雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
73 巻, 4 号
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  • 大宮 哲, 佐藤 篤司
    2011 年 73 巻 4 号 p. 205-212
    発行日: 2011年
    公開日: 2022/07/31
    ジャーナル オープンアクセス
    吹雪粒子は帯電しており,その極性は平均すると負である事が知られている.その量は野外観測値と風洞実験値とで異なり,野外観測値の方が大きいとの報告がある.この一因として,両者の吹走距離の違いに伴う跳躍回数の違いが挙げられている.本研究では,吹雪粒子の帯電量と跳躍回数の関係を実験的に明らかにする事を目的とし,低温風洞を用いて吹雪粒子の電荷測定実験を行った.本実験では,削剥されない硬い雪面を用い,気温-20~-5℃のもと,球状および樹枝状の雪粒子を使用した.なお,吹走距離は固定し,風速変化(4.5~7ms-1)によって跳躍回数を増減させた.測定の結果,気温や粒子の形状に関わらず,跳躍回数の増加とともに粒子に負電荷が蓄積される事が示された.この結果から,野外観測値と風洞実験値間に見られる量的隔たりの一因が,吹雪粒子の跳躍回数,すなわち吹走距離の違いである事が示された.
  • 渡邊 直樹, 榎本 浩之, 舘山 一孝, 山本 朗人, 田中 聖隆, 高橋 修平, 岩本 明子, 佐々木 亮介, ヌアスムグリ アリマス
    2011 年 73 巻 4 号 p. 213-224
    発行日: 2011年
    公開日: 2022/07/31
    ジャーナル オープンアクセス
    寒冷地における冬期交通事故の主な原因である雪氷路面状態を自動判別するシステムの開発をした. このシステムでは路面から放射されているマイクロ波放射(輝度温度)および路面温度の相関から路面状態を判別する.さらに,路面状態の時間変化過程を観察し,より精度よく路面状態を判別する. 本研究ではまず実験路面で基礎実験を行い路面状態に応じた輝度温度の範囲を調べた.次に大雪山系石北峠で実際の路面モニターと測定を一冬通して行った.この実験より,多様に変化する路面状態とそれに対応した輝度温度の範囲が詳細にわかった.この実験で得られたデータを用いて路面状態判別基準を作成した.観測視野内が単一の路面状態で占められる場合の一致率はいずれの路面状態においても90 %以上になった.一致率の検討に使用できなかった降雪中および混在路面のデータは48 %にも達しており,今後は各路面の混在比率に対応したマイクロ波放射モデルを構築するなど,全路面に対応した手法の開発が課題である.
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