雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
85 巻, 4 号
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論文
  • 亀田 貴雄, 桑迫 拓哉, 白川 龍生
    2023 年 85 巻 4 号 p. 199-222
    発行日: 2023/07/15
    公開日: 2023/09/04
    ジャーナル フリー

    冬期の平均的な積雪深を表す指標として年平均積雪深を新たに導入し,従来から用いられている年最大積雪深による結果と比較した.その結果,北海道,東北,北陸で気象庁が観測する 48 地点での過去60年間の年平均積雪深のトレンドは北海道日本海側3地点,北海道オホーツク海側1地点,北陸6地点で減少を示し,北海道太平洋側4地点,東北太平洋側1地点で増加を示した.年平均積雪深を用いることで従来の年最大積雪深では検知されなかったトレンドを新たに6地点で検出することができた.年最大積雪深のトレンドは年平均積雪深の1.6~3.4倍となり,年最大積雪深を用いて平均的な積雪深を評価すると変動傾向は過大評価となることがわかった.一方,48地点を冬期気象に基づき6つの地域に分類し,地域ごとの年平均積雪深と年最大積雪深の経年変化を調べた.その結果,年平均積雪深では北海道太平洋側は増加,北陸は減少のトレンドが検出できた.年最大積雪深では北海道日本海側と北陸で減少のトレンドを検出できた.48地点の積雪深と気象指標(冬期平均気温,北極振動)との関係,積雪期間,積雪初日,積雪終日の変動,顕著な積雪深減少が続いている北陸での減少理由を議論した.

  • 藤本 明宏, 河島 克久, 河本 ひかる, 渡部 俊, 村田 晴彦
    2023 年 85 巻 4 号 p. 223-240
    発行日: 2023/07/15
    公開日: 2023/09/04
    ジャーナル フリー

    本研究では,圧雪路面に作製した窪みに駆動輪を嵌入させて発進させる車両発進試験を実施し,各種車両のスタックの発生と回避の境界となる圧雪窪みの深さ(スタック発生窪み深さdsp)を評価した.大型トラックと連結車については別の車両発進試験を実施し,スタック発生メカニズムを解明した.これらの結果を基に,最もスタックし易い車両がスタックしない上限の圧雪厚さ(スタック回避上限圧雪厚さHsmax)について検討した.

    その結果,以下の知見を得た.dspは4WD駆動の乗用車と連結車が大きく,FR駆動の2 tトラックが最も小さい.車両への載荷はdspを増大させた.大型トラック,連結車,2 tトラックに限られるが,dspは駆動輪の荷重とともに増大した.また,駆動輪の外径とともに線形的に増大した.大型トラックにおいて中軸の駆動輪のみが圧雪窪みに落ちたことが著しくdspを低下させるとは限らない.連結車はセミトレーラーのタイヤが圧雪窪みに嵌ると著しくdspが小さくなる.

    本研究によりHsmaxを定めることが可能になる.Hsmaxはより適切な予防的通行止めと早期除雪を実施するための指標としての活用が期待される.

報告
  • 島田 亙
    2023 年 85 巻 4 号 p. 241-249
    発行日: 2023/07/15
    公開日: 2023/09/04
    ジャーナル フリー

    立山連峰主稜線上に位置する富山大学立山施設(標高2839 m)では,屋根裏や倉庫で結露が生じ,また春先には施設内西側で多量の霜が発生し,その融解水により建物への悪影響が発生している.このような結霜結露の原因を調べるため,簡易的に施設内の温度湿度測定を行った.夏期日中の屋根裏温度は30 ℃以上,湿度100 %となっていたが,排気装置設置後は湿度100 %未満となった.さらに顕熱交換式給排気装置の設置により,夏期の屋根裏や倉庫の結露は解消し,春先の施設西側建物内部の結霜も軽減できることがわかった.施設内の温度湿度変化を報告し,給排気装置の効果を考察する.

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