雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
46 巻, 3 号
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  • 剪断速度の効果
    栗山 弘
    1984 年 46 巻 3 号 p. 101-108
    発行日: 1984/09/29
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    積雪の剪断強度を比較的簡単に測定できる, ベーン剪断試験器の特性を把握するために, 低温実験室において, 雪のベーン剪断試験を実施した.試験に使用したベーンは, 幅が4cmおよび5cm, 高さが幅の1.5倍の相似の2種で, 試験雪は乾燥自然積雪とし, 試験の結果次のことが判明した.
    密度0.068~0.2969/cm3の乾き新雪およびしまり雪を対象とし, ベーンの回転の角速度が0.05~5.00rad/sの試験条件では, 2種のベーンによる剪断強度の差は認められない.
    ベーン剪断強度および臨界剪断強度増加率は, ともに雪の密度のべき関数である.雪質に無関係に, ベーンの角速度が0.05~0.25rad/sでは, 角速度の増加とともに雪の剪断強度は減少し, 剪断強度の剪断速度依存性は大きい.角速度が0.25fad/sをこえると, 剪断速度の変化は小さくなる.
  • 石川 信敬, 小林 俊一
    1984 年 46 巻 3 号 p. 109-119
    発行日: 1984/09/29
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    極地や高緯度地方に存在する海氷は, 気候に重要な作用を及ぼすが, 表面状態が頻繁に変化する地帯において大気と開水面や薄氷面との熱交換過程についての観測はあまりなされていない.本研究では氷厚の成長に伴う熱収支の変化, さらには表面状態の異なる海氷面や積雪面と大気間の熱交換過程の相違を比較するため北海道東北部の結氷したサロマ湖において, 人工的に開水面プール (3×3m) を設置し, プール上及び周囲の海氷上で微気象観測を行なった.その結果, 1) 結氷直後には海水の影響を強く受けて, 海氷の表面温度は気温より高く, 放射収支量, 顕熱伝達量, 蒸発による潜熱量はいずれも氷体からの放熱となる.その中でも放射収支が最も重要であり, 観測期間中の夜間 (18時-06時) の平均放熱量の約5割を占めた.2) 海氷の成長に伴ってプールの薄氷 (厚さ0~10cm) 面と周囲の海氷 (厚さ25~35cm) 面上の熱収支各成分のそれぞれの差は小さくなる.3) 海氷上に積雪が存在すると大気との熱交換量が著しく減少することが明らかになった.
  • 第3報, サイクロンによる雪水混相流中の異物分離
    梅村 晃由, 小柳 智義, 岡田 彰
    1984 年 46 巻 3 号 p. 121-128
    発行日: 1984/09/29
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    雪輸送用のパイプラインに雪とともに押込まれるごみや砂利などを, 分離除去することを目的に, サイクロン分離機を試作し試験した.比重1.04g/cm3のプラスチックビーズおよび1.45g/cm3の砂利を分離試料として, 清水および雪水混相流に対する, サイクロンの集塵率と圧力損失を測定した. また, 寸法効果をみた.
    結果は以下のようであった.
    (1) 限界流速が存在する.これ以下では雪が停滞して, サイクロンの機能は失われる.
    (2) 限界流速以上では, 雪水混相流に対する, 集塵率と圧力損失は, 清水の場合と同じか, いくらかよい.
    (3) サイクロンの諸寸法の集塵率や圧力損失に与える影響は, 通常のサイクロンで知られているところと同じであった.
    (4) 砂や砂利は, サイクロンで十分に分離できる.しかし, ビーズについては, 部分的に, 流速に対する集塵率の挙動に関して, 従来の理論に反するところがあった.
  • 倉島 収
    1984 年 46 巻 3 号 p. 129-138
    発行日: 1984/09/29
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    38豪雪から56豪雪に至る約20年間の既往なだれ災害の調査・分析によって, なだれから人命を守るためには山間地の集落を防災することが特に必要であり, そのためには既存のハードな対策ばかりでなく, なだれ危険区域を明示して, 警戒・避難体制の整備, 建築制限等のソフトな対策を含む総合的な防災対策の必要性と考え方を明かにしている.また, 危険区域の設定に関する技術的・制度的問題点を論じ, なだれ斜面の地形的形状に基づいた見通し角の利用が区域設定手法のマニュアル化の一方向であることを述べるものである.
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