セリウムを添加した硫酸カルシウム二水和物(CaSO
4.2H
2O:Ce)をCaCl
2-H
2SO
4(Ce)
-H
2O系(H法)あるいはCaCl
2-Na
2SO
4(Ce)
-H
20系(N法)での沈殿反応により合成し,これからセリウムを付活した硫化カルシウム蛍光体(CaS:Ce)を得る過程での生成物の結晶形状を観察した。作製したCaSO
4.2H
2O:Ce結晶の形状は針状結晶でH法から得た結晶の長さは5から15μmで,N法から得たそれは数μmから10μmであった。
CaSO
4.2H
2O:Ceを空気雰囲気中,700℃で脱水仮焼すると酸化カルシウムが生成することなくII-CaSO
4:Ceを得ることができた。H法で得たII-CaSO
4:Ce結晶の形状はCaSO
4.2H
2O:Ceの針状の形態を残し,その長さは10μm以下であった。一方,N法から得たII-CaSO
4:Ce結晶の形状はCaSO
4.2H
2O:Ceの針状から粒状になり,その大きさは5μm以下になった。
II-CaSO
4:Ce結晶を水素気流中,900℃で還元してCaS:Ceを作製した。H法から得たCaS:Ce結晶の形状はII-CaSO
4:Ce結晶の針状の形態を残し,その長さは5μm以下であった。N法から得たCaS:Ce結晶の形状はII-CaSO
4:Ce結晶の形状に類似しており,粒状で大きさは5μm以下であった。CaS:Ce結晶が粒状になるのはCaSO
4.2H
2O:Ceの作製時に取り込まれたナトリウムによるものであった。
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