日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1980 巻, 9 号
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  • 北山 淑江, 佐藤 勤
    1980 年 1980 巻 9 号 p. 1309-1315
    発行日: 1980/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酸素存在下, p-ベンゾキノンおよび1,4-ナフトキノンと第一級アルコールとから,アルコキシ-p-ベンゾキノンおよび2-アルコキシ-1,4-ナフトキノンが生成する反応
    〓〓〓
    に,酸素担体コバルト錯体であるN,N'-エチレソピス(サリチリデンアミナト)コパルト(II)Co-(salen)が触媒として作用することを見いだした。生成するアルコキシルキノン類は,低分子量のものほど収率がよい. エトキシ-p-ペンゾキノンの生成反応に関する反応速度論研究を行ない, 速度式v=a[Co(salen)][Po2]1/2[p-BQ]/(1+b[p-BQ])を得た. これは反応中間体として〓が形成され, この中間体とp-ベンゾキノンとの反応が律速段階として求めた速度式と一致する. 反応系にCo(salen)の酸素化活性溶媒を添加すると,反応は捉進される。これらの事実から,反応系に関与する酸素種は, Co(salen)との間で2:1錯体を形成し酸素が〓を経てとなったものと推定した. またこれにエタノールの配位した中間体〓存在はPMRにより確認した.
  • 高宮 信夫, 山辺 秀敏, 鯉沼 康美, 村井 資長
    1980 年 1980 巻 9 号 p. 1316-1320
    発行日: 1980/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    従来固体酸として知られているγ-Al2O3にNaOHを添加したNaOH/γ-Al2O3を触媒としてアニリソのメヂル化反応を行ない,その触媒活性について検討した。固体酸γ-Al2O3を触媒とする場合,本反応め生成物はN-メチルアニリン,N,N'-ジメチルアニリンおよびトルイジン類であるが,γ-Al2O3にNa0Hを添カロすると活牲がいちじるしく低下する。しかし,NaOH含有量が6wt%以上になると選択的にN-メチル化反応が進み,12wt%で最高活性を示した。また,NaQH含有量6wt%以上のNaOHノγ一A1203触媒は2一プロパノールの分解反応で脱水素の選択性が高く,さらにアニリンのメチル化反応においてはCO,存とよって被毒を受け,本触媒が固体壇基触媒作用を示すことを認めた。NaOH/γ-Al2O3(NaoH含有量12wt%)を用いて速度論的解析を行ない速度式γ=k・[PA]0・[PM]0.5が求まり,見かけの活性化エネルギー35.5kcal/mol という結果が得られた。また他のアルカリ金属水酸化物との比較ではCsOH/γ-Al2O3>KOH/γ-Al2O3>NaOH/γ-Al2O3の活性序列になり,各金属イオン半径と見かけの活性化エネルギー間に相関関係が得られた。
  • 白井 靖男, 河合 達, 宮本 五郎
    1980 年 1980 巻 9 号 p. 1321-1326
    発行日: 1980/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    現像処理直前に, 紫外線照射によって活性にしたチタン錯体現像液のポジフィルムに対する現像性を調べるとともに,その疲労現像液の光再生について検討した。
    現像液中のチタン(N)クエン酸錯体は, 紫外線照射でチタン(III)クエン酸錯体に光還元されて現像活性になった. このチタン(IV)錯体の光還元反応には水素イオンが関与し,その還元率はpH値の低下とともに増加した。(NH4)2H2edtaを5g/l 含むチタン(III)錯体現像液は,pH値の低下とともに現像力が増加し,pH1以下でポジフィルムに対してよい現像特性を示した。この現像液によるカブリは,pH3以下ではKBrの1g/l の添加で抑制できるが,それ以上のpH値ではKBrの添加で力ブリを完全に抑制することが困難で, pH6以上では無差別還元を生じた。また疲労現像液の光再生では, 完全に現像力を失った低pH値の現像液に対して, 再生のつどpH値を調整し, (NH4)2H2edtaを3-5g/l 添加していくことによって15回再生をくり返したが,現像力の低下はごくわずかで,さらにこれ以上の再生も可能であった.しかし疲労現像液中に臭化物イオンが過綱に存在すると,その現像液をくり返し光再生することが困難なった.
