雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
36 巻, 2 号
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  • 高志 勤, 益田 稔, 山本 英夫
    1974 年 36 巻 2 号 p. 49-68
    発行日: 1974/06/29
    公開日: 2010/05/07
    ジャーナル フリー
    土の凍結膨脹率に対する凍結速度の影響を研究する目的で, 土の一次元的凍結速度を一定にする温度調節方式を考案し, これによって二種類の土について種々の応力と凍結速度のもとで凍結実験を行った.その結果, 一定の有効拘束応力σ [kg/cm2] のもとでは, 凍結膨脹率ξは凍結速度U [mm/h] の減少と共に顕著に増大し, これら3つの量の間には (3.4) 式であらわされる関係が存在することがわかった.同時に凍結中の吸排水率ξwU, σの間にも, (5.13) 式であらわされる関係があることがわかった.
    著者等はこれらの結果を招来する原因を探究する目的で, 凍結面 (またはその付近) における吸排水機構モデルを提案し, これより演繹される結果から, 実験中にみつかった二, 三の興味深い現象の解明を試み, ある程度の成果を収めている.
  • 小野寺 弘道
    1974 年 36 巻 2 号 p. 69-72
    発行日: 1974/06/29
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    北海道知床半島で, 夏季になだれ堆積地が観察された.堆積地は長大な土錐の形状を呈しており, その規模は, 全長約230m, 幅約20m, 高さ4~6mであった.
    土錐は, 表面が厚さ10~15cmの土砂石層となっており, 内部は全て自然積雪であった.
    土砂石層は, ほとんどが火山砕屑物より構成され, なかに, 直径20~40cmの礫や, ハイマツの小枝が多数混入していた.表面を被った土砂石の量は, およそ1,000m3であった.
    このなだれは, 発生後, かなりの期間を経ても堆積形態を残していたことから, デブリが雪と多量の土砂石とから構成されていたものであり, 雪岩型なだれとでも表現すべきものであっただろうと推定される.
    この種のなだれによる作用は, 積雪寒冷山地における侵食や土石移動現象の実態とその特徴を明らかにしていく際に, 重要な手がかりになるものと思われる
  • 佐伯 正夫, 渡辺 成雄, 梅山 代吉, 河合 英二
    1974 年 36 巻 2 号 p. 73-78
    発行日: 1974/06/29
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    1918年1月9日に大きな表層雪崩が発生して死者158名を出した新潟県南魚沼郡湯沢町字三俣の斜面において, 1971~1972年に地形と林木の状態を調査した.
    1) 大雪崩が発生した斜面はWSW向きで, 冬期季節風の風下側となり, 山頂付近の斜面傾斜は風上側で平均26度, 風下側で約40度であるため, 雪庇が発達しやすい.
    2) 山頂および斜面上部の林木の成育は悪く, 積雪期にはほとんど埋雪状態となる.一方, 斜面の中腹以下では凹地形を除いては成育が良好で, 胸高直径は平均10~15cm, 立木の本数密度はha当り1000~4000本に達し, 普通の森林状態になっているが, 凹地形のところでは埋雪状態になっている.
    3) 三俣および三俣周辺の積雪観測所の資料より推定すると, 1918~1971年までの53年間に, 1918年の雪崩発生時とほぼ同じ降雪 (連続増加積雪深150cm以上・降水量換算で200mm以上) の回数は10回あったが, 記録に残るような雪崩は発生していない.
    4) 山頂および斜面上部の森林の成育状態が1918年当時と大差なく, 毎冬山頂部に雪庇が発達していることを考えると, 現在でも雪崩発生の危険性があり, 山頂部に雪庇防止対策を講ずる必要がある.
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