チリ産をCg。b.,アルゼンチン産をA帥。と略記する)と伊豆産マクサ粘質物(G読4伽〃3α伽η躍,1973年産;以下Igと略記する)をアルカリ前処理としてNaOHO~10%の濃度範囲で処理し抽出分離iした各試料として,1.5,2.0および3。Owt%の試料ゲルをつくり鎖式応力緩和計を用いて応力緩和実験を行なった。各試料ゲルについて,25~55℃の温度範囲でもって4時間までの応力緩和曲線を求め,解析を行なった。
    C帥.の場合,前処理過程でアルカリ処理をしない場合は(以後「アルカリ無処理」と書く)ゲル化は見られなかった。しかしアルカリ前処理濃度NaOH2~4%の範囲では強力なゲルをつくり,NaOH濃度とともにゲルの主要三次元構造に対応するとみられる弾性率盈は急激に増大するが,NaOH濃度が4%以上になると増大する傾向は緩慢になる。A帥.の場合,アルカリ無処理でも強力なゲルをつくりNaOH4%までE霊は増大する。しかしNaOH4%以上になるとE笈は徐々に減少する傾向を示した。19.a.の場合はA帥.の場合に類似する。最長緩和時間τ1のアルカリ前処理濃度に対する変化は,上記のE,の場合と類似する。また,τ,の温度依存性から求めた活性化エネルギーはすべての試料ゲルともほぼ5kcal/molの-定値を示す。アルカリ前処理濃度の増加とともに試料中の硫酸基は,とくに1,4結合のC6位の位置の硫酸基が繊維軸に対してアキシアルに配位しているので脱エステル化されて3,6-アンヒドロガラクトースを生成する。試料中の3,6-アンヒドロガラクトース含量が約28%以上になるとE薫は急激に増大する。
    以上の結果,アルカリ前処理濃度の増加とともにE,が増大する要因は,試料中の硫酸基含量に関係するのではなく,寒天分子中の硫酸基が寒天分子の立体配座を安定化する位置に配位し,溶媒である水の寄与を通じて説明される。
  • 堀田 久志, 林 敏彦
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1572-1576
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ブシモモアヒズ7エノ刃ル樹礁と土ポキジ樹脂からなる組成物の加熱による橋かけ反癒にいて,聖デ竣物質を用い,その反応状況を調べた。アンモ芦アレゾヤルのモデルとして2,4-キシレノールおよびそのヒド冒キシメチル化物をエポキシ樹脂のモデルとして,そのエポキシ基の反応性をみるためにフェニルグリシジルエーテルを,さらにアンモニアレゾール中の含窒素構造物のモデルとして2,4-キシレノールのジベンジルアミノオキサジンを用いてそれぞれの組み合わせにおけるエポキシ基の反応を調べた。
    その結果,まずエポキシ基はフェノール水酸基と反応するが,このときヒドロキシメチル基が存在するとその速度はいちじるしく大となる。しかしその反応におけるNMRの変化を観察すると,エポキシ基の開環とフェノール水酸基の反応は確認できるが,エポキシ基とヒドロキシメチル基の反応は認め得ず,ヒドロキシメチル基同志の縮合反応のみ検出される。そこでヒドロキシメチル基の存在はフェノール水酸基との分子内水素結合を形成し,その結果としてフェノール水酸基のプロトン放出が容易となり,エポキシ基の開環を促進するものと考えた。また含窒素化合物の存在もいちじるしい反慈促進効果が認められた。反応温度が高くなるにつれ,消費されるフェニルグリシジルエーテル/キシレノールの比が大になるところから,高温では開環したエポキシ基から生じる活性な水酸基が未反応のエポキシ基を開環させる反応が大になるものと考えられる。
  • 堀田 久志, 谷川 征男
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1577-1583
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アン予ニアレゾールフェノール樹脂とビスフェノール:A型惹ポキ之樹贋からなる組成物の加熱による橋かけ反応について,とくにエポキシ樹脂中に存在する第二級水酸基の反応性について注目し,モデが物質を用いて検討した。アンモニァレゾールのモデルとして2,4-キシレノールおよびそ.の鴇ド目キシメチル化物を;エポキジ樹脂中の第二級水酸基のモデルとして1,3-ジフェノキシー2ニプロ擁ノルを,さらにアンモニアレゾール中の含窒素構造物として2,4-キシ〃-ルのPhCH2NCH2恥。CH2な用,いて,それぞれの組み合わせにおける反応を調べた。その結果,1,3-ジアェノキシ-2-プβバノールの水酸基は,フェノ~レ水酸基とはまったく反応しなかった。この第二級水酸基はヒドロキシメチル基と反応して,1,3-ジフェノキシ-2-ベンジルオキシプロパン構造となる。この構造は反応がさらに進行すると分解し,もとの第二紐水酸基を再生するが,フェノール構造の方は次第に重合してφく。このときの生成皮応では,見かけ上20kca1nbll分解反応では24kpa1/molの活性化エネルギーがそれぞれ得られた.なおPhC麟C宜2PhobHl存在はヒド,キジメチル基め自己縮合に対じては促進効果が認められたが,第二級水酸基とヒドロキシメチル基の反芯に対しそば効果は認あちれながみた。
  • 宇野 敬吉, 新梅 数馬, 中山 哲夫
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1584-1588
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    0-フェニルウレタンとジアミノジカルボン酸との固相での重縮合反応により,ベンゾイミダゾール環を含むポリキナゾリンジオンを合成した。反応をDSC,TGAで検討した結果,キナゾリンジオン環はフェニルウレタンの熱解離により生成したジインシアナートにアミノ基が付加し,その後,尿素結合とカルボキシル基間で脱水閉環して生成することが示された。重合反応は,ビスフェニルウレタンとジアミンとの場合と同様に二段階で進行した。さらにポリマー生成反応を低分子でのモデル反応と比較することにより,分子内閉環反応もポリマー主鎖の動きやすさに関連のあることが示唆された。生成されたポリキナゾリンジオンはすぐれた耐熱性を有し,有機溶媒に-部可溶であった。これらのポリマーのTgはDSCにより測定した。
