合成フヅ素雲母のイオン交換にともなう膨潤脱水特性の変化に与える層電荷および交換イオン種の影響を検討するために,層電荷の異なる一連の膨潤性 Na型フッ素雲母[Na
xMg
3-xLix(Si
40
10)F2,x=1・00,0.76,0.61,0.42]をMn
2+,Fe
2+,Co
2+およびNi
2+イオンでイオン交換し,得られるイオン交換体の膨潤脱水特性を粉末X線回折法,熱分析法などで調べた。M
2+イオン交換体の膨潤特性は主に層間イオン種によって決定され,層電荷の影響は小さかった。M
2+イオン交換体の層間水は加熱によって段階的に脱離し,これに対応して底面間隔値は段階的に減少し,また,各段階に対応してDTA曲線に吸熱ピークが出現した。このとき一水層型雲母からの脱水に帰属されるDTA曲線の吸熱ピーク温度(Th)は,層電荷が同じ場合,Mn
2+-<Fe2
+-<Co
2+-<Ni
2+-交換体の順に高くなった。この序列は層問M
2+イオンの水和エネルギーなどの序列と一致し,M
2+イオンの特性が交換体の脱水特性を規定していることがわかった,また,層間イオン種が同じ交換体の場合,層電荷が小さいほどTh 温度は高くなった。これは,層電荷が小さいほど層間水和イオンM
2+-H
20の結合が強くなるためと考えられた。
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