1500℃まで測定できる高温ガスフローDTA装置を用いて,硫酸カルシウムと酸化アルミニウム,およびアルミン酸カルシウムと空気-SO
2混合気体の間で起こる次式の可逆反応を研究した。
値の異なる六つのアルミン酸カルシウムが生成することがわかった。正反応について検討するためDTAおよび等温実験を,CaSO
4-η-A1203,CaSOrα-Al203混合物(モル比1:1)を用いて窒素流通下(100mηrnih)で,14006Cまでの温度範囲で行なった。逆反応については,空気-SO
2混合気体流通下(モル比1:1,100m1/min)で行なった。1反応に用いたアルミン酸カルシウム試料は1300℃,1時間,CaSOぺAlp3混合物を加熱して得た。なお,比較実験として,単独CaSO
4の分解,CaOとA1p3,CaOとSO
2の反応についても行なった。
実験結果はつぎのように要約できた。(1)CaSO
4-A1208系では,CaSO
4の分解(CaSOペ→CaO十SO8,JHo(1373K)=89.7kcal/mol)とアルミン酸カルシウムの生成(例,CaO十A12O
3-→Ca6A1204,Ho(1373K)=,-55kcallmol)が同時に生じ,これらの反応に絹当するDTAの吸熱ピークは,CaSO
4-η-A1203,CaSO
4--α-Al208系に対し,それぞれ1140,1190。Cに現われた。(2)CaSO
4の分解はA1203により促進され,CaSO
4単独試料の分解温度よりも低温ではじまり,速度もはやかった。この効果はη-A1203α-A1203であった。(3)CaSO
4の分解により生成したCaOは,市販のCaOよりも反応性は高かった。アルミン酸カルシウムとしてCaO,A1203,12CaO,7AI203,3CaO,5A1203,3CaO,A12p3,CaO,6A1208,劣CaO響Al203が生成し,どのアルミン酸塩が生成するかはCaOまたはA1203の活性の相違および反応状態下での系の組成に依存する。劣CaO,AI208は新しい未知のアルミン酸カルシウムであり,郎よりも軍の方が大きい化合物であると推定した。(4)アルミン酸ヵルシゥムは市販CaOよりも空気-SO
2に対する反応性は高く,η-A1203から調製したアルミン酸塩はα-Alp3からのものよりも空気-SO
2との反応開始温度は低かった。(5)アルミン酸カルシウムは空気-SO
2混合気体と反応し,CaSO
4とη-AI203が生成した。1の値のアルミン酸塩は,空気-SO慧との反応に対して活性であった。(6)空気-SO
2と窒素雰囲気で行なった連続DTA実験で以上の結果を確かめた。
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