  • 吉村 精司, 片柵 晃, 吉沢 四郎
    1980 年 1980 巻 9 号 p. 1327-1333
    発行日: 1980/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    微量の銅イオンを含む種々のpHの溶液中でシァシ化物イオン(CN-)のアノード酸化を行ない,1faradayの電気量あfeり反応するCN-のモル数を調べるとともに生成物の定性,定量を行なった。アルカリ性溶液(pH11.8~14)では,1faradayあたり0.5molのCN-が反応し, 0.5molのシアン酸イオンが生成した. シアン酸イオンはこれ以上酸化されなかった.弱アルカリ性炭酸塩緩衝溶液(pH9.3)では1faradayあたり0.5molのCN-が反応し,O.5molのアンモニウムイオソが生成し,シアン酸イオンは生成しなかった。この溶液では,CN-は炭酸イオンとアンモニウムイオソにまで分解すると考えられる。中性ないし弱アルカリ性の硝酸アンモニウム溶液(pH9.4),硫酸アンモニウム溶液(pH8.7)およびリン酸塩緩衝溶液(pH7.2~9.0)では,1faradayあたり1molのCN-が反応し,オキサミドおよび褐色重合物(アズルミン)が生成した。弱酸性リソ酸塩緩衝溶液(pH5.5~6.1)では,1faradayあたり1molの,CN-が反応し,オキサミドが生成した。他の生成物として1-シアノホルムアミド,オキサミド酸が考えられる。酸性溶液(pH4.0~5.0)では,1faradayあたり1molのCN-が反応し,1molのアンモニウムイオソが生成し,シュウ酸が検出された。
  • 松崎 緬子, 柳 榮鴻, 深沢 英一, 佐伯 雄造
    1980 年 1980 巻 9 号 p. 1334-1338
    発行日: 1980/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    炭素存在下でのチタン鉄鉱(イルメナイト)と二酸化硫黄との反応温度と生成物の関係を調べた。また,反応過程を解明するためにチタソ鉄鉱と炭素との反応,および二酸化硫黄気流中でのチタン鉄鉱と硫黄との反応についても調べた。つぎに,チタン鉄鉱と硫化水素との反応温度と生成物の関係を調べ,また,硫化水素の熱分解などについても調ぺた。炭素存在下でチタソ鉄鉱を二酸化硫黄気流中で加熱すると,まず炭素と二酸化硫黄との反応により硫黄が生成し,約700℃以上では,チタン鉄鉱中の3価の鉄の2価への還元,および生成した硫黄とチタン鉄鉱との反応が進行してFe0.88Sの組成のピロタイトとルチルが生成する。チタソ鉄鉱と硫化水素との反応は約200℃以上で進行し,約500℃以下ではパイライトとルチル,約550℃以上ではFe0.88Sとルチルが生成する。また,約600℃以上では,これらの反応により副生した二酸化硫黄と過剰の硫化水素との反応および硫化水素の熱分解により生成した硫黄とチタン鉄鉱が反応してFe0.88Sとルチルが生成する反応も起こる。
  • 平 尾穂
    1980 年 1980 巻 9 号 p. 1339-1344
    発行日: 1980/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フッ素ケイ酸雲母とフッ素ゲルマニウム酸雲母とを端成分とする2種類の系[フッ素金雲母(KMg3-ISi3O10F2(F-ph))-ゲルマニウムフッ素金雲母(KMg3-ISi3O10F2(G-ph))系,フッ素四ケイ素雲母(KMg3-ISi3O10F2(TSM))-フッ素四ゲルマニウム雲母(KMg3-ISi3O10F2(TGM))系]の固溶体の合成を溶融法により行ない,得られた両系の固溶体を粉末X線回折法および赤外吸収スペクトル法により検討した。さらに固溶体の屈折率および比重を調べ,以下あ結果を得た.
