日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1987 巻, 10 号
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  • 久野 洋, 川井 恵理
    1987 年 1987 巻 10 号 p. 1757-1762
    発行日: 1987/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酸化アルミニウムと酸化亜鉛との固体間反応を,反応物の両者がともに粉体の場合および反応物の一方が穎粒,他方が粉体の場合の等モル混合物について行なった。反応速度は穎粒の存在により約十分の一となったが,これらの反応にはいずれもJanderの式が適合した。見かけの活性化エネルギーは,粉体同志の場合には約340kJ/molと高く,一方が穎粒の場合は160~200kJ/molと低い値を示した。酸化アルミニウム穎粒を酸化亜鉛の径約1mmの円筒状の孔に詰めた,両者の接触点の少ない反応系では,放物線則が適合し,154kJ/molと低い見かけの活性化エネルギーが得られた。SEM観察から,粉体同志の系では固体生成物中のZn2+ の拡散が,また,穎粒の存在する系では,ZnO蒸気の空孔内気相中の拡散が律速段階であると推論した。
  • 青島 淳, 山松 節男, 山口 辰男
    1987 年 1987 巻 10 号 p. 1763-1767
    発行日: 1987/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    高濃度ヘテロポリ酸(HPA)水溶液中のイソブテン水和反応において,テトラヒドロフラン,t-ブチルアルコール(TBA),イソプロピルアルコール,アセトンなどの含酸素有機基質を存在させると,12-モリブドリシ酸(PMo12)に対するモル比が4~6になるまでは水和速度が増大することを見いだした。イソブテン水和の生成物で夢るTBAが存在しても逆反応による反応速度の低下がないことは工業的に利用価値の高い知見である。この範囲における有機基質の存在による水和反応速度の増大はイソブテン溶解度の増加によることを明らかにした。さらに有機基質を多くするとイソブテン溶解度は増大したにもかかわらず,水和速度は頭打ち, または減少傾向を示した。また,含酸素有機基質が大過剰に存在する条件においては,イソブテン水和活性がいちじるしく低下した。Hammett指示薬を用いた酸強度の測定から,大過剰の有機基質の添加により,PMo12の酸強度が低下するため水和活性が低下するものと結論した。しかも,このような条件下では,水和反応速度はプロトン濃度の約1.1次に比例し,HPA陰イオン濃度が増大しても水和速度が向上しないことから,含酸素有機基質がHPA陰イオンとイソブテンの相互作用の形成を抑制するものと推定し,これも活性低下の理由と考察した。
  • 青島 淳, 山松 節男, 山口 辰男
    1987 年 1987 巻 10 号 p. 1768-1771
    発行日: 1987/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    還元したヘテロポリ酸(HPA)の高濃度水溶液中におけるイソブテンの水和速度は,プロトン濃度に対し約二次に比例した。,非還元HPAの場合と同様にHPA陰イオンが水和速度の向上に寄与していると考えられる。しかし,イソブテンの水和速度は還元度の増加に比例して低下した。 水和活性の低下は,還元によりイソブテン溶解度が低下することに対応する。Keggin構造型HPA陰イオンの強いカオトロピック効果が還元により減少するため,水溶液のイソブテン溶解度が減少すると考察した。一方,還元HPAの酸強度をNMRを用いて測定し,還元による酸強度の低下が小さく,水溶液中では水和活性に影響しないことを明らかにした。したがって,還元HPA陰イオンも,イソブテンと相互作用し,t-ブチルカチオンを生成しやすくしているものと推定した。一方,12-モリブドリン酸(PMo12)と12-タングストリン酸(PW12)の還元時のβ-型への異性化比率と,それぞれの還元度における水和活性の比較から,α-体とβ-体との間に水和活性の差がないことも明らかにした。
  • 神谷 佳男, 田口 敏樹, 二タ村 森
    1987 年 1987 巻 10 号 p. 1772-1778