  • 米原 祥友, 藤井 修冶
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1589-1592
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    NMRスペクトルを用いて,ピルボアルデヒド[1]の重合におよぼす添加物の影響を検討したところ(20℃,96時間),[1]の重合でカチオン開始およびアニオン開始は起ヒるが,ラジカル開始は起こらないと推定された。
    また,酸素および光の存在下で[1]を放置すると,酸が検出され,それらの量は時間とともに増加し,塩基性物質あるいはDPPHの添加により重合が抑綱された。[1]のガラス状重合物の13C-NMRスペクトルでは,アセタール結合,アセチル基および少量のアセトキシル基が存在した。
    以上の結果から,[1]の無触媒重合は,[1]の自動酸化により生成した酢酸などの酸性物質により開始されるカチオン重合機構で進行すると考えられる。
  • 功刀 利夫, 守谷 峯雄, 山本 雄三, 橋本 穂
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1593-1599
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    冷延伸,熱処理を施したナイロン6繊維の昇温過程中に生する非可逆的熱収縮を測定し,微細構造の変化と対比しつつその機構を検討した。延伸繊維は二つの温度域で熱収縮の温度依存性が大きく,段階状の変化を示した。低温側の収縮は延伸倍率,熱処理などの履歴の差による影響が少なく同-形状を示説すが,90~100。Cから現われる高温側の熱収縮は試料の微細構造上のわずかな差異を敏感に反映する。後者は種々の構造,諸性質の検討から非晶領域の水素結合の切断によるひずみの解放と非晶鎖め緩莉に基づくことがおかった。また,こφ熱収縮は結晶粒子を網目点とする網状構造の網目密度の粗密と非晶鎖の緊張の程度とに支配されると考えられる。
  • 越智 光一, 田中 裕子, 新保 正樹
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1600-1605
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ビスフェノール型革ポキシ樹脂を,4,4なジアミンジブェニルメタンで硬化し,硬化にともなう官能基の変化を滴定および赤外吸収スペクトルにより追求した。さらにこの硬化過程における分子量変化,ザル分率,せん断弾性率および減衰の変化を求め,官能基の変化とともに硬化過程における構造変化を明らかにし,この硬化過程が三つの領域に区分できることを明らかにした。
    この硬化過程における相対剛性率,減衰,引っ張り強さ,伸び,引っ張りせん断強さ,およびはく離強さの変化はそれぞれ相互によい相関が認められ,上記硬化機作および構造変化との間にもよい相関が認められた。
  • 碇屋 道雄, 竹下 三吉
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1606-1612
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリ塩化ビニルを湿式脱塩酸した原料を硫酸処理により重金属捕集剤を目的として,処理条件と交換容量,原料および硫酸処理物の物理的化学的構造との関連を検討しイオン交換体を製造した。交換体はカルボキシル基とスルホン基が導入される。スルホン基は処理温度にあまり関係なく2meq/9位で,カルボキシル基は処理温度の上昇とともに増加した。
    交換体をNa型とH型にし0。oo612mol/1のCu2+,Zn2÷,Ni2+,Cd2÷,Hg2÷の溶液を3y=4~5で流し破過曲線を求めた。H型の場合,交換速度の遅い部分があり,カルボキシル基によると思われた。
    NaOH添加物存在下脱塩酸した原料による交換体はNa型でCu2÷>Cd2÷,Ni2÷,Zn2÷Hg2÷,H型でCu2+Zn第Cd2÷Ni3÷Hg2÷,Fe添加物存在下脱塩酸した原料による交換体はNa型でCd2+,Ni2>Zn2÷,Cu2+>Hg2>H型でCu2÷>Cd2+,Ni2※,Zn2>Hg2÷,Fe203とNaOH存在下,酸素雰囲気中脱塩酸した球状の原料より交換体はNa型でCu2争,Cd2÷,Ni3÷,Zn2÷>Hg2÷,H型でCu窯÷,Cd2+,Ni2+,Zn2>Hg2やの結果が得られた。Hg2÷はH型ではほとんど交換しない。Na型ではイオン交換と活性炭の吸着と類似の作用とが複合した結果によると思われた。
  • 吉田 久良, 三木 敏晴, 有田 静児, 中川 雅直
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1613-1618
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリ塩化ビニル(PVC)を空気中で熱分解し,生成したPVC炭を硝酸で酸化することによりフミン酸が好収率で得られた。
    PvCを空気寒流中で80℃から300,350,400および4500cまで昇温速度2。c/minで加熱した。カィレボニル基をはじめとする含酸素官能基を有し,芳香族構造に富んだPVC炭が28.6~40.2%生成した。450℃で得られたPVC炭にはラクトンまたはエステルの生成が推定された。400お1よび450。Cで得られたPVC炭を前二者は3N硝酸で,後二者は5N硝酸で10Φ。C,5時間酸化することにより,石炭の硝酸酸化法により得られた再生フミン酸と同様の性質を有するフミヅ酸がうそれ薯れ82.4,.90.593.6および93.6%得られた。得られたフミン酸を用いて2×10401/1cdc12水溶液からのガドミウムイオンの吸着試験(2×1ラミン.04915時間ふりまぜ)を行なった結果,カドミウムイオンの捕捉率は,84.0~ga5%であった。
