1996年から1998年のJapanese Earth Resources Satellite-1(JERS-1)衛星搭載のSynthetic Aperture Radar(SAR)の15 シーン,2007年から2010年のAdvanced Land Observing Satellite(ALOS)衛星搭載のPhased Array type L-band SAR(PALSAR)の17シーン,2014年から2015年のALOS-2衛星搭載のPALSAR-2の12シーンから,それぞれ12ペア,12ペア,11ペアの画像に対して画像相関法を適用し,南極・白瀬氷河の流動速度変動を調べた.2014年から2015年において,上流からGrounding line(GL)へと向かって流動速度が急激に速くなり,GLを挟む幅20kmの流域において一定となり,GLから下流そして浮氷舌へと再び流動速度がなだらかに速くなる傾向が見られた.この傾向は,1996年から1998年にJERS-1/SARおよび2007年から2009年にALOS/PALSARで観測された流動速度プロファイルから大局的には変化していないと考えられ,また流動速度も2.33kma
−1(1996年)から2.26kma
−1(2015年)で大きな変化は見られなかった.しかし,GLからの距離の関数として示した中央流線上では,上流域での速度に有意な経年変化が見られた.GLより5km上流から上流方向へ流動速度は増加しており,約18km上流では1996年から1998年を基準とした場合,2007年から2010年および2014年から2015年のそれぞれで0.57kma
−1,0.72kma
−1と最大の速度上昇に達した.30km上流ではそれぞれ0.25kma
−1,0.35kma
−1を示した.
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