    (1)両系における固溶体の格子定数はフッ素ゲルマニウム酸雲母(G-ph,TGM)の含有量が増すにつれて連続的に増し,その変化は直線的であった. このことは両系の端成分間におけるすべての組成が完全固溶体[KMg3Al(GexSi1-x)3sO10F2,KMg3Al(GexSi1-x)4sO10F2,0≦x≦1]を形成することを示す. (2)F-ph-G-ph系の端成分間における格子定数a,bおよびcの変化率はそれぞれ2.3,1.8および3.3%,TSM-TGM系における変化率は2.8,3.Oおよび3.5%であった.(3)両系における固溶体の赤外吸収スペクトルはほとんど雲母の結晶構造における四面体配位の金属-酸素結合に関する振動に帰属されるが,吝吸収帯は両系ともにフッ素ゲルマニウム酸雲母の含有量が増すにつれて低す波数側へ連続的に移行する。また,TSM-TGM系の中間組成にだけ認められる625~645cm-1領域の吸収帯曝Si-O-Ge伸編振動のものと推定される。(4)両系の固溶体の屈折率および比重もモル組成と一次関数の関係があり, ブッ素ゲルマニウム酸雲母の含有量の増すにともない,それぞれ大きくなる。
  • 荻原 覚, 衣川 清重, 中山 宗雄
    1980 年 1980 巻 9 号 p. 1345-1351
    発行日: 1980/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    硝酸インジウム(III)のアセチルアセトン溶液とスズを硝酸とアセチルアセトンに溶解した液の混合物をアセトソで希釈して,原料液とした。この溶液を基板上に塗布し,55℃で乾燥したのち400~60℃の電気炉中で焼成して透明導電膜を作成した。薄膜の生成過程は示差熱テンビン分析,赤外吸収スペクトル分析,X線回折および電子顕微鏡観察などにより調べた。また塗布する基板の種類,酸化スズの含有量,焼成温度および時間などが薄膜の電気抵抗におよぼす影響を調べた。
    原料液は硝酸イオソを含むアセチルアセトナートであり,150℃付近ではげしい発熱をともなう分解反応が起こり,400℃ 以半で酸化インジウム(III)-酸化スズ(IV)膜を生成し透明導電膜になる. 基板にソーダ石灰ガラスを使用するとガラス中のナトリウムが薄膜中に拡散して薄膜の電気抵抗炉大きくなり,石英ガラスまたは酸化ケイ素膜を形成したガラス基板を用いたものはナトリウムの影響がなく,抵抗は小さい。酸化インジウム(III)に酸化スズ(IV)を5%程度添加した薄膜は最小の電気抵抗を示し,500℃ で1時間焼成した場合のシート抵抗は膜厚40nmで1.8kΩ/□,80nmで0.4kΩ/口である。
  • 小沢 利之, 氏家 高志, 田村 和利
    1980 年 1980 巻 9 号 p. 1352-1357
    発行日: 1980/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    リン酸水素カルシウムニ水和物の水申(60~90℃)での脱水挙動に関する研究を行なった。反応の進行にしたがって試料採取を行ない. 液相のpH測定, リンとカルシウムの定量分析, 不溶の粉末についてはX線回折,X線マイクロアナライザーによる分析,示差熱重量分析,走査型電子顕徴鏡による観察などを行なった。その結果,この反応は.(1)リン酸イオンの溶出,(2)リン酸二水素カルシウムとしての溶解,(3)リン酸水素カルシウム無水和物の析出,からなり,ここで起こった二水和物から無水和物への変化は溶解析出反応であることがわかった。
    脱水時間(x線回折で二水和物が検出されなくなるまでの時間) は同じ温度で比較すると,二水和物の添加量が多いほど長くなり,また比表面積が大きい試料では短かった。脱水時間の対数と反応温度は同じ勾配をもつ直線で示され,反応温度が10℃下がるごとに脱水時間は約8倍長くなった。反応にともなう液相のpH変化は反応温度を変えても同じパターンであることから,pH変化から脱水過程が求められ, 60~90℃の範囲では同じ反応機構をとるものと推定された. その他, pH2の塩酸本溶液に対する試料粉末の溶解速度の測定から,その試料の脱水時聞の長短を予測できることがわかった。
  • 佐竹 弘, 坂口 騰, 池田 早苗
    1980 年 1980 巻 9 号 p. 1358-1362