    PVC,Q構造およびブミン酸の性状についても検討した。
  • 笠岡 成光, 笹岡 英司
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1619-1626
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    固定燃焼発生源からの硫黄酸化物so共存系あるいはぐ非共存系の窒素酸化物(NQ)のアンモニア,による乾式選択還元[NO+(2/3)xNH8→[(3+2x)/6]N2+H2O]浄化触媒と操作条件の確立へ,の資とするために,CuO,Fe303,Co304,NiOなどのA1203との二成分系共沈酸化物,これらの反応機構などについて常圧流通法(反応管内径:12.Omm)で検討した。触媒は平均粒径1.Ommの,'もの0。25~3.009用い,300~500℃(主として400℃)で,入口濃度500PPmNO-0~300。PPm(主として1000PPm)SO2-334~1000PPm(主として667m)NH3-0~15%(主として5%)02-0ん講20%(主として10%)H20-N2混合ガスを1000Ncm3/minで実験した。その結果,ほぼ完全脱硝のL可能な活性の銅鉄の硫酸塩系触媒と還元条件を見いだした。400℃付近以下ではNH3の02による酸化反応などは起こらず,むしろ02濃度の高いほど脱硝速度が大きくなること,NOとNH3は見かけ上ほぼ等モル反応で進行すること,また硫酸銅系触媒の場合は,とくにSO3の共存によって脱硝速度が大きくなることなどを明らかにした。すなわち,NH3がNH2とHに解離吸着NH3(σ)+2σ(吸着活性座)自NH2σ+Hσ3し,NOσ+NH2σ不ゴN2(σ)+H20(σ)+2σなる表面反応が律速的であること,OaやSqの共存で速度が大きくなるのは,Hσと酸素の反応によりNH2吸着濃度を増大させるためであることなど,種々の考察を加えた。
  • 田中 良樹, 青木 守, 荻野 義嗣, 奥崎 裕二, 中村 啓治, 広田 鋼蔵
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1627-1630
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    本誌に予報した表題の研究を詳細に行なった成果を述べる。分離管は前報と同様に有効長1mの熱線型で常圧で操作した。それらの内径は8,10,12mmの3種を用いた。結果はうぎのとおりである。(a)どの分離管でもクリプトン初濃度C。=3~20%で,分離が0.5時間で定常値に達した。(b)分離度は熱線温度丁が450。Cのときに極大となり,T=290℃で9,r104となった。(c)分離管半部に1気体だめをつけ,混合気体を連続的に供給すると,下端に捕集できるKrは高濃度となった(C,=約10%で99%)。(d)Ar/Kr系に対しても,N21Kr系と同様の好結果を得た。以上の結果から,本法は空気中に混入したKrの分離捕集に利用できると結論できよう。
  • 北川 浩
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1631-1634
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    赤平炭を原料とする球形活性炭についてフェノール,p-ニトロフェノール,2,4-ジクロロフェノール,ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム,リグニンスルホン酸ナトリウムの吸着平衡吸着速度。固定層吸着における破過曲線を測定して,その液相吸着特性を調べた。
    赤平炭を原料とする球形活性炭は市販のヤシ殻を原料とする活性炭に比較してフェノール類の濃度が400mg/1以下の平衡吸着量が少なかった。-方,分子径の大きいドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムとリグニンスルホン酸ナトリウムについては,赤平炭を原料とする球形活性炭の平衡吸着量は市販ヤシ殻活性炭のそれを大きく上まわった。吸着速度についても同様に赤平炭を原料とする球形活性炭はドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム,リグニンスルホン酸ナトリウムに対して市販ヤシ殻活性炭を上まわった。
    固定層における吸着では,赤平炭を原料とする球形活性炭は市販ヤシ殻活性炭にくらべてフェノールの破過時間が短かったが,ドデシルベンゼンスルホン酸ナトゾウム,リグニンスルホン酸ナトリウムの破過時間がいちじるしく長かった。
    破過時間の計算値と実験値は17%以内の誤差で一致した。
  • 石川 達雄, 金子 克美, 井上 勝也
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1635-1636
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The heat (411) and entropy (4, 5) of adsorption of water on iron(III) oxide hydroxides (a-, 8-, and T-FeOOH) were calculated from the adsorption isotherms and heats of immersion. The state of adsorbed water molecules on each iron(III), oxide hydroxides was discussed.
