日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
1990 巻, 1 号
選択された号の論文の20件中1~20を表示しています
  • 松永 孜, 大福 英治, 川越 隆博
    1990 年 1990 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    処理条件によって多様に変化するポリアニリソの分子構造を分光学的に追跡し,四つの基本的分子構造~ イミノフェニレン構造(IP),そのドープされた状態(IP+),酸処理によって生成するアソモニウム塩構造およびキノノイド構造(NP)を同定し,ポリアニリンの分子構造として通念化していたエメラルディン構造[(IP)m-(NP)m-]はポリアニリンの分子形態の一つに過ぎず,適正な処理で極限的な還元処理を行うことにより完全な連鎖構造の白色のポリ(イミノフェニレン)の調製が可能である事を示した。このような知見に基づきy実質的にIP構造から成るポリアニリンとステンレススチールの集電体とが一体化した形態の電極材を電気化学的に作製しfこれを正極としたリチウムニ次電池を設計した。非水系の場合,水溶液系同様,充放電にともなう二段階の酸化還元波を観測することができるが,その二波は何れもIP-IP+の反応式によって記述され,水系電解液中でみられるIP-NP反応は認められないことを示した。これらの研究成果をもとに,既にポリアニリソを正極とするコイン型のリチウムニ次電池が市販され,主としてICメモリ-バックアヅプ電源や太陽電池と組み合わせた小型電源として用いられており,その電池性能について記述した。
  • 藤谷 忠博, 黒田 利春, 越後谷 悦郎
    1990 年 1990 巻 1 号 p. 12-16
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    含浸法で調製したNio/Sio2触媒のニッケル出発物質の相違による球状担体中でのニッケル原子の分布状態,ニッケルの分散性および触媒活性への影響を検討した。硝酸ニッケル,塩化ニッケルを出発物質として用いた場合,ニヅケルはシリカ担体の内部まで均一に分布する。また,ギ酸ニッケル,酢酸ニッケルおよび塩基性炭酸ニッケルを用いた場合では,シリカ担体の外部表面にのみニッケルが存在することを明らかにした。一方.ニッケル粒子径および触媒の還元特性などのニヅケルと担体との相互作用もニッケルの出発物質により容易に制御できることがわかった。さらに触媒活性は,担体中でのニッケルの分布状態,還元性状および粒子径などのニッケルと担体との相互作用によりいちじるしい影響を受けることを見いだした。
  • 永島 和郎, 岩井田 智広, 佐々木 英弥, 片田江 由紀子, 加藤 昭夫
    1990 年 1990 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    高温のH2還元雰囲気中にCu(NO3)黛水溶液を噴霧して,Cu微粒子の製造を試みt反応条件と生成粒子の性状との関係を調べた。得られた球形Cu微粒子については,導電厚膜材料としての特性を調べた.加熱に電気炉を用いた場合,H2-N2気流中の璃濃度が平衡論的な必要量の約3倍以上で.酸化物を含まないCu微粒子が得られた。その粒子形状は反応温度によって変化し,粒子がCuのmp以上の温度で約0.1秒以上加熱されて一度溶融状態を経るとき球形粒子が得られ,粒子の溶融が起こらない携食には形状は不規則であっお。加熱にrf-プラズマ炎を用い・反応温度が約2000℃ 以上の場合には,Cu蒸気からの超微細なCu粒子の生成が見られた籍電気炉法で生成した球形Cu粒子のメジアン径は0.3~1.3μmで,原料溶液のCu(NO3)2濃度の1/3乗に比例して変化した。球形Cu粒子のペーストをアルミナ基板に印刷,900℃ で焼成して,膜厚2.5μmで,シート抵抗値11mΩ ・square-1抵抗率2.5μ Ω ・cmの低抵抗な膜が作製できた.
