アルキル基としてブチル基を有するO,O'-ジチオリン酸ジアルキル亜鉛塩(ZnDTP)とポリイソブチレン側鎖をもつスクシンィミド基を鎖端にもつポリアミン(略記号PIBSIで表す)の錯形成反応を,室温下,流動パラフィン中で行い,未反応のZnl7TPをアセトンで抽出した後薄層クロマトグラフィーを用いて定量し,流動パラフィン中でのZnDTPとPIBSIの錯形成反応を解析した。この結果ZnDTPとPIBSI ,の錯体に1ま,ZnDTP1分子にPIBSIめ逃リアミン鎖中のイミノ基2個が配位した錯体(錯体1)と.イミ1ノ基4個が配位した錯体(錯体II)の,2種類存在することがわかった。流動パラフiン中での錯IIの錯形成反慈を,1/Kf'=(αM・αLn)/Kfとして解析した。ここで,Kf'.Kfはそれぞれ,錯体立の条件付安定度定数および安定度定数である。また,αM,αLは,ZnDTPおよびPIBSI分子内のアミンn量体までの 会合を考慮した式である.この取り扱いの結果,,流動容ラフィン中では,PIBSIのアミン橋は,エチレンジアミンのように,二座配位子として挙動することがわかった。また,得られた錯体IIの安定度定数は,モノおよびビス,スクシソィミド型のどちらのPIBSIを用暁場合でも,,4~9×106の範囲にあって,大きな差はなかった。さらに,流動パラフィソ中では,ZnDTP・PIBSIを構球する2分子のアミソは,いずれの揚合もそれらの会合は2分子まで考慮すればよいことがわかった。ただし,PIBS工はその分子構造の中に2~4分子の第一級および第二級アミンを有するため,PIBSIの会合は,2~4分子程度と考えられる。これらの取り扱いにより求めたZnDTPおよびPIBSIの会合定数は,蒸気圧オスモメーターや赤外吸収スペクトルを用いた,これまでの結果と概ね一致した。また,ZnDTPとPIBSIの2種類の錯体についてそれらの構造を検討した結果,いずれの錯体も,六配位の八面体構造を有しているものと推測した。
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