カルシウムフェライトモノサルフェート水和物 (以下, CFMSHと略記する) の加熱分解過程の検討, およびCFMSH熱処理物の再水和実験を行い, 再水和による層状構造の再構築性について検討し, Hydrotalciteの場合と比較した.
原料の配合モル比 [CaO/Fe
2(SO
4)
3] 7.0の条件で得られた生成物 (CFMSHとCaSO
4・2H
2Oの混合物) を40℃の温水で洗浄することで, CFMSH結晶の単一相が生成したことをXRDとFT-IRによって確認した. TA, XRDおよびFT-IRの結果より以下のことがわかった. CFMSHを400℃まで加熱することにより, CFMSHの層状構造が崩壊した. 610℃において, 2CaO・Fe
2O
3, CaSO
4およびCaOが結晶化した. 1200℃以上の温度において, CaSO
4結晶中のSO
3が脱離した. 熱処理温度1200℃以下の温度で熱処理された試料の再水和生成物は, 熱処理前試料と同様の結晶構造を示した. それゆえ, 再水和法による最初の層状構造の再構築可能な熱処理温度範囲は, スピネル生成によって制約をうけるHydrotalciteに比べ, CFMSHのそれのほうが広範囲であった. 熱処理温度1400℃で熱処理された試料の再水和生成物は, Ca(OH)
2.とCa
3Fe
2(OH)
12であった.
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