    発行日: 1980/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ヒドロキノンとp-(メチルアミノ)フェノールのヨウ素酸イォシに対する反応速度差を利用して,混合物中の両成分を迅速かつ精度よく電流滴定する方法を開発した. 回転白金電極(+0.6Vvs. SCE)を指示電極, SCEを対極として, 滴定剤であるヨウ素酸イオンの還元電流を測定する電流滴定法によって,種々混合比のヒドロキノンとp-(メチルアミノ)フェノールを示差定量する方法を確立した。4mol/l の塩酸溶液50mlに結晶臭化カリウム8gを添加した墓礎液を用いて,p-(メチルアミノ)フェノール中のヒドロキノンを滴定する。ヒドロキノンとp-(メチルアミノ)フェノールの合計量は別のアリコートを用いて,2mol/lの塩酸溶液50mlに結晶塩化ナトリウム10gを添加した基礎液を用いて滴定する。p-(メチルアミノ)フェノールは2回の滴定値の差から求める。ヒドロキノンに対してp-(メチルアミノ)フェノールが0.1倍モルから2.5倍モル共存しても両成分を1%以内の相対誤差で示差定量することができた。また写真現像剤中に含まれる塩類は両成分め定量に影響を与えなかった。,
    本法はヨウ素酸イオンに対してヒドキノンが優先的に反応する性質を利用して, ヒドロキノンとp-(メチルアミノ)フェノールを直接示差的に滴定する方法で,従来の方法に比較して簡単かつ迅速に定量できるという特徴がある。
  • 斉藤 真二, 寺前 紀夫, 田中 誠之
    1980 年 1980 巻 9 号 p. 1363-1366
    発行日: 1980/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    高速液体ク採マトグラフ(LC)にレーザーラマン分光光度計をオンライン接続した測定系(LC-Raman)を新たに開発し, 共鳴ラマン効果を示す物質に対するその有用性について検討を行なった結果,このLC-Raman法が高感度であり,かつ高度の選択性を併わせもつ新しい検出方法であることが判明した。メタノールを移動相とする逆相クロマトグラフから溶出する種々の置換基をもつ4-ジメチルアミノアゾベンゼン誘導体の検出を,発振波長488nm,出力200 mWのAr+レーザーを励起光源として1406cm-1のラマン散乱光を連続的に測定し,クロマトグラムを記録することにより行なった。2'-クロロ-4-ジメチルアミノアゾベンゼンについて検量線を作成したところ, 260ng/μl付近までの範囲において原点を通る良好な直線が得られ,また,この方法によりng単位の検出を行なうことができた。さらに, 対象とする化合物の保持時間で移動相の流れをいったん止め.共鳴ラマンスペクトルを測定し,おのおのの化合物の示す特徴的なラマン線に着目することにより,逆相クロマトグラフィーでは分離されずに溶出し, また, 多波長吸光度検出法でも区別することのできない2'-クロロ-4-ジメチルアミノアゾベンゼンと3'-メチル-4-ジメチルアミノアゾベンゼンの個々の検出を行なうことができた。
  • 中村 高遠, 佐藤 太一
    1980 年 1980 巻 9 号 p. 1367-1371
    発行日: 1980/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    トリカプリルメチルアンモニウム=クロリド(R3R'NCl,Aliquat-336),およびトリ,オク読ルアミソで(R3N,TOA)による塩酸溶液からのバナジウム(IV)の抽出につき検討した. そして抽出におよぼす諸因子の影響, およびそれらの変化にともなう有機相の電子スペクトルおよびESRスペクトルの変化を温調べた. その結果, 抽出反応により有機相中にはVOCl2・L(L=R3R'NClおよびR3R'NCl)が生成するが,これは水相中の塩化物イオン,水素イオンおよびバナジウム(IV)の濃度により容易にその組成を変えることが明らかになった.
  • 野村 貴美, 氏平 祐輔, 松島 安信, 小嶋 隆司, 菅原 陽一
    1980 年 1980 巻 9 号 p. 1372-1380
    発行日: 1980/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    リムド鋼を亜鉛系リン酸塩溶液に浸漬して化成処理レ,その表面皮膜中に形成された鉄化合物の物理・化学的状態が,転換電子Mössbauerスペクトロメトリー, X線回折法および電子顕微鏡写真によって研究された.