    Values of z1H and z1S for a-FeOOH and T-FeOOH increased with the degree of crystallization, suggesting that localized adsorption takes place on the less crystallized samples. The values: of 414 and 4Sa, in an order of 8-Fe0OH<a-Fe0OH<r-Fe0OH, were discussed for the crystal structures of iron(III) oxide hydroxides.
  • 篠田 清徳, 安西 修三
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1637-1639
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1, 1, 2-Trichloroethane (TCE) was coverted into 1, 1-dichloroethylene (VD) in a good yield by co-pyrolysis with ethers or alcohols on activated alumina.
    The co-pyrolysis of TCE and ethers with bulky alkyl groups at low temperature proceeded slowly in the pores of alumina pellets. The contribution of the surface reaction appeared to increase as the reaction temperature rose. The reactivity of the higher ethers might also be increased owing to the inductive effect of larger alkyl groups. The -selectivity for VD decreased gradually with the increasing reaction temperature. The co-pyrolysis of TCE and ethers on activated alumina is a nucleophilic reaction and of first order in TCE.
    The rate constants for TCE consumption in the co-pyrolysis with diethyl ether, n-Pr20 and n-Bu20 (kEt, o, kn-Pr2o and kn-Bu20, respectively) are expressed by the following equations.
    kEt20/ (g-moljg hr) =0.360 ex p (500/R T)
    len_p20/(g-molig hr) =1.52 x 104 exp(-19300/RT)
    k0/(g-moligr) =2.12 x 105 exp(-21400/R 71)
  • 藤田 一紀, 武内 瀞士, 有川 喜次郎
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1640-1642
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The contribution of the extra-column to the peak broadening was investigated by varying the length of column and connecting tube between column and detector.
    For the system of 480 mm long and 2.1 mm i. d. column packed with Corasil I, 300 mm long and 0.8 mm connecting tube, and detector cell of 60 At/ in volume, peak broadening stemmed from the connecting tube and sample injection (septum injection) and proportions of contribution to peak broadening were 47.4% and 5.2%, respectively. Broadening in the detector was negligible.
  • 伊保内 賢, 倉持 智宏, 宮下 宗久, 石井 正雄, 妹尾 学
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1643-1646
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The effect of addition of tin (IV) chloride on the radical polymerization of styrene with benzylideneacetone or benzylideneacetophenone was investigated by using a, a'-azobisisobutyronitrile as an initiator. The addition of tin (IV) chloride increases the rate of copolymerization and the content of benzylideneacetone or benzylideneacetophenone unit in copolymers. The increase in added amounts of tin (IV) chloride results in a decrease in values of monomer reactivity ratios r1 and r2 and an increase in value of e2. These results would be due to the complex formation between tin (IV) chloride and benzylideneacetone or benzylideneacetophenone.
  • 後藤 富雄, 和泉 学
    1975 年 1975 巻 9 号 p. 1647-1648
    発行日: 1975/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Water soluble polymers were prepared by the reaction of poly (methyl acrylate) (PMA) with amino alcohols such as 2-aminoethanol (AE), 3-amino-l-propanol or diethanolamine, and examined in the removal effect of heavy metals from waste water by a foam treatment method. AE showed the best result among the amino alcohols used.
    More than 99.9% of zinc was removed by the polymer prepared by the reaction of PMA with AE (molar ratio 1:5) in dimethylformamide at 130° C for 10 hours. More than 99% of copper or 98% of cadmium was, also, removed by this polymer.
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