    発行日: 1987/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2,6-ジメチルナフタレン酢酸溶液のCo-Mn-Br系触媒による酸素酸化について,反応条件の生成物におよぼす効果を研究した。メチル基の酸化は順次アルデヒドを経由し,カルボキシル基にいたる逐次反応により進行した(図3,4)。基質の反応率はその初濃度の増加によりいちじるしく減少し,ナフタレン環により抑制反応が起こることを示唆した(図1,2)。酸化反応が進行するにつれて,臭化物イオンが不活性な有機臭化物に変換されることが認められ,反応速度の低下に対応した。ナフタレン環上のるメチル基は,ベンゼン環上のメチル基よりも酸化されやすいが(図5,6),上記の抑制効果および中間生成物であるホルミルナフトエ酸が難溶性であるために,90℃においてはジメチルナフタレンの酸化はゆっくりと進行した。しかし,150℃,10気圧の酸素加圧下では,低濃度の2,6-ジメチルナフタレンのジカルボン酸への酸化は円滑に進行し,85%程度の収率を示した。
  • 高島 正之, 加納 源太郎, 平尾 和則, 日比野 吉高
    1987 年 1987 巻 10 号 p. 1779-1784
    発行日: 1987/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酸化物イオン導電体として機能するネオジム.イットリウムフッ化酸化物,Y2Nd2F6O3の空気中における化学的安定性を熱重量変化,示差熱分析,結晶構造および電気伝導特性の立場から検討した。安定性におよぼす添加物の効果についても数種の金属フッ化物および酸化物について調べた。Y2Nd2.F6O3 はは700℃までは安定で結晶構造も電気伝導特性もほとんど変化しない。700℃以上では空気中に含まれる水分によって加水分解し,YNdF2O2 を経由してYNdO3まで変化する。結晶構造も熱加水分解にともない正方晶から中間生成物の菱面体を経て立方晶に変化する。Y2Nd2F6O3は700~800℃で,中間生成物のYNdF2O2は480~500℃で,いずれも立方晶を高温相とする可逆的な転移が起こる。転移のエンタルピーは両者とも約4.5kJ.mol-1であった。熱加水分解はJander式で与えられる粒子内拡散を津速過程とする速度式で説明された。添加物として,In2O3とV2O5が安定性向上に効果を認めた。電気伝導度は熱加水分解によるフッ素の脱離によって大幅に低下するが,イオン輸率には大きな変化はなかった。Y2Nd2F6O3は500℃程度では安定で高い酸化物イオン性を保持した。
  • 落合 久美, 堀江 宏道, 森田 幹郎
    1987 年 1987 巻 10 号 p. 1785-1790
    発行日: 1987/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    金属アルコキシドを原料としたゾル.ゲル法による被膜形成を磁性金属粒子の単核カプセル化に適用し,得られたカプセル粉体を圧縮成形することにより高周波用圧粉鉄心材料を作成した。
    個々の金属粒子をゲル状連続膜で被覆するには,0.5μm以下の薄膜を形成することが必要で,1μm以上に厚膜化した部分では割れが生じた。とくに金属粒子表面に大きな凹部が存在すると厚膜化と割れの原因になった。
    調整したカプセルから得た成形体の密度はカプセル化していない金属粒子の成形体と同等であり,磁束密度としては磁化力16kA.m-1で1.2Tが得られた。
    また,1MHzを越える周波数帯域まで初透磁率が低下せず,金属粒子間の絶縁が良好であることが確認された。このことから,形成した被膜は圧縮成形時の粒子間摩擦に対してはく離せず,厚膜部分や割れは絶縁効果に大きな影響を与えなかったと判断される。
    本実験のカプセル調整により,高周波特性のすぐれた鉄心材料を作成できることがわかった。
  • 西田 晶子, 竹下 誠, 藤崎 静男, 梶返 昭二
    1987 年 1987 巻 10 号 p. 1791-1795
    発行日: 1987/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    9-(2-ジメチルアミノフェニル)-9-フルオレノール〔1〕を出発原料として,9-(2-ジメチルアミノフェニル)フルオレン〔2〕,9-アセチル-〔4〕および9-ベソゾイル-9-(2-ジメチルアミノフェニル)フルオレン〔5〕を合成し,CDCl3中室温ならびに低温における1H-NMRスペクトルからこれらの化合物の配座平衡(ap〓sp)を検討した。その結果,これらの化合物はすべてsp-体が優勢配座であることが判明した。とくに〔1〕はアミノ窒素と9-ヒドロキシ水素との間に分子ない水素結合を形成していることがわかった。ついで〔2〕のCDCl3溶液にトリフルオロ酢酸を添加すれば〔2〕のトリフルオロ酢酸塩が生成し,優勢配座がspからapへと変化した。この場合,ap-〔2〕塩にN-H...π相互作用が生じて,この ap-体を安定化しているという興味ある知見が得られた。