    Bonderite 3008による処理で形成した亜鉛系リソ酸塩皮膜には高スピンの鉄(II)化合物(I.S.:1.26mm/s, Q.S.:3.40 mm/s)であるホスホフィライト[Zn2Fe(PO4)2・4H2O]と非晶質の鉄(III)化合物がホープアイト[Zn3(PO4)2・4H2O]の下層に存在していた。鉄(II互)/鉄(III)の比は,浸漬時間の増大にともなって増加したが,H2O2, NaCIO3+NaNO2, NaNO2, NaNO2+NaNO3の酸化剤をリソ酸塩浴に加えると,この順に鉄(II)/鉄(III)の比が減少した。高濃度の亜鉛イオンとニッケルイオソを含んだリン酸溶液で処理した場合にはホスホフィライトの生成が抑制され,ホープアイト皮膜の下にFe3・(PO4)23H2Oであると考えられる鉄(III)化合物が形成された。カルシウム-亜鉛リン酸溶液(Xca=Ca/(Ca+Zn)=0.8)で処理した場合には鉄(II)化合物(I.S.:1.26 mm/s, Q.S.=2.06 mm/s)がショルツァイト[Zn2Ca(PO4)2・2H2O]層の下に存在していることがわかった。この鉄(豆)化合物の電場勾配の主軸は素地鋼表面に対して約60°に配向していた。リン酸塩処理鋼の皮膜の下にある素地鋼面の内部磁場は,浸漬時間が増大し,または皮膜が厚くなると表面に平行な配向からラソダムな配向に変わってゆくことがわかった。
  • 石崎 卓嗣, 三浦 久男, 野平 博之
    1980 年 1980 巻 9 号 p. 1381-1384
    発行日: 1980/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    (±)-α-メチルベンジルアルコール[2],(±)p-クロロ-α-メチルベンジルブルコール[3],(±)-α-エチルベンジルアルコール[4],(±)-ボルネオール[5],(±)-メントール[6]などのキラルなアルコール類のラセミ体に光学活性なtrans-1,2-シクロヘキサンジカルポン酸無水物[1]を作用させ両者間のジアステレオマーモノエステルを合成し,これにベンジルアミンあるいはシクロヘキシルアミンを作用させて結晶性のよいアミン塩とし,これを分別結晶することにより,これらのキラルアルコールを光学分割した。
  • 荻野 圭三, 阿地 孝則, 田端 勇仁
    1980 年 1980 巻 9 号 p. 1385-1390
    発行日: 1980/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    単一なポリ(オキシエチレン)鎖を有し,一般式RO(CH2CH2)x-CH2COOM(R:アルキル基,x:付加モル数,M:Na)で表わされる種々のポリ(オキシエチレソ)=アルキルエーテル=カルボソ酸型界面活性剤を合成し,その溶液物性な検討した.
    オキシ吊チレソ単位の数が増加するにつれてCMCは減少し,またCMCにおける最低表面張力は上昇した。起泡力は,R=C12のものがもっともすぐれており,各アルキル鎖長においてx=4のものがもっともすぐれていた。泡の安定性は,R=C16のものがR=C12のものよつもすぐれてい顔。分散力は,アルキル鎖長が長くなるにつれてよくなり,ポリ(オキシエチレン)鎖長による差はあまり認められなかった。従来のセッケソではカルシウムイオンの存在下では白濁を生じたが,オキシエチレン基の導入により生じなくなった。洗浄力は,R=C12, C16のものがR=C8のものにくらべてかなりすぐれていた. また, R=C12, C16のものはオキシエチレン単位の数が増加するにつれてわずかに洗浄力は低下していった. このことから, 本試料は洗浄剤用いる界面活性剤として注目されると思われる.
  • 琴尾 幸徳, 石川 成実, 田辺 順子, 御園 生尭久
    1980 年 1980 巻 9 号 p. 1391-1396
    発行日: 1980/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Nアルキル3,4:9,10-ペリレンテトラカルボン酸モノアンヒドリド=モノイミド[4a~e]と芳香族アミン(アニリン,p-トルイジン,p-アニシジン,3,5-キシリジン,4-アミノナゾベンゼン,およびo-フェニレンジアミン)を縮合して非対称型3,4:9,10-ペリレンビス(ジカルボキシミド)誘導体-N-アルキル-N'-アリール-3,4:9,10-ペリレンビス(ジカルボキシミド)(〔5a~e〕,〔6a~e〕,〔7a~e〕,〔8a~e〕,〔9a~e〕,および〔10a~b〕)を合成した. これらの各誘導体はすべて赤色系の色相を示し, 顔料試験の結果N-ブチル-N'-アリール-3,4:9,10-ペリレンビス(ジカルボキシミド)(たとえば〔5e〕や〔6e〕)がとくにすぐれた耐光性を示した.
  • 堀江 徳愛, 高麗 寛紀, 中山 充, 津嘉山 正夫, 増村 光雄
    1980 年 1980 巻 9 号 p. 1397-1403
    発行日: 1980/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    6-ヒドロキシ-5,7,8-トリメトキシフラボソ類〔1〕のアセ上ニトリル中無水塩化アルミニウムによる脱メチル反応を高速液体クロマトグラフィーを用いて検討し,つぎの結果を得た.
