雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
84 巻, 2 号
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論文
  • 後藤 博, 梶川 正弘
    2022 年 84 巻 2 号 p. 155-166
    発行日: 2022/03/15
    公開日: 2022/03/27
    ジャーナル フリー

    比較的傾斜の大きい事物の壁面に,降雪後ある程度規則的な斑模様がよくみられる.これは事物表面に形成された新雪の小塊が斑点となって見えるのである.降雪中における木製模型斜面上でのこのような斑模様の観測から次のことが明らかになった.板面上で斜面に沿う方向の雪の小塊(斑点)中心間の距離(以下斑点中心間距離と記す)は,板面が滑らかで傾角が大きくなるほど長い.斑点中心間距離は降雪強度と負の相関が認められる.斜面上の新積雪密度は,傾角が大きいほど小さい値になるが,これは板面上の斑点形成に基づく積雪構造を考えることによって説明できる.

研究ノート
  • 岩田 修二
    2022 年 84 巻 2 号 p. 167-173
    発行日: 2022/03/15
    公開日: 2022/03/27
    ジャーナル フリー

    「氷河」の語は,自然地理学の教科書 “Physiography” の “glacier” から翻訳され1884年に出現した.訳者は,スコットランドに留学し,氷河の流動を理解していたと思われる西邨 貞である.「氷河」は氷河流動の認識から生まれた.「氷河」が出現する以前に,谷氷河の様相は流動も含めて1877年にすでに紹介されていたが,glacierは「氷帯」と訳された.「氷帯」の翻訳者は,氷河の実態を知らなかったことと,氷河の語は古くから冬の凍結した河を意味したため,「氷河」を使わなかったと思われる.「氷河」が現れたあとも,「氷田」が明治時代中頃(1884-1895)にはしばしば使われた.「氷河」が一般的になったのは,1900年ごろ以後である.

  • 佐藤 研吾, 冨樫 数馬
    2022 年 84 巻 2 号 p. 175-186
    発行日: 2022/03/15
    公開日: 2022/03/27
    ジャーナル フリー

    湿型着雪の発生において,降雪の含水状態は重要であり,気温とともに相対湿度が着雪性状に大きな影響を与える.特に自然界で同気温におけるみぞれや湿雪と乾雪の境界条件前後の相対湿度の影響は大きい.本研究では,アルミ平板を風洞中央に設置し,同じ粒子形状の湿雪,気温1 °Cの一定条件下で,風速7.5 m s-1~15 m s-1 で着雪試験を実施した.気温1 °Cにおけるみぞれと雪の相対湿度の境界条件より,高湿度の場合と低湿度の場合に大別し制御することにより,風洞試験において相対湿度が着雪性状に与える影響について検討した.着雪密度は7.5 m s-1 と10 m s-1 では相対湿度の影響が見られないが12.5 m s-1 と15 m s-1 では低湿度条件のほうが高密度になる結果となった.一方,着雪角度,表面硬度および含水率は顕著な違いが見られた.着雪角度は高湿度条件の場合は大きく,強風ほど小さくなる結果となった.表面硬度は低湿度条件の場合のほうが高硬度となり,その影響は風速が高いほど顕著となった.

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