  • 山中 寛城, 高上 裕二, 桑原 正樹, 福西 興至, 野村 元昭
    1987 年 1987 巻 10 号 p. 1796-1801
    発行日: 1987/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    種々の還元剤によるN-ブチル-N-(2,2,3,3-テトラフルオロプロピル)ブタンアミド〔1〕の還元反応を検討し,NaBH4とAlCl3を組み合わせた還元剤がこのアミドの還元にはもっとも有効であることを見いだした。この還元反応における〔1〕,NaBH4およびAlCl3の最適モル比の検討を行ない,その最適モル比(1:2:0.66)によるほかの種々のポリフルオロアルキル基を含むN,N-二置換アミド化合物の還元反応により高収率(75~90%)の対応するポリフルオロアルキル基を含むアミン化合物を得た。
    また,このNaBH4とAlCl3を組投合わせた還元剤はポリフルオロアルキル基を含むN-一置換およびN-無置換アミド化合物も還元し,良好な収率でそれぞれ対応するアミン化合物を与えることを見いだした。
  • 西田 晶子, 古林 隆司, 秋山 節子, 水津 宏, 藤崎 静男, 梶返 昭二
    1987 年 1987 巻 10 号 p. 1802-1806
    発行日: 1987/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    種々の3-置換(または3,3-二置換)2,2-ジクロロスピロ[シクロプロパン-1,91-フルオレン]誘導体(3-置換基としてメチル〔1a〕,エチル〔1b〕,イソプロピル〔1c〕,ベンジル〔1d〕,ジフェニルメチル〔1e〕1-フェニルエチル〔1f〕3, 3-ジメチル〔1g〕,および3-メチル-3-フェニル,〔1h〕を導入)とn-BU3SnHとの反応を行なった。その結果,開環生成物,9-(1-クロロエテニル)フルオレン誘導体〔2〕および/またはシクロブタン化合物,2-alkylidene-3-(9-fluorenylidene)spiro[cyclobutaner1,9'-fiuorene]誘導体〔3〕が得られた。単離した〔2〕をさらにn-BU3SnHと反応させたところ〔3〕を与えたことから,本反応はまず〔2〕を生成し,ついで〔2〕からアレン中間体を経て,アレンのheadto-tail型の環化二量化によって〔3〕にいたることが判明した。〔1a〕,〔1c〕および〔1g〕からは〔2〕,〔3〕がともに得られた。〔1b〕,〔1d〕からは〔3〕のみが誘導され,また〔1e〕,〔1f〕および〔1h〕の反応では〔3〕は得られず〔2〕のみを与えた。これは置換基のかさ高さによる立体障害が原因で二つのアレンの接近がさまたげられ,環化二量化できなかったためと推察した。さらに〔2〕および〔3〕の立体化学についても検討した。
  • 安本 昌彦, 柳谷 康新, 渋谷 勲, 後藤 みどり
    1987 年 1987 巻 10 号 p. 1807-1812
    発行日: 1987/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    高圧下におけるアミドオキシムとニトリルまたは二置換シアナミドとの反応を検討した。ベシズアミドオキシムとベンゾニトリルまたはアセトニトリルの反応は封管中ではほとんど進行しないが,,数百,MPaの圧力下では収率よく3,5-ジフェニル-または3-フェニル-5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール〔1a,b〕を生じ,その圧力効果は活性化体積(V≠)でそれぞれ-14.6および-18.5ml.mol-1であった。アミドオキシムと二置換シアナミドの封管中での反応は,主生成物として3-置換-5-アミノ-1,2,4-オキサジアゾール〔3〕と,少量の〔3〕に1分子の置換シアナミドが付加したグアニジン誘導体〔4〕を得た。〔4〕の構造はX線構造解析により決定した。一方,この反応を400MPaの圧力下で行なうと〔4〕に主生成物となった。
  • 久住 眞, 乾 智行
    1987 年 1987 巻 10 号 p. 1813-1816
    発行日: 1987/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ブロモトリフルオロメタンの675~855℃における気相熱分解生成物を,窒素または水蒸気希釈下に,あるいはここに水素を共存させて検討した。反応は,容積16.8mlの球型透明石英製反応器を用いて,大気圧下の流通法により行なった。窒素希釈下での生成物は,ヘキサフルオロエタンと臭素であった。水蒸気希釈下では,トリフルオロメタン,ヘキサフルオロエタン,および臭素がおもな生成物で,ほかに少量のテトラフルオロエチレンと二酸化炭素が生成した。水素を共存させると,窒素希釈と水蒸気希釈の区別なくトリフルオロメタンと臭化水素がおもな生成物となり,ほかにプロモジフルオロメタン,テトラフルオロエチレン,ヘキサフルオロエタンおよび二三の含フッ素化合物が副生成物として得られた。プロモトリフルオロメタン変化速度は水素共存下でいちじるしく増大したが,窒素希釈と水蒸気希釈の差は現われなかった.おもな含フッ素生成物の生成経過について考察した。