    (1)〔1〕のアセタート〔10〕の5-位のメトキシル基は温和な条件下で選択的に開裂を受けるので,その脱メチル生成物をメタノール性塩化水素で加水分解することにより,高収率で5,6-ジヒドロキシ-7,8-ジメトキシフラボン類〔2〕が得られる. (2)〔1〕の5-および,7-位のメトキシル基は多量の無水塩化アルミニウムにより選択的に開裂を受け,主生成物として5,6,7-トリヒドロキシ-8-メトキシフラボソ類〔3〕と〔2〕の混合物を生ずる.この混合物をくり返し同条件下で脱メチル反応を行なうことたより,高収率で〔3〕が得られる.これらの方法は〔2〕および〔3〕の一般的合成法として有用であり,5,6-ジヒドロモシ-7,8-ジメト:キシフラボン〔2a〕,5,6,7-トリヒドロキシ-8-メトキシフラずン.〔3a〕,4',5,6-トリビド戸キシ-7,8-ジメトキシフラボン〔2b〕,4',5,6,7-テトラとドロキシ-8-メトキシフラボン〔3b〕,4,5,6,7-トリヒドロキシ-3',7,8-トリメトキシフラボソ〔2c〕および4',5,6,7-テトラヒドロキシ-3',8-ジメトキシフラボソ〔3c〕を対応する〔1〕から高収率で得ることができた.
  • 松本 恒隆, 中前 勝彦, 前田 浩三
    1980 年 1980 巻 9 号 p. 1404-1409
    発行日: 1980/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポリ[2-(ジメチルアミノ)エチル=メタクリラート](PDM)のトルエン相, 水相から水-トルエン界面への吸着現象を,高分子溶液濃度,水相のpH,系の温度などを変数として界面張力(γW/T)から検討し,つぎの結果を得た。1)水相からの吸着の場合,PDMの解離度に大きく依存し,完全解離をするpH5以下では吸着せず,純溶媒間のγW/Tとほぼ等しい値を示した. pH8.5で最大の吸着を示す低いγW/T(7dyne/cm)を示した。2)水相でPDMは高分子電解質としての希釈効果を示し,低濃度になるにつれて急激に大きいγW/T警を示した。3) トルエン相からの吸着の場合,水相のpHが5以上では多量の界面吸着を意味する低いγw!望(5dyne/cm以下)を示した. pH3以下になると,PDMは界面に吸着されず, 水相へ溶解拡散するために大きいγW/Tを示した。4)温度上昇とともにγW/Tは増大した.これは界面へのPDMの吸着量が減少したことを意味している.
  • 森田 聡, 村上 省三, 山下 那都樹, 前嶋 俊寿
    1980 年 1980 巻 9 号 p. 1410-1414
    発行日: 1980/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    4-ビニルイミダゾールのホモおよびコポリマーを幹ポリマーとするアクりルデヒドのグラフト重合を, 水-エタノール混合溶媒の組成を変化させながら0℃で行なった. グラフト重合速度(Rp)は水の濃度が増すといちじるしく増大し,イミダゾリル基の近傍基がピロリドン環, ピリジン環および酸アミド基の場合のRpはポリ(ビニルイミダゾール)の場合にくらべて増大した. これらからポリマー鎖の効集や近傍基効果がグラフト重合においても関与していることが示唆きれた。
  • 海妻 彦之, 中村 淳, 菅野 竹雄
    1980 年 1980 巻 9 号 p. 1415-1417
    発行日: 1980/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The micro-intraparticle pores hold, more or less, the stagnant phase in the inside of them. It is confirmed that there exists a rectangular hyperbolic relation between the retention time and the interdiffusion coefficient of the inert component in the carrier gas. This fact is explaned by the diffusive kinetics between the mobile and the stagnant phases. The retention time of the carrier gas (tR), in which the time consumed for the diffusive kinetics is not included, is estimated from the asymptote of the hyperbola and the effective pore volume in the column is calculated as a product of the average flow rate and ttR. The ratio of the effective porosity to the total porosity varies with the flow rate even in the laminar flow region.
  • 新井 義夫, 松田 弘喜, 浦沢 光典
    1980 年 1980 巻 9 号 p. 1418-1420
    発行日: 1980/09/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The polymerization of methyl methacrylate (MMA) by cobalt(II) complexes with cyanide and acetylacetonate (acac) mixed ligands in aqueous solution at 30°C was investigated. The polymerization of MMA was initiated by the complex, whose Co/CN/acac ratio being 1: 3: 2, by the addition of a small amount of oxygen in the presence of non-ionic surface-active agent under nitrogen atmosphere.2, 2-Diphenyl-1-picrylhydrazyl and excess amount of oxygen interfered with this polymerization. The composition curve of the copolymerization of styrene with MMA by this initiator agreed with that of ordinary radical polymerization. It was considered on the basis of the above results that the polymerization of MMA by this initiator proceeded through a radical mechanism.
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