吾々の行つた直角圓錐形落錘の自由落下に依る積雪の衝撃試驗から次の結論を得た。
(1) 資料の積雪が均一等質にして, 測定器に比し充分なる時は, 殆んどすべての雪質に對し『落錘の衝撃により生じた雪而の窪の膿積は, 衛撃の全エネルギーに比例する』が成立し, 先述の(2) 式に依つて硬度を定義することが可能である。
(2) 但し資料の雪層が薄きに過ぎるが軟過ぎる時は本測定器にては測定不能のことが屡々あり逆に硬きに過ぎる時(窪が小に過ぎ)も同様である。依つて軟雪用及硬雪用として少くとも二種類(又は現在のものより輕く且つ慶範圍に荷重を加減し得るもの)の測器を持つことが必要である。一面, 現在の測器より可級的大型(持進に便であつて)のものを造ることも考へられる。
(3) 塑性を持つた積零の硬度を調べやうとすれば,必然的に粘性に就いての研究が必要である恐らくは硬度は粘性と最も密接な關係にあるものであらうから。
(4) 雪質に依つては氷の如き弾性體から, 粗目雪のあるものに見られる脆弱性多きもの, 或は塞冷時の粉雪の如き全く粉體と考られるもの等廣い範圍の物態に就て充分の研究が必要である。
(5) 最後に本測定法と異るものに就いての試驗研究の必要は云ふまでもない。
以上の諸項目を今後の指針として,吾々は硬度に關する研究を續行してゆく考で居る。
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