  • 飯田 武揚, 川辺 健, 野口 文雄, 三田村 孝, 永田 和彦, 冨田 耕右
    1987 年 1987 巻 10 号 p. 1817-1821
    発行日: 1987/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    好熱菌由来の耐熱性酵素グルタミンシンテターゼとイオン感応牲電界効果トランジスターとを組み合わせたグルタミン酸センサーを試作した。本センサーにおいて,グルタミン酸に対する応答を測定した結果,L-グルタミン酸濃度0.5~100mmol.dm-3の範囲でL-グルタミン酸の定量が可能であることがわかった。応答時間はこのとき3~5分であった。また,各種のアミノ酸に対する応答を調べた結果,L-グルタミン酸のみに応答が得られた。好熱菌のグルタミンシンテターゼは55℃ まで安定な酵素であるので,50℃ の温度でも十分安定なグルタミン酸センサーを構築できることがわかった。本センサーの同時再現性においては,変動係数9.3%で良好な再現性が得ら液た。保存安定性を30℃ で測定したところ,20日までは安定した応答が得られたが,30日目から出力が初期出力の45%に低下することがわかった。
  • 黒沢 勝登志, 福島 敏郎
    1987 年 1987 巻 10 号 p. 1822-1827
    発行日: 1987/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    中性で常海において使用可能な化成浴を開発するため,種々のモリブデン酸壇を用いでPH2~12の水溶液中で軟鋼の化成処理を行なった。そして,化成処理条件,化成皮膜の性状および塗装後の耐食性などについて研究した。
    その結果,pH2~6,25~80℃の範囲における適当な条件でみがき鋼表面に化成皮膜の生成することが判明した。また,化成浴中にリン酸および酸化剤を添加すると,皮膜は緻密で均一になることが認められた。さび鋼は,化成処理により外観上ほとんど変化しなかった。
    みがき鋼に生成した化成皮膜の色は化成条件によらて異なるが,多くは茶褐色,灰黒色,灰緑色および光の干渉色を呈した。皮膜はX線回折によれば非晶質であり,その組成は赤外分光分析およびオージェ電子分光分析結果からは,FeMoO4またはリン酸を添加した場合にはFeMoO4,およびFe3(PO4)2であると推定された。
    みがき鋼およびさび鋼を常温で中性付近の化成浴中において処理後,鉛丹さび止めペイントと合成樹脂調合ペイントを塗装した場合の眠側生は向上し,なかでもリン酸またはリン酸と酸化剤を添加したモリブデン酸ナトリウム化成浴はもっとも優れていた。
  • 菊池 康男
    1987 年 1987 巻 10 号 p. 1828-1832
    発行日: 1987/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    “ポリ塩化アルミニウム”(PAC)とポリ(硫酸ビニルカリウム)から,PAC滴下,pH1.0の条件下で高分子錯体(MC)を合成した。このMCから1,4-ジオキサン,HCl溶液でキャスト法により耐酸,耐アルカリ性の膜が成膜できた。Na+ の輸送率は膜の両側の電位差が高いほど高く,また,長時間持続した。輸送の駆動力は膜電位差,つまりDonnan電位と拡散電位によると思われる。膜電位差はCl-の透過によりすみやかに減少した。さらにNa+ の輸送率,電位差の測定をHClの代わりに高分子であるポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)を用いて行なった。このHClとHPSSを用いたときについて比較検討した。他方,イオンの選択透過において,K+はNa+ よりも速く透過した。この選択性はアルカリ金属イオンの水和半径および膜に対するイオンの親和性によるものと思われる。なお,この高分子錯体膜と,用いた無機高分子の代わりに有機高分子の中で成膜牲のよい,グリコールキトサンとポリ(硫酸ビニルカリウム)からなる高分子錯体膜との特性のちがいについて比較検討した。
  • 松井 博, 網田 佳代子, 橋詰 源蔵, 足立 吟也, 塩川 二朗
    1987 年 1987 巻 10 号 p. 1833-1838
