メタクリル酸マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウムのアルカリ土類金属塩それにアルカリ金属塩としてメタクリル酸リチウム,ナトリウム,カリウムについての熱二量化および三量化を研究した。
これらの金属塩は230℃,3時間,減圧で熱処理し,熱処理した金属塩をメチルエステルとし分別蒸留した。各留分をガスクロマトグラムにより成分を調べ,各成分はNMR,IRなどによりその構造を確認した。
バリウム塩はα-メチレンーδ-メチルァジピン酸ジメチル[4](20.7%転化率)とα-メチレン-γ,γ-ジメチルグルタル酸ジメチル[1](11.9%転化率)の2種類の二量体,それに三量体として1-ノネンー2,5,8-トリカルボン酸トリメチル[8](5.2%転化率),4-メチルー1-オクテンー2,4,7-トリカルボン酸トリメチル[6](10.9%転化率)を与える。
マグネシウム,カルシウム,ストロンチウムの金属塩では二量体として,それぞれ15.9,30.1,33.7%の転化率で[4]だけを与え,三量体は[8]を6.0,23.0,21.7%の転化率で与える。アルカリ金属塩ではアルカリ土類金属塩にくらべて重合物が多く,二量体は約2%程度でほとんど生き成しないが,リチウム塩では[1]を1%,[4]を14.4%の転化率でそれぞれ与える。
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