雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
78 巻, 4 号
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  • ALIMASI Nuerasimuguli, 榎本 浩之, CHERRY Jessica, HINZMAN Larry, 亀田 貴雄, 杉浦 ...
    2016 年 78 巻 4 号 p. 185-203
    発行日: 2016年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,温暖化が進む北極圏では雪氷の融解や減少が顕著になっている.高緯度域の雪氷圏の観測では,日射を必要とせず天候の影響を受けないマイクロ波放射計による観測が有効である.衛星による積雪や海氷観測は,重要な気候情報として観測されてきた.衛星の観測ピクセルの中には多様な地表面状態が入る.特に,北極域の観測では視野内に北方森林域やツンドラの湖沼群が入る.より正確な雪氷情報の取得には,変質の大きい積雪内部,凍土など積雪下の地表面状況,森林からのマイクロ波の放射の影響などを考慮する必要がある.従来のマイクロ波観測では37GHz,19GHzが積雪の観測に用いられたが,この研究では積雪深層や底部の情報を取得できる低周波の6GHzの利用を検討した.この研究では,可搬型マイクロ波放射計を用いて,冬季のアラスカの森林や湖沼域上空からの航空機観測を行なった.凍結している湖では,積雪に覆われていても6GHzの輝度温度は著しく低下することが確認された.また,森林が密集した場所では輝度温度は増加した.一方,植生の無い山岳斜面では,表面は低温であるが,内部から放射される低周波のマイクロ波の輝度は低下しなかった.これらの観測結果から高緯度の積雪で覆われた地域について,低周波のマイクロ波による観測可能性を検討する.
  • 橋本 明弘, 庭野 匡思, 青木 輝夫
    2016 年 78 巻 4 号 p. 205-214
    発行日: 2016年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
    科学研究費補助金によって「北極域における積雪汚染及び雪氷微生物が急激な温暖化に及ぼす影響評価に関する研究」において実施されたグリーンランド氷床での雪氷放射観測の間,観測隊の活動を支援するために,グリーンランド全域を対象領域として気象予測実験を行った.このためのシステム構築と運用について概説し,予測精度に関する初期的な検証結果を示す.気象予測実験は,気象庁非静力学モデルを用いて行われた.実験結果は図化され,無料ウェブサービスを利用して観測隊に提供された.観測隊が,情報インフラの整った拠点を離れ,氷床上の観測点に滞在している間は,必要最小限のデータのみ実験結果から抽出・圧縮され,定時交信メールに載せて提供された.提供された予測情報は観測隊の日々の生活や観測活動,人員・物資の輸送等の計画・実施のために役立てられ,その有用性が実地に確認された.同様の気象予測実験システムは,グリーンランドに限らず,極域における野外観測支援のために有効利用できる可能性をもっている.一方,観測隊からもたらされる報告や観測データは,予測実験結果の検証とモデル改良に役立てられている.
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