第二級アミンと二酸化炭素の反応により生成するカルバミン酸は,ルテニウム錯体触媒存在下で,アセチレンあるいは末端アルキンに付加して N,N-ジアルキルカルバミン酸ビニルエステルあるいはその誘導体を生成する。同様の反応を第一級アミンを用いて行った場合には, 1,3-ジアルキル尿素が生成する。しかし,第三級アミンの存在下でアルコールと二酸化炭素より生成する炭酸水素アルキルは,同様の反応条件下ではアルキンとは反応しない。一方, 2-プロピノールは,ルテニウム錯体-第三級アミン系触媒存在下で二酸化炭素と 2:1 で反応して,炭酸 2-オキソプロピル 2-プロピニルあるいはその誘導体を生成する。第三級アミンの代わりに第一級アミンを用いた場合には, 2-プロピノール,二酸化炭素及び第二級アミンが 1:1:1 で反応して, N,N-ジアルキルカルバミン酸 2-オキソプロピルが生成する。また,第三級アミンの代わりに第一級アミンを用いた場合には,環化反応により, 3-アルキル-4-メチル-1,3-オキサゾール-2(3H)-オンが生成する。さらに,第三級アミン存在下での反応を第一級アルコール中で行うと,二酸化炭素, 2-プロピノール,及び第一級アルコールが 1:1:1 で反応した炭酸アルキル 2-オキソプロピルが生成する。
これらの反応はすべて,基本的には,塩基性雰囲気下でアルコールやアミンと反応した二酸化炭素が,ルテニウム錯体により活性化された炭素-炭素三重結合に求核的に付加することにより進行しているものと考えられる。
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