  • 山本 善丈, 堂段 義正, 森重 清利, 西川 泰治
    1990 年 1990 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ,亜鉛カドミウム(II),水銀(II),ガリウム(III),インジウム(III)・タリウム(III)・スズ(II)の8一キノリソチオレートの電子スペクトル,励起t蛍光スペクトル,量子収率,赤外吸双スペクトル,蛍光寿命などの吸収x蛍光特性を明らかにした。これらのキレ0トはクロロホルム溶液中で緑色から赤色の蛍光(極大波長(520~620nm))を発する。この蛍光を利用したこれら金属イオンの蛍光定量法の基礎検討を行った.,そり結果,(1・0~10)μ9/10cm3の亜鉛・ガリウムが・(0・1~10)μg/10cm3のカドミウム,インジウムが高感度,高精度で蛍光定量できることを明らかにした。これら金属錯体の蛍光性。は金属イオソと硫化物イオソとの親和性および金属イオンの重原子効果の相乗効果に起因することを明らかにした。
  • 国谷 譲治
    1990 年 1990 巻 1 号 p. 30-37
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アルキル基としてブチル基を有するO,O'-ジチオリン酸ジアルキル亜鉛塩(ZnDTP)とポリイソブチレン側鎖をもつスクシンィミド基を鎖端にもつポリアミン(略記号PIBSIで表す)の錯形成反応を,室温下,流動パラフィン中で行い,未反応のZnl7TPをアセトンで抽出した後薄層クロマトグラフィーを用いて定量し,流動パラフィン中でのZnDTPとPIBSIの錯形成反応を解析した。この結果ZnDTPとPIBSI ,の錯体に1ま,ZnDTP1分子にPIBSIめ逃リアミン鎖中のイミノ基2個が配位した錯体(錯体1)と.イミ1ノ基4個が配位した錯体(錯体II)の,2種類存在することがわかった。流動パラフiン中での錯IIの錯形成反慈を,1/Kf'=(αM・αLn)/Kfとして解析した。ここで,Kf'.Kfはそれぞれ,錯体立の条件付安定度定数および安定度定数である。また,αM,αLは,ZnDTPおよびPIBSI分子内のアミンn量体までの 会合を考慮した式である.この取り扱いの結果,,流動容ラフィン中では,PIBSIのアミン橋は,エチレンジアミンのように,二座配位子として挙動することがわかった。また,得られた錯体IIの安定度定数は,モノおよびビス,スクシソィミド型のどちらのPIBSIを用暁場合でも,,4~9×106の範囲にあって,大きな差はなかった。さらに,流動パラフィソ中では,ZnDTP・PIBSIを構球する2分子のアミソは,いずれの揚合もそれらの会合は2分子まで考慮すればよいことがわかった。ただし,PIBS工はその分子構造の中に2~4分子の第一級および第二級アミンを有するため,PIBSIの会合は,2~4分子程度と考えられる。これらの取り扱いにより求めたZnDTPおよびPIBSIの会合定数は,蒸気圧オスモメーターや赤外吸収スペクトルを用いた,これまでの結果と概ね一致した。また,ZnDTPとPIBSIの2種類の錯体についてそれらの構造を検討した結果,いずれの錯体も,六配位の八面体構造を有しているものと推測した。
  • 岡崎 重光, 鈴木 義仁
    1990 年 1990 巻 1 号 p. 38-41
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ミクロ高速液体クロマトグラフィーに試作した静電場噴霧炎光検出器を取り付硬,硫黄やリンを含む農薬の分析を試みた。溶離液として40vb1%1一プロパノールま準は2一プロパノール水溶液を用い・流速8μl/minで,内径0.5mm,長さ110mmのODSシジヵゲルを充填したヵラムにより農薬の今離を行った。溶離液は2500和3000Vの静電場で噴霧させ,水素炎中で燃焼させた。燃焼ガスの酸素流量は60ml/minで,水素流量は下炎72 ml/min,上炎109ml/minである。硫黄の発光は394nmの干渉フィルター,リンの発光は526nmの干渉フンルターを通して光電子増倍管で検出した.硫黄では試料重量め約1.8乗に比例1した信号が得られ,リシでほ試料重量に比例した信号が得られた。また.硫黄の検出限界は約20ng,リンの検出限界は約0.5ngであった。