    発行日: 1987/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    セリウムを添加した硫酸カルシウム二水和物(CaSO4.2H2O:Ce)をCaCl2-H2SO4(Ce)-H2O系(H法)あるいはCaCl2-Na2SO4(Ce)-H20系(N法)での沈殿反応により合成し,これからセリウムを付活した硫化カルシウム蛍光体(CaS:Ce)を得る過程での生成物の結晶形状を観察した。作製したCaSO4.2H2O:Ce結晶の形状は針状結晶でH法から得た結晶の長さは5から15μmで,N法から得たそれは数μmから10μmであった。
    CaSO4.2H2O:Ceを空気雰囲気中,700℃で脱水仮焼すると酸化カルシウムが生成することなくII-CaSO4:Ceを得ることができた。H法で得たII-CaSO4:Ce結晶の形状はCaSO4.2H2O:Ceの針状の形態を残し,その長さは10μm以下であった。一方,N法から得たII-CaSO4:Ce結晶の形状はCaSO4.2H2O:Ceの針状から粒状になり,その大きさは5μm以下になった。
    II-CaSO4:Ce結晶を水素気流中,900℃で還元してCaS:Ceを作製した。H法から得たCaS:Ce結晶の形状はII-CaSO4:Ce結晶の針状の形態を残し,その長さは5μm以下であった。N法から得たCaS:Ce結晶の形状はII-CaSO4:Ce結晶の形状に類似しており,粒状で大きさは5μm以下であった。CaS:Ce結晶が粒状になるのはCaSO4.2H2O:Ceの作製時に取り込まれたナトリウムによるものであった。
  • 長尾 幸徳, 阿部 幸浩, 大山 司, 阿部 芳首, 御園生 堯久
    1987 年 1987 巻 10 号 p. 1839-1845
    発行日: 1987/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    芳香族ケトンと置換ベンゼンとの縮合反応により,A,B環に置換基のないロイコトリフェニルメタン誘導体〔2〕などを合成し,C環上の置換基Rおよび中央連結基Xの酸で発色させたときの紫外.可視吸収スペクトルにおよぼす影響について検討した。中央連結基XがN,O,S,Cなどの各芳香族ケトンの中でキサントン,チオキサントン,そしてアントラキノン類からGrignard反応による方法で各相当する新規トリフェニルメタン誘導体〔2〕などを合成できた。誰得られた各ロイコ色素を酢酸または硫酸で発色させ,紫外.可視吸収スペクトルを測定した結果,置換基RのHammettのσ値とλmaxの間によい相関があり,また中央連結基Xのλmaxへの影響はS>O>N-C6H5>N-Meの腰に長波長でSを除けば電子供与性が小さいほど長波長側に吸取を示すことがわかった。これらのことはA,B環に置換基をもつトリフェニルメタン系色素に提唱されているYバンド吸収の傾向と同じで,置換基がなくても置換基があるときのYバンド吸収の傾向を反映していると考えられる。
  • 高村 喜代子, 井上 哲, 楠 文代
    1987 年 1987 巻 10 号 p. 1846-1848
    発行日: 1987/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    A comparison of the rate constants (kobs) of the chemical reactions which occure after the electrochemical oxidation of chlorpromazine (CPZ) to CPZ cation radical (CPZ) in various supporting electrolyte solutions was made. In solutions containing bivalent anions (such as phosphate, sttccinate and glutarate solutions)the kobs's obtained by rotating disk voltammetry were larger than those in solutions containing monovalent anions (like an acetate solution). The rate constant depended on the structure of the anion.
  • 伊藤 邦夫, 茂森 信哉, 宮島 伸吾
    1987 年 1987 巻 10 号 p. 1849-1852
    発行日: 1987/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The Schiff's bases derived from t-butylamine and 2-methylcycloalkanones of ring sizes 5-7 react with methyl propiolate to give the corresponding Michael adducts. The accep tor is introduced selectively at the more highly substituted position. The adducts s e rve as precursors of methyl-substituted Octanedioic, nonanedioic, and decanedioic acids.
  • 磯部 孝彦, 野田 幸直
    1987 年 1987 巻 10 号 p. 1853-1855
    発行日: 1987/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Several flavonoids were isolated from the leaves of Polygonum filiforme var. neofiliforme, flaccidum, P. Blumei, P. Y o kusaianum, and P. senticosum. Their structures we re identified as myricetin 3-rhamnoside, quercetin 3-(2-O-galloylrhamnoside), quercetin 3-rutinoside, quercetin 3-rhamnoside, kaempferol 3-glucoside, isorhamnetin, quercetin, and apigenin 7(glucuronide 6-methyl ester) by the comparison of their TLC, HPLC, and spectroscopic data with those of the authentic samples. It was clarified that quercetin 3-(2-O-galloylrhamnoside)is distributed in P. filiforme var. neofiliforme and P. flaccidum.
  • 才木 義夫
    1987 年 1987 巻 10 号 p. 1856-1859
    発行日: 1987/10/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Yearly evaluation of air quality was carried out by applying the pollution index (AQI), which was proposed in a previous work, to Kanagawa Prefecture. It was found that the frequencies (d/d%) of “Polluted” level (the ambient air is polluted beyond the air quality standards) gradually decreased between 1979.4 and 1985.3. The frequencies of “Clean”level (the pollutants in the air are of a half of air quality standards) gradually increased. The major reason is that Ox concentration decreased in the suburban area. NO2 concentration also slightly decreased, but the contribution to pollution relatively increased. The appearance of “Polluted” level was about 10-30% (d/d%) in Kanagawa Prefecture in 1985. The AQI index is thus useful in long term evaluations of air quality as well as short term evaluation like daily evaluation.
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