  • 森田 弥左衛門, 川上 実, 井上 剛史, 金井 智美
    1990 年 1990 巻 1 号 p. 42-47
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    卵自中のタンパク質の分離について,通常のダウンフローカラムと,同一容量の薪規なラジアルフローカラムを比較検討した。その結果,DEAEセルロースのような軟質充填剤の場合は,目詰りのため充填圧が剃約され,両カラムとも秀填密度が0.809/mlであった。この条件で試料保持量は,側面積の大きいラジアルフローカラムの方が,断面積の小さいダウンフローカラムより格段に大きく,大量分取に適していた.また,このカラムで卵白中のタソパク質成分は三分画に分離でき・リゾチームを含むオボグロブリン類,オボトランスフェ.ジソを含むオボムコイド類,およびオボアルブミンの順に溶出した。ヒドロキシアパタイトのような硬質充填剤では,.高圧充填に耐えるダウソフローカラムの充填密度が1.119/ml,充填圧が5kg/cm2以下に制約されているラジアルフローカラムのそれは0.83g/mlで,商者に大きな差があった。この差が分離能に影響し,前者のダウンフローカラムの方が優れていた。また,このカラムによって卵白中のタンパク質成分は四分画に分離でき,オボムコイド類,オボアルブミソ類,オボトランスフェリンを含むオボグロブリソ類.およびリゾチームのように・導電点の小さい順に溶出した。
  • 野村 正幸, 中田 真一
    1990 年 1990 巻 1 号 p. 48-52
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    H-NMR,FT-IRおよびフィールドイオン化-MSを用いて,o-.m-.p-.位置換アニリン誘導体の,分子間水素結合について分光学的検討した。検討したアニリン誘導体はニトロアニリ分ン子内(NA),ク0ロアニリソ(CA),アミノアセトフ,エノソ(AAP),ニトロアセトアニリド(NAA),2-クロロ-4-ニトロアニリン,4-クロロ-2-ニトロアニリンおよび2-クロロ5-ニトロアニリンである。測定溶媒は四塩化炭素,クロロホルムおよびクロロホルム-dである。o-NA,o-AAPおよび4クロロ-2-ニトロアニリソのNH2プロトソのH-NMRの共鳴吸取線幅は,低温領域(-10--50℃)において,低温になるほど顕著に増加した。した。これらの結果に,NH2プロトンの憎方が分予内本素結合を形成することにより,形成していない場合に此較Lて,1H核の電荷の対称性がより損なわれることによるものと解釈された。o-CAについては・・H-NMRの共鳴吸収幅の温度依存から,分子内水素結合は形成されていないことが未唆された。これらの・H-NMRの結果は,FT-IRの検討からも支持された。すなわちo-NAとo-AAPのアミノ基伸縮振動(VNH)の吸収ピーク値の(va8,NH-vByNH)の値が相当するm-およびp一置換アニリンに比較して約30~60 cm-1増加した。一方,m-NA,p-NA,m-AAP,p-AAP.CA(o-,m-,p-)については単量体と二量体に帰属されるVNH ピークが観測され,これらが,分子間水素結合を形成するものと考えられた。さらに,FI-MSの測定から,イオン化された状態で会合している二量体ピークがNAとNAAのm-およびp-体について観測された
  • 軽部 昭夫, 丸山 雅雄
    1990 年 1990 巻 1 号 p. 53-59
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    サントニン〔1〕の還元で得られるヘキサヒドロサソトニン類の立体構造を確定するためにそれらのアセタートとともに13C-NMRスペクトルを測定し,ヒドロキシル基およびアセトキシル基の立体配置の違いによる置換基効果を考慮した計算値と比較した。また,ヘキサピドロサントニン類のMosherエステルを合成し,立体構造を検討した。その緕果,A/B環がトランス結合でC-4メチル基がβ-結合の〔4〕と〔5〕はヒドロキシル基の立体配置が以前報告したものと逆であることがわかった。また,A/B環がシス結合でC-4メチル基がα-結合の〔13〕もヒドロキシル基の立体配置が従来報告されているものと逆であることがわかった。
  • 山本 二郎, 万代 昌巳
    1990 年 1990 巻 1 号 p. 60-66
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アゾキシベンゼン〔1〕を35%硝酸(HNO3-AcOH-H2O)中で加温すると,2-ニトロ-ONN-アゾキシベンゼン〔6〕が単一生成物として得られた。同じ反応条件で2,2しジメチルアゾキシベソゼン〔2〕をニトロ化すると,2,2'-ジメチル-3-ニトロ-NMO-アゾキシベンゼン〔7α〕と2,2'-ジメチル3-ニトロ-ONN-アゾキシベンゼン〔7β〕が同じ生成比で得られた。同様に4,4'-ジメチルアゾキシベソゼン〔4〕のニトロ化でも,4,4'-ジメチル-3-ニトローNNO-アゾキシベソゼン〔8α〕と4,4-ジメチル-3-ニトロ-ONN-アゾキシベソゼン〔8β〕が同じ組成比で生成した。4-メチル-ONN-アゾキシベンゼン〔5α〕(α:β=2.4:1.0)を同じ条件でニトロ化すると,4-メチル-3-ニトロ-N20-アゾキシベンゼン〔9β〕と4-メチル-4,-ニトロ-NNO-アゾキシベンゼン〔10β〕が得られたが,反応時間が経過すると〔9β〕が4-メチル-3-ニトロ-ONN-アゾキシベソゼン〔9α〕に異性化した。一方,4-メチルーNNO-アゾキシベンゼン〔5β〕(α:β=O・O:1・0)からは〔10β〕のほかに,高いα/β 比で〔9α〕と〔9β〕が生成したが,反応時間経過とともに〔9α〕が〔9β〕に異性化した。35%硝酸(HNO3-AcOH-H2O)中〔5β〕は〔5α〕より安定であるが,〔5β 〕から〔5α〕への異性化もわずかに起こっていると考えられる。
  • 松原 義治, 森田 全律, 武隈 真一, 山本 啓司, 野副 鉄男
    1990 年 1990 巻 1 号 p. 67-71
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-アミノ-1,3-アズレンジカルボン酸ジメチル,〔1〕を非プロトン性極性溶媒(HMPAあるいはDMF)中120℃.で微泡化した酸素を72時聞通じ酸化を行い,転化率13%で3種の主要生成物を得た・各生成物は電子スペクトル質量スペクトル,IRおよびNMRスペクトルによって,2-アミノ-4-ヒドロキシ-1, 3-ナフタレンジカルボン酸ジメチル〔2〕(収率15%),3-アミノシクロヘプタ[b]ピラン-2,4-ジカルボン酸ジメチル〔3〕(収率15%)および2-アミノ-6-ホルミル4,3-アズレンジガルボソ酸ジメチル〔4〕(収率20%)と決定した。
  • 太田 和子, 中村 裕子, 岩岡 純子, 野村 祐次郎
    1990 年 1990 巻 1 号 p. 72-83
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2,1-ベンゾイソオキサゾール類と3-置換5-アルコキシ-2,4-イミダゾリジンジオンとの反応により・種々の2-キナゾリンカルボキサミド誘導体が生成することを見いだした。たとえば,3-フェニル-2,1_ペンゾイソオキサゾールと5-メトキシ-3-フェニル-2,4-イミダゾリジソジオンとを,塩化チタン(IV)存在下,ジオキサソ中で加熱すると,N,4-ジフェニル-2-キナゾリンカルボキサミドが得られた(収率82%),この反応は,5-アルコキシ-2,4-イミダゾリジンジオンの脱メタノ-ル化により,反応系内で生じた3-イミダゾリン-2,5-ジオンが,2,1-ペソゾイソオキサゾールと[4+2]付加環化をしたのち,二酸化炭素を脱難してキナゾリン-2-カルボキサミドを生じたものと考えられる.
  • 篠田 清徳, 中村 忠, 船橋 征行, 小山 行直
    1990 年 1990 巻 1 号 p. 84-91
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    液相加圧下で塩化ビニル(VC)に塩化水素を付加して1,1一ジクロ導エタン(ED)を合成し,このEDを熱盧素化分解して1,1,1-トリクロロエタン(MC)と塩化ビニリデン(VD)とを同時に製造する方法について実験塞およびパイロット規模での研究を行った。その結果,塩化水素付加反応装置と熱塩素化分解反応装置を組み合わせ使用することにタってiMCとVDを任意の割合で製造できる特律あるプロセスを構築することができたざパィレックスガラス反応管を用いる基礎実験でのEDの熱塩素化分解反応では次の結果が得られた。(1)反応温度の上昇とともに1,1,2一トリクロロエタソ(TCE)に対するMcの生成割合は向上した。(2)反応温度480℃,EDに対する塩素のモル比(Cl2/ED)0.9前後でMCとVDの合計収率(MDYield)はピークを示した。(3)原料の供給速度を変えてもt生成物組成には大きな変化は見られなかった。(4)反応温度の上昇でSplitratio[100×VD/(MC弓+VD)]は増加した。パイロットプラソトの実験では管型反応器を用いたEDの熱塩素化分解反応において反応温度の調節は困難で,反癒は塩素化反応の発熱と脱塩化水素反応の吸熱とのバランスに左右されて,断熱的に進行して460~480℃ に保たれた。槽型反応器を用いて,反応圧力を増加させると脱塩化水素反応が進行してSplitratioは増加したが,MDYieldは減少した。ピストン流である管型反応器では完余混合の槽型よりはMDYieldは高く,EDがMCを経て.VDを生成する経路の選択性が,良好であることを確認することができた。
  • 矢津 一正, 斉藤 昌弘, 請川 孝治, 中山 哲男, 高橋 忠雄, 鈴木 敏文, 小野 正巳, 三木 淳, 武井 信広, 舘 和彦
    1990 年 1990 巻 1 号 p. 92-96
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    無水酢酸中,遷移金属塩一臭化物系触媒存在下においてクレゾール類を液相酸化することにより・主酸化生成物としてアセトキシ安息香酸誘導体を得ることができた。触媒の検討は,酢酸p-トリルを用いて行い,Co(II)-Ce(III)-NH4Br系触媒が最適であることを見いだした。さらに,触媒濃度および臭化物1金属比の最適な範囲がy2・0×10-2~6・0×10-2(mo1/kg)および2.0~3.0であることを明らかにし.酸化生成物組成の経時変化についても検討した。クレゾール(PC)の反応においては,酸化生成物収率におよぼす反応温度,基質濃度おpよ- び溶媒組成の影響について検討し,反応温度120℃ においてp-アセトキシ安息香酸誘導体が約90mo1%の収率で得られることを明らかにした.m-(MC)および.O-クレゾール(OC)についても同様の酸化反応を行い, 得られた酸の収率が,PC>MC>OCの順序であることを見いだした。
  • 田崎 美智子, 本間 輝武
    1990 年 1990 巻 1 号 p. 97-103
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水晶振動子(QC)への吸着物質量ΔMと振動数減少ΔFの関係を使用する微少重量測定法(QCM)を利用して,ポリマサ薄膜の耐溶剤性を調べた,ポリブタジエンゴム(BR),ポリイソプレンゴム(IR),アクリロニトリルーブタジエンゴム(NBR)の希薄溶液をQC上に塗布乾燥して薄膜としc-QCBR.c-QCir,c-QCNBRとする。良,貧,非溶媒の一定濃度蒸気中(乾燥空気と共存)一定温度でそれらの吸着挙動を調べた。いずれも数十秒以内に吸着幸衡に達した。また,溶媒蒸気吸着にともなう-ΔFは蒸気濃度と直線関係で得られた。この直線の勾配からそのポリマーのおおよその耐溶剤性の評価ができる。蒸気濃度をP/Po(P:溶媒蒸気圧,Po:溶媒飽和蒸気圧,ただし一定温度)に換算しP/Poと-ΔFのプロットはHenry則にしたがって原点を通る直線となった。この直線の勾配と平衡膨潤度Qepの関係を求めるとc-QCBR,c-QCIRでは勾配の大きいものぼど大きなQbqが得られた。c-QCNBRではこの順序は必ずしも一致せず・たとえばQbq≒1のブタノ-ルでは良溶媒より大きな勾配として得られた。この結果は薄膜への溶媒の吸着,溶解の段階でポリマーの極性/溶媒の極性の組み合わせのときにはQeMによる耐溶剤性評緬は注意する必要があることを示している。
  • 景 世兵, 山口 達明
    1990 年 1990 巻 1 号 p. 104-108
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酸化セルロース(DAC)の表面をキトサンで処理して,経口剤として安定性の高い尿素吸着剤を得ることを目的として検討をすすめた。脱リグニソしたおがくずを17・5%のNaOH水溶液に浸し,48時間アルカリ処理した後,過ヨウ素酸ナトリウムによって酸化してジアルデヒド単位含量93mo1%のポロDACとし,これをキトサンの1・0%メタノ1一ル酢酸0水溶液に入れ・表面処理した・得られたキトサンDACのジアルデヒド単位含量は85 mo%,キトサン含量は10mo1%であった。このキトサンDACは高い尿素着容量(8.6mg/g)を保も,その上でpH5の緩衝液に対しても未処理DACよ6明らか高い安定性を示した。また,キトサンで処理することによってDACのアルブミソに対する吸着活性が抑制され,アルブミン共存下での尿素に対する吸着の選択性を高めることができた。
  • 増田 隆志, 村田 和久, 松田 昭男
    1990 年 1990 巻 1 号 p. 109-111
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    The influence of addition of H20 on the hydrogenation of carbon monoxide by Co2(CO)8catalyst has been investigated under a syngas pressure of 1000 kg/cm2 in phenolic solvents. The addition of 7-20 vol% H20 to m-cresol or phenol solvent suppressed the formation of methanol and *as effective in increasing the catalyst activity and selectivity for ethanol(EtOH)formation. The addition of H20 showed a tendency to improve the selectivity for ethylene glycol (EG) formation. A Co2(CQ)8-H20-phenol catalyst system gave about 70% se lectivity to C2-oxygenated compounds (EtOH+EG) and high space-time yield of those compounds (164.0 g//.11). The role of H20 is discussed.
  • 岡本 厳, 柿並 孝明, 楠本 政雄, 米成 聡, 梶返 昭二
    1990 年 1990 巻 1 号 p. 112-114
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Bromo-substituted aromatic amines were obtained quantitatively by passing a solution of aromatic amines in dichloromethane-methanol through a column packed with styrene polymerbound benzyltrimethylammonium tribromide. t Halogenation Using Quaternary Ammo n ium Polyhalides
  • 中沢 利勝, 佐藤 一夫, 板橋 国夫
    1990 年 1990 巻 1 号 p. 115-118
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Ring-closure reactions of 3-phenyltiopropionaldehyde (1 a) and its methyl derivatives which were formed by the additions of benzenethiols to acrylaldehydes using acetonitrile as a solvent have been investigated. The reactions of ( 1 a) and its methyl derivatives with a variety of thiols in acetonitrile at room temperature provided 3-plienylthiopropionaldehyde hemithioacetals (2). The reaction of (2) in the presence of sulfuric acid in acetonitrile afforded the corresponding 4-arylthioand alkylthiothiochromans (3 a-i) in good yields.
  • 野崎 亨, 吉永 辰行, 山下 浩, 大森 玉美
    1990 年 1990 巻 1 号 p. 119-121
    発行日: 1990/01/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Flotation of aminoacetic acid (glycine, HL) by complexing with iron(III) was investigated in a cell (20 cm x 2.5 cm I. D. ). Recovery of 1.0 x10-3 mol.dm-3 of glycine was 97% by cornplexing with the equimolar concentration of iron(1ll) using 3.25 x10-3mol. dm-3 of dodecylammonium acetate (DAA) as a surfactant at pH 6.0. It seems that the flotation of glycine proceeds through the formation of the ion pair RRFeL(OH)- where R and n denote the cation of DAA and its mean number, respectively. This flotation was found to be applicable to recovery of glycine in a waste solution at a manufactory of